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ヴォイジャー 特別完全エピソードガイド
第172話「道は星雲の彼方へ」(後)
Endgame, Part II

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・本編
※1※2※3※4ヴォイジャーと共にいるシャトル。
転送台にジェインウェイ提督が実体化した。
表情の硬いジェインウェイ艦長。「ようこそ、ヴォイジャーへ。」
提督:「戻れて嬉しいわ。」

提督に続いて作戦室に入るジェインウェイ。
提督:「コーヒーね。」
ジェインウェイ:「一杯いかがです?」
「何年も前にやめたの。今はお茶しか頂かない。博物館のキュレーターに言ったのよ、作戦室をもっと忠実に再現したいなら、常にデスクにコーヒーを置いとくべきだって。」
「ヴォイジャーは博物館へ?」
「ヴォイジャーが博物館なの。プレシディオ※5にあるわ。よく晴れた朝には、ここからアルカトラス島※6が見える。」 窓から外を見る提督。
「地球へ戻ったのね。」
「…残念ながら、お気に入りのカップにはヒビが入ってしまったけど。あれはフェン・ドゥマー※7との激しい戦闘中のことだった。」 提督はジェインウェイのコーヒーを手に取る。
「誰?」
「あと 2、3年もすれば出会うわ。」
「私は未来を知ることを許されてないの。」
「泣く子も黙る時間規則※8でしょ? 教えといてあげる。無視しちゃえば頭痛が減るわよ?」
「どうやらあなたは、もう無視するって決めてるようね。」
「あなたでいた頃からいろいろあったの。」
「私はまだ私だし、これは私の船です。二度とこの船の上で、時間規則を犯すようなことはしないで。いいですね。」
「わかった。…過去の話ならいいでしょ? 3日前、あなたたちはグリッド986 の星雲で、強いニュートリノ放射を探知し、家へ戻れると考えた。」
「その通りです。」
「私はヴォイジャーをその星雲へ戻すように言いに来たの。」
「あそこはボーグの巣窟です。」
「攻撃をかわせる技術をもってきたわ。」 取り合わないジェインウェイ。「疑いたいのはわかるけど、自分を信じないで誰があなたを信じる?」
「ちょっと聞かせて。あなたが真実を言ってるとしたら、未来は随分明るそうだわ。ヴォイジャーは帰還し、私は提督に。ボーグに対抗する技術もあれば、私の作戦室さえ子孫のために保存されてる。」
「なのになぜその明るい未来を変えようとしているか? 答えれば、あなたが辛い思いをすることになる。こうとだけ言っておくわ。もし私に従わなければ、地球へ戻るまでに後 16年かかることになる。その間に多くの負傷者が出ます。…あなたの考えてることはわかってる。」
「超能力まで使えるの?」
「私は昔あなただったのよ? 自分にこう聞いてる。『本当に彼女は私かしら。それともだまされているのかしら。』 いつかのように生命体8472 が姿を変えているのかもしれない。※9…私のシャトルは調べた? 武器システムと装甲テクノロジーについて、よく調べるように言ってくれない? その間、ドクターに私を調べてもらえばいい。」

脳の状態がモニターされている。
ドクター:「大脳皮質を調べたところ、興味深い発見がありました。」
ジェインウェイ:「これは?」
「わかりません。このインプラントを見るのは初めてです。」 一部が拡大される。
「異星人の技術かしら。」
「超小型回路に、艦隊のサインがあります。」
提督:「当然です。」
咳払いするドクター。「提督?」
バイオベッドに座っている提督。「あなたが発明したの。私から言えば、12年前に。」
ドクター:「…すいません、てっきり聞こえてらっしゃらないかと。」
「あら、聞こえてますとも。年はかなり取ってるけど耳はいいの。あなたが健康に気を遣ってくれたおかげよ。」
「それで…この私が発明するインプラントは、何なんです?」
「シナプストランシーバー※10よ。神経をインターフェイスして、船の操縦を可能にするの。」
「素晴らしい! それで、私はほかにどんな発明を。」
ジェインウェイ:「ドクター。」
「すみません、しかしこれが聞かずにいられましょうか。」
「早く報告を終わらせて。」
「…了解。」 DNA 配列を表示させるドクター。「スキャンした結果、あなたたちの遺伝子は同一でした。あの提督は、あなたです。約26年後のあなたでしょう。」
セブンが医療室に入る。彼女に気づき、ベッドを降りる提督。「ハイ、セブン。」
うなずくセブン。パッドをジェインウェイに渡した。「提督の船の技術には目を見張るものがある。ほとんどが、ボーグの攻撃をかわせるような設計だ。」
ジェインウェイ:「この技術はヴォイジャーに使えるかしら。」
「ステルス技術は互換性がない。だが、装甲と武器に関しては問題ないだろう。」
提督:「どう? 艦長。」
ジェインウェイはセブンに指示した。「……お願い。」

ヴォイジャーの外壁で、環境スーツを着たクルーによって新たな装備が取り付けられている。
『艦長私的記録、宇宙暦 54973.4。早速ジェインウェイ提督に従い、ヴォイジャーのアップグレードを開始。』 機関室で作業をしているトレスたち。『…主な改造が終わり次第、コースを逆転させ星雲に戻る。任務中に何度か奇妙な体験はしたが…未来の私が上級士官に対し、未知のテクノロジーについて指示を与える姿を見るとは思わなかった。』 ジェインウェイは、提督がチャコティたちと話しているのを見た。

カット1貨物室に入るセブン。コンピューターを操作した。「コンピューター、再生サイクル開始。」
アルコーヴに入り、目をつぶるセブン。
ボーグ・クイーンの声が響く。『セブン・オブ・ナイン。ユニマトリックス 0-1 の第3付属物よ。』
目の前にクイーンがいた。「久しぶりだな。」
セブン:「何の用だ。」
「友に会うのに理由がいるか?」
「我々は友ではない。」
「そう。それ以上だ。家族だ。我々が再開を果たした一方で、ヴォイジャーに訪問者があったようだ。彼女は未来から来た。どうしてだ。」
「再生中、私と交信することは可能かもしれんが、私はもはやドローンではない。誰がお前に答えるものか。」
ヴォイジャーの姿が空中に表示される。
クイーン:「データを元にヴォイジャーの軌道を計算した。」 周りにはボーグもいる。「星雲に戻っているのは調査済みだ。コースを変えることを勧める。」
セブン:「従う義務はない。」
クイーンはセブンに近づいた。「お前は私のお気に入りだ、セブン。ヴォイジャーのクルーがどんなに不完全でも、お前にとってどんなに大切か知っている。だから放っておいたのだ。考えてみろ。奴らが同化されたらお前はどんな気持ちになるか。」
セブン:「ヴォイジャーに集合体を脅かすつもりはない。アルファ宇宙域へ戻りたいだけだ!」
「異論はない、だが…再び星雲に踏み入ればお前たちを…破壊する。」
アルコーヴが火花を吹き始めた。
それは貨物室のアルコーヴも同様だった。
苦しみ、そのまま倒れるセブン。
コンピューター:『警告。再生サイクル不完全。』


※1: 通常のプロローグに当たる部分は、全て前編のあらすじとなります

※2: このエピソードは、ヴォイジャー最終話 (シリーズ・フィナーレ) の後編です。アメリカ本国では基本的に 2時間エピソードとして放送されたため、前後編に分けられた際に一部カットがあります。このエピソードガイドでは色を変えた上で、簡単な画像つきで紹介しています

※3: 小説版が発売されています Amazon.com / スカイソフト / Amazon.co.jp

※4: 最終話は 2001年度エミー賞の特殊映像効果賞、および音楽作曲賞をダブル受賞しています。また、後編のみ音響編集賞にノミネートされました

※5: Presidio

※6: Alcatraz

※7: Fen Domar

※8: 時間基本指令 Temporal Prime Directive
一般命令。VOY第51話 "Future's End, Part II" 「29世紀からの警告(後編)」など (参考:艦隊の誓い= Prime Directive)。これまで「時間法」「時間保護指令」「時間の規則」という訳もありました

※9: VOY第98話 "In the Flesh" 「偽造された地球」より

※10: synaptic transceiver

セブンを診察するドクター。「皮質ノードが、弱い EM サージにさらされていました。これで済んでよかった。」
セブン:「ボーグ・クイーンの仕業だ。私に、メッセージを伝えることを望んでいた。ヴォイジャーが再び星雲に戻れば、我々を同化すると言っている。」
ジェインウェイ:「なぜそうこだわるのかしら。」
提督:「関係ないわ。その脅しを実行することはできない。」
「その自信がうらやましい。」
「私と同じくらいクイーンと遭遇すれば、自信もつきます。」
「…ボーグに知られずに引き返せると思ってたの。でも既に監視されてるのなら…」
カット2「私たちが星雲に戻らなかったとしても、同化しようとしないという保証はありません。」
ドクターはジェインウェイにささやいた。「安心させようとしていらっしゃるんでしょうか?」

提督:「ボーグが危険じゃないとは言わない。でも私から見れば、約30年遅れてるのは確かです。」
「運に頼るべきじゃない。」
「私は運の話をしてるんじゃない。わかってる。未来の話は禁止でしょ。でも、これだけは言わせて。私は今後も何度かボーグに遭遇するの。彼らを打ち破るテクノロジーと戦略がなかったら、私は今…ここに立ってはいない。」
ジェインウェイは命じた。「……引き続き星雲へ向かいます。非常警報は解かず、今後もボーグの動きを逐一スキャンするように。」

アップグレードの終了したヴォイジャー。
銀河系の状況が映されている天体測定ラボへ、チャコティが入った。「聞いたよ。大丈夫か?」
セブン:「心配ない。」
「休養が必要なら…勤務表の割り振りを考えるぞ。」
「個人的なつき合いのために、職権を乱用するのは不適当ではないだろうか。」
「…そうだな。ここは職務に徹するとしよう。報告。」
「半径 10光年以内に、ボーグが活動している様子はない。」
「いいニュースだ、セブン。」
「はい、副長。…だが警戒を怠るべきではない。」
「提督はボーグをかわせると思っている。」
「艦長はもっと用心深い。」
「キャスリン・ジェインウェイは一人いるだけで心強いが、今は 2人いる。ボーグに負けるわけがない。……もし地球に戻れたら、君は何を?」
「……艦隊に様々な報告を済ませたら…役に立てそうなポジションを探して仕事を続けるだろう。……あなたは?」
「まだわからない。…だがどこへ行こうと、転送で君のもとへ行ける範囲にいる。」
二人は微笑んだ。

カット3機関室で部下に指示を与えるトレス。「一つの欠陥リレーのせいで、このシステム全体を壊したくないの。新しいのを設置して!」
応える機関部員※11。「了解!」
トレス:「インダクタ容量の状況は!」
パリスがやってきた。「ベラナ!」
トレス:「ブリッジにいなくていいの?」
「パイロットが主任機関士からシステム報告を求めるのは問題かい?」
「通信システムで伝えた最後の報告は、完璧に順調だってことよ。」
笑うパリス。「OK、わかったよ。君の様子を見に来たんだ。」
トレス:「私は元気よ。」
「腰は?」
「無視してるの。」
「ああ、マッサージしてやろうか。でも今はみんなしてもらいたいだろうな。」
「あなたって宇宙艦隊のパイロットさんにしては…とっても楽しいのね。」
「それで? どうなの?」
「提督がもってきた、この装甲技術…素晴らしいわ。ハリーみたいに聞こえたら嫌だけど、今回は本当にうまくいくかも。」
「でも、あんまり嬉しそうじゃないね…」
「いえ、嬉しいわよ。…ただ私たちの娘をヴォイジャーで育てるって、ずっと考えてたわけだから。今じゃ結局、医療室じゃなくて宇宙艦隊医療部で彼女を産むことになっちゃう。」
「そんなに悪いことじゃないと思うけど?」
「あなたが一緒にいてくれればね。それとドクターにいてもらいたいのよ。誰か知らない人じゃなくて。」
「逃げないようにオフラインにすればいいな。」
「もし本当に帰れたら…どこに住もうと思ってるの?」
「うーん、しばらくは俺の両親と一緒にいることになるかな…」 トレスはパリスを見た。「そうだな、それはダメだ。」
「いいのよ、結局あなたには関係ないんだろうから。あなたたちパイロットさんはみんな同じ。新しい最初のパイロット任務を受けて、私には家でおむつを替えさせるんでしょ。」
「そんなことはないさ。」
キスする二人。


星雲へ近づくヴォイジャー。
ジェインウェイ:「ブリッジから機関室。」

機関室のトレス。「どうぞ、艦長。」※12
ジェインウェイ:『装甲装備。』
コンソールを操作するトレス。
アップグレードした装備によって、ヴォイジャーの周りに装甲が張られていく。全てが覆われた。

その様子をボーグ・クイーンが見ていた。

ヴォイジャーへの攻撃を始めるボーグ・キューブ。
トゥヴォック:「装甲、維持。97%。」
微笑む提督。
同時に 3隻のキューブから攻撃されるヴォイジャー。
カット4揺れる船内。
ジェインウェイ:「トゥヴォック。」
トゥヴォック:「装甲、維持。90%。」
「コースを維持。」
今度はスキャンビームを使われた。
提督:「攻撃法を探ってるわ。」
そして、また攻撃。
トゥヴォック:「左舷装甲、維持。50%。40%。」
うなずく提督。
ジェインウェイ:「ミスター・パリス、攻撃パターン、アルファ 1。先頭のキューブを狙い、トランスフェイズ魚雷※13を発射。」
操作するトゥヴォック。
装甲の一部が開き、魚雷が発射された。
2発が命中し、爆発するボーグ艦。
ジェインウェイ:「第2キューブへ発射。」

更にボーグ・キューブが破壊される様子を見るクイーン。次の指示を与える。

攻撃をやめ、ヴォイジャーから離れる残りのキューブ。
チャコティ:「中央までの距離は。」
セブン:「10万キロメートル未満だ。」
中央へ近づくヴォイジャー。
そこには巨大な球体と、その一部に張り付くような機械状の施設があった。多数のボーグ艦が行き来している。
その施設はスクリーンにも映る。
ジェインウェイ:「一体これは何?」
提督:「ミスター・パリス、裂け目へ突入せよ。座標 3-4-6 の 4-2。」
「命令取り消し。あなたに聞いてるの、今のは何?」
「帰り道よ。」
セブン:「それだけじゃない。トランスワープ・ハブだ。」
ジェインウェイ:「以前銀河中にわずか 6個しかないと言っていた?」
「その通りだ。」
提督と向き合うジェインウェイ。「ここにあると知っていたのに、言わなかったわね。どうして。」
提督:「アルファ宇宙域へ戻ったら、全ての疑問に答えます。」
「星雲から脱出!」
パリス:「艦長?」
「聞こえない?」
提督:「さっき命令したはずよ。裂け目へ向かいなさい。」
「ここは私のブリッジです。あなたを放り出すこともできるわ。直ちに脱出!」
パリス:「……わかりました。」
首を振る提督。


※11: Engineering Officer
(Joey Sakata)

※12: この部分は2時間版ではトレスの声が通信として入るだけになっており、「了解」というセリフもあります。分割版で機関室の映像が入っているのは、その前に長いカットがあったからでしょうか? (パリスの立場がありませんが…)

※13: transphasic torpedoe

外へ戻ったヴォイジャー。
セブン:「ハブは何千ものトランスワープ・チューブを通じて、4宇宙域全てにつながっている。」 天体測定ラボのスクリーンにはハブの構造が映っている。「集合体は数分で銀河中にボーグ艦を配置することができるのだ。」 ハブからの多数のチューブは、銀河系全てに広がる。
トゥヴォック:「ボーグの戦略的利点から見て、最も重要なポイントでしょう。」
チャコティ:「クイーンが星雲に入らせたくないわけだ。」
ジェインウェイ:「破壊する方法はあるの?」
あきれる提督。
セブン:「ハブは惑星間マニフォルドの連続によって支えられている。それらを破壊すれば、理論上ハブは崩壊するだろう。」 ハブの近くのチューブ内に、リング状の構造が表示された。
提督:「そんなの時間の無駄。それらのマニフォルドのシールドは、クイーン自ら指揮する中枢部で統制されてるの。一つや二つダメージを与えられても、三つ目に取りかかる前には効果がなくなる。」
ジェインウェイ:「同時に全て破壊する方法があるかもしれない。」
「どこから? ハブの中? それじゃヴォイジャーまで木っ端微塵だわ。」
チャコティ:「チューブを通ってアルファ宇宙域へ行き、向こうからハブを破壊してはどうでしょう。」
「ハブがあるのはここです。アルファ宇宙域には出口となる裂け目しか存在しません。あなた方がここで愚にもつかない戦略シナリオを練っている間にも、クイーンは我々の装甲や武器を研究しています。既に集合体全体を適応させ、対抗策を講じてるでしょう。一刻も早く船を星雲に戻し、手遅れになる前に地球へ向かいなさい。」
ジェインウェイ:「破壊策を探るように。」 提督を呼ぶ。「ちょっといい?」

歩きながら話すジェインウェイ。「どうしてハブのことを話してくれなかったの?」
提督:「昔の私がどんなに頑固だったか覚えてるからよ。馬鹿なことをするんじゃないかと思ったの。」
「ボーグの活動を防ぐ絶好のチャンスなのよ。何百万もの命を救うことになるわ。」
「この 10年、一日も早くクルーを地球へ帰す方法だけを考えてきたの。それをあなたの慈善事業のために無駄にはさせない。」
「医療室へ戻りましょう。」
「鎮静剤でも飲ませる気?」
「ドクターにあなたを調べ直してもらうの。あなたのようにひねくれた人間になるなんて信じられない。」
「デジャブを体験してるのは私だけ?」
「何のことを言ってるの?」
「7年前、あなたはヴォイジャーを地球へ戻せるチャンスを自ら捨てて、管理者のアレイを破壊した。」
「信念に従ったまでだわ。」
「また自分のクルーより見知らぬ異星人の命を選ぶ気? 同じ間違いを犯してはならない。」
「言ったじゃないの。地球へ戻れるって。何年か航海が延びても…」
「セブン・オブ・ナインが死ぬわ。」
「……嘘。」
「今から 3年後、船外任務で傷を負い、ヴォイジャーに戻ることなしに、夫の腕の中で息絶える。」
「夫?」
「チャコティよ。それから彼は別人になった。そしてあなたも。」
「…それを知ったからには、防ぐことができる。」
「セブンだけじゃない。今日からヴォイジャーが地球へ帰還するまでに、22人のクルーを失うことになるわ。トゥヴォックも含めて。」
「彼に何が?」
「あら、時間規則を忘れたの? 艦長。」
「いいから教えて。」
「いいわ。トゥヴォックは変性神経障害※14を患ってることをあなたに隠してるの。アルファ宇宙域でなら治せる。でも間に合わなかった。…ヴォイジャーのルートを変えても、異星人とのコンタクトを制限しても、あなたはクルーを失う。でも私は全員を無事地球へ戻せるチャンスを与えに来たの、今すぐに。本気でそのチャンスに背を向ける気?」

トゥヴォックは言った。「ご心配いただいて感謝しますが、取り越し苦労です。症状が深刻になるまでに、あと 4、5年はある。それまでは、ドクターが完全に症状を抑えてくれます。」
ジェインウェイ:「提督はアルファ宇宙域でなら…治療が可能だと言ってたけど。」
「ファル・トー・ヴォー※15という治療法で、ヴァルカン人に精神融合を受けるのです。」
「ヴォイジャーにいるヴァルカン人じゃできない?」
「適合者は、いません。」
「家族じゃないとだめなのね。」 うなずくトゥヴォック。「病気を治すにはアルファ宇宙域へ戻るしかないとわかっていながら…なぜ私がハブを破壊すると言った時に反対しなかったの。」
「論理的思考力は、まだ衰えてはいません。成功すれば、何百万もの命が救われる。」
「あなたの命は?」
「スポック大使※16もおっしゃっています。『多数の要求は、少数の要求に優先する』と。」

セブンは言った。「お心遣い感謝する、提督。だが私の上官はジェインウェイ艦長だ。艦長には背けない。」
提督:「背けとは言ってない。ただ彼女にあなたの意見を言って欲しいだけ。ハブを破壊するのは危険すぎる、犠牲が大きすぎると。」
「それはできない。」
「今私が話したような結果を避けることができても?」
「未来を知ったからには、結果を変えることができるかもしれん。たとえ変えられないとしても、ハブを破壊できるなら、私の死など取るに足らぬ代償だ。」
「私はあなたを長い間見てきた。…あなたよりも長くね。トランスワープ・ネットワークを破壊することで、ドローンだった頃に犯した罪を償えると思ってるんでしょ? でもそろそろ過去は忘れて、未来に目を向ける時じゃないかしら。」
「今後救えるであろう命に比べれば、私の未来など取るに足りん。」
「随分利己主義ね。」
「利己主義? 他者を救うと言っているのだ!」
「見知らぬね、しかも仮の話に過ぎない。私はあなたを救いたいの。あなたの同僚、友人、あなたを愛する人々。あなたの死が彼らにどんな衝撃を与えるか。」
「…これで失礼する。仕事があるので。」 貨物室を出て行くセブン。
ため息をつく提督。

コンピューターの前で説明するトゥヴォック。「一旦中へ入ったら、トランスフェイズ魚雷を発射。」 ハブとヴォイジャーの図が表示される。
セブン:「同時に爆発するようプログラムする。」
「魚雷がシールドを破れれば、チューブは段階を追って崩壊し始めます。我々は衝撃波を避けるため、10秒でハブを出なければなりません。」 衝撃波がヴォイジャーを追う様子が出る。
会議室にはカップを持った上級士官も集まっている。
ジェインウェイ:「かつて私は、クルーをデルタ宇宙域にさまよわせる結論を下した。その決断を悔いてはいません。」
離れて立っている提督。
ジェインウェイ:「あなたたちはクルーであり、ヴォイジャーは宇宙艦だったから。でも今やここは、私たちの家です。私がハブを破壊せよと命じれば、誰も反対しないことはわかってる。でも命じません。みんな大切な部下がいる。自分の本音も知ってるはず。だからここにいる全員が同意しない限り、計画は中止。反対しても誰も責めない。」
キム:「艦長。」
「どうぞ、ハリー。」
「ここにいるクルーの中で、この僕ほど…うちに帰りたいとしつこいぐらい願っている者はいないでしょう。」 カップを置くキム。「ですが、今日まで共に…乗り切った日々を考えると、帰還することより大事なことがあると思えてくる。それはこの航海です。もしこの航海が延びることで、僕らの信念が貫けるんだとしたら、ここをおいてほかに行きたいところはありません。そして君たちとこそ、一緒にいたいと思う。」
パリス:「我が航海に。」
チャコティ:「乾杯だ。」
一同:「我が航海に!」
提督はジェインウェイの顔を見た。


※14: degenerative neurological condition

※15: fal-tor-voh

※16: Ambassador Spock
元・初代エンタープライズの副長兼科学士官。このセリフ ("The needs of the many outweigh the needs of the few.") は映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」より。大使としては TNG第107・108話 "Unification, Part I and II" 「潜入! ロミュラン帝国」に登場

カット5食堂。
独りでいたジェインウェイ。
提督:「コーヒー、ブラックで。」 レプリケーターから取り出す。
ジェインウェイ:「やめたんじゃなかったの?」
「いくつか昔の習慣を取り戻すことにしたの。」
「そう。コーヒーのほかには?」
「そうね。昔はもっと理想主義者だったわ。多くの危険を冒した。…ここ何年もクルーを家に帰す、そればかり考えて…彼らの絆がどんなに強いか忘れてた。あなたにどんなに忠実かも。何日かかかってやっとわかったわ。ヴォイジャーもクルーも、あなたのものよ。私のじゃない。あなたをだまして、信念を曲げさせようなんて私が間違ってた。」
「全ては私たちのためを思ってしたことだわ。」
「あなたは私の考えを変えた。……あなたの任務遂行を手伝わせて。一緒にやれば、勝率を増やせるかもしれない。」
「それ以上かもしれないわ。…私たちが望む全てが手に入るかも。」
「ハブを破壊し、帰還も早めるなんて不可能よ。」
「……本気で不可能だとは思ってないじゃない?」
「…方法はある。一度考えたけど、危険すぎると思ってやめたの。」
「それは昔の習慣を取り戻す前の話でしょ?」
コーヒーの香りをかぐ提督。「何で今までやめられてたのかしら。」

シャトル格納庫にある、提督のシャトル。
ジェインウェイは中に入った。
提督:「時間よ、これ以上年を取らせないで。」
提督の前に座り、ハイポスプレーを見せるジェインウェイ。「ほんとにこんなことしていいの?」
提督:「いやよ。でもヴォイジャーに艦長は 2人いらない。」
提督に注射するジェインウェイ。「幸運を。」
提督:「あなたも。」
ジェインウェイを呼び止める提督。「艦長。またあなたに会えて嬉しかった。」
ジェインウェイは微笑み、シャトルを出て行く。
ヴォイジャーを発つシャトル。

シャトルは星雲へ入り、ハブの開口部の一つへ突入した。

天体測定ラボへ入るチャコティ。「提督から連絡は?」
セブン:「…ハブへ進入してから途絶えている。」
「ボーグの動きは?」
「提督をスキャンしてはいるが、手を出してはいない、副長。」
「…今日も職務に徹しなきゃいけないのかい?」
「そうだ、副長。」
「……冗談だろ?」
「…いや。」
離れたセブンに近づくチャコティ。「…どうした。」
セブン:「別に、ただ…忙しい。」
「…そんな言葉でごまかされる仲じゃない。」
「…特別な仲であるかのような言い方は好ましくない。」
「…特別な仲じゃなかったのか?」
「もう違う。」
「…どうしたって言うんだ!」
「我々の関係のパラメーターを、変えることにした。」
「理由を教えてくれ。」
「我々は危険な仕事をしている。いつどちらかが死を迎えることになるかしれない。これ以上互いを思いやるのは避けるべきだ。」
「君はただ…スイッチを押すだけで感情を閉ざせるかもしれないが、俺にはできない!」
「やってみた方がいい。その方が苦しまなくて済む。私に…何か起こった時に。」
「なぜ急にそんなことを言い出すんだ。理由があるんだろ?」
「……提督が言っていたのだ。…将来、あなたが私のために…苦しむと。そんなの耐えられない。」
チャコティはセブンの腕をつかんだ。「セブン。……どんな関係にも危険はつきものだ。誰にも明日起きることを保証することなんかできない。たとえ未来からきた提督でも。…確かなのは、今の俺たちの気持ちだけだ。この俺が君より未来を選ぶと思うか。……だとしたら俺を知らなすぎる。」
顔を近づける二人。

叫び声を上げるトレス。
ドクター:「リラックスだ、中尉。」
トレス:「もう一度そんなこと言ったら、ホログラムの頭引きちぎるわよ!」
「その口で赤ちゃんにキスをしないように。」
医療室に入るパリス。「仮性陣痛じゃないだろうなあ。」
ドクター:「今度は本物の陣痛だ!」
「ハハ、信じられない。」
トレス:「ちょっと、信じてよ!」
「俺の勝ちだ。」
「何が?」
「子供の賭け。今日の 15時に賭けたんだ。」
「よかったこと、協力できて嬉しいわ。」
ドクター:「喜ぶのは早い、出産まで 4、5日かかることもある。」
一層大きな声を上げるトレス。
ドクター:「…君はそんなにかからんだろう。」
ジェインウェイから通信が入る。『ブリッジからパリス中尉、出発準備完了。』
パリス:「あ、艦長…すいません…」
トレス:「行って!」
「…でも…」
「『でも』はなしよ、パイロットさん。この任務を成功させるには、あなたが必要なの。私にはドクターがついてるわ。」
再びジェインウェイが呼びかける。『何か問題でもあるの?』
パリス:「……今すぐ行きます。」
トレスをキスし、お腹に触れるパリス。部屋を出て行った。
ドクターにハイポスプレーを打たれるトレス。「こっちもがんばらなきゃ。」

ボーグの本拠地、ユニコンプレックス。
ボーグ集合体の声を聞くボーグ・クイーン。
『ヴォイジャーがコースを変えた。現在位置、空間グリッド 3-6-2。軌道、1-1-2、マーク 5。』
提督:「よくこの声に耐えられること。みんなが一斉に頭の中で話してる。」 クイーンの目の前に立っている。「さぞ頭痛がひどいでしょうね。私を同化しようとドローンを呼んでるなら、お構いなく。」
クイーン:「お前を同化するのにボーグは必要ない。」
提督に近づき、自ら腕の同化チューブを突き刺すクイーン。
だが提督に変化は見られない。「私はここにはいません、女王陛下。あなたの頭の中にいる。」

シャトルで目を閉じている提督。「…神経接続機※17を使ってるの。間違っても信号を追うなんて時間の無駄はしない方がいいわ。」 頭のそばに機械がある。

クイーンの前で話し続ける提督。「…今のところあなたの能力では無理だから。」
クイーン:「…何をしにきた。」
「取引したいの。…ジェインウェイ艦長は私があなたのトランスワープ・ネットワークを破壊すると思ってる。」
「お前には無理だ。」
「よくわかってる。それをまだ無知で若い私自身にも説明したけど、聞かなかったのよ。彼女はハブを破壊するつもりでいるわ。」
「成功はしない。」
「そうね。…でも私が未来からもってきた武器がある。あなたもよく知っているでしょ?」
「トランスフェイズ魚雷か。封じてみせる。」
「いずれはね。でもそれまでにヴォイジャーは多大なダメージを与えるはず。だから私が魚雷を封じる方法を教えにきたの。」
「その見返りは。言ってみろ。」
「ボーグ・キューブを送りヴォイジャーを牽引させて。クルーをアルファ宇宙域まで連れて行って欲しいの。」


※17: synaptic interface

ボーグ・クイーンは言った。「清廉潔白なキャスリン・ジェインウェイが自分のクルーを裏切るとは思えん。」
提督:「裏切るんじゃない。彼らを救ってあげるのよ。私はヴォイジャーを地球へ戻すためにきた。でも艦長は尊大で、独善的。クルーは自分の命を差し出すこともいとわないほどの忠誠心に目をふさがれている。彼らの頭にはボーグを打ちのめすことしかない。」
「だがお前は違うというのか?」
「今の私はもう現実主義者よ。…私はクルーを家族のもとに帰したいだけ。」
「お前の集合体の幸福を保証したいのか。…わからんではない。力を貸そう。だがほかにも条件がある。」
「何をお望み?」
「お前の船とデータベースだ。」
「言ったはずよ、こちらの魚雷を封じる方法を教えるって。」
「不十分だ。」
「もし今あなたに未来のテクノロジーを同化させたら、歴史がどう変わってしまうかわからない。」
「ヴォイジャーの帰還を早め、未来を変える気だろ。」
「それとこれとは話が違うわ。」
「現実主義者なら、それらしい行動を取るのだ、提督。妥協しろ。」
「…わかった。シャトルを渡すわ。…ヴォイジャーが無事アルファ宇宙域へ着いた後で。」
「自分に嘘をついたお前が私に嘘をつかないと言えるか?」
「信じてもらうしかないわね。」
「その必要はないだろう。私を見くびるな。我々が話している間に居場所を探らせた。」

目を開ける提督。「コンピューター、接続停止。」
神経接続機が停止する。

クイーンの前から、提督の姿が消えた。

シャトルの提督は命じた。「装甲装備。」
だが衝撃が走る。
ボーグの施設から、スキャンビームが照射される。遮蔽していた提督のシャトルが、姿を現した。
転送される提督。

提督は拘束された中に実体化した。周りを見る提督。
クイーン:「考えたものだ。こんな近くに隠れていたとは。」 シャトルが映っている。「ユニコンプレックス内から攻撃しようとしたのか? 口も聞けぬらしい!」
提督に同化チューブを突き刺すボーグ・クイーン。
提督は苦しみ、崩れ落ちる。
顔がインプラントに侵食されていく。
クイーン:「もはや我々の間に言葉はいらない。」

星雲内のハブに近づいていくヴォイジャー。
ジェインウェイ:「突入。」
パリス:「了解。」
開口部に入るヴォイジャー。

ボーグの声が響く。『ヴォイジャー侵入、開口部 8-2-3。アクセス、トランスワープ・トンネル 0-9。直ちに急行し、針路を妨害せよ。』
その時、ボーグ・クイーンがうめいた。体を支える。
『アクセス、トランスワープ・トンネル 0-9。直ちに急行し、針路を妨害せよ。トランスワープ・トンネル…』 集合体の声が乱れていく。
再び苦しむクイーン。部屋の内部で爆発が起こる。
座り込んだまま、クイーンを見つめる提督。「何か毒を同化したようね。」
クイーン:「何をした。」
「もう私たちの間に言葉は必要なかったんじゃない?」
爆発が続く。
クイーン:「感染させたな…神経溶解ウィルス※18に。」
提督:「その通りよ。命令形態に混乱をきたすように。」

トランスワープ・チューブを通るヴォイジャー。
セブン:「提督は成功したようだ。チューブのシールドが乱れている。」
ジェインウェイ:「今よ、トゥヴォック!」
魚雷を発射するヴォイジャー。
ハブを支えているマニフォルドに命中し、爆発する。

映像を見るクイーン。「ヴォイジャーも破壊される。」 爆発していくマニフォルドとハブ。
提督:「衝撃波の先を行くわ。彼らは生き残る。ジェインウェイ艦長も私も、それを確信してたのよ。」 何とか立ち上がる。「あなたこそ、私たちを見くびってたようね。」
クイーンは音に気づいた。左手に異常な光が走る。腕をつかんだクイーンは、自ら切り離して床に投げ捨てた。
クイーン:「スフィア 6-3-4。」 一隻のボーグ・スフィアが映っている。「彼らはまだ操れる。」 クイーンは目を閉じた。

スフィアは針路を変え、更にトランスワープ・チューブを進む。

クイーン:「私はお前のウィルスを同化したが…同時にお前の装甲技術も全て同化した。」 左足が抜け落ち、床に落ちる。
弱りゆく提督も、もはや何も言えない。
クイーンは片足だけで立ち上がろうとするが、倒れてしまった。「ジェインウェイ艦長は死んだも同然だ…彼女に未来がないのなら、お前も存在はしない。今日お前が起こしたことも…起こらない。」
最期の声と共に、動きを止めるクイーン。体から機械部分が外れる。
炎に包まれる。
爆発するユニマトリックス 1。ユニコンプレックス全体が連鎖崩壊を起こす。

モニターに空間現象が表示されている。
地球のパリス提督※19は尋ねた。「あれは何だ。」
報告するバークレイ大尉。「トランスワープの出口です。」 他にも宇宙艦隊の者が集まっている。「地球から 1光年もない。」
男性の提督※20。「ボーグ艦は何隻だ。」
バークレイ:「まだ不明ですが、重力量子放射が限度を超えている。」
パリス提督:「付近の船隊を全てあの座標に集結させろ。今すぐだ!」
応える部下。「了解。」

崩壊していくトランスワープ・ハブ。
ヴォイジャーはボーグ・スフィアに攻撃される。
トゥヴォック:「船尾装甲、6%にダウン!」
キム:「6 から 12デッキの隔壁に亀裂!」
スフィアは、円形の開口部を開け始めた。
パリス:「もうこれ以上振り切れません!」
トゥヴォック:「装甲、ダウン!」
チャコティ:「一番近い出口は。」
セブン:「およそ 30秒の距離にあるが…そこはまだデルタ宇宙域だ。」
ジェインウェイ:「……ミスター・パリス。コース変更に備えて。」
パリス:「了解。」

宇宙艦隊の艦船が、トランスワープの出口へ集まっていく。
男性提督:「18隻が座標位置に集結。9隻接近中。」
パリス提督:「呼びかけろ。」
「どうぞ。」
「パリス提督だ。全兵器の使用を許可。繰り返す。全兵器の使用を許可。」
バークレイ:「提督。ボーグ艦がきます。」

出口から出てきたスフィアは、すぐにフェイザーや魚雷の攻撃を浴びる。

揺れるヴォイジャー。すぐに収まった。
ジェインウェイ:「ミスター・パリス。現在位置は?」
パリス:「予定通りの位置です。」
セブン:「トランスワープ・ネットワークが消滅した。」
ジェインウェイ:「喜ぶのは後よ。ミスター・トゥヴォック。」
操作するトゥヴォック。
ボーグ艦の内部で、魚雷が発射された。命中する。
爆発していくスフィア。

モニターを見つめるパリス提督。「攻撃中止。」
スフィアは崩壊した。

その中から出てきたのは、ヴォイジャーだった。
スクリーンに映る多数の連邦船。
ジェインウェイ:「やった。」
無言のクルー。
キム:「…あ、司令部からです。」
ジェインウェイ:「スクリーンへ。」 パリス提督たちが映る。「突然すみません。次からは連絡します。」
パリス提督:『よく戻った。』
「ありがとうございます。」
『どうやって…』
「全て報告書に記載します。」
『楽しみにしてるよ。』 通信を終えた。
ジェインウェイは言った。「感謝します、ジェインウェイ提督。」
ドクターの通信が入る。『医療室からブリッジ。』 赤ん坊の声がブリッジにも響いた。
笑うキム。

産まれたばかりの赤ん坊を抱くトレス。
ドクター:「ドクターからパリス中尉。」 喜ぶトレス。「君に会いたがっている人物がいるぞ。」

ジェインウェイはパリスに言った。「行った方がいいわ、トム。」
パリス:「はい、艦長。」 ブリッジを後にする。
涙をこらえるキム。
ジェインウェイ:「チャコティ副長。操縦席へ。」
チャコティ:「了解。」 席につく。
ジェインウェイは再び艦長席に座ると、命じた。「コースをセット。故郷へ。」
仲間の船と共に、ヴォイジャーは地球へ向かっていった。


※18: neurolytic pathogen

※19: パリス提督 Admiral Paris
(リチャード・ハード Richard Herd) オーエン・パリス (Owen Paris)。VOY第166話 "Author, Author" 「夢みるホログラム」以来の登場。声:阪脩

※20: 宇宙艦隊提督 Starfleet Admiral
(Richard Sarstedt)

・感想
ついに終わりましたね。最後の盛り上がりは、あまり例を見ないほど大きなものでした。ボーグ・スフィアの内部から出てくるのは確かにわかりにくかったですが、意外性をもたせるという意味では成功しているでしょう。まさに「帰る」ところで終わるところも、描き方としてはアリだと思います。
でも最終回としては、その後を見たかったのも事実です。最近ヴォイジャーはエピローグが (時には無駄に) 長いことが結構あったので、そこまでとは言わないまでももうちょっと欲しかったですね。挙げれば切りがありませんが、実際に降り立つシーン、予想されるパレードなどの歓迎式典、マキの面々の処遇、セブン、イチェブ、ナオミのその後、ボーグや未来のテクノロジーの取り扱い、中枢部を壊滅させられたボーグ…などなど。前編の冒頭で語られている部分もあるとはいえ、あれは可能性の未来ですしね。
2時間エピソードとして変わっていると感じたところは、はじめから前後編に分けられることを意識しているかのようなストーリー展開です。これまでのパイロット版や最終話では、通常の前後編のような大きな区切りがなかったように思います。今回はジェインウェイ提督が過去に行ったところで見事に分かれていますね (後編には可能性の未来は全く出ない)。そのせいで最後の部分が駆け足で終わったような感もありますが…。ヴォイジャーらしい最終話だったといわざるをえません、良くも悪くも。

これで全172話、エピソードガイドが完結しました。読んで下さった方々、ありがとうございます。まだ始めと終わりが残っている DS9、今後日本でも放送されるであろう ENT とできるだけ続けていく予定ですので、よろしくお願いします。


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