USS Kyushuトップに戻る

TOS エピソードガイド
第27話「クリンゴン帝国の侵略」
Errand of Mercy

dot

・イントロダクション
※1ブリッジ。
スールーはスクリーンを見ている。
やってきたカークに、チップ状のテープを渡すスポック。「船長、秘密指令テープを解読してもいい位置に来ました。」
カーク:「よーし。」 装置に入れる。「やはり思った通りだな。クリンゴン帝国※2との平和交渉は決裂寸前で、総司令部は敵の奇襲を…予測している。我々はオルガニア※3へ急行し、クリンゴンに基地として使用されないよう…あらゆる方法を講じて、守らなければならない。」
「妥当な作戦です。該当地区ではオルガニアは唯一の Mクラス惑星で、双方にとって重要な位置を占めています。」
「ところでミスター・スポック、オルガニアの特徴は。」
「生息動物は人類。非常におとなしく友好的で、文化水準は原始的。本質的な価値はあまりなく、リッチャー文明分類※4を適用すると Dマイナスクラスに当たります。」
「第二のアルメニア、ベルギーか。」
「はあ。」
「悲劇の国家だ。不運にも侵略コース上にあったため踏みにじられた。」
スールー:「船長! 自動探知装置※5に反応が現れました。物体接近中。」
「分析して報告。」
いきなり船が揺れた。スクリーンが輝く。
エンタープライズは武器の攻撃を受けていた。円盤部に何度も命中する。
カーク:「フェイザーバンク、ロックして直ちに応戦。」
発射※6するエンタープライズ。双方の攻撃が続く。
カーク:「応戦を続けろ。散開度 100%にセット。」
スクリーン上で明滅する武器。
スポック:「船長、敵に命中しました。」
カーク:「被害調査部、副船長に報告。」
スールー:「船長。敵船の反応が消えました。破片が、漂流しています。やりました。」
「総員に告ぐ。非常態勢を維持せよ。総員戦闘配置。ミスター・スポック、被害報告。」
スポック:「幸運にも、わずかで済んだようです。第10 および 11デッキが爆破され、反物質装置に歪みができましたが死傷者は僅少です。」
「前方の探知を続行。」
スールー:「反応ありません。爆破しました。」
「奇襲を予測した直後だったな。我々の予測が正しいことが実証されたわけだ。」
スポック:「やはり、彼らは友好的ではないようですね。」
ウフーラ:「宇宙艦隊司令部から緊急暗号連絡が入ります。一号※7です。」
カーク:「……戦争が始まったか。戦いを望む者はいないのに。」
スポック:「人間は、大昔から望まないものを手に入れる技術に優れていますね。」
「とにかく我々には重大な任務がある。オルガニアを敵から守るのだ。」
「この情勢では簡単にいきそうもありません。」
「ミスター・スールー、オルガニアにコースをセット。」
スールー:「セットします。」
スポック:「オルガニア人※8に納得させるのに時間がかかるでしょう。こうなれば時間との、争いになります。」
カーク:「ここで心配しても何の役にも立たん。それより一刻も早くオルガニアに到着することだ。ワープ7 で前進。」 スクリーンを見る。


※1: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 謎の精神寄生体」収録「慈悲の使命」になります

※2: Klingon Empire
初言及

※3: Organia
初言及

※4: Richter's scale of culture

※5: 原語では「自動ディフレクタースクリーン」

※6: カークはフェイザーを命じていますが、光子魚雷のように見えます

※7: 暗号一号 Code 1

※8: Organians
初登場

・本編
惑星軌道上のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 3198.4※9。我々はオルガニアに着き周回軌道に乗ったが、敵対行為はまだ見られない。』
ウフーラ:「船長。XY-75847 の報告ではこの付近にクリンゴン艦隊がいるそうです。」
カーク:「位置は。」
「正確にはわかりません。」
「ミスター・スールー、フェイザー関係者は配置について待機。電磁スクリーン最高レベル。」
スールー:「はい。」
「私はミスター・スポックと、オルガニアに降りるから後は君に任せる。我々ではなくこのエンタープライズの安全に責任をもちたまえ、わかったな?」
「わかりました。」
「付近にクリンゴン艦隊がいる。オルガニアを狙っていることは間違いない。もし接触したら…」
「撃滅します。」
「その前に事態を正確に分析し、敵が艦隊規模であれば…速やかに撤退したまえ。」
「しかし船長…」
「反論は許さん。撤退して味方に警告するんだ。単独攻撃をしてはならん。私達のことは心配するな。…ミスター・スポック。惑星連邦の代表として、出かけよう。」

地表に転送されるカークとスポック。辺りには建物がある。
行き交う人々は、質素な服装だ。動物を連れている者もいる。
カーク:「こういう転送は見慣れているのかな。」
スポック:「ええ、興味を示しませんねえ? …船長、あの廃墟を見て下さい。大きいですね。」
「多分、要塞か何かだろ。城だ。」
「何しろあれは、我々が入手した情報とはちょっと食い違うようです。」
男がやってきて、手を広げた。「ようこそ。」
カーク:「歓迎委員かな?」
スポック:「らしいですね。」 近づく 2人。
オルガニア人:「君たちは客人だ、心から歓迎しますよ。」
同じ挨拶を返すカーク。
オルガニア人:「エイルボーン※10です。」
カーク:「私はエンタープライズ※11の船長ジェイムス・カーク。惑星宇宙連邦※12を代表して参りました。これは副船長のミスター・スポックです。」
エイルボーン:「それはそれは、大歓迎です。」 また挨拶を交わす。
「どなたか、指導者と話したいのですが。」
「…その…ここには指導者などおりません。しかし私が長老議会※13の議長を務めておりますので、何なりと。」
「オルガニアは危機にさらされている。どこかで落ち着いて話せませんか。」
「ああ、でしたら会議室がよろしいでしょう。どうぞ。」

歩くスポック。「船長。もしよければ向学のために村を一回りしたいのですが。」
エイルボーン:「ああ、どうぞどうぞ。何なりと御自由に。では。」
残ったスポックは、トリコーダーを作動させる。

会議室に入るカーク。「皆さん、我が政府は皆さんの惑星がクリンゴン人に狙われていると警告してきました。彼らはここを、惑星連邦侵略の基地として使用するつもりです。従って我々は、ここを守らなければなりません。」
他の長老と共に、席につくエイルボーン。「しかし私達としては惑星連邦かクリンゴンか、どちらかを選べるわけですな?」
カーク:「いいえ。クリンゴンを選んではなりません。彼らの軍事独裁政権下では全ての自由を奪われます。…彼らは、戦いに生き甲斐を感じ…彼らに支配される暮らしは、悲劇を招くでしょう。…我々が保護します。」
オルガニア人※14:「厚意にあふれた申し出には感謝しますが、私達はどなたの保護も必要としません。」
エイルボーン:「ご覧の通り原始的で、狙われるものなどもっていません。」
カーク:「しかし戦略的に重要な位置にあります。忠告しますが強硬な防衛行為を取らないと、クリンゴンは太陽が昇るがごとくここを簡単に征服します。私達の援助で、防衛に必要な態勢を強化すれば…」
「防衛体制などありません、必要がないので。」
「…皆さん。私はこれまでに、彼らの残虐行為を見てきました。征服された人々は強制労働中キャンプへ送られ、永遠に自由を奪われ奴隷とされるのです。人質が次々と殺され指導者は、監禁されます。刑務惑星で暮らす方が、遥かにましです。」
「船長、あなたの主張は誠に純粋で感動しました。しかし繰り返し申しますが私達には何の危険もありません。反対に危険なのはあなた方で、その方が心配ですね。早く船にお戻りになった方がいいと思いますが。」
「あなたたちが何と言おうと、現実に危険が迫ってきているんです。なぜわからないんですか!」
「ここにはここの暮らしがある。」
「だからその暮らしを失おうとしているんだ。」 テーブルを叩くカーク。「あ、どうも。失礼しました。私は外交官ではありませんので、事実しか語れないんです。」
「ああ…ではちょっと失礼して、一同と討議させていただきます。」
うなずくカーク。「どうぞ。」
話し始める長老たち。
ドアが開き、スポックがやってきた。「船長。我々が得たこの惑星に関する情報は、間違ってます。これは機械化への道を歩んでいる、原始社会ではないですね。全てが停滞していて、トリコーダーが探知できる範囲の過去には何一つ進歩した形跡がありません。」
カーク:「そんな馬鹿なことが。」
「不思議ですが、事実ですよ。過去何万年の間に進歩と見なされることは何一つ起こらず、自然環境にも重大な変化はなかったようです。これはまさに停止した、文化の標本と言えるでしょう。」
「よしありがとう、考慮に入れよう。」 テーブルに近づく 2人。
エイルボーン:「厚意ある申し出を討議しました結果、危険はないという意見に変わりはありません。辞退する結果になりましたが深く感謝すると共に…一刻も早くオルガニアを立ち去られるよう、あなたたちのために希望します。」
「もう一度考え直して下さい。我々の援助は必ず素晴らしい結果をもたらします。軍事的な援助だけではなく、技術的な専門家も送ろうではありませんか。そして農作物の収穫をいかにして増やすかをお教えしたり、いろいろな学校を建てて、若い人々に現代科学の夢のような技術を御紹介しましょう。お見受けしたところ、社会施設はほとんどゼロの状態です。我々と共に理想の社会を建設しませんか。そして病や、飢えや、貧困を駆逐するんです。その代表として私達は、協力を求めるだけです。今。」
「……まだ私達がおわかりにならないようですが、それでは…」
コミュニケーターの呼び出しに応えるカーク。「失礼します。カークだ。」
スールー:『船長、クリンゴンの大艦隊が現れました!』

攻撃を受けているエンタープライズ。
スールー:「攻撃してきます!」
カーク:『確認したのか。』
「しました。スクリーンを上げてるため、船長たちを転送できません。」

カーク:「ミスター・スールー、命令に従え。撤退しろ。撤退して味方に急報、単独攻撃は許さん。以上。皆さん、これでまだ危険はないとおっしゃるんですか。」
エイルボーン:「そうです船長、何の危険もありません。」
別のオルガニア人が言った。「エイルボーン、今 8隻の宇宙船が周囲軌道に入ったよ。早速物質転送装置のスイッチを入れた。」
トリコーダーを使うスポック。
エイルボーン:「どうもありがとう。」
カーク:「確認できるか。」
スポック:「できませんね。しかし今の予測は妥当です。」
エイルボーン:「お二方は脱出できなくなりましたな? こうなれば私達が何とか守りましょう。」
カーク:「だから警告を与えたのに。」
オルガニア人:「客人に万一のことがあってはなりません。」
また外の様子を言うオルガニア人。「エイルボーン、砦の近くに 5、600人現れたよ。武器をたくさん持っている。」
カーク:「…なぜわかるんです。」
エイルボーン:「トレファイン※15が不思議な霊感をもってましてな。この男の言うことなら全て信用ができますよ。」
「ついに、我々は孤立したか。クリンゴン占領軍のまっただ中に。」
スポック:「らしいですね。あんまり楽しくないことですが。」
「君は物事を控えめに表現する天才だな。楽しくないでは済まされんことだ。」


※9: 吹き替えでは「0401.9114」

※10: Ayelborne
(ジョン・アボット John Abbott 1996年5月に死去) 声:高塔正康、DVD 補完では大木民夫、旧ST4 スポック、VOY ブースビー、新旧ST2 カーン、旧ST5 サイボック、叛乱 ドアティなど

※11: 吹き替えでは「エンタープライズ

※12: 今回の United Federation of Planets の訳

※13: Council of Elders

※14: 名前は Claymare (ピーター・ブロッコ Peter Brocco 1992年12月に死去) ですが、言及されていません。「クレイメア」としている日本語資料もあります。声:峰恵研、DVD 補完では園江治

※15: Trefayne
(デイヴィッド・ヒラリー・ヒューズ David Hillary Hughes 1974年2月に死去) 声:谷津勲、DVD 補完では松井範雄

異星人が列をなして、村に入ってくる。
『航星日誌、宇宙暦 3201.7※16。惑星オルガニアはクリンゴン帝国の軍隊に占領され、私とミスター・スポックは脱出不能となった。このためオルガニア人は、私達に変装用の衣装を貸し与えてくれた。』
着替えたスポック。「船長、フェイザーがありません。」
カーク:「…あなたですか?」
エイルボーン:「そう、私が取りました。」
「すぐに返して欲しい。」
「残念だがそれはできません。武器を持ってると私達の好まない暴力に訴えるでしょうからな? あなたはオルガニア人で通りますよ? ミスター・スポックは…あ、こりゃちょっと問題ですな。オルガニア人には見えません。」
オルガニア人:「ヴァルカンの商人ではどうかな。キヴァ※17やトリリウム※18を扱っていることにしては。彼らには害がないでしょう。」
カーク:「しかしヴァルカンは惑星連邦の一員です。」
スポック:「ヴァルカンの商人は方々の惑星にいます。まず、妥当な線ですね。」
「皆さんはどうします。」
エイルボーン:「これまでと変わりませんな。恐れることはない。」
「無知は恐ろしい。しかし、それももう終わりだ。今に悲劇を体験する。」
銃を持ったクリンゴン兵※19の後に、大きな帯をつけたクリンゴン人がやってきた。「…これが指導者の議会か。」
エイルボーン:「私はエイルボーン。臨時議長を務めています。歓迎しますよ?」 挨拶する。
「期待はずれだな。俺はコール※20。オルガニア占領軍司令官だ。…貴様は?」
「そちらはバローナ※21です、市民の代表の一人で。」
「舌がなくてしゃべれんか。」
カーク:「舌はある。」
「よーし。…そのうち舌の使い方を教えてやる。…貴様は笑わんのか。」
「笑う?」
「ここの奴らはどいつもこいつもバカのようにニヤニヤ笑っとるじゃないか。…ヴァルカン人だ。…貴様はどうだ、舌はあるのか?」
スポック:「…スポックと言って、キヴァとトリリウムの商人です。」
「貴様が商売人とは思えんな。連行しろ。ヴァルカンは惑星連邦の一員だ、スパイかもしれん。」
カーク:「スパイではない。」
「……んー? 自ら犠牲になりたいのか、貴様は。俺たちに反抗する気か!」
「彼は何もしてない。私が知ってる。」
「オルガニア人の中に貴様のような反逆者がいるとは面白いなあ。…よろしい。みんなは歓迎した。貴様はどうだ、はっきりと聞きたい。」
「…追い返す力は私にはない。」
「なかなか正直だなあ、俺が憎いか? 歯ごたえがある。…しかし歓迎しようとしまいと貴様たちの意思には関係なく俺たちは留まる。貴様たちは我が帝国に服従するのだ。占領下の規制については後ほど細かく通知する。たとえわずかでも規制に違反した者は、一人残らず死刑に処す。」
エイルボーン:「どのような規則にも従います。」
「…貴様は従わんのか?」
カーク:「私の保証が欲しいか。」
「欲しいのは貴様の服従だ。それだけだ。…どうなんだ?」
「…反抗しても無駄らしいな。」
「そうだ。無駄だ。…貴様たちの中から代表を一人出して、占領軍と一般市民の間の連絡係を務めてもらいたい。…なーにを言ってもニヤニヤ笑いおって! …あまりニヤニヤする奴は信用せんことにしとる。…おいバローナ、貴様がなれ。」
「仕事はしたくない。」
「貴様の意見などいつ誰が聞いた。…俺たちクリンゴン人が残酷なのは知っとるだろ。これは単に噂だけではないぞ? もしクリンゴン兵が一人殺されたら、千人のオルガニア人が死ぬだろう。命令は絶対だ。わかったか。」
エイルボーン:「誓って申しますが、私達の願いは平和です。ご迷惑はかけません。」
「かけたら責任を取らせる。…ヴァルカン人を検査室へ連行しろ。貴様、一緒に来い。新しい仕事を叩き込んでやる。」
カーク:「スポックはどうなる。」
「気になるのか。」
「私の友人だ。」
「下らん友人をもったもんだな? これから検査をして、嘘をついてたら死ぬまでだ。もし本当に商人なら、これからはあまり儲からんとわかってガッカリするだろう。…連れて行け。」 カークを止めるコール。「…強制されるのが嫌いらしいな? …よろしい。貴様のような相手だと取引もできる。…ついてこい。」
オルガニア人に挨拶し、会議室を出るカーク。

要塞。
「クリンゴン帝国」と書かれた紙を読み上げるコール。「『本日より一般市民 3名以上の集会は、いかなる場合も禁ずる。また全ての出版物は司令部の検閲を受け、占領地区の秩序を保ち、人質を選んで逮捕する。』 国家に対する罪は細かく、明記してあるぞ?」
受け取った紙を置くカーク。
コール:「…気に入らんのか。」
スポックが連れられてきた。
コール:「何だ?」
クリンゴン人の大尉※22。「彼は嘘をついていませんでした。スポックという例のヴァルカン商人※23ですが、彼の関心は我々の占領下でいかに商売するかにあるようです。」
「…それだけかね?」
「そうです。我々に対して不安を抱いてはいますが、心は驚くほど平静です。」
「確かか。」
「レベル4 を使用しました。どのような偽装も破壊する力をもっています。」
「よーし御苦労だった。貴様もどうだ、心理探知機にかかってみるか?」
カーク:「かかると、どうなる。」
「嘘を見破られる※24※25、廃人になる。…それは使用するエネルギー次第だ。その気になれば全ての意思や知識を完全に記録できるのだ。もちろんそこまで高いレベルを使えば、心は空になってしまう。それも多分永久にだ、後は人間というより植物に近いな?」
「それが自慢か。」
「単なる道具だ、武器だよ。過激な面もあるが、非常に効果的だ。」
「本当に大丈夫か。」
スポック:「心配はないさ。なかなか面白い経験をしたよ。」
コール:「よーしヴァルカン人は行け。だが貴様はあくまで敵国人としてその行動を常に厳重に監視する。…警告は必要かな?」
「必要ありません、司令官。私にはもう、よくわかりました。」 出ていくスポック。
「貴様も議会へ戻っていいぞ。公式の声明書は印刷でき次第届ける、それを公示するまで…市内の秩序を保つのだ。…全て貴様の責任になるぞ?」
カーク:「背けば殺されるのか。」
「そう、ものわかりがいいな? …背けば殺す。」

村を歩くカーク。「彼らが誇る嘘発見器も大したことはないらしいな?」
スポック:「あまり軽視しない方がいいですね、心に直接食い込んできますよ? しかし我々ヴァルカン人は、心に…ある種の防御スクリーンを張る能力をもってますからね。私が無事だったのはその力のおかげです。」
「私では駄目か。」
カークとぶつかったクリンゴン人※26。「どけどけ、邪魔だ!」
スポック:「すいません、気がつかなかったもんですから。」
「今度ウロウロしてると何も見えないようにしてやるぞ!」 押しやり、歩いていくクリンゴン。
カークを止めるスポック。「船長。現在は余分なエネルギーを使わずに任務の遂行に全力を尽くすべきだと思いますが?」
カーク:「私が本当に殴ると思ったのか。」
「思いましたね。」
「当たったよ。」
クリンゴン人たちに挨拶したカーク。「しかし君の言うとおり、任務第一だな。」
スポック:「オルガニア人の、協力は得られませんね。」
「今はそうでもやがて残酷な占領軍に、反発する日が必ずくる。その反発の方法を、抵抗の方法を教えたらどうだろう。そうすれば目が覚めるかもしれん。」
「しかし説得はもはや効果はありませんね。直接的な方法でないと。」
「私も今それを考えてたんだ。ミスター・スポック、司令室の近くに弾薬集積所らしきものがあったのに気づいたかね? 君の目は信頼できると思うが?」
「見ましたよ。」
「そろそろ市民に単純な見本を示す時期だと思うがどうだろうな? 今夜。」
「それは非常に面白いアイデアですね。」
「しかし道具がないなあ。」
「必要な道具は占領軍から調達しましょ?」
「君と仕事をするのは楽しいぞ。」 通りかかるクリンゴン人を見る 2人。

夜、忍び込むカークとスポック。
クリンゴン人が来たのに気づき、身を潜める。上から襲いかかるカーク。
その間にスポックが奥へ向かう。カークは倒したクリンゴンを引っ張っていく。

手榴弾を手にしているスポック。
カーク:「予定通りだ。音波手榴弾か。」
スポック:「時限装置つきですよ。」
「よし。」
「ここには、化学爆薬が含まれているのできっと素晴らしい眺めになります。」 箱の中に入れ、カークと共に走るスポック。「6、5、4、3、2…」
爆発した。
火が巻き起こり、煙が迫る。何度も爆発が続いた。
カーク:「君の予測は当たったが、これは確かに素晴らしい眺めだ。」

オルガニア人の前で話すカーク。「ああその通りだ! 爆破した。」
エイルボーン:「暴力に訴えるなんて。」
「反撃するんだよ。ヒツジからオオカミになって。」
オルガニア人:「ひどい。恐ろしい行為だ。」
「…歴史を振り返れば、市民が軍の独裁政権を倒した例などいくらでもあるんだ。…全滅は無理でも妨害することはできる。施設を爆破し通信手段を分断すれば、クリンゴンはここを軍事基地にはできない。」
スポック:「そのうち応援が来ます。それまで我々と一緒に…侵略を食い止めましょう。」
エイルボーン:「船長、こんな真似は二度としないで下さい。」
カーク:「なぜだ。…報復を恐れていては、自由など手に入りませんよ。」
「あなたは何もわかっていない。」
「あなた方こそ、愛する者を守るために戦おうという気概はないのか。」


カークの声が装置から聞こえている。『この爆発でさすがのクリンゴン人も少しは考えを改めるだろう。』
コールがコンピューターを使っていた。
スポック:『いいえ、コール司令官というのは一筋縄ではいかない男です。我々…※27
音声を切るコール。

会議室にコールが部下を連れてきた。「貴様がやったな? 貴様たちの会話は全て俺の耳に入ってる。この愚か者めが!※28」 エイルボーンに言う。「いずこでも死ぬのは勇気のある者。兵士だ! 腰抜けどもはそれを眺めて甘ーい人生を楽しむつもりだなあ? …見るだけでムカムカする。」
エイルボーン:「彼をどうするつもりですか。」
「スパイや破壊工作員がどうなるか知ってるだろう。当然殺す。しかしその前に、存分に楽しんでもらおう。心理探索機にかかって。」
「道具を使う必要はありませんな。名前なら私が言います。それはジェイムス・カーク船長です。」
カーク:「エイルボーン…」
コール:「何? ……貴様がエンタープライズ※11の船長とはなあ。…パトロール船の指揮官か。…そしてこれは副長か。」 笑う。「戦いで相まみえることを願っていたのに。」
エイルボーン:「なぜかあなたたちを滅ぼす決意をもっている。それはあなたももっているはずですが。」
「…これで実現は難しくなったな。どうだ船長。」


※16: 吹き替えでは「0401.9117」

※17: kevas
初言及。吹き替えでは全て「香料」

※18: trillium
初言及。吹き替えでは全て「織物」

※19: 左側の人物は第2兵士 Second Soldier (ジョージ・サワヤ George Sawaya TOS第16話 "The Menagerie" 「タロス星の幻怪人」のハンボルト主任 (Chief Humboldt) 役) セリフなし

※20: Kor
(ジョン・コリコス John Colicos 「宇宙空母ギャラクチカ」のバルター卿役。2000年3月に死去) 初登場。声:滝口順平 (DVD 補完も継続と思われます)

※21: Baroner

※22: Klingon Lieutenant
(ヴィクター・ランディン Victor Lundin) この階級は訳出されておらず、一部日本語資料では「尉」になっています。声:矢田耕司、TNG スポックなど (DVD 補完も継続)

※23: 形容詞形として Vulcanian と言っています。通常は Vulcan のまま

※24: 嘘発見器 mind-sifter
後で「心理探索機 (mind scanner)」とも呼んでいます

※25: TOS の国内オンエア分では、カット部分が存在しています。DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (スーパーチャンネル版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です

※26: クリンゴン兵 Klingon Soldier
(ウォルト・デイヴィス Walt Davis)

※27: この盗聴されている部分は、原語では前のセリフを引き継ぎ、全てカークのセリフで「勇気のことを言ってるんです、皆さん。あなた方の勇気とは、そんなに小さいものなんですか」。吹き替えは前がカットされているため、このような独自の内容になっているのかもしれません

※28: 原語では更に前の内容を引き継ぎ、「貴様は勇気のことを話したな。どうやら勇気と無謀の違いも知らないらしい」

コールはエイルボーンに近づいた。「貴様たち長老には頭が下がるな。いつも簡単に友達を裏切るのか。」
エイルボーン:「彼を助けたかったんです。すいません、船長。でもこうしておけば、誰も傷つかずに済む。」
カーク:「私には死ぬ覚悟ができている。…しかし君たちのような人のために死ぬのは嫌だ。」
コール:「…その気持ちは理解できる。副長をぶち込め! 船長は司令室へ連行する。話し合いたい。最期の処置は…その後で執る。」

酒を注ぐコール。「どうだ、一緒に飲まんかね?」
カーク:「結構だ。」
「ヘ、別に薬など入っとらんぞ? 心理探索機があればそういう原始的な手段など必要はない。」
「私に何の用だ。」
「数え上げたら切りがないな。だがまず話したい。ただ、何となく。」
「私がここに座って、ただ何となく敵と話すと思うのかね。」
笑うコール。「思うな。ここで自発的に話すのが嫌ならば、探索機にかけるまでだ。実は俺は貴様たちの宇宙艦隊に非常にあこがれておる。素晴らしい武器だ。それに実はカーク船長も尊敬しとるんだよ。夕べ、弾薬を爆破したのは貴様だと知っての上だがね。」
カーク:「何を爆破した? 重大な結果を招かねばいいんだが?」
「…もちろんだ、重要な物資だがすぐに補給させる。しかし連邦の人間は、俺たちに非常によく似とる。」
「どこも似ていない! …我々は自由を愛する。」
「よせよせ、そういう些細なイデオロギーの違いなどどうでもいいことだ。動物の種類として似とるというんだ。…ここヒツジの惑星に降り立った、2匹のトラ。略奪者、ハンター…殺し屋だ。だからこそ我々は偉大な道を歩めるのではないかな? やがては宇宙を征服するのだ。」
「しかし宇宙は非常に広く、クリンゴンを憎む人々に満ちあふれているようだな?」
「素晴らしい。それでこそお互いの意思と力を試すチャンスが生まれてくる。勝利者のみが生き残るんだ。…というわけで連邦宇宙艦隊の配置を教えろ。」
微笑むカーク。「木に登って見たまえ。」
コール:「へえ…探索機にかければすぐにわかるのだが、そうなると偉大なカーク船長も抜け殻同然だ。…植物的な人間になるのを見るに忍びんからな? あのヴァルカン人の副長は、探索機から逃れる能力をもっているようだな? 後でゆっくり研究させてもらおう。解剖すればわかるだろう。副長は殺され、船長は植物人間となるか。あまり楽しい未来ではないな。しかし俺が要求することを全てしゃべらないとこの未来は、現実になる。」 コンピューターのボタンを押す。「12時間待とう。」
カークは立ち上がった。「12時間ぐらいでは私達に勝てんぞ。」
コール:「残念だがそれ以上待つ気はない。俺は貴様を尊敬するが、これは戦争だ。クリンゴンが勝利を握るゲームなんだ。」 やってきた部下に命じる。「こいつも牢獄にぶち込め。」
出ていくカーク。
コール:「厳重に監視しろ。」

カークは抵抗するが、スポックがいる牢屋に投げ入れられた。
ドアに向かおうとするカークを、スポックは止めた。「無駄ですね、出られません。」
外ではクリンゴン人が見張りにつく。

スポックは隅に座っている。
カーク:「運命の時間まで、後どのくらいある。」
スポック:「6時間43分です、彼らが約束を守るなら。」
「その点だけは保証できるな。弾薬を爆破したぐらいは、何の意味もなかった。コールに直接攻撃をかけなければ駄目だ。全く、オルガニア人は。」
「何も理解してないようですね? 不思議です。」
「ともかく我々には任務がある。何かの手段を講じて、オルガニアを占領軍から解放しなければならん。」
「そのチャンスはなさそうですね。厚い壁に囲まれて。」
「外は厳重に監視されている。」
音がした。身構える 2人。
厚いドアが開き、やってきたのはエイルボーンだった。「やはりここでしたな。お元気らしいですね。行きましょうか。」
カーク:「行く?」
「これ以上の暴力行為は許せません。それが主義でしてね。だから助けに来ました。」
「私達を売ったくせに。今さら信用しろと言うな。」
「ほかに方法がありますかな? …死にたいのですか。」
牢屋を出るカークとスポック。

会議室に入るカーク。「どうせ、すぐ見つかるぞ。」
エイルボーン:「ご心配なく。ここへは来ません。」
「一度売ったくせに、なぜ助ける。我々の首に賞金が懸けられるのを待って、稼ぐ気か?」
「まだわからないのですか。」
スポック:「牢の外には見張りがいたはずですが。」
「見張りがいようが関係ありません。」
カーク:「何をした。」
「何もしてませんよ? 本当です。」


クリンゴン人大尉が部屋に入る。「司令官。」
コール:「仕事をしとるのが見えんのか?」
「連邦の捕虜がいません。」
「……脱走したのか。」
「いえ、それが。実に不思議なんです。見張りが 10名もいて厳重に監視を続けていまして、食事を与えようと開けましたら 2人ともいないんです。出口などありません。」
「貴様ごまかす気か。」
手を挙げる大尉。「誓います!」
コール:「…よーしわかった。第4号特別占領態勢を敷け。すぐにだ!」
「わかりました。」

怒るカーク。「何とか言ったらどうだ、笑わずに!」
エイルボーン:「もう自由ですよ?」
「どうやって助けたんだ、なぜだ。」
スポック:「そうです、私も同じようなことをお聞きしたいですね。」
「君たちは一体何を考えてる。自分自身を守ることもしないで。」
エイルボーン:「それはもうお答えしたでしょう。私達には、暴力など考えられません。」
コールの声が響いた。『通告する。全オルガニア人に通告する。私はコール司令官だ。捕虜が 2名脱走したが、明らかに外部から援助が与えられたと思われる。』

コンピューターに向かって話しているコール。「直ちに捕虜を我々に返せ。要求に応えないとこのような結果になる。…聞け。」

会議室にも音が響いた。
カーク:「クリンゴンのフェイザーだ。見張れ。みんな避難して。」
ドアの外を見るスポック。オルガニア人は動こうともしない。

コール:「司令部の前の広場で今、200名のオルガニア人が殺された。」

エイルボーンに近づくカーク。「200名も殺した!」
コール:『あと 2時間で更に 200名が死ぬ。そして更にまた 200名。連邦の捕虜を我々に返すまでこれは続けられる。占領軍司令官の命令だ。』




テーブルに手をつくカーク。「今のを聞いたか。」
エイルボーン:「もちろん、聞きましたよ? それが、何か。」
カーク:「…ミスター・スポック。全ては、私達次第らしいな。」
スポック:「そのような情勢ですね。」
「連邦は我々の訓練に莫大な費用をかけたので、この辺でささやかな恩返しをしようではないか。」
「しかしこれ以上、オルガニア人の犠牲者が出ると…」
「いや、我々のためにもう一人の犠牲者も出せない。フェイザーはどこだ。」
エイルボーン:「それは言えません。」

カークはエイルボーンに近づき、椅子を自分の方に向けた。「君たちは暴力を否定することばかり繰り返して話してきたが、フェイザーを渡さないとかつて経験したことのないような暴力行為に見舞われるぞ!」
エイルボーン:「暴力を振るうつもりですか。」
「君たちの出方次第だ。」
トレファイン:「エイルボーン、これでは話にならん。何でも欲しい物を渡してあげたらどうだ。」
エイルボーン:「決していい結果は生まれんのに。戸棚に入ってます。」
取り出すスポック。
カーク:「聞きたまえ。我々はこの惑星にも文化にも、君たちにも興味はない。にもかかわらず、私とスポックは司令部へ侵入し…多分そこで死ぬだろう。これは、命を捨てる価値のあるものの存在を君たちに教えるためだ。」
エイルボーン:「相手は何万を数える軍隊です、初めから望みのないことがわからないんですか。」
「…行こう、ここにはいたくない。」 スポックと出ていくカーク。
オルガニア人は席を立った。「勇敢だ。」
エイルボーン:「しかしバカげてる。」
「興味深いね。」
「ああ、許すわけにはいかん。何とかして、止めないと。」
「放っておくと彼らは傷つけ合うね。」
「君は?」
トレファイン:「暗くなるまで待とう。」
「そして?」
「耐えられない野蛮な行為だが…」
「よし、待とう。」

夜になっている。イヌが鳴く。
要塞に近づくカーク。「あの見張りを倒せるかなあ。我々が生き残れるチャンスはどのくらいだ。」
スポック:「正確にはわかりませんね。しかし大体、7,824.7分の1 ぐらいではないかと思います。」
「…正確にはわからん? 7,824分の1 でか?」
「7.824.7分の1 です。」
「かなり正確な予測のように思えるがね。」
「正確を好みますので。」
「いい心がけだ。フェイザーを麻痺にセット。最終目標は司令官だということを忘れるな?」
「わかりました。」
「しかしいざとなれば、何人殺しても構わん。」
「はい船長。」
「私は左を狙う。…撃て。」
フェイザーで撃たれ、見張りのクリンゴン人が倒れた。突入する 2人。

トレファインは言った。「始まったぞ。」
エイルボーン:「そのようだ。」
オルガニア人:「きついぞ。」
「準備しよう。」 手を組むエイルボーン。
他のオルガニア人も目を閉じる。

コールに尋ねるクリンゴン人大尉。「何か反応は?」
コール:「ない!」
「不思議な種族ですねえ。」
「奴らは死を知らんのだ。」
「全て超越しているように見えます。」
「この俺がヒツジの群れを相手にしなきゃならんとはな。こうなったら、さらに 200名だ。」
「了解!」
「愚か者どもが!」 部屋に入るコール。


要塞の中に入ったカークは、ヒモを準備した。並んで歩いていた最後尾のクリンゴン人大尉の、首を絞める。
カーク:「私が聞くことに、正直に答えろ。反抗すればこの場で殺す。」
大尉:「やめろ、わかった。」
「コールは、司令室にいるのか。」
「…います。」
「人質はどこなんだ。話せ。早く!」
「…また、200名集めるとこです…。」
「殺すためにか。」
「そうです。」
「ミスター・スポック。」
スポックは、ヴァルカン首つかみで大尉を倒した。
カーク:「…どうだ、成功の見込みは。」
スポック:「7,000分の1 以上に増えました。ここまで来られたとは奇跡です。」
「7,000分の1 以上か。ま、少しずつだがいい傾向だ。」

音に構えるコール。
フェイザーを向けたカークが入る。「コール、そこを動くな。」
ドアを閉めるスポック。
コール:「厳重な警戒をくぐってきたとは立派なもんだ。」
スポック:「気の毒だが何名かの見張りは当分満足な行動は取れないだろう。」 銃を取り上げた。
「ヘ。そうか。ついに来たか。」 椅子に深く座るコール。「ではいい情報を教えてやるが、諸君の連邦艦隊は今こちらへ向かっているそうだぞ? それを我が艦隊が歓迎する。」
カーク:「こちらは王手だぞ?」 スポックに外を見るよう合図する。
「俺を殺す前に見たらどうだね? その結果を。」
「私は無駄な人殺しはしない。」
「ほう、下らん感傷だな。哀れみと…平和への熱意か? …そこが貴様たちの弱点だ。クリンゴン帝国は必ず勝つ! …考えてみろ、座っているうちに我が頭上の宇宙では…今後一万年に渡る銀河系の運命が今まさに決せられようとしているのだ。どうだ、飲まんかね? クリンゴン艦隊の大勝利を共に祝おう。」
スポック:「それはまだ早いな。逆の場合もありうる。」
「勝利を握る我々も、いつの日か敗北を味わうときがくるだろう。戦いには運命があり、悪い面もある。」
コールを立たせるカーク。
コール:「なぜ我々が強いか知っとるかね? 団結しているからだ。個人は全体の一部分でしかありえない。ただ服従あるのみだ。占領軍司令官の俺でさえも、常に国家に服従しておる。興味あるかね?」
コールは壁の装置を指さした。
カーク:「敵兵だ!」
クリンゴン人がなだれ込んできた。
その瞬間、全員が叫んで銃を落とした。カークやスポックも同じだ。
コール:「貴様! 撃て、撃て!」
今度は殴り合おうとする双方。だが身体が触れあうと、声を上げて互いに離れる。

エンタープライズのブリッジでは、全員が同時に装置から手を離した。

カーク:「どうしたスポック。」
スポック:「信じられません! 強烈な熱が、武器や身体に突然流れました。」
ナイフを手に取ろうとしたコールも、すぐに投げ捨てた※29
コールに向かおうとするカークだが、にらみ合うことしかできない。
そこへエイルボーンたちがやってきた。「皆さん、お邪魔をして誠に申し訳ないのですが…傷つけ合うのを許せません。」
コール:「どういう意味だ、それは。」
オルガニア人:「暴力に終止符を打ちたかったのです。」
カーク:「何? 君たちが終止符を打つ?」
「暴力に供される当惑星上の道具は、全て今 350度の熱をもっています。…使用不能ですな。」
コール:「艦隊は。」
エイルボーン:「双方の艦隊にも同じ状態が起こっています。戦いはできません。」
「バカを言うな。」
「連絡してごらんなさい。あなたもどうぞ。あなたの船はもう、通信可能範囲内に来てます。」
コミュニケーターを使うカーク。「カークからエンタープライズ、どうぞ。」
スールー:『船長! 説明がつきません。クリンゴン艦隊に接近中だったのですが、突然全てのコントロール装置が熱をもち触れなくなりました。』

ブリッジのライトが暗くなった。
コンソールを確認するスールー。

スールー:『エネルギーも消えました。フェイザーバンクも空です。』
カーク:「現状で待機。」
コール:「俺の艦隊も…動きが取れん。」
「何をしたんだ。」
エイルボーン:「私は今、ここに立っていると同時にクリンゴン帝国の司令惑星の上にも、君たち惑星連邦の地球上にも立っている。この狂気の戦いをやめさせるためだ。」
コール:「何だと貴様。」
カーク:「とても信じられんな。」
エイルボーン:「事実を見たまえ!」
「艦隊は惑星連邦のものだぞ。止める権利はない!」
コール:「邪魔はできんぞ。宇宙で何が起ころうと貴様たちには関係ない。」
エイルボーン:「双方が敵対行為を中止することに同意しない限り、全ての軍事力はその種類を問わず、ただちに凍結されるだろう。」

カーク:「我々にはクリンゴンと戦う正当な理由がある。彼らは領土を侵犯し市民を殺害し、公然と侵略行為を行って銀河を征服すると宣言した。」
コール:「なぜ悪い! 俺たちは優れている。しかるに貴様たちは、重要物資の補給を断ち貿易に圧力を加えた。挑戦したのは貴様たちだ!」
「紛争地域から軍隊を引き上げ最後通告をしてきたのは君たちだ!」
「紛争地域は明らかに俺たちの領土だ! 下らんトリックを使うのはよせ。」
エイルボーン:「これはトリックではない。戦いをやめさせたいだけだ。諸君の全ての軍事力は今、完全に使用不能となった。」
オルガニア人:「このように他人の問題に口を挟むのは、最も嫌なことですがこうなったのも皆さんの責任です。」
カーク:「なぜ私達に協力しないんだ。200名の市民が殺されたのに。」
エイルボーン:「一人も殺されてはいない。」
オルガニア人:「死んだ者は一人もいません。この何百万年を通じまして。」
コール:「嘘をつけ! 他人の邪魔をするのが貴様たちの趣味なのか。」
カーク:「たとえ君たちがある不思議な…力をもっていたとしても、惑星連邦を支配する権利など、どこにもない!」
「クリンゴン帝国もだ!」

「惑星間の問題に干渉できるのは、この私達だけだ!」
エイルボーン:「戦いに訴えてかね? 無実の市民を何百万と殺し、生命を惑星規模で破壊してかね? それが正しいのか。」
カーク:「……誰も戦いは望まない。…つまり私が主張したいのは、他人の干渉を受けたくないということだ。…終局的には、我々も…」
「そう、平和を得られるだろう。しかし無数の生命が奪われてからだ。諸君が協力し合い、最良の友となる日がやがてくることは間違いない。」
コール:「嘘だ!」
オルガニア人:「あなたは激しい感情をおもちですな。礼儀を失いたくはありませんが皆さん、どうぞお引き取り下さい。」
エイルボーン:「そう、速やかにだ。諸君のような生物が存在するだけで、私達は苦痛を感じる。」
カーク:「私達のような生物とはどういう意味だ。」
「実は何億年※30も昔、私達もやはり人類だった。…だが身体を必要としない段階にまで進化した。いま諸君が見ているのは、便宜上の姿。…仮の姿だ。」
コール:「…これは何かの罠だぞ。撃滅しよう、強力な軍隊で。」
コールを止めるカーク。
その時、オルガニア人の身体が光り始めた。真っ白に輝く。
目を押さえるコール。オルガニア人は、白い光球となった。
スポックやカークも、目を開けていられない。
うなるコール。そしてオルガニア人は、消滅した。
スポック:「素晴らしい※31。純エネルギーとは。純知能だ。実体が全くない。理解を超越した生命です。」
カーク:「この惑星はどうなんだ。あの町や、建物や、この部屋は。」
「やはり、便宜的な姿でしょう。彼らには必要ありません。ここにこういうものがあれば、我々のような訪問者がまごつかずに済むでしょうからね。」
コール:「しかしこんなことがありうるのか。」
「この目で現実に見たじゃありませんか。進化論から判断すると、我々人類が彼らオルガニア人から見れば…恐らくアメーバ程度、でしょうね。」
カーク:「…アメーバ同士が戦っても、虚しい限りだ。第一オルガニア人が戦いを許してくれない。」
コール:「……残念だな、船長。…栄光に包まれたろうに。」

航行中のエンタープライズ。
ブリッジは正常に戻っている。
カークに近づくスポック。「…あれからずっと何を考え込んでるんですか?」
カーク:「…反省してるんだ。…戦いを止めようとした、オルガニア人をあんなに軽蔑して。人間は、宇宙で最も優れた生物だと誰でも思っているんだろうがね? 見事に覆されたよ。」
「…船長。彼らは何億年の歳月をかけてやっと、あそこまでになったんですよ? 神に願っても、一夜でああまではなれませんね? 何も恥ずかしがることはないでしょう。我々は結局任務を果たしたんですからね。」
「いやあ、とんでもない。我々にはそんな力などなかった。偉大なオルガニア人のおかげだ。」


※29: この瞬間だけ、腰にディスラプターを装備しています。前後のシーンにはありません

※30: 原語では全て「何百万年」

※31: "Fascinating."

・感想など
クリンゴン人が初登場する、スタートレック史上でも大事なエピソードの一つです。とはいえ以前から紛争中という設定にしておいたおかげで、ENT にクリンゴンが登場しても矛盾がないことになりました。DS9 にも 3度登場するコール司令官は、単純な戦闘種族とは違う姿を早くも描写しています。もちろん後の時代と比べると、容姿も含めて大きな違いがあるわけですが (額のうねりどころか部下はヒゲもない者が多く、黒塗りも顔だけで首は白いままだったり…)。
ファースト・コンタクトというインパクトがあるのは、やっぱりオルガニア人の方ですね。これまでも非実体生命体は何種か登場していますが、その中でも TOS を代表する種族です。後にオルガニア平和条約として再言及されます。カークが中心で正しいはずだったのに、最後にはそうではなくなっているのが面白いです。彼らが予測する惑星連邦とクリンゴン帝国の和解は、ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」で実現します。TNG でエンタープライズにウォーフが乗り、そして DS9 でドミニオンに対して共に戦うわけですね。
このエピソードだけ演出した John Newland は、「世にも不思議な物語」(1959) の司会・監督・俳優。コール役の声優は、「ぶらり途中下車の旅」のナレーターでも知られるドクロベエ役です。


dot

previous第26話 "The Devil in the Dark" 「地底怪獣ホルタ」 第28話 "The City on the Edge of Forever" 「危険な過去への旅」previous
USS Kyushuトップ | 「未踏の地」エピソードガイド