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TOS エピソードガイド
第35話「宇宙の巨大怪獣」
The Doomsday Machine

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・イントロダクション
※1※2ブリッジ。
保安部員がターボリフトの脇にいる。チュニックを着たカークが戻ってきた。
通信士官のパルマー大尉※3。「遭難信号が連続的に発信されていたのはこの太陽系の一つです。」
カーク:「正確な位置を、確認できないか。」
「できません。雑音が多くコンステレーション※4という一言が判明しただけで、非常に不明瞭です。」
スールー:「船長。L-370※5太陽系の勢力内に入りましたが…どういうわけか反応が。」
スポック:「船長、探知機によるとこの太陽系は完全に破壊されたと思われます。」
スクリーンには、惑星の破片と思われる物体がいくつも見える。
スポック:「残っているのは破片と小惑星だけです。」
カーク:「信じられん。太陽系が全て破壊されるとは。新星※6ならともかく。」
「しかし事実です。去年発見した 7つの惑星の位置には、破片が漂っているだけです。」
「探索を続けろ。」
スールー:「わかりました。」

ブリッジ。
スコープを覗くスールー。「これより L-374※7太陽系に入ります。反応によると同様に破壊されているようです。」
スクリーンを横切るカーク。「この宇宙の太陽系は全て破壊されているのか。遭難したコンステレーションはどこにいる。船長のマット・デッカー※8はどうしたんだ。」
スポック:「船長、一番奥※9に位置する 2つの惑星が無傷で残ってるようです。」
パルマー:「宇宙船の遭難をキャッチしました。」
カーク:「交信しろ、大尉※10。」
スポック:「探知機に反応があります。クラスはパトロール船、宇宙空間に静止して浮遊しています。」
パルマー:「応答ありません。遭難信号を出してるだけです。」
「探知機によれば一般的なエネルギーはキャッチできません。」
カーク:「ミスター・スールー、接近しろ。」

向かうエンタープライズ。
スクリーンに宇宙船が見えてきた。
カーク:「コンステレーション※11だ。」
スポック:「…太陽系を破壊した何者かに、襲われたのかもしれませんね。」
「……攻撃されたんだ。非常態勢、非常態勢、戦闘配置につけ。」
パルマー:「非常態勢、非常態勢、戦闘配置につけ。」
コンステレーションに近づくエンタープライズ。


※1: このエピソードは、1968年度世界SF大会でヒューゴー賞にノミネートされました。また、1968年度エミー賞では撮影編集賞にノミネートされています

※2: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 地球上陸命令」収録「最終破壊兵器」になります

※3: Lt. Palmer
(エリザベス・ロジャース Elizabeth Rogers TOS第31話 "Metamorphosis" 「華麗なる変身」のコンパニオン (The Companion) の声。2004年11月に死去) 初登場。声:小沢かおる、DVD 補完では戸田亜紀子

※4: Constellation

※5: L-370

※6: 吹き替えでは「新しい星」。原語では前の部分から、「この星系の恒星はまだ残っている。そんな破壊を引き起こせるのは新星だけだ」と言っています

※7: L-374

※8: Matt Decker

※9: 外側ではなく、恒星側という意味

※10: 吹き替えでは全て「尉」。パルマーの階級は大尉です

※11: U.S.S.コンステレーション U.S.S. Constellation
コンスティテューション級、NCC-1017。エンタープライズの僚艦が登場するのは初めて。この船の名前を受け継ぎ、後にコンステレーション級の一番艦となったものと思われます。撮影には AMT のエンタープライズのプラモデルキットが使用され、半田ごてでダメージを表したそうです。番号は 1701 を入れ替えたもの

・本編
コンスティテューション級コンステレーション NCC-1017 は、大きな被害を受けている。

近づくエンタープライズ。
モニターに「態勢/警報」と表示され、赤い画面になっている。
カーク:「ミスター・スールー。」
スールー:「フェイザー砲、戦闘準備整いました。」
「よーし、付近に第三の宇宙船がいないか厳重に警戒して進みたまえ。」
「わかりました。」
「パルマー大尉。」
パルマー:「コンステレーションと交信できません。遭難信号は依然として発信されてますが雑音が大きくて、明確にはキャッチできません。」
「続けたまえ。スポック、コンステレーションの被害状況を分析して報告。」
スポック:「動力装置は静止。補助エネルギーバンクは低いレベルで、活動可能と思われます。」
「生命維持装置は。」
「同様に低いレベルで作動しています。ブリッジは破壊され生存できる状態ではありませんが、ブリッジ以外のところは生命を維持できそうです。」
「放射能レベルは。」
「正常です。しかし障害が多くて正確な数字を読み取れません。」
スールー:「付近にほかの宇宙船はいません、スキャナー反応ありません。」
コンステレーションはスクリーンに広がってきている。
連絡するカーク。「警戒態勢変更、現状で待機せよ。大尉、ドクター・マッコイとミスター・スコットをリーダーとする修理チームを転送ルームへ集合させろ。私も、すぐに行く。」
パルマー:「はい。」
「調査してくる。ミスター・スポック、指揮を執れ。」
スポック:「了解。」

コンステレーション。
破壊された廊下に、カークたちが転送されてきた。
装置を使うエリオット※12。「放射能異常なし。」
科学士官のウォーシュバーン※13。「大気圧一平方インチにつき、11ポンド※14。」
チェックするラス※15。「濾過システム停止中。」
スコットが触れた回路が光った。「通信装置も全て活動を停止しています。」
カーク:「スコッティはフェイザー砲の故障をチェック。ドクターは私と来たまえ。」
スコット:「さ、行くぞ。」 皆はしごを降りていく。

カークとマッコイは壊れた部屋に入る。

機関室に来たスコットたち。
ラス:「ひどいですね。」

カーク:「飲みかけのコーヒーなどが残っていないところを見ると、突然何かが起こったとは考えられんな。」

ウォーシュバーン:「何にやられたんでしょう。」
スコット:「ちょっと想像がつかんな。とにかく故障個所を完全にチェックして、報告してくれ。俺はエンジン関係を調べる。」

カーク:「乗員は殺されたのではなく、どこかに。カークからエンタープライズ。」
スポック:『エンタープライズ、スポックです。』
「生存者はいない。死体も見当たらん。全員が、残っている惑星に転送されたとは考えられんか。」

船長席のスポック。「考えられませんね。一つは表面温度が金属を溶解するほどの高温ですし、もう一つは人体に有毒な大気に包まれています。」

カーク:「調査を続行する、以上。」
部屋を出る 2人。

はしごを上ってきたスコット。「船長、エンジンを調べましたがワープ航法のメインエンジンは全く使い物になりません。補助エンジンはそれほどダメージを受けていないので、何とか修理できそうです。」
カーク:「フェイザー砲は。」
「撃ち尽くした後らしく、エネルギーはありません。」
「乗員はどこだ。船長のマット・デッカーはどうしたんだ、まだ生存できる船を捨てるような男ではないはずだが。」
「コンピューターはまだ使用できます。副司令室にある航星日誌のコピーを聞いてみたら、何かわかるでしょう。」
3人は向かう。

コンピューターの前で、一人の准将が目を開いたまま倒れている。
気づいた※16カークが部屋に入る。「マット※17。…マット。ジム・カークだ。」
デッカーは生きてはいるようだ。
マッコイ:「准将。デッカー准将。」 ハイポスプレーを打つ。
打たれた肩に手を置くデッカー。
カーク:「マット!」
デッカー:「…カーク。カークじゃないか…。」
「どうしたんだ、この船は。」
「…船? そうだ、あいつに攻撃された。」
「あいつ、何者だ。」
「奴は…」 叫ぶデッカー。
「答えろ、何者だ! 何があったんだ!」
マッコイ:「カーク! 少し待てよ、ショックを受けてるのに。」
スコット:「航星日誌の準備ができました。」
カーク:「…回せ。」
デッカーの声が流れる。『航星日誌、4202.1※18。太陽系が何者かによって破壊されている事実を、宇宙艦隊に報告しようと努力したが激しい障害物のために交信できない。これより L-374太陽系に入るが、科学主任マサダ※19は第4惑星が崩壊寸前であると報告してきた。これより調査に向かう。』
カーク:「第4惑星か。残っているのは 2つだ。スコッティ、記憶バンクからマイクロテープを出してスポックへ転送しろ。第4惑星へ調査に向かった彼らに何が起こったのか分析して報告するように。」
スコット:「はい。」
デッカー:「宇宙艦隊に報告しようとしたんだが、伝わらなかったんだ。誰にも。仕方なかったんだ。」
スコットは奥の部屋に入り、作業する。
カーク:「乗組員はどうした。」
デッカー:「全員惑星へ転送したんだ。あの時俺たちはもう戦う力など、全く残っていなかった。俺には船長として、船に残る義務がある。船と運命を共にするんだ。それが船長の義務だろう? …そしたら奴がまた攻撃してきて、転送装置が破壊された。それで下に降りた部下とは、会えなくなった。」
「相手は、何者なんだ。」
「…みんな悪魔などいないと言うが…いるんだよ。…じ、地獄からやって来やがった! 見たんだ…」 また叫ぶデッカー。
「マット、乗組員はどこだ。」
「…第3惑星にいる。」
「第3惑星はもうないぞ。」
「…それを知らないと思ってるのか! …あったんだ、俺が来たときは。400名の部下たちは船に残った俺に助けを求めて泣き叫んだ。でも俺には、一人も助けられなかったんだ…。」 デッカーは顔を突っ伏した。
スコット:「船長、ウォーシュバーンの報告です。」
カーク:「…何だ。」
ウォーシュバーン:「船体及びコントロール装置の被害を完全にチェックしました。現在想定できるのは、強力な何かがジェネレーターを破壊したということです。ワープ航法エンジン内の、反物質が分解されてしまっています。」
「分解。スコッティ。何かの種類の、エネルギー物質にそういった破壊行為ができるだろうか。宇宙の強烈な自然障害が原因となってエネルギーが発生したとか。」
スコット:「考えられますが、しかしこれほど強力な破壊行為は。」
デッカー:「見ればわかるがこれは単なるエネルギーではなく武器の仕業だ。」
カーク:「相手の格好は。」
「長さは何マイル※20もあって、宇宙船を一度に何十隻も飲み込めるような大きな口を開けてるんだ。奴に攻撃されたら、惑星もバラバラになる!」
「何者だ。宇宙船なのか生物なのか!」
「どっちにも取れるが、よくわからん。」
「マット。航星日誌によると君は第4惑星が崩壊しそうなので調査に向かったはずだが…」
「その怪物が惑星の上空に止まってエネルギー光線で惑星を攻撃してたんだ。」
「光線の成分を探知機で調べたのか。」
「反陽子※21エネルギーだった。純粋な反陽子だ!」
呼び出しに応えるカーク。「カークだ。」
スポック:『船長、スポックです。宇宙障害が多いため、宇宙艦隊総司令部に連絡できません。対策を考えてます。』
「コンステレーションのテープはどうした。」

スポック:「本質的に、ロボットと思われる敵に攻撃されたものと思われます。多分巨大な力をもった、自動操縦の武器でしょう。基本的な任務は惑星を破壊して小さな破片にし、それを飲み込んで燃料とします。従って宇宙に惑星がある限り、この怪物は生きながらえることができるでしょう。」

カーク:「自動操縦の武器。宇宙の惑星を全て破壊するのがその任務か。…なぜだ。」

スポック:「それは不明です。ミスター・スールーは破壊された太陽系の位置をチェックし、この武器の針路をコンピューターで計算しました。それを宇宙地図に映写すると、どこから発進してきたか測定できます。別の銀河系です。」
カーク:『それで、今後の針路はどう出たんだ。』
「現在のパターンを続けるなら、やがて我々の銀河系の最も人口密度の高いセクションを通るでしょう。」

カーク:「…了解。現状で待機しろ、以上だ。」
マッコイ:「全く信じられんことだ、恐ろしい。そんな兵器を誰が造ったんだ。」
「わからん。とにかくほかの銀河系の宇宙人たちだ。」
「何のために。」
「…ドクター。最終兵器※22というのを知ってるか。」
「いや。私は医者だ、技術屋じゃない※23。」
「…基本的には、使用するつもりはなく敵を脅すために造られる武器だ。あまり強力で使用すれば味方も滅亡する。昔あった水爆などがその類だよ。…これも多分それだ。大昔に別の銀河系の戦争で誰かがこの最終兵器を使ったに違いない。彼らは既に死んでしまったが、兵器は残って破壊を続けている。」
デッカー:「セオリーなどどうでもいい、この瞬間にも奴は我々の心臓部へ近づいているんだぞ? どう対処するつもりなんだ。」
「落ち着け!」
マッコイ:「ひとまずあなたをエンタープライズへ移そう。」
デッカー:「ふざけるな、船長が自分の船を離れられるか!」
カーク:「これは船ではない、残骸だ! …曳航していこう。ここには私が残って準備をする。君はドクターとエンタープライズに戻って治療を受けたまえ。」
「俺は一度も、指揮官の座を離れたことはないんだ。」
「エンタープライズ。…転送ルーム準備。ドクター・マッコイとデッカー准将を、ただちに転送して収容。」
出ていく 2人。

エンタープライズ。
転送機を操作するカイル大尉※24。マッコイとデッカーが転送されてきた。
スポック:『非常警報、非常警報。』
マッコイ:「行こう!」
デッカーも走る。

警報が鳴るブリッジ。
スポック:「急速に接近してきましたが、我々もスピードアップして距離を保っています。」
カーク:『ここからは見えん、どんな格好だ。』
マッコイたちがブリッジに入る。
スクリーンには、細長い物体が映っていた。一端は大きく口を開けている。
スポック:「デッカー准将の言う惑星の殺し屋※25によく似ていますね。」
向きを変える殺し屋。
スポック:「我々を追跡してきます。」


※12: Elliott
(ジョン・コページ John Copage) 名前は言及されていません

※13: Washburn
(リチャード・コンプトン Richard Compton TOS第59話 "The Enterprise Incident" 「透明宇宙船」の技術士官 (Technical Officer) 役。TNG第11話 "Haven" 「夢の人」の監督で、その際の第一助監督は Charles Washburn という名前でした)

※14: 吹き替えでは「一平方センチにつき、0.83キロ」と換算されていますが、11ポンド毎平方インチ=約0.77キログラム重毎平方センチメートルになるはず

※15: Russ
(ティム・バーンズ Tim Burns) 名前は原語では言及されていません

※16: 元々この副司令室に向かっていたはずなので、変と言えば変ですね

※17: マット・デッカー准将 Commodore Matt Decker
(ウィリアム・ウィンダム William Windom ドラマのミステリーゾーン「奇妙な奈落」(61)「人形の家で」(63)、「スリラー」(62)、「すてきなケティ」(1963)、「インベーダー」(67)、「パパはメロメロ」(69)、「四次元への招待」(71・72)、"The Girl with Something Extra" (73) に出演) 映画第1作 TMP "The Motion Picture" 「スター・トレック」に登場するウィラード・デッカーは、マットの息子という設定です。声:大木民夫、旧ST4 スポック、VOY ブースビー、新旧ST2 カーン、旧ST5 サイボック、叛乱 ドアティなど (DVD 補完も継続)

※18: 吹き替えでは「0403.0135」

※19: Masada
ユダヤ人がローマ軍に抵抗し、降伏するより集団自殺を選んだ、岩山の要塞にちなんでかもしれません

※20: 吹き替えでは「一キロ以上」。2マイルとしても 3km以上あるので、短すぎますね (実際の映像でも、エンタープライズと比較して非常に大きい)

※21: antiproton
初言及

※22: doomsday machine
原題

※23: "I'm a doctor, not a mechanic."
吹き替えでは全て「昔あったということぐらいはね」

※24: Lt. Kyle
(ジョン・ウィンストン John Winston) TOS第33話 "Who Mourns for Adonais?" 「神との対決」以来の登場。声:DVD 補完では星野充昭、TNG ラフォージなど

※25: planet killer

エンタープライズを追う惑星の殺し屋。
スポック:「殺し屋は次第に距離を縮めてきました。探知機には何かの強烈なエネルギーが反応し、生命は存在しません。通信障害は刻一刻大きくなってます。」

カーク:「何者だろうと、次の太陽系へゆかせるわけにはいかん。我々がここでストップをかけるんだ。もしロボットなら、機能を停止させうる望みは。」
話を聞いているスコットたち。

スポック:「恐らくありませんね。こちらの機関室で発生してるエネルギーが自動的に相手を誘導してます。こちらから攻撃しようとして接近すれば、間違いなく敵の直撃を受けるでしょう。それに私の判断では、敵のコントロール装置に何らかの打撃を与えるのも不可能のように思われます。」
スールー:「さらに接近してきました。」
「さらに接近しました。」

カーク:「よーし、電磁スクリーンを張る前に我々を転送しろ。」
スポック:『了解。』

スポックの声が転送室に流れる。『転送ルーム、上陸班を転送して収容する。』
カイル:「転送準備よし。」

その時、惑星の殺し屋がビームを発射した。
大きく揺れるブリッジ。みな椅子から放り出される。

転送室も同様だ。煙が上がる転送台。

針路が逸れるエンタープライズ。
操縦するデッカーとスポック。
スポック:「ミスター・スールー、脱出!」
スールー:「はい!」
「全ステーション、被害報告!」
カイル:『転送装置が故障です!』
「ただちに修理! カーク船長、応答願います。」
スポック:『カークだ。』
「船長、攻撃されました。転送装置は故障、脱出行動に移ります。」
パルマー:「ミスター・スポック、障害が更に大きくなり通信が不能となりました。」

スポック:『障害が更に大きくなり通信が不能…』 音声が乱れていく。
カーク:「スポック。スポック、応答しろ。スポック! 駄目だ、離れ小島に置き去りだ。」
スコット:「しかも動けません、パワーがなくて※26。」
「…エンタープライズが攻撃されているのにただ座っているわけにはいかん。何とか修理して作戦行動を取れるようにしろ…」
「宇宙ドックがなければ、ワープ航法エンジンは…」
「だったら補助エンジンでいい、たとえわずかでも動けば何か作戦行動を取れるはずだ。このままでは何もできん!」
「はい! 補助エンジンはまだ形を留めていますので、何とか。」
「早くかかれ。」
「みんな来い!」
「ウォーシュバーン、そっちを頼む。私達は何とかスクリーンを直してみよう。※27何も見えなくては作戦を立てられん。

単独で飛行するエンタープライズ。
マッコイ:「幸い負傷者は出なかった。その後どうだ。」
スポック:「脱出に成功しました。」
デッカー:「現状報告。」
「ワープおよび、補助エンジン異常なし。転送および通信装置は修理中です。チャンスの女神は我々に与して微笑んだようです。」
マッコイ:「もっと単純に言えんのか、君は。ツイてたんだよ。」
「意味は全く同じです。」
惑星の殺し屋の側面がスクリーンに映っている。
スールー:「コースを変えました。再び次の太陽系へ向かっています。ライジェル植民星群※28です。」
スポック:「…敵が一定の距離外に去れば無視するようにプログラムされているんだ。その距離を保ちながら迂回して船長を収容しに行こう。」
デッカー:「あの怪物をライジェルへゆかせるのか。何百万人が殺されるんだぞ?」
「ライジェル植民星群の人口なら私も知っています。しかし宇宙船は一隻、しかも電磁スクリーンは破損し、通信装置も使用が不可能です。従って我々の任務は、生き延びて宇宙艦隊司令部に報告することにあります。」
「我々の基本的任務は地球連邦※29の安全と人類の生命を守ることにある、それを否定するのか。」
2人を見るクルー。
スポック:「ミスター・スールー、敵との距離を保ちながらコンステレーション※30へ戻りたまえ。」
スールー:「わかりました。」
デッカー:「ミスター・スポックの命令に従ってはならん。…180度旋回して全速前進。攻撃に移る。」
スポック:「……ミスター・スールー、私の命令に従いたまえ。」
「…ミスター・スポック。公式に次の事項を表明する。俺は宇宙艦隊准将として軍規に従って自己の任務を遂行し、これより当エンタープライズ※31の指揮官として行動するぞ?」
「あなたにその資格はありますが、私はあえて反対します。」
「怪物を見逃すわけにいかん!」
「あなたは一度そう判断して戦いましたね。しかしその結果は船を破壊され、部下を失いました。」
「……あの時はミスを犯した。距離が、遠すぎたんだ。従って今度は至近距離まで接近して、フェイザーの総攻撃を加える。」
「敵の表面は堅牢なニュートロニウム※32で覆われています。一隻で戦っても勝ち目はありません。」
船長席を叩くデッカー。「ミスター・スポック、反論は許さん。指揮官はこの俺だ。これ以上反抗すると副長を解任するぞ?」
スポックは片眉を上げ、席を立った。代わりに座るデッカー。
マッコイ:「こんなことをさせていいのか!」
デッカー:「ドクター、君には関係ないことだ。」
「あなたにもね! …准将。」 スポックに尋ねるマッコイ。「なぜ黙ってる。」
スポック:「宇宙艦隊軍規 104条 B項※33によれば、私に反抗は許されません。B項の 1-A に明記されています。」
「軍規など関係ない、間違ったことをしようとしている者に指揮など任せられるか!」
「准将が肉体的あるいは精神的に指揮官に適していないことを証明できるなら、C項に準じて解任できます。」
船長席を叩くマッコイ。「そんなことならいつでも証明してやる。」
スポック:「…その裏づけとなる、医学的記録を提出できますか?」
「…彼に、健康診断を行う時間などなかったことは君もよく知ってるはずだ。」
「ではあなたの証言は公式には認められません。」
デッカー:「…ドクター、君はブリッジを出たまえ。」
マッコイ:「船長はどうなるんだ、見殺しにはできん…」
「ドクター。早くブリッジを出たまえ。」
「スポック! 何とかしろ!」
「…ミスター・スポックは軍規に定められた任務をわきまえとるんだよ。君は?」
仕方なく、マッコイはターボリフトへ向かった。
スポックたちクルーを見るデッカー。「全速前進。コース 32度、マーク 10。電磁スクリーン最高レベル。メインフェイザー砲、発射準備。」
スールー:「わかりました。」
無言のスポック。

向かうエンタープライズ。
手でチップ状のテープをもてあそびながら、スポックを見るデッカー。
スクリーンの惑星の殺し屋が近づいてきた。
エンタープライズは更に進む。

コンステレーション。
回路を修理※34しているカーク。呼び出しに応える。「カークだ。」
スコット:『船長、補助エンジンコントロール回路は溶けてしまっています。』

カーク:『ワープ航法エンジンの回線は。』
スコット:「たとえ回線は何とか接続できても、エンジン自体を制御するのは困難です。」

カーク:「…とにかく互いに奇跡を信じるのみだ、頑張れ。」

スコット:「はい!」 装置を取り出す。

カーク:「ウォーシュバーン、回線 2-G-6 を試してくれ。」

エンタープライズは惑星の殺し屋と相対する。
スールー:「接近中。」
イヤーレシーバーをつけたスポック。「電磁スクリーン最高レベル。これ以上のレベルは望めません。」
デッカー:「…ミスター・スールー、コースを維持。フェイザー砲発射準備。」
スールー:「了解。」
先に殺し屋が攻撃してきた。揺れるブリッジ。
スポック:「電磁スクリーンのレベルが、落ちてきました。後退しなければ危険です! エネルギーが漏れて…」
デッカー:「指揮を執っているのはこの俺だぞ? ミスター・スールー、コースを維持。さらに接近しろ。」

エンタープライズの前方に、惑星の殺し屋の口が見える。奥で光が明滅している。

カークは尋ねた。「試してみるか。」
ウォーシュバーン:「もう少し待ってください。」
「スコッティ、そっちはどうだ。」

スコット:「コントロールを接続したのでやがて、エネルギーが得られるはずです。」

ウォーシュバーン:「OK です、どうぞ。」
操作するカーク。小型スクリーンにスイッチが入った。
カーク:「出そうだ。…何だあれは。」
惑星の殺し屋と、そこへ向かう小さなエンタープライズが見えた。

デッカーは命じた。「撃て!」
フェイザーを発射するエンタープライズ。惑星の殺し屋の表面に注がれる。
スールー:「直撃です。」
下方から、スクリーンに広がってくる口。
スールー:「全く、効果ありません。」
スポック:「准将、速やかに退却することを提案します。」
デッカー:「提案を却下する、コースを維持。撃て!」
再びフェイザーを撃つ。

コミュニケーターを使うカーク。「カークからエンタープライズへ。どうした、エンタープライズ応答せよ。こちらカーク。…スコッティ、エネルギーは。」

スコット:「待ってください。この状態で補助エンジンを急激に動かしたら、バラバラに分解してしまいます。」

カーク:「ウォーシュバーン、エンジンルームへ行ってスコットを手伝え。」
ウォーシュバーン:「はい!」
惑星の殺し屋とエンタープライズの様子を見るカーク。「スコッティ。一刻を争うぞ。エンタープライズを援護しなければならん。」
スコット:『はい!』
どうすることもできず、デスクを叩くカーク。

惑星の殺し屋が再び攻撃してきた。
スポック:「…電磁スクリーンが吹き飛びました。」
パルマー:「デッキ7 でエネルギー発生装置が故障しました。非常回線に切り替えます。」
攻撃は続く。
パルマー:「デッキ3 および 4 で多数負傷。緊急修理班が船内の破損個所を修理しています。」
通信※35が流れる。『全デッキより被害報告。』『修理班を向かわせる。機関部より、全デッキへ。修理班が向かうまで、待機せよ。』『こちら、船体中央部…』
スポック:「敵は攻撃を中止、誘導光線で誘導を始めました。敵に吸い寄せられています。早く脱出しましょう。」
デッカー:「現状でフェイザー攻撃を続けろ。」
「エネルギーが減少しています。60秒以内に、誘導光線から脱出しなければ全て終わりです。」
「まだ君にはわからんのか、怪物を見逃すわけにはいかん!」
「それは非論理的な主張で、自殺行為です。自殺を図るのは指揮官としての精神的な資格に欠けている証拠となります。もし脱出しなければ、指揮官に不適任として解任します。
「……脱出しろ!」
パニック状態になり、耳を押さえているパルマー。
スポック:「補助エンジン全開!」
スールー:「脱出できません。」
「全エネルギーを注入しろ!」
「これで最高です。吸い寄せられます。」
殺し屋の口へ向かっていくエンタープライズ。


※26: 吹き替えでは「スクリーンも、やられました」。DVD版以外では「しかも [音声カット] 同然です」

※27: TOS の国内オンエア分では、カット部分が存在しています。DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (スーパーチャンネル版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です

※28: Rigel colonies
ライジェル (リゲル) 星系は TOS第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」など

※29: 今回の連邦 (Federation) の訳語

※30: 吹き替えでは「コンステレーション

※31: 吹き替えでは「エンタープライズ

※32: neutronium
初言及

※33: Starfleet Order 104, Section B
宇宙艦隊一般命令および規則 (Starfleet General Orders and Regulations) の一つ

※34: ここで使っている道具は、TOS第18話 "The Squire of Gothos" 「ゴトス星の幻怪人」で登場したレーザービーコンの使い回し

※35: DVD版以外では、吹き替えにこの通信は含まれません。そのためクルーがなぜ上を見る仕草をするのかわからなくなっています

惑星の殺し屋がエンタープライズを引き寄せる様子を、コンステレーションから見ているカーク。「スコッティ。エネルギーはまだか。」

スコット:「成功です。動かすだけのエネルギーをついに、蓄積しました。」

カーク:「よろしい。」 操作する。「全速前進。」
だが船は大きく揺れる。

身体を支えるスコット。

カークも今度は反対側に倒れてしまう。
少しずつ進むコンステレーション。
カーク:「スコット、この調子だ。このまま続けろ。」
エンタープライズが、惑星の殺し屋の真ん前に来ているのが見える。

デッカーは言った。「エンジン全開で脱出。」
スールー:「はい!」
スクリーンに広がる口。
スールー:「脱出できません。」

エンタープライズを見るカーク。「…エネルギーを絶やすな。」

スコット:「どういう結果が出るか予測できません。」

カーク:「救うんだ。エンタープライズ※31を。我々に敵の注意を向ければ、逃げられるチャンスはある。…フェイザー光線さえあれば。」

スコット:「フェイザー? ありますよ。バンクに、蓄積しました。」

カーク:「ほんとか。今日のお前は勲章ものだ※36、準備。」
惑星の殺し屋を確認する。
カーク:「フェイザー発射!」
フェイザーを撃つコンステレーション。殺し屋は向きを変える。

エンタープライズに小さな揺れが伝わった。
スールー:「自由になりました。」
デッカー:「カーク、よくやったぞ。2隻で協力すれば怪物を殺せる。」

カーク:「スコット、見事に成功した。」
惑星の殺し屋が向きを変え、コンステレーションに向かってきた。
カーク:「さあ餌食になる前にこっちも脱出しよう。」

スポック:「コンステレーションに急速に接近中です。」
スールー:「準備完了。」
「准将、このままでは…」
デッカー:「カークは先ほど俺たちを救ってくれた、今度は俺たちの番だ。フェイザー発射。」
フェイザーを撃つエンタープライズ。
デッカー:「やったぞ。旋回、距離を保て。」
逃げるエンタープライズ。
スールー:「遠ざかっていきます。」
スポック:「やはり敵は一定の守備範囲をもつようにプログラムされていますね。その中に侵入したエネルギー源は全て攻撃を受けるごとになります…」
デッカー:「ミスター・スポック、現状報告。」
「ワープエンジンと、電磁スクリーンは後一日使用できません。通信および転送装置は修理中です。」
スールー:「再び接近してきました。」
「スピードを上げて距離を保て。」
「…敵は破壊された惑星の破片を吸入しています。補給を始めました。」
「このスピードで進めば我々の燃料は後わずか 7時間で底をつきますが、敵は永久に燃料を補給できます。」
デッカー:「だったら補給前の弱った状態の時に攻撃するよりない。」
「反対です、敵を破壊できません。従って、ライジェルを救うのは不可能です。残された道はコンステレーションの船長たちを転送収容してフルスピードで脱出し、宇宙艦隊司令部に一刻も早くこの危機を報告することです。」
パルマー:「ミスター・スポック、通信障害が少し減少しました。」
「宇宙艦隊に連絡できるか。」
「それは無理ですが、コンステレーションとの交信はできます。船長から連絡が入ってます。」
「マイクに出したまえ。」
カーク:『エンタープライズ、エンタープライズ、応答せよ。』
デッカー:「ミスター・スポック、指揮官は俺だぞ? 代表者として俺が話をする。エンタープライズからカークへ。デッカー准将だ。」

カーク:「マット。…どうした、ミスター・スポックを出せ。」

デッカー:「ここの指揮官は俺だぞ?」
カーク:『スポックはどうした!』
「別に、軍規に従って俺が指揮を執ってるだけだ。副長ミスター・スポックは敵に対して積極的に攻撃するのを怠ったため…」

カーク:「私の船を破滅に追い込もうとした、精神異常者は君か!」

デッカー:「大佐が准将に対してそんな口を聞けるのか。」
カーク:『スポックを出せ!』
「先ほども伝えたように全ての軍規に従って俺がエンタープライズの指揮を執ってるんだ。何か言いたいことがあれば、指揮官の俺に言え。」

カーク:「君に言いたいことは、ただ一つだ。船を怪物から遠ざけろ! ミスター・スポック、現状報告。」

スポック:「いいですか。」
デッカー:「…ここへ来い!」
船長席に近づくスポック。「ワープ使用不能。電磁スクリーンは故障、転送装置は修理中。緊急補助エンジンを使用しています。」

カーク:「ワープエンジンの修理には。」
スポック:『あと一日かかります。しかし現在の消費率でいけば、それまでに補助燃料は底をついてしまうでしょう。』

スールー:「接近してきました!」

カーク:「ミスター・スールー、脱出行動を取りたまえ。」

デッカー:「エンタープライズの指揮官は俺だと言ったろ。命令は全て指揮官である俺が出すんだ。旋回して攻撃をかける。」
カーク:『私の船で攻撃はさせんぞ! スポック、デッカー准将を解任しろ。これは船長命令だ!』
「俺を解任できるわけないだろう。軍規を知っているはずだ。」

カーク:「軍規など関係ない! スポック、デッカー准将を解任して君が指揮を執りたまえ。船長として命令する!」

スポック:「デッカー准将、指揮官を解任します。」
デッカー:「…貴様に上官の俺を解任したりできる資格があるのか。」
「…もし無事に宇宙基地へ帰還できたら宇宙艦隊司令部に公式に提訴してください。指揮官を解任します。」
目をそらし、指を噛むデッカー。
スポック:「准将。逮捕するような事態は避けたいのですが。」
デッカー:「…俺を逮捕する?」
保安部員に合図するスポック。
デッカー:「脅しはやめろ。」
スポック:「ヴァルカン人は脅しません。」
「……ふーん、そうかヴァルカン人は実行型か。…よろしい、ミスター・スポック。ブリッジを君に譲ろう。」
代わりに座るスポック。「私が指揮権を得ました。」
カーク:『よし※37、では直ちに…』
「ちょっと待ってください。准将、診療室で健康診断を受けていただきます。ミスター・モンゴメリー※38。」
保安部員のモンゴメリー。「はい。」
スポック:「准将を診療室へ案内しろ。」
「はい。どうぞ。」 ターボリフトに入る 2人。
「ミスター・スールー、コース変更。70、マーク 21。」
スールー:「コース変更!」
「船長、これよりコースを変更してそちらへ迂回します。船長たちを収容できるまで、敵をそちらに接近させないようにします。」

カーク:「よーし、常に相手の前を進め?」

ターボリフトを降りるデッカー。
咳き込んだ。と同時に腕を振り上げ、モンゴメリーに殴りかかった。
フェイザーを奪おうとし、取っ組み合いになる。カンフーのように構えるモンゴメリー。
だが結局モンゴメリーが負け、デッカーは部屋に引きずり込んだ。

廊下。
はしごを降りてきたデッカーは、フェイザーを持っている。辺りからクルーがいなくなったのを確認する。
ラベルには「シャトル・ハンガーデッキ」と書かれている。奥へ向かうデッカー。

コンステレーション。
スコット:『カーク船長。』
カーク:「どうした。」

スコット:「船内通信が可能になりました。補助エンジンの出力は全開で 3分の1 しか得られません。電磁スクリーンは短時間なら張れます。

カーク:「ともかく、最善を尽くしたまえ。ミスター・スポック。」
スポック:『はい。』
「当方はこれより、ランデブーコースを取る。ランデブー推定時刻は、現在のところ 1413.7時だ。」

エンタープライズ。
ハンガーデッキのドアが開く。

手元の警告ランプを見るスールー。「ミスター・スポック。誰かが宇宙艇ドックのドアを開けました。」
スポック:「すぐに閉めたまえ!」
「手遅れです。」

発進するシャトル。

カークはコミュニケーターを手にした。「エンタープライズ、なぜ宇宙艇を発進させた。」

スポック:「何者かが、許可を得ずに取った行動です。大尉、宇宙艇に連絡。」
パルマー:「エンタープライズから宇宙艇へ。宇宙艇どうぞ。」

進むシャトル。
中にパルマーの通信が流れる。『エンタープライズから宇宙艇へ。宇宙艇どうぞ。宇宙艇、応答願います。』
デッカー:「…宇宙艇からエンタープライズへ。デッカーだ。」

驚くカーク。

スポック:「…准将。単独行動をやめ、速やかに帰還してください。」

デッカー:「自分が言ったことを覚えてるか? 怪物を外部から破壊することは我々には不可能なんだ。だから俺はこいつを腹の中へ叩き込んでやる。」
窓が開き、惑星の殺し屋の口が見えた。

カーク:「カークだ、自殺行為はやめろ。」

デッカー:「死ぬ覚悟などとっくの昔にできてる。…部下を全員殺した俺だ。」

カーク:「人間である以上誰でもミスは犯すもんだ。」

デッカー:「指揮官は部下の生命に責任をもたねばならん。俺が殺したんだ。あの時、俺も死んで当然だった。」

スポック:「単独行動はやめて下さい。速やかに帰還するのが、最も合理的な方法です。」

応えないデッカー。シャトルは進む。
近づく惑星の殺し屋。

カーク:「マット。話を聞け。こんな死に方を選ぶ権利はないぞ。」

デッカーは窓に広がる口を見つめる。

カーク:「マット、君はパトロール船の船長だ。無駄に捨てられる命ではない。君の経験と判断が我々に必要なんだ、マット!」

デッカーは通信を切った。

カーク:「宇宙艦隊は君を必要としている!」 惑星の殺し屋と、近づくシャトル※39を見る。

窓一杯に広がる口。目を見開き、髪に手を当てるデッカー。

コンステレーションからは、シャトルが口の中に消えたのが見える。

光に包まれるシャトル内。顔を押さえるデッカー。
殺し屋の中の光。

カークはコミュニケーターを閉じた。

スポック:「消えた。」

惑星の殺し屋には、影響はないようだ。


※36: 原語では「それだけで一週間分の給料を稼いだぞ」

※37: 吹き替えでは、この時音声が弾けたように乱れています

※38: モンゴメリー保安部員 Security Guard Montgomery
(ジェリー・ケイトロン Jerry Catron TOS第29話 "Operation - Annihilate!" 「デネバ星の怪奇生物」のデネヴァ人その2 (Second Denevan) 役)

※39: エンタープライズが近づく映像と比較すると、明らかに縮尺が変です

エンタープライズ。
スポック:「…カーク船長、こちらスポック。…船長応答願います。」

カーク:「……カークだ。」

スポック:「船長。准将の死、心からお悔やみ申し上げます。非常に、残念です。」

カーク:「無駄死にをさせてしまった。」

スールー:「…ミスター・スポック。怪物から放射されるエネルギーが、わずかに落ちています。」
立ち上がるスポック。
スールー:「シャトルの爆発で、ダメージを受けたのでしょうか。」
カーク:『スポック、どうなんだ。』
スポック:「確かにエネルギーは落ちていますが、ごくわずかです。敵は現在も我々を追跡中。このままのスピードでは、我々の燃料が底をつきます。」
パルマー:「ミスター・スポック、転送装置が直りました。」
「船長、転送可能ですが船に戻られますか。」

カーク:「…後にする。スコットと私をここに残して、修理チームを転送してくれ。」

スポック:「船長。これ以上コンステレーションに留まっていても、無駄です。」

カーク:「そうでもないぞ。…あいつを叩き潰してやるんだ。修理チームを収容したまえ。」

スポック:「わかりました。転送室、修理チームを転送してくれ。」
カイル:『了解。』


カーク:「スポック。…マットは無駄に死んだとは言えんかもしれんぞ? もっと強力なエネルギーを爆発させたらどうだろう。私の大雑把な計算では、パトロール船の補助エンジンをオーバーヒートして爆発させれば、97メガトンのエネルギーを得られるはずだ。」

スポック:「いいえ? 正確には 97.835メガトンです。」

カーク:「97.835 か。それだけあれば敵を爆破できるだろうか。」

スポック:「不可能でしょうね。表面は、ニュートロニウムで覆われています。あれを爆破して破壊する方法はありません。」

カーク:「外部からではなく、中からだ。効果はあるか。」

スポック:「データ不足です。探知機で更に調査し分析してみます。」

カーク:「まず、ラスたちを転送しろ。スコットどうぞ。」

スコット:「はい。ラスたちは今、エンタープライズへ転送されました。」

カーク:「よし。スコッティ、補助エンジンがオーバーヒートするように自由に細工できるかな。」

スコット:「はい、オーバーヒートを防ぐ方が難しいくらいですね。」

カーク:「では 30秒後に爆発する時限爆弾を作ってくれ。スイッチは、ここから入れられるように頼む。」

スコット:「わかりました。」

カーク:「準備できたらすぐにセットしろ。」
スコット:『はい。』
スポック:『船長。…敵は、ニュートロニウムで覆われてるためその内部構造を探知することは不可能です。』
カーク:「推定もできんのか。」
『そうです。…船長、それ以上惑星の殺し屋に接近すると危険です。』
「これより更に接近する。コンステレーションを怪物の口に放り込む。」

スポック:「…船長。自殺行為です。准将の二の舞です。」

カーク:「いやあ、私は命まで捨てるつもりはない。そのために時限爆弾を作ってるんだ。私が合図したら 30秒以内に私を転送してくれ。30秒後にエンジンが爆発する。」

スポック:「それほど危険な作戦を採る価値はありません。爆発で打撃を与えられるかどうかも推測できない状態です。」

カーク:「この程度の危険は仕方がない。」
スポック:『それだけではありません。転送装置は百パーセント完全に作動していないのです。となると 30秒の余裕では危険です。』
「運を天に任せよう、以上だ。」
副司令室に入ったスコット。「あんな気まぐれな転送装置に命を預けるのは私も非常に危険だと思いますが。」
カーク:「時限爆弾はどうした。」
「エンジンコントロール装置に仕掛けてきました。…異常なしです。こいつを押せば、30秒経つとバーン!」 手を挙げるスコット。「押したら最後止める方法はありません。」
「わかった。ミスター・スポック、スコッティを転送して収容しろ。」
スポック:『転送準備よし。』
スコット:「幸運を祈ります。」
カーク:「ありがとう。」
近くで直立するスコット。

転送機を操作するカイル。
スコットが転送されてきた。だが時間がかかる。
操作を続けるカイル。
スコットは完全に実体化した。「何をモタモタしてるんだ!」
カイル:「どこかで、エネルギーが漏れています。失敗するところでした。」
「これじゃ使い物にならんぞ。多分配電セクションのメインだ。見てくる。」
「ブリッジ! 転送装置がまた故障です。」

スポック:「転送装置が故障しました、待機して下さい。」

カーク:「急げ、転送できないと船と共に自爆だぞ。」
スポック:『了解。』

ジェフリーズ・チューブにスポックの通信※40が流れる。『ミスター・スコット、一刻を争うぞ。』
火花が飛ぶ。

コンステレーション。
スクリーンに惑星の殺し屋が迫る。

スールー:「現在殺し屋まで 3,000キロ、急速に接近中。」

ジェフリーズ・チューブを出たスコット。「ブリッジ、転送装置が直った。しかし、いつまで続くかは保証できんぞ。早く船長を収容しろ。俺はここで待機する。」

スールー:「2,300キロ、接近中。」
スポック:「船長、転送装置は直りましたが非常に不安定です。」

カーク:「そのままで私の合図を待て。」 惑星の殺し屋を見る。

スールー:「1,600キロ、接近中。」
スポック:「転送ルーム待機!」
カイル:『待機します。』

コンステレーションに近づく殺し屋。

スールー:「800キロ、接近中!」

時限爆弾のスイッチを見るカーク。スクリーンに広がる惑星の殺し屋。
ついにスイッチを押した。「転送しろ。」

スポック:「転送。」

カイル:「転送。」
だが転送台で煙が上がった。
カイル:「ブリッジ、またショートしました!」

ため息をつき、すぐにジェフリーズ・チューブに戻るスコット。

カークは秒を刻む音を聞く。「どうした、転送しろ。」
スポック:『船長、転送装置がまた故障しました。ミスター・スコット、爆発まで後 20秒だぞ?』

コンステレーションのすぐ前方に見える惑星の殺し屋。

火花が飛ぶジェフリーズ・チューブ。
スポック:『ミスター・スコット!』

転送室での爆発は続く。

スポック:「ミスター・スコット! 船長が自爆するぞ!」

必死に作業を続けるスコット。

カークはスクリーンに映る、口の内部を見る。
目の前だ。

スールー:「16、15、14、13…」
スクリーンでは、殺し屋のすぐ前にコンステレーションが見える。

スールー:『13…』
カーク:「どうした、早く転送しろ。」

スールー:「10…」

転送室の煙は収まらない。

スールー:『9…』
コンステレーションから見えるのは、口の中だけだ。

スールー:『8、7…』
スコットはジェフリーズ・チューブを出た。
スポック:『ミスター・スコット!』
スールー:『6…』
スコット:「よし、転送しろ!」

スールー:『5、4…』
カークは惑星の殺し屋の内部にある光を見る。
コンステレーションは完全に中に入った。

操作するカイル。

コンステレーションの前には光しかない。
その時、殺し屋の口から大量の飛散物が飛び出した。
大爆発が起こり、惑星の殺し屋の表面が変色する。

転送室で実体化するカーク。
カイル:「ブリッジ! 成功しました!」
カークはすぐに出る。

スクリーンに映る殺し屋は、止まっている。
スポック:「エネルギー出力、ゼロ。放射能レベル正常。」
ブリッジに駆け込んだカークは、スクリーンを見てため息をついた。
スポック:「ご無事で何よりでした。」
カーク:「ああ。」
「敵の全ての、エネルギー源は活動を中止しました。もう、危険はありません。」
「ミスター・スールー、針路を修正してパトロール活動に戻れ。エネルギーを節約しろ? パルマー大尉、ワープエンジンの修理に全力を尽くすようにチャーリーに伝達を。…可哀想に。マットは人類を救うために命を捨てたんだ。価値のある犠牲だった。」
「同感です。航星日誌にはデッカー准将は勇敢に戦死したと記録されるでしょう。」
「そう記録されて当然だ。しかし皮肉だな。20世紀の大昔には、水爆が最終兵器として地球の軍備や政治をコントロールしていた。その名残とも言える銀河系の最終兵器に攻撃をかけられたんだ。そしてそれを破壊したのは、現代の最終兵器とも思われる高性能の宇宙船だ。」
「危機一髪でした。この広大な宇宙のどこかにまたあのような殺し屋が、さまよっていなければいいのですが?」
「ないように祈ろう。一度会えばもうたくさんの相手だ。」
うなずくスポック。
カークは、微笑んだ。


※40: 国内オンエア版では、このセリフはありません。LD版では字幕で補完

・感想など
TOS では多そうで実は非常に少ない、宇宙空間での戦闘を長時間に渡って特撮で描いた話です。ストーリーも中だるみがなく、最後の緊迫感もお見事。端的に言えば予算節約の「同型艦」という設定は、艦隊の一辺を垣間見せるものとして後にも使われます。DVD 画質だとプラモのコンステレーションの様子も細かくわかりますね。
「白鯨」のエイハブを思わせる狂気の准将デッカーは、当然一話のみの登場ながら印象深いキャラクター。よく見かける救いようのない上司とは、最終的に少し異なってくるのがポイントです。吹き替えを担当する大木さんは、ずっと後にドアティ提督も演じました。
ヒューゴー賞にノミネートされただけはあり、脚本は SF作家ノーマン・スピンラッド ("The Solarians" (1966)、"Bug Jack Baron" (69)、"Child of Fortune" (85) など) です。なぜか必ずバーサーカー (ゲームでもおなじみ) と解説される惑星の殺し屋は、何とも不気味で面白いデザインですね。非正史ですが、邦訳もある長編小説「ヴェンデッタ」にも関係してきます。


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