スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1 #5「シリーズ・アクリメーション・ミル」海外インタビュー

※ストーリーのネタバレに触れています。

スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1 第5話 “Series Acclimation Mil” 「シリーズ・アクリメーション・ミル」について、海外インタビュー記事の紹介です。

タウニー・ニューサム:ディープ・スペース・ナインへのラブレター

・本作の脚本家兼プロデューサーであるタウニー・ニューサム (スター・トレック:ローワー・デッキ、ベケット・マリナー役) にとって、このエピソードでディープ・スペース・ナインを称えることは個人的な使命だったそうです。ライターズ・ルームに加わった当初から、現代のスタートレックにおいてベンジャミン・シスコやDS9の功績が十分に語られていないという空白を埋めるべく、熱心に訴え続けてきたとのこと。エイヴリー・ブルックスが演じたシスコこそ、後に続くマイケル・バーナムやマリナーといったキャラクターたちの道を切り拓いた存在であり、その敬意を示す重要性を説きました。情熱は凄まじく、テーブルを叩きながら「シスコのエピソードにするべきだ」と要求したこともあったといいます。インタビューでは「ライターズ・ルームに入った時、私の唯一の目的は、この番組でディープ・スペース・ナインについて意味のある形で語ることでした」と、その強い決意を明かしています。 (ScreenRantScreenRantScreenRantInverseTrekCoreDen of Geek)

・劇中でニューサム自身が演じたアイラ教授が、実は共生生物ダックスの最新ホスト、アイラ・ダックスだったという驚きの展開は、物語のラストで明かされるパズルの最後のピースでした。当初は出演する予定ではなかったものの、予算の都合もあって最終的に自ら演じることになったと、ユーモアを交えて語っています。アイラはカーデシア人とトリル人のハイブリッドで、800年以上の年月を経た両種族の文化的関係の進展を示唆する設定とのこと。「ジャッジアは私のお気に入りのキャラクターの一人なので、身体的な癖を意識して演じました」と明かすとおり、かつてジャッジアやエズリを演じた俳優たちの動きを研究し、腕を後ろに組むといったジャッジア特有の仕草も取り入れたそうです。 (ColliderTrekCoreTrekMovieTV GuideInverse)

・ニューサムは、サム1が物語の最後の方で口にする “I can live with it.” 2というセリフを脚本に残すことに、並々ならぬこだわりを見せたそうです。このフレーズはDS9の名エピソード「消された偽造作戦」でシスコが放った象徴的なセリフへのオマージュですが、修正のたびに何度も削られそうになったとのこと。誰かがカットするたび、7回も8回も粘り強く書き戻し、最終的に撮影段階まで残すことに成功しました。このセリフには、サムがシスコの遺産を受け継ぎ、自分なりの「使者」としての道を見つけた証という意味が込められています。ニューサムはこのエピソードについて――「彼女(サム)が言わなければならないんです!」。他にも、背景キャラクターが生き生きと動く様子を描くために、映画「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」(2019) からインスピレーションを得て細かな演出を詰め込んだとのことです。 (TrekMovieTV GuideScreenRantScreenRant)

シロック・ロフトン:27年ぶりの再会と父からの継承

・ディープ・スペース・ナインの終了から約27年を経て、シロック・ロフトンがジェイク・シスコ役で復帰しました。復帰にあたり最も大切にしたのは、劇中の父親であるエイヴリー・ブルックスに受け入れてもらうこと。直接連絡を取り、この物語が敬意を込めたものであると伝えたうえで承諾を得たそうです。撮影現場ではかつての自分のように若いキャストに囲まれ、自身の経験を「恩送り」する感覚だったと振り返っています。復帰の心境については「エイヴリーの許可と賛成を得ることが、私にとって最大の関心事でした」 (ScreenRantScreenRantScreenRantTrekMovieBleeding CoolTV Guide)

・大人のジェイクを演じるにあたっては、小道具や衣装にも自らのアイデアを反映させたとのこと。劇中で着用している衣装はエチオピアの伝統的な衣服からインスピレーションを得たもので、アフリカの芸術に囲まれて育ったシスコ親子のルーツと遺産を象徴しています。ロフトンは「劇中で着ている服はエチオピアの伝統的な衣装にインスパイアされており、ベンとジェイクの遺産への敬意を表しています」と説明しました。 (Gold DerbyBleeding CoolScreenRantTrekMovie)

・撮影期間中、ロフトンのもとにエイヴリー・ブルックスから突然電話がかかってくるという感動的な一幕もあったそうです。車で寿司レストランに向かう途中で、その場にいたタウニー・ニューサムとサム役のケリス・ブルックスを電話口に出し、3人で会話する機会が生まれました。エイヴリーは引退の身でありながら、新しい世代のスタートレックが自分の遺産を大切に扱っていることを喜び、ケリスに手綱を渡す力強い言葉を贈ったとのこと。劇中での「使者」の継承が、まさに現実のものとなった瞬間です。ニューサムは目撃したのは、ブルックスさんが明確にケリス、つまり若い世代にバトンを渡す瞬間でした。私たち全員にとって非常に力強い光景でしたと振り返っています。 (ScreenRantScreenRantTrekMovie/FilmScreenRant)

ケリス・ブルックス:サムという「使者」の成長と挑戦

・サムを演じるケリス・ブルックスは、冒頭で披露されたモノローグが、オーディションで最初に演じたシーンだったと明かしています。キャラクターの核心を最初からつかんでいたことを示す事実であり、撮影時には運命的なシンクロニシティを感じたそうです。サムはカスク出身のフォトニック生命体で、17歳の感情を持つようにプログラムされているという設定を、第四の壁を破るスタイルで観客に語りかけます。家族を持たないサムがシスコという歴史的人物に惹かれていく過程を、自分の先祖を探すようなスピリチュアルな旅として捉えて演じたとのこと。サムの想いを代弁する言葉として、「シスコはサムにとって、目には見えないけれど感じることができる北極星のような存在です」 (TrekCoreTelevision AcademyTV InsiderSYFY Wire)

・このエピソード独自の演出として、サムの視点を表現するために画面上にイラストや手書き風のグラフィックが表示されました。「サムの人生を説明するシーンは、私のお気に入りの映画『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズのサム版のように感じて、とても興奮しました」と語るように、この斬新なビジュアルスタイルをケリス自身も大いに気に入ったそうです。また、バーでの乱闘シーンでは初めての格闘振付に挑戦しましたが、リハーサル不足から共演者の Cecilia Lee(ゾロ役)を実際に殴ってしまうハプニングも。大変申し訳なく思い、ランチタイムにキャンドルやお菓子をあげて、花束も贈って謝罪したという微笑ましい裏話も披露しています。 (Variety, TrekMovie)

制作陣:伝説を呼び戻す「魔法のソース」

・ラストシーンで使われたエイヴリー・ブルックスの声は、新録ではありません。シロック・ロフトンは個人的に持っていた、エイヴリーが2006年に発表したジャズとスポークン・ワードのアルバム『Here…』3をタウニー・ニューサムに提供。ニューサムと共同脚本の Kirsten Beyer は、このエピソードのテーマと完璧に合致する詩を見つけました。こうしてエピソードのラストでは、シスコがサムや視聴者に語りかけるような神秘的で心揺さぶる瞬間が生まれました。ショーランナーのノガ・ランドーはこの奇跡的な実現について、「エイヴリーの非常に寛大な許可を得て、彼自身が録音したスポークン・ワードの詩の一部を使うことができました」 (Gold Derby/FilmTVLineScreenRant)

・エピソードの最後には、視聴者へのサプライズとしてシスコにまつわる視覚的な仕掛けが隠されていました。カーツマンはインタビューで、ラストシーンのサンフランシスコの空に浮かぶ「雲」に注目するよう促しています。よく見ると、雲の形がエイヴリー・ブルックスの顔のように形作られており、シスコがアカデミーとサムを見守っているかのような演出です。さらにクレジットでは画面には「Thank you, Avery」のメッセージが表示され、通常の曲ではなくディープ・スペース・ナインのテーマ曲が流れました。「DS9がファンにとってどれほど深い意味を持つかを、経験したことのない世代の最前線に届けたかった」と、カーツマンはその想いを語っています。 (/FilmTrekCoreRadio Times)

博物館のイースターエッグ

・「ベンジャミン・シスコ博物館」のシーンには、DS9ファンを喜ばせるための本物の小道具や細かい設定がふんだんに散りばめられていました。サムが目にしたシスコの宇宙艦隊の制服は実際にDS9の撮影で使われたアーカイブ品で、フェイザーホルスターを固定するためのベルクロもそのまま見えます。愛用の野球グッズや発光体 (オーブ) などの中でも注目すべきは、DS9では「実在しなかったはず」のベニー・ラッセル(シスコが見た幻視の人物)のタイプライターが飾られていた点で、これはスター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールドでの設定4を受けた粋な演出です。(TrekMovieTrekCoreTelevision Academy)

  1. サムは本来、本エピソードのタイトルにもなっている “Series Acclimation Mil” の略称であるため、SAMという表記もありかもしれません。特に英語圏では、そう書かないと「どのサム?」ってなるかも。 ↩︎
  2. 字幕版では、直前のセリフと合わせて「“失敗作”でもいい」という訳。DS9シーズン6「消された偽造作戦」では、最後のシスコの独白で何度か繰り返しています。当時の吹き替えでは、「平然と生きていられる」「これが私の義務なのだ」「しっかり耐えてみせよう」に相当します。 ↩︎
  3. 一般リリースされたものではなく、自主制作だったと思われます (Discogs)。 ↩︎
  4. スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン1「エリシアの王国」で、「エリシア王国」の作者としてベニー・ラッセルの名が本に書かれています。 ↩︎

スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1は2026年2月現在、Paramount+ (WOWOW オンデマンドJ:COM STREAMAmazon Prime Video サブスクリプション/Lemino チャンネル) で配信中です。※Paramount+ は3月末でサービス終了予定