スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1 #4「高き所からの声」海外インタビュー

※ストーリーのネタバレに触れています。

スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1 第4話 “Vox in Excelso” 「高き所からの声」について、海外インタビュー記事の紹介です。

カリム・ディアネ:自身のルーツと重なる「平和主義のクリンゴン」への挑戦

・ジェイ・デン1・クラーグ役のカリム・ディアネ2は、自身の西アフリカ系のルーツとキャラクターの生い立ちに深い共通点を見出しているとのこと。ギニアとコンゴの血を引くマンディンゴ族の出身であるディアネは、歴史的に戦士として知られる部族の中で、自身もスポーツや戦いよりもダンスや歌、演技の道を選んだ経験があるそうです。「高き所からの声」で描かれる、戦士の道を選ばず治療師を志したために家族から疎外されたというジェイ・デンの過去を読んだ際、自分の人生そのものだと感じたと振り返っています。「自分は伝統的な男ではなく、ソフトで穏やかな人間だと考えています」と、自身の自然な感性をクリンゴン人役に投影したことを明かしました。武器を手に取らなくても自分の声とエネルギーで世界を変えられるというメッセージを伝えることに、大きな意義を感じているようです。(TV InsiderEntertainment WeeklyParadeDen of Geek)

・クリンゴンを演じる上で、ディアネは新スタートレック他でウォーフを演じたマイケル・ドーンから直接アドバイスを受けたそうです。演じる前はアイコン的な存在と比較されることに不安を感じ、4ヶ月ほど不安の塊だったようです。ですがドーンとのビデオ通話で「自分なりのやり方で楽しめばいい」と励まされ、リラックスして役に臨めるようになったといいます。また、ジェイ・デン特有の低い声を出すために数ヶ月のボイストレーニングを積んでおり、「高き所からの声」でついに自身の声を見つける旅が結実したと感じているそうです。偉大な先輩との交流が演技の助けになり、「(ドーンは) とても親切で、そのおかげでプレッシャーから解放されました」と感謝の言葉を述べました。(Entertainment WeeklyPolygonScreenRant)

・「高き所からの声」の感情的なハイライトとなったルーラ・ソクとのシーンについて、ディアネは自身の私生活での個人的な喪失感を反映させて演じたと語っています。撮影中は亡くなった祖母のことをずっと思い浮かべていたそうで、流した涙は演技ではなく、心の底から湧き上がった本物の感情だったとのこと。「あのシーンは本当にエモーショナルで、自分でもボロボロになりました」 普段の授業やグループのシーンとは異なり、ジーナ・ヤッシャー演じるソクと2人きりの空間で、役柄の異なる側面を見せられた特別な瞬間になったようです。(TV Insider)

ノガ・ランドー(ショーランナー):32世紀のクリンゴンが直面する離散とアイデンティティ

・ノガ・ランドーは、32世紀におけるクリンゴンの現状を「離散(ディアスポラ)」として描くことの意義を語りました。かつて強力な帝国を築いていたクリンゴンが、故郷クロノスを失い、銀河中に散らばる難民となった姿を描くことで、現代社会における難民問題という普遍的なテーマを反映させようとしたそうです。「高き所からの声」のディベート対決を通じて、支援の手を差し伸べる連邦側の善意が、相手の文化や誇りを無視した押し付けになっていないかを問いかけています。逆境の中でも決してクリンゴンとしてのアイデンティティを失わない彼らの力強さを表現したかったと述べており、「帝国という力の源を失ったとき、人はどうなるのかに惹かれました」と制作の意図を語りました。(Inverse/FilmDen of Geek)

・クリンゴンの家族形態として、ジェイ・デンに2人の父親と1人の母親がいる「トライアド(3人組)」の設定を導入した意図について、ランドーは現代の世界を映し出す鏡としての役割を強調しています。絶滅の危機に瀕している種族が生存のためにパートナーシップの形を変化させるのは理にかなっており、視聴者の中にはこうした多様な家族の形を映像で初めて見る人もいるはずだと考えたそうです。「クリンゴンなら3人親の家庭も抵抗なく受け入れるだろうと考えました」。種族の特性を活かした設定であることを明かしました。また、作品を通じて「ポジティブな男性性」を提示することも目指しており、クリンゴンであっても弱さを見せ、候補生同士が支え合う男性同士の友情を育む姿を描きたかったといいます。(PolygonScreenRantScreenRant)

制作の舞台裏とトリビア:ディベートとゲームのデザイン艦

・「高き所からの声」では、ドクター(ロバート・ピカード)がディベート大会のコーチとして活躍しますが、これは演じるピカード自身の高校時代の経験が反映されているそうです。ディベート部の部長を務めていたものの、当時はそれほど優れたディベーターではなかったと冗談めかして語っています。「外交的な場面で説得力のある議論を組み立てる重要性を教えたかったのです」。役柄の教育者としての側面を強調しました。また、劇中でドクターが「臆病心はクソ (chickenshit)」といった現代的な俗語を口にする場面がありますが、これは自分の存在権利を勝ち取るために闘ってきたドクターだからこそ、どのような言葉を使おうと自由であるという誇りの表れだとのこと。(Collider)

・タイトル “Vox in Excelso” はラテン語で、教皇クレメンス5世がテンプル騎士団の解散を命じた際の勅書に由来。クライマックスの戦闘で登場するクリンゴン艦隊は、スター・トレック:ピカードでもあったようにMMOゲーム “Star Trek Online” のデザインを正史に採用したものです。登場する3種は、ゲーム内では Ketha (ケサ) Recon Raptor、M’Chla Bird of Prey Refit、QeHpu’ Advanced Light Battlecruiser と呼ばれています。「さらにSTOのオリジナル宇宙艦がワープしてきたことを光栄に思います」とSTOのアートディレクターは語っています。(TrekMovie)

  1. 日本語字幕ほかではジェイデンと続けて表記していますが、間にハイフンが入るため当サイトの指針に従いジェイ・デンとしています。Jean-Luc は「ジャン・リュック」か「ジャン=リュック」ですよね、普通。だから「ジェイ=デン・クラーグ」もありかと。逆に言うとローワー・デッキのドクター・タアナ (T’Ana) が「タ・アナ」だったのはちょっと (アポストロフィは発音上、区切らない)。 ↩︎
  2. フレッシュな若手俳優陣は例えば allcinema といった総合サイトでも名前の定訳が少なく、WOWOW ではカリム・ダイアンと表記しています。しかし本人の発音では明らかにディアネが近いと思われますので、この表記としています (みんな名乗ってて面白い動画)。 ↩︎

スター・トレック:スターフリート・アカデミー シーズン1は2026年2月現在、Paramount+ (WOWOW オンデマンドJ:COM STREAMAmazon Prime Video サブスクリプション/Lemino チャンネル) で配信中です。