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ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第97話「心は闘いに傷ついて」
Extreme Risk

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・イントロダクション
ヘルメットを抱え、防御服を着たトレス。「上昇。」
シャトルのパイロット※1は警告する。「中尉、既に高度 20万メートルです。熱中性子化してしまいます。」
「いいから上昇。」
シャトル後部からは、惑星の大気圏が見えている。
パイロット:「高度 30万メートル。」
トレス:「水平に飛行。コンピューター、安全プロトコルを解除せよ。」
『警告。安全プロトコルを解除すれば、負傷のリスクが極めて高くなります。』
「オーバーライド。」 ヘルメットをかぶるトレス。
『了解。安全プロトコルを解除しました。』
「合図したらフォースフィールドを下げて。」
パイロット:「了解。」
後部に近づくトレス。「下げて。」
フォースフィールドが消えた。すぐにトレスは外へ飛び出す。惑星の上空を降下していく。
通信が入った。チャコティだ。『ブリッジよりトレス。』
つぶやくトレス。「何よ、こんな時に。」
『ただちに機関室へ。』
「コンピューター、プログラムを終了。」
大気の映像が止まり、トレスの体はゆっくりと垂直になった。映像は全て消える。ヘルメットのカバーを上げるトレス。ホロデッキを出る。

その格好のまま廊下を歩いていると、セブンが別の部屋から出て来た。「今回の任務に、防御服が必要なのか?」
「ホロデッキにいたの。軌道ダイビング※2で。」
「外軌道で船から飛び出すとは、興味深いレクリエーションの形態だ。探査機は発射できるが、遠隔測定リンクに問題があった。」 話を聞いていないようなトレスにセブンは尋ねる。「中尉? どうかしたのか。」
「実を言うと気分が悪いの。私がいなくてもできるでしょ。」
「私に任せるというのか?」
「できない?」
「いや、意外なだけだ。ドクターに連絡を取ろうか。」
「いいえ、いいの。」
セブンを残し、歩いていくトレス。

※1: (Daniel Betances) 声:河野智之

※2: 軌道スカイダイビング orbital skydiving
映画 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」のオープニングシーンは、当初ジェイムズ・カーク大佐が軌道スカイダイビングを楽しむものでしたが、最終的にはカットされました。カークの防御服は後にトレス用に改造。防御服を着たカークの写真は、映画の小説版に掲載されています

・あらすじ
ヴォイジャーの探査機が、マロンの貨物船に奪われそうになった。そのボーグ・シールドを利用した探査機をヴォイジャーから操作し、一時的に巨大ガス惑星の中に逃げ込ませる。追いかけたマロン船は惑星の大気圧に耐えられずに爆発した。惑星大気にはまってしまった探査機を転送回収したり、ヴォイジャーが大気内に入ることはできない。そこでパリスは、以前から設計していた大型・高性能なシャトル、「デルタ・フライヤー」を建造することを提案した。だが会議中や、ホロデッキでのシャトルのデザイン中も、トレスは全くやる気がない様子を見せる。パリスにさえも、何も話そうとしない。人目を忍んで独りホロデッキへ入り、安全プロトコルを解除してカーデシア人と素手で戦うトレス。
マルチスペース探査機を奪うため、新たにマロン船が現れた。トレスは自室に持ち込んだ医療機具を使い、怪我を治療する。食堂で祖母がよく作ってくれたというバナナパンケーキを注文するトレス。それを食べても、出るはずの笑顔は出ない。セブンがマロン船を密かにスキャンした結果、彼らも大気圧に耐えられる小型船を建造していることが明らかになる。しかも、このままではデルタ・フライヤーより早く完成する。
貨物室で急ピッチで開発に取り掛かるクルー。パリスの趣味で、コントロールの一部はスイッチやボタン式になっている。トレスは再びホロデッキに向かい、独りでデルタ・フライヤーの航行テストを行う。安全プロトコルを解除したため、トレスは衝撃を受けて倒れた。マロン船はシータ放射線を帯びた廃棄物をばらまき、ヴォイジャーを妨害する。応答がないトレスのところに駆けつけたチャコティのおかげで、彼女は一命を取り止めた。
トレスには数ヶ月前からのいくつもの傷の痕跡があった。ジェインウェイにも何も明かさない。チャコティはトレスのホロデッキの使用記録を調べ、彼女が使っていたプログラムに連れて行く。ホロデッキに入ったトレスはプログラムを停止させようとするが、それを止めるチャコティ。その内容とは、マキの仲間が虐殺されるものだった。トレスは以前、マキ壊滅の知らせを聞いてこのプログラムを作り、それ以来ずっと様々な危険なプログラムを使っていた。悲しみを受け入れろというチャコティに対し、トレスは 6歳の頃に去った父親、19歳で辞めたアカデミー、そしてマキと、これ以上家族や仲間を失いたくないという。ヴォイジャーには新しい家族がいる、一緒に乗り越えようとチャコティは説得した。一方、マロンは急にヴォイジャーを攻撃してきた。その隙にシャトルを発進させるマロン。
デルタ・フライヤーも発進しなければならない。やる気を取り戻したトレスは、チャコティに自分を搭乗させるように頼んだ。行かせるチャコティ。パリス、キム、セブン、そしてトレスが乗ったシャトルが出発する。マロン・シャトルが攻撃してきたため、ボーグの技術を利用した光子ミサイルで反撃する。探査機は回収できたが、船体に穴が開き始めた。トレスはへこんできた部分に板を当てて補強、さらにフェイザーで即席のフォースフィールドをこしらえた。船体に穴が開くが、見事もちこたえる。帰艦したトレスはチャコティに礼を言う。「だけど、もし今度あんなことしたら、首をへし折るわよ。」 そして食堂へ入り、バナナパンケーキを食べ始めた。笑顔を浮かべながら。


・用語解説など
ヴレルク指揮官
Controller Vrelk
(Hamilton Camp DS9第118話 "Ferengi Love Songs" 「愛の値段」などのレック (Leck) 役) マロン貨物船の代表。声:宝亀克寿
ヴォーラック
Vorik
(アレキサンダー・エンバーグ Alexander Enberg) VOY第92話 "Demon" 「人を呼ぶ流動生命体」以来の登場。声:森田順平

マロン貨物船
Malon export vessel
VOY第95話 "Night" 「暗黒の汚染空間」より
デルタ・フライヤー
Delta Flyer
シリーズ・プロダクション・デザイナーの Richard James、上級イラストレーター Rick Sternbach によるデザイン
テトラバニューム合金
tetraburnium alloy
トレス 2-1-6
Torres 2-1-6
ホロデッキプログラム名
赤ワイン
burgundy
マルチスペース探査機
multispatial probe
ケリナイト
kellinite
バナナパンケーキ
banana pancakes
(トレス・ゼータ・1)
Torres Zeta-1
ホロデッキプログラム名。なぜか「トレス 2-1-6」と吹き替え。2-1-6 はカーデシア人と戦うもので、ゼータ・1 がマキの虐殺です。VOY第83話 "Hunters" 「宇宙の闇に棲む狩人」に関係
リ・パーズ
Li Paz
マイアー
Meyer
ネルソン
Nelson
サーリーン
Sahreen
マロン・シャトル
Malon shuttle
光子ミサイル
photonic missile
メイプルシロップ
maple syrup

・感想
マキが壊滅したという知らせを、心の中ではずっと引っ張っていたトレスの苦悩が描かれます。VOYでは最近はあまり描かれることのないマキですが、とても強い結びつきだったことがうかがえます。
そして目玉となるのがデルタ・フライヤー。セブンによるボーグ仕様の兵器まで搭載している、掟破りの設計になっています。DS9 におけるディファイアントみたいなもんでしょうね。
全体的には普通のエピソード。


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