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TNG エピソードガイド
第127話「タイム・スリップ・エイリアン」(後)
Time's Arrow, Part II

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・イントロダクション
※1※2街角※3で話すサミュエル・クレメンズ。「タイムトラベルについちゃ私は昔から興味をもっとったんじゃなこれが、ハ。本だって書いたこともある。この時代の人間が 6世紀へ行って、現代の道具や武器をもたらすことで彼らの生活を向上させようとするが、混乱を巻き起こしてしまうという話でなあ。ま、この…」 葉巻を口にし、つばを吐く。「時間を移動するってのは一見奇抜だが、それほど現実離れしたものじゃない。実は何と今ちょうどこの街に、未来人が来てるんだ。ここにだぞ、このサンフランシスコにな。彼らは私の本の主人公が、アーサー王の時代を騒がせたようにここに大混乱を起こすつもりなんだ。だがな…」
笑うクレメンズ。「そうは簡単にはいかんよ。私が証拠をつかんで未来人の陰謀を暴いてやるからな。お前らなどお呼びじゃないってことを、はっきり思い知らせてやる!」
記者※4:「このネタで、コネティカット生まれのヤンキー※5の続編が書けますね、トウェイン※6さん。」
「トウェインはよせ、私は…サム・クレメンズだ。ちゃんと書いとけ?」
「サム・クレメンズ。」
「ああ。」
「わかりました。」
データがホテルから出てくるのを見た、クレメンズ。「じゃまたな。」
歩いていくデータ。その横を、ヘビの杖をもった男女が通っていく。
データを追うクレメンズ。地球人に化けたデヴィディア人たちは、辺りを見ながら歩いていった。


※1: このエピソードは、第6シーズン・プレミアです。西暦は 2369年になります

※2: 1993年度エミー賞で衣装デザイン賞とヘアスタイリング賞をダブル受賞、音響編集賞にノミネートされました

※3: 前編のロケとは異なり、パラマウントのニューヨーク通り撮影地が使用されています。看板には「オクダ・クリーニング店 (Okuda Laundry、マイケル・オクダより)」、「ジェイムズ銀行 (James Bank、製作デザイナーの Richard James より)」、「パーサー木工所 (Purser Carpentry、大道具の Tom Purser より)」といった内輪ネタがあるそうですが、確認できません

※4: 若い記者 Young reporter
(アレキサンダー・エンバーグ Alexander Enberg TNG第167話 "Lower Decks" 「若き勇者達」のトーリク少尉 (Ensign Taurik)、VOY第55話 "Fair Trade" 「密売人」などのヴァルカン人ヴォーラック少尉 (Ensign Vorik)、第115話 "Juggernaut" 「憎しみはコロナの果てに」のマロン人機関士その3 (Third Malon Engineer) 役。ゲーム "Voyager: Elite Force"、"Away Team"、"Elite Force II" でも声の出演。脚色のジェリ・テイラーの息子) 声はロンドン役の檀さんが兼任

※5: 「アーサー王宮廷のヤンキー (アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー、A Connecticut Yankee in King Arthur's Court)」のこと。1889年。結局、続編はありません

※6: ペンネームが言及されるのは、ここが初めて。吹き替えでは明らかに「トウェイン」と言っている個所もありますが、トウェインに統一してあります

・本編
遺体※7に布をかけるライカー。「検死官の話では全員コレラで亡くなった人らしい。」 当時の警官の格好だ。
ドレス姿のクラッシャー。「たかがコレラで、こんな大勢の人が死ぬなんて馬鹿げてるわ? 大した病気じゃないもの。」 トリコーダーを使う。「ウィル。…奇妙だわ。」
ライカー:「何が。」
「小脳、大脳皮質、それに脳幹も。神経系の全ての器官から、エレクトロケミカル・エネルギーが失われてるわ。」 別の遺体を診るクラッシャー。「この遺体も、エネルギーが消失してる※8。この人たちの死因はコレラじゃない。神経エネルギーを何かに吸い取られて死んだんだわ?」
「吸い取られた。デヴィディア星で、エイリアンが摂取していたのはそれか。ドクターが人間の神経エネルギーをむさぼるタイムトラベラーだったら、獲物をどこで探しますか。」
「伝染病が蔓延している、過去の時代へ旅するかもね。伝染病に見せかけて殺せば、疑われないもの。」

サンフランシスコのアパート。
クラッシャー:「神経エネルギーを吸い取られた犠牲者の多くは、シスターズ・オブ・ホープ病院※9の患者よ?」
ライカー:「無料奉仕の慈善病院だ。」
トロイ:「エイリアンが患者を殺したのなら、何か異常に気づく人がいるはずよ。」 全員 19世紀の格好だ。
ピカード:「奴らは人間の姿に化けて紛れ込んでいるのだろうが、どうやって見分けるかが問題だな。」
ライカー:「トリコーダーなら、エイリアンが発するトリオリック波を感知できます。エイリアンさえ動きを見せれば、捉えられます。」
ラフォージ:「それなら何らかの、警報システムを備えつけておきましょう※10。」
「データの手がかりの方は。」
「ありません。近くにいれば、データのサブプロセッサーがトリコーダーのエミッションを感知できますが、範囲が限られます。発見はまず不可能です。」
ドアを叩く音。
ラフォージ:「…また彼女だ。」 ヴァイザーを外す。
女性の声。「ピカードさん、いないの?」 ラフォージはサングラスをかけた。
ピカード:「……カーマイケルさん※11、何でしょうか。」 ドアを開ける。
カーマイケル:「ピカードさん。水曜だと言ったのをお忘れのようね。」
「…というと?」
「今は木曜の 1時よ? この前はっきり言ったはずですけどね? 家賃の支払いは毎週、水曜の 1時までにきっちりいただきますってね。」
「あー…そうでした。ええ…家賃ね。ああその…カーマイケルさん…ちょうど今、我が…我が一座は、芝居の稽古をしてましてね?」
「まあ。劇団なんてことも初耳だわ? どんな劇をやってるの?」
「…劇ね。…ああ…真夏の夜の夢※12です。各地で公演しましてロンドンやパリ、ミラノ。あ…ミラノでは、大入り満員でした。ですから御安心を、必ず払いますとも。礼金つきで。」
「もうその手には乗らないわ。この前も口の上手さにコロッとだまされちゃったんだから。明日の 1時まで耳を揃えて払わなかったら、全員道端に放り出しますからね!」 カーマイケルは出ていった。
ため息をつくピカード。

部屋に入れるジャック。「クレメンズさんだから通すんですよ。このことは、絶対に言わないで下さいね。噂は怖いですから…」
クレメンズ:「ああ…もちろんだジャック。私を部屋に入れなかったら、かえってデータ君に叱られるぞ? 今すぐに彼が私に宛てた同意書を見つけなければ、投資家が手を引いてせっかくの取引が御和算になってしまうんだからな。」 物色する。
「取引って、データさんのエンジンのことでしょ。」
「エンジン?」
「あれです。」
「ああ…そうだ…。」
笑うジャック。
クレメンズ:「そうとも。これについての、取引を進めとってな。」 不用意に触り、感電する。
ジャック:「…頼まれついでにもう一つ力になりますよ。」
「ああ?」
「作品のネタが欲しいでしょ?」
「ああ。」 機械をつつくクレメンズ。
「実は、いいネタがあるんですよ。俺の、体験談です。若造だとお思いでしょうが、いろんな経験をしてるし、自分で言うのもなんですが絶対面白いと思いますよ。どうです、どう思います?」
「何がだ?」
「俺の人生についてですよ。2人で組んで、本を出版しましょうよ。」
「せっかくだが、わたしゃもう既に自分のことで手一杯だ。それに君の話を一番上手く書けるのは、君だよ?」
「…俺が? 作家に? 書けると思います?」
「自分のことなら書けるさあ、心にある情熱や夢を綴ってみろ!」
「夢ね? 旅に出たいですね、海を渡りたい。アラスカもいいなあ、なぜだかアラスカに惹かれるんです。」
「いい夢じゃないか! 私も君の歳なら行ってみたいと思うだろうねえ。アラスカ、クロンダイク川、オーロラ、動物たち、それだよ! 夢を追うことだ、それを書きたまえ。」 ドアを開けるクレメンズ。
「あ、ありがとうございます。やりたいことがはっきりと見えました。」
「がんばるこった。」
「絶対本を出してみせます。」
「楽しみにしてる。」
「お忘れなく。俺の名前は、ジャック・ロンドン※13。」
「それじゃな。」
「どうも。」
クレメンズは鍵を閉めようとするが、上手くいかない。また機械に触り始める。
部品を一つ取ってしまい、流れていた電流が消えた。
音が響き、データの声が聞こえてきた。慌てたクレメンズは、タンスに隠れる。
ガイナンが相手のようだ。「…不思議な話。」
データ:「ところで、洞窟の件だが。」 帰ってきた。
「測量技師を雇って、洞窟は見つけたわ。でも中には入れないの。例の鉱山の入口は陸軍の基地の中にある、砦※14のとこなのよ。」
「何とか、入れるようにして欲しい。」
「…何とかって?」
「採掘する許可を取ればいい。」
「それは無理よ。もう手は尽くした…」
「私は君の交渉能力を、買っている。」
「…まあ、舞踏会よりこっちの方が面白いけどねえ?」
「変だなあ。トランシーバーの部品がなくなってる。これでは、時間移動を感知することができない。」
「…トウェインね?」
「クレメンズ?」
「そうよ。あの人疑ってるもの。屋敷を見張ったり、私につきまとって質問攻めにしたり。誰かが盗んだのなら絶対あの人よ。」
「だとしたら彼は危険だ。長い時間あの部品に触れていると、人体の細胞組織に害がもたらされてしまうんだ。」
小さな音が聞こえた。タンスを開けるデータ。
見つかったクレメンズは、咳をした。


※7: 一部資料では、「死体安置所係員 (Morgue Attendant)」という役をヴァン・エパーソン (Van Epperson、DS9第7話 "Q-Less" 「超生命体“Q”」のベイジョー人職員 (Bajoran Clerk)、ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」の異星人男性 (Alien Man) 役) が演じていることになっています。脚本にも名前はありますが、出演シーンは確認できません。カットされたものと思われます

※8: 神経消失 neural depletion

※9: Sisters of Hope Infirmary

※10: 吹き替えでは「トリコーダーの中に、警報システム…」。後に病室でピカードがランプのところに設置する物を指しています

※11: カーマイケル夫人 Mrs. Carmichael
(パメラ・コッシュ Pamela Kosh TNG第177話 "All Good Things..., Part I" 「永遠への旅(前編)」のジェセル (Jessel) 役) 声:浅井淑子

※12: A Midsummer's Night Dream
シェイクスピア作

※13: Jack London
ここで初めて姓が明かされ、実在の作家だとわかります (1876〜1916年)。「荒野の呼び声 (野生の呼び声)」など。実際のロンドンもサンフランシスコ生まれで、若い頃はカキ漁船に乗りました。1897年にクロンダイクへ

※14: プレシディオ Presidio

部品を拾うデータ。
手を拭くクレメンズ。「マダム・ガイナン。データ君。」
ガイナン:「忍び込むなんて、恥を知りなさい。」
「恥ですと、とんでもない! あんた方の陰謀を暴くためだ、何も恥じることはない!」
「何も企んでないと言ってるでしょ?」
「ああ、何度聞いてもあんたはその一点張りだ※15。フフーン、君たちは実に奇妙なコンビだなあ。データ君、君はスイスのどこの出身だと言っとったかな。」
データ:「…スイスじゃなく、フランスです。」
「ああそうかそう言っとったな、思い出したよ。フランス人ね? 君にはポーカーの才能があるそうじゃないか。友達のチェス・ホイットリー※16が君に是非よろしく言っといてくれと言っとったぞ? 次は、いつ会えるかなーって。」
「ホイットリーという知り合いはいません。」
「そうか? 鉱石分析所に務めてる男で、何度も君から地質学者として雇ってくれと売り込みがあったと言っとったぞ? それに採掘に関する情報をくれと、通ってたらしいな。1850年代のことだ、思い出したか?」
「その名前には覚えがありませんが、あそこの方とはお話ししたことがあります。」
「ほーらそうだろう? それに登録事務所や、地質学の学会や、チャイナタウンにある鉱物を扱う専門店にも頻繁に出入りしてるという噂を聞いたが、それも否定しないよな?」
「あなたも足しげく通っていますね?」
「ああ…」 笑うクレメンズ。「だがさすがの私にも、君の存在は謎だ。例えばこの珍妙な機械だがな、見た目からしても非常に何というか…未来的だ。教えてくれ、これは『時間移動』と関係のある装置なのかな?」
「…ある意味では。」 データは起動させた。「この機械で通信を行えば、馬はいりません。時間を節約できます※17…」
「この! 私をバカにしとるのか? 君は未来からこの時代に、こうした恐るべきテクノロジーをもってやってきた未来人だ! 目的が何だか知らんが、間違いなくこの時代の善良な市民に、災難をもたらすだろう。」
ガイナン:「あの、クレメンズさん? お話はもう十分にわかりましたわ。データさんはお忙しい身なの。今すぐ、ここからお引き取り願います。」
「マダム・ガイナン、はっきり言っておきますが私は本気ですよ? これは人類の、今後に関わる大問題だ。何としてもあなた方 2人の、策略を阻止しなければならない。それがこの私に課せられた使命なんだ!」 クレメンズは部屋を出て行った。

シスターズ・オブ・ホープ病院※18
ランプにカバーをつけるピカード。
医者のアポリネイア※19。「ランプに何をしてるんだ。」
ピカード:「…バーナーを替えました。町の条例で、替えろってことで。地震に備えてね?」
「この 30年地震などないぞ。」
「特に、ここは替えないとね。取り替えの時期だ。」 出ていくピカード。
「…地震などあるか。君。ここを見ていてくれ。私は会議に出なければならない。」
看護婦姿のクラッシャーは、トリコーダーを隠した。「お任せ下さい。」 アポリネイアが出ていくのを確認し、トロイたちに近づく。
ラフォージ:「あそこ、あのベッドのとこにトリオリック波の残像が見えるよ。この 24時間以内にエイリアンが、ここに来ていたんだ。」
「あのベッドの患者は夕べ亡くなったわ?」
トロイ:「こっちの人が、見知らぬ医師と看護婦がその人を診てたと言ってたわ? まだここにいるかも。」
ラフォージ:「うん。」 トロイと病室から出ていく。
咳き込む患者※20に、水をくむクラッシャー。「さあ、飲むと楽になるわよ。」
ランプにつけた装置が、小さな音と光を発し始めた。
医師と看護婦の姿をした、男女がやってくる。
クラッシャーのそばからも音が聞こえる。トリコーダーが反応していた。
反応の元となった 2人に気づいた。相手はこちらを向いていない。
密かにコミュニケーターを押すクラッシャー。
男女に近づく。「お手伝いしましょうか、先生? アポリネイア先生のお話では、この患者さんは悪寒が激しく不整脈が見られるそうですわ? …変わったステッキですね。」
ライカーたちが駆け込んできた。
ラフォージ:「ドクター!」
杖で殴りかかろうとする男。
ラフォージ:「よせ!」 逆に殴り倒した※21
フェイザーで威嚇攻撃するライカー。デヴィディア人たちは、そのまま消えてしまった。

データの装置が反応している。紙を見るデータ。
すぐにホテルを出て行く。

ヴァイザーを外すラフォージ。
声が聞こえる。「ちょっとどいた、どきなさい前を開けて。ここで、発砲事件があったと聞いたがどういうことだ。」 警官※22が病室に入る。
ライカー:「ただの誤解でした、お引き取り願うところです。」
「見かけない顔だ。」
「今朝ほど、ダウンタウンから着任したばかりです。」
「私は 3年もダウンタウンにいるが、見たことないぞ。」
ピカード:「もう、失礼する。」
「いや待った、待て。質問をしたいから全員署まで、御足労願おう。君も来たまえ。」 ヘビの杖を取り上げる警官。「こりゃどこで。ずいぶん高級な品だな。こんなステッキ初めて見た。証拠品として、没収させてもらうぞ?」
「…非常に残念ですが、法を破らせてもらいます。」 ライカーは警官を殴った。
倒れる警官。
ピカード:「行くぞ!」
サングラスからヴァイザーに戻し、走るラフォージ。

杖を持って病院を出るライカー。ピカードたちも続く。
そこへ、馬車が近づいてきた。
ライカー:「データ!」
操っているのはデータだった。乗り込む一同。
ラフォージ:「よう、会えて感激だ。」
データ:「再会の挨拶は、後にした方がよさそうですね。」
ピカード:「同感だ、出してくれ。」
警官たちが、笛を鳴らしながら走ってくる。「追え、あそこだ! 逃がすな!」
逃げる馬車。警官は追うこともできない。


※15: 一部資料では、この時代の (架空) 人物として「トルーマン・ウィリアムズ判事」が言及されているとあります。しかし脚本でこの後のセリフに含まれているだけで、実際にはカットされています。同様に「マローリー将軍」も、後のガイナンのセリフに脚本内で含まれるだけ

※16: Ches Whitley

※17: 原語では「時間移動 (タイムシフト) とは私が発明したギア機構で、馬を使わずに移動できます」

※18: 博物館から借りた消防用馬車が使われているそうですが、どこで映っているかは未確認。ここで病院の前を通る馬車かも?

※19: ドクター・アポリネイア Dr. Apollinaire
(ジェイムズ・グリーソン James Gleason) 声は警官役の岸野さんが兼任 (一部資料では一城さんの兼任になっていますが、そもそも男性です)

※20: 男性患者 Male Patient
(ビル・チョー・リー Bill Cho Lee) 声はロンドン役の檀さんが兼任

※21: ここでデヴィディア人男性が叫び声を上げ、声は警官役の岸野さんが兼任。エキストラなので、俳優はクレジットされていません

※22: Policeman
(ウィリアム・ボイエット William Boyett TNG第12話 "The Big Goodbye" 「宇宙空間の名探偵」のダニエル・ベル警部補 (Lt. Daniel Bell) 役。2004年12月に死去) 声:岸野一彦 (前編の科学者役)

ピカードが借りているアパート。
杖を手にしているラフォージ。「フェイザーをトリオリック波に近い周波数にして、フィールドバーストを起こせば反応するかも。」
ピカード:「うーん。」
フェイザーを照射すると、形が変わった。生きているように口を開く。
トロイ:「エイリアンが持っていたヘビだわ。」
辺りの空間に影響する。
ライカー:「これは。」
杖の形は元に戻った。
ラフォージ:「時間の連続体に、小さなひずみが生じたんです。洞窟のやつと同じだ。」
ライカー:「一瞬で消えるひずみしか作れないな。」
データ:「エイリアンは、自在にひずみを発生させることができます。特定の時間と場所に。」
クラッシャー:「…きっと何かを持ってるのよ、ひずみを操る機械をね。」
ラフォージ:「トリオリック波を、高レベルで発生できる装置なら可能だなあ。あの洞窟にあったようなやつならね。」
データ:「洞窟の場所は突き止めた。」
ドアを叩く音。
カーマイケル:「ピカードさん。」
慌てて準備するピカードたち。
カーマイケル:「いるのはわかってるのよ、ドアを開けてちょうだい。」
出迎えるトロイ。「まあカーマイケルさん。」
本を読むデータ。「『おや妖精じゃないか、どこへゆくつもりだい。』」
クラッシャー:「『山を越え谷を越え茂みを抜けイバラを抜け庭や…』」
トロイ:「丁度いいところにいらして下さったわ?」
ピカード:「役者が足りなくて困っていたところですよ。」
カーマイケル:「ピカードさん、あれほど言ってもわからないようね!」
「シーッ。」
ライカー:「『…月夜に嫌な出会いだ、傲慢なタイターニャ。』」
本を渡したピカード。「さあカーマイケルさん、ここです。」
ラフォージが持っていた本を、上下逆さまにして直すトロイ。
ライカー:「『月夜に嫌な出会いだ、傲慢なタイターニャ。』」
カーマイケル:「あ…『まあ。嫉妬深い、オーベロン。妖精たちよ、さあお逃げ。あの人の寝間はおろか、そばにも寄らぬと誓ったのだから。』」
本を取り上げるピカード。「決まりだ、これ以上聞く必要はない。…あなたほど、ピッタリの方はいません。」
カーマイケル:「…ほんと?」
「諸君、ようやく我らがタイターニャが見つかった。賛成だな?」
拍手するトロイたち。
カーマイケル:「そんな、劇なんて。子供の頃教会でやったきりよ?」
ピカード:「経験者だと思いましたよ。…早速リハーサルだ、明日から。」 キスする。
笑うカーマイケル。

ホテルで待っているガイナン。ドアが開いた。「待ってたわ。いい知らせよ。何とか鉱山の洞窟に入り込む方法を見つけたわ。」
データに続いて、ピカードも部屋に入った。「心配はない。」 帽子を脱ぐ。
ガイナン:「私を御存知?」
「よく知ってる。」
「…知り合いなの?」
「長い付き合いだ。これから。」

病院を出る記者。「ご協力、感謝します。」
警官:「じゃあ偽警官を見つけたら、必ず私に教えてくれよ?」
「はい、必ず。」
角に座っていたクレメンズ。「やあ坊や。」
記者:「クレメンズさん。どうしてここに。」
「いや、物書きの好奇心だ…。この病院の中で突然人が 2人、消えちまったって聞いたもんでね。」
「ええ患者からそういう話が出たんですが、警察は否定しているんです。」
「ああ、そうだろうな。」
「警察の話じゃならず者の一団が中に爆弾を仕掛けて、逃げていったとか。」
「ああ、そいつらはどんな連中だったって?」
「顔の白い男が操る馬車で、逃げていったらしいんですけどね?」
「ああ、データ君か。」
「…ご存知ですか。」
「よーく知っとるとも、仲間も一緒だったんだな?」
「ええ、ああ 10人以上いたそうです。」
「ハ! 仲間まで大挙して未来から来たのか。何てこった、こりゃ侵略だよ。おーい!」 馬車を呼ぶクレメンズ。
「未来からの侵略ですか? クレメンズさん、何を根拠にそんなことを。証拠は。」
「君の締め切りは何時だ?」
「5時です。」
「それじゃ、新聞社で待ってろ。4時半に行こう。君を一躍花形記者にしてやる。」
「ありがとうございます。」
「陸軍の基地へ行ってくれ、思いっきり鞭を入れろよ。」
喜ぶ記者。

洞窟のライカー。「トリオリック波はデヴィディア星と同じレベルだ。だが装置はどこにもなさそうだな。」
ラフォージ:「そうでしょうか。ヴァイザーに、結晶のような断片が見えます。この洞窟の壁のある種の分子は、分極化されているようです。それで、この壁が時空※23をひずませる役割を果たしているのかもしれません。レンズのように。艦長。…どうやら謎が解けました。この洞窟全体が、時間をひずませる装置なんですよ。ここと、デヴィディア星の洞窟は同じ環境です。」
ピカード:「ではあちらに戻って洞窟を爆破すればタイムトラベルはできなくなるな。」
ライカー:「ヘビを動かせれば。」
ラフォージ:「しかし、戻れる保証はありません。エイリアンはトリオリックエネルギーによって移動していますが、我々のフェイザーで代わりになるかどうか定かではありません。」
ピカード:「…試してみるしかない。」
クレメンズ:「やったぞ! ついに未来人が悪事を企む現場を押さえた。」 ピストルを持って、階段を下りてくる。「いやあ、もっと見物していたいところではあるがな。残念ながら、君たちを警察に連れて行かねばならんようだな。」
データ:「クレメンズさん、我々にはやらねばならぬ使命がある。」
「データ君、悪いが君の作り話や思いつきの言い訳など、もうウンザリだ。一切聞きたくなんかないね! 君たちの恐ろしい策略から人類を守ることが人の道であり、この私の使命なんだ。さあ、下がって。…未来からやってきたタイムトラベラーにも、拳銃※24の威力が通じるとは知らなかったな。そいじゃ、出発だ。記者の青年と約束がある、遅れるわけにはいかんのだ。」 懐中時計を出すクレメンズ。
そこに突然、デヴィディア人の男女が現れた。トロイが持っていた杖を奪う。
稼働し始めるヘビ。データは素早く杖をつかみ、男を突き飛ばした。
ヘビは強く光る。離れるデヴィディア人の女。
データの身体に電流が走る。そこに白い空間が現れるのと同時に、データの首が弾け飛んだ。
衝撃で倒れる周りの者。転がるデータの頭部。
ピカードは起き上がった。時間の扉が開いている。
デヴィディア人の男は女を見たが、意識を失っている。そのまま空間に飛び込んだ。
ピカード:「後を追え。」
ライカー、ラフォージ、トロイ、クラッシャーは時を越える。
倒れたままのガイナンに近づくピカード。起き上がったクレメンズは、ピカードと目を合わせた。
時空の門は不安定になってきている。
迷ったクレメンズは飛び込んだ。同時に口は閉じる。


※23: 吹き替えでは space-time を、そのまま「宇宙時間」と訳しています

※24: 原語では「コルト45」と言っており、前編とつながります (前編の脚注※5)

洞窟で起き上がるライカー。「みんな無事か。」
クラッシャー:「そのようね。」
「あなたまで。」
クレメンズ:「ああ…。ああ、ここはどこだ。未来か?」
「ここは 24世紀のデヴィディア星だ。あなた、来るべきじゃなかった。」
「君たちは私の時代に来たくせに、私がここへ来てはいけないという理由はないと思うがね。君たちが未来の世界をどう操っているか見たかったんだ。」
トロイ:「未来を操るって?」
「人類の未来はどうなっとる。」
ライカー:「だがマーク・トウェインが消えると、19世紀文学の巨匠が消えてしまうことになるんですよ。」
「そりゃどうも。」
「そりゃ許しがたいことだ。」
「だがな、作家なら誰だってこれほどの経験ができるチャンスは、逃せないと思うがね。」
ウォーフの通信。『こちらブリッジ、聞こえますか。』
ライカー:「聞こえているぞ、ウォーフ。5名の収容準備にかかれ。」
ラフォージ:「副長!」
そこに、首がないデータの身体が転がっていた。
ライカー:「ウォーフ。」
ウォーフ:『はい、副長。』
「6名に変更してくれ。」
転送される一同。身構えるクレメンズ。

転送室に実体化する。
クレメンズ:「ああ…今度は、どこだ。」
ライカー:「宇宙船、エンタープライズの艦内だ。保安部に連絡して彼を連れて行ってくれ。」
「保安部だと、何てこった。私がここの物でも盗むと思っているのか?」 クレメンズは、やってきたウォーフに気づいた。「あ。狼男。」
「…ウォーフ、事情は後で説明しよう。」
ラフォージ:「データの身体を研究室へ運びます。前に回収した頭部をつけてみよう。」
クラッシャー:「でもあれは 500年も眠っていたのよ?」
「しかしそれしか手はありません。」
ライカー:「片時も、クレメンズさんのそばを離れるな。」
トロイ:「副長! この役は私にお任せ下さい。クレメンズさんを御部屋にお連れしますわ?」
「名案だ。カウンセラーが案内します。」
クレメンズ:「いやあ、マダム。光栄です、参りましょう。ああ、これが宇宙船ね。」 笑い、出ていく。「ハレー彗星※25と衝突する心配はないのかね…。」

ガイナンについているピカード。手を顔に当てる。
目覚めるガイナン。「うーん。うーん。」
ピカード:「ゆっくり?」
「うーん…」
「急に起き上がっちゃダメだ。」
「…ああ。……みんなはどこへ。」
「上手くいけばエンタープライズへ戻っている。」
「…なぜ残ったの?」
「怪我をしたようだったから無事を確かめたかった。」
「私のために残ったの?」
「君にもしものことがあっては困る。大切な乗員だからね。」
「…私をよく知ってるのね?」
「うーん。だが未来では君の方が、私のことに詳しいよ?」
「…友達になるのね?」
「いやあ。…友情より強い絆ができる。」
「…ああでも、500年待たなきゃならないの。」
「うーん。」
「そうして、出会ってもここでのことを言っちゃいけないんでしょ。」
「そうだ。その時の私は、このことを何も知らない※26。」
「うーん。ああ……あれは。」 データの首を見るガイナン。
「あれが戻ったとき歴史の輪がつながる。」
「ああ…。うーん。」 ガイナンは目を閉じる。

テン・フォワードのガイナン。「歴史の輪をつなげなければならないと艦長は御存知よ。」
制服に戻ったライカー。「君は洞窟にいた。この先を知ってる。私はどうしたらいい。」
ガイナン:「…洞窟で起こったことを教えてしまったら、あなたが下す決断を変えてしまうわ。…歴史を変えるわけには、いかないのよ。」
「私が決断を変えないように話してくれ。艦長は戻れないかもしれないんだ。そんな時に何もせず、じっと待ってろって言うのか。何とかしたい!」
無言のガイナン。ライカーは出ていった。

廊下を歩くクレメンズ。「私にとっては、いい葉巻が手に入らない世界などいいところとは言えないね。」
トロイ:「一本お持ちでしたら、レプリケーターでお作りしますわ?」
「ああ、そんな模造品なんか御免だ。ハヴァナ産の一本一本手で巻いた葉巻の味が出せるとでも思っとるのかね? いやいや。」
「どうでしょうね?」
「未来の問題点はそこにある。すっかりテクノロジーに毒されてしまって、人生の味わいというものが全く失われている。レディのためにドアを開けることもできないなんて興ざめだよ。」 トロイの手をつかむクレメンズ。
「失ったものもあるでしょうが、それ以上に得たものは多いと思いますわ?」
「そうか? とにかく私は未来には感心できないね。こんなバカデカい宇宙船や兵器を開発して、街を破壊したり侵略するのが人間らしい暮らしとはとても思えんね?」
「それは誤解ですわ。」
「ハー、この船は戦艦じゃなくて調査のためのものだとか言っとったな。新しい世界を探索しとるんだって?」 ターボリフトから降りてきた、ボリアン※27が歩いていった。「あら、あ。」
笑うクレメンズ。「そりゃあ、スペイン人も同じことを言っとったよ?」
トロイはターボリフトに入った。「第36デッキ※28…」
クレメンズ:「ドイツ人やポルトガル人もそう言っては、ほかの国を侵略しとった。今そこですれ違ったあの、肌の青い男。彼はきっと、奴隷として連れてこられたんだろ。」
「探索によって出会った何千という種族の一人です。みんな惑星連邦に加わり、平和に暮らしていますわ? 自分の意思で乗船しているんです。」
「しかしこんな船に乗っているのは、恵まれた一部の者だけだろう? あんた方はここで贅沢な暮らしをしてるが、ほかの者たちはどうだ? 貧しい暮らしを、強いられてる者は。」
「地球に貧困はありません。撲滅されたんです。それによっていろんなものが解消されました。例えば、人生に対する絶望。」
「いいかね、私は一部の者が権力と富を独占し貧しき者を押さえつける時代から来たんだぞ? 人生に差別や不条理はつきもんだよ、権力が覆されるなんて考えられん! それが未来では、すっかり変わったと言うのかね?」
「そうです。」
「ああ…。やあ、まそれなら…葉巻が手に入らないことぐらい、よしとせねばならんかな?」
うなずくトロイ。2人はターボリフトを出る。

データの頭がつけられていた。
クレメンズとラボに入るトロイ。「上手くいきそう?」
ラフォージ:「まだわからない。活性化ユニットが初期化できない。干渉プログラムが働いてるせいかと思いたいが、やはり 500年も放置されてたせいかな。」
クレメンズ:「ハー! 私の時計だ!」 喜ぶ。「ほら、見てくれよ…。」
「…ああ。データの頭と一緒に回収した。それも 500年経ってる。きっと動かないだろう。」
データの身体に触れるクレメンズ。「データ君、私は残念ながら君を誤解しとったようだ。…未来のことは全て誤解してた。」

倒れたままのデヴィディア人の女性。その身体が揺らめいている。
本来の姿が見え隠れしている。
近づくピカード。「言葉がわかるか?」
デヴィディア人※29:『うん。ええ…。』
「怪我をしたな?」
『なぜ私達の邪魔をした。』
「人間を殺しているからだ。見過ごすことはできない。」
『…エネルギーが必要なの。』
「代わりになるエネルギーを探せばいいだろう。」
『無理よ、ほかにはない。…人間を殺すしかないのよ。』
「君たちが、時間を行き来していることはわかっているんだ。24世紀へ戻った私の部下が、君たちの時間転送基地を爆破するだろう。」
『爆破するですって? …あなた方の兵器じゃ時間のひずみを増幅するだけよ。…向こうの世界はおしまいだわ。』
デヴィディア人は消滅した。


※25: Halley's comet
クレメンズはハレー彗星が地球に接近した 1835年に生まれたため、「ハレー彗星と共に来たのだから、ハレー彗星と共に帰りたい」という言葉を残しました。実際に、その次に来た 1910年に亡くなっています

※26: ピカードに初めて会ったのは、ガイナンがエンタープライズに来てからということが TNG第27話 "The Child" 「光から生まれた生命」で言及されています。もちろんこの出会いを除いてという意味でしょうが、製作陣は忘れていたそうです。また、TNG第54話 "Booby Trap" 「メンサー星人の罠」では、スキンヘッドの男性が好みだと語っており、理由は「傷ついてた時に優しくしてもらった人がそうだったから」

※27: 名前は言及されておらず、演じているのもエキストラのレオナード・ジョーンズ (Leonard Jones)。ボリアンであり服装も理髪師であることから、モットと同一視していいかもしれません (TNG第103話 "Ensign Ro" 「流浪のベイジョー星人」など)

※28: 吹き替えでは「第34デッキ」

※29: デヴィディア人 (異星人) 看護婦 Devidian (Alien) nurse
(メアリー・スタイン Mary Stein) 声はクラッシャー役の一城さんが兼任

観察ラウンジのライカー。「私は艦長を救出に行く。ウォーフは惑星に降りる上陸班を組織してくれ。ドクター、あのヘビについてわかったことを教えて下さい。」
クラッシャー:「分析を始めたばかりよ? もう少し時間がないと…」
「これ以上は放っておけない。」
「でもフェイザーエネルギーで安定したフィールドを作れるかどうかわからないのに、行くのは危険だわ?」
「危険はわかってます。」
ウォーフ:「副長。忌憚なく発言しても?」
「いいだろう。」
「…最も重要なのは、エイリアンの地球への侵略行為を止めることです。一刻の猶予も許されません。」
「艦長を助け出すことさえできればその意見は受け入れるが。」
「救出は無理です! …私は、今すぐ洞窟を光子魚雷で爆破すべきだと思います。艦長もおわかりです。」
トロイ:「…正論だわ?」
ライカー:「……ウォーフ、魚雷の準備にかかれ。終わったら教えろ。」

ラボのラフォージ。「コンピューター、リロード※30サーキットを初期化しろ。」
コンピューター※31:『リロードサーキット、初期化完了。』
「よし。…データ。これでいいはずだ。」 頭部の回路に道具を当てる。「…全く。どうして動かないんだろう、さっぱりわからないよ。…コンピューター。インプットポラライザーを調べてみてくれ。」
『インプットポラライザーの接触が遮断されています。』
「遮断だって?」 データの後頭部を開けるラフォージ。「ハ?」
挟まっていた、小さな物を取り出した。「鉄くずか。何でこんなもんが。」

眠っているガイナンから離れたピカードは、データの頭部を拾った。後頭部を開ける。
周りを見渡し、細い棒を拾った。回路をいじり始める。

ブリッジのウォーフ。「副長、魚雷を時間差でセットしました。10秒間隔で連続して発射します。」
ライカー:「…よろしい、発射準備。」
「発射開始まで、残り時間一分です。」

命じるラフォージ。「コンピューター、インプットポラライザーをもう一度調べろ。」
コンピューター:『ポラライザーサーキット、作動可能。』
「よーしじゃあ、これで動くはずだ。」 回路が動き始め、笑うラフォージ。「さあ、データ。起きろよ?」
背中のスイッチを入れられたデータは、自分が入れられている格子の棒を握った。
ラフォージの方を向く。「光子魚雷。発射。エイリアン。」 後頭部に触れるデータ。「艦長が私のスタティックメモリーに、インプットしたメッセージを今解読している。ジョーディ。洞窟を爆破しようとしているか?」
ラフォージ:「ああ、それは…」
「今すぐに中止すべきだ、後で説明する。」
「こちらラフォージ、発射は中止だ!」

ブリッジ。
制服姿のデータ。「艦長※32が残したメッセージには不明瞭な点もありますが、光子魚雷によるフェイズのズレにどうやら問題があるようですね。爆破すれば、壊滅的な状況を生み出します。」
クラッシャー:「ではどうやってエイリアンを阻止するの?」
「それには兵器の、調整が必要です。爆発の力をリフェイズして、時間連続体を撃ち破るんです。」
ラフォージ:「魚雷にフェイズディスクリミネーターを装備すれば、時間を断ち切れます。」
ライカー:「装備はどれくらいで。」
「2時間はかかります。」
「その間に、艦長を救出だ。」
データ:「え?」
「19世紀へ戻って艦長を連れてくる。ドクター。」
クラッシャー:「フェイザーを調べた結果、時間移動は可能だとわかったけれど、安定性から見て一人の移動が精一杯よ。」
「…一人しか戻ってこられないということか。」
「そうね。」
トロイとブリッジに来ていたクレメンズ。「そういうことなら私に任せておきなさい。この私が 19世紀へ戻ればいいのだ、そして入れ替わりに艦長がこちらへ戻ってくる。」
ライカー:「だが戻れると、保証はできない。危険だ。」
「いやあ、何にでも危険はつきものさ。第一、一番理にかなっとるよ。私は本を書かねばならんし、艦長はここで仕事をせねばならん。」
「…ジョーディ、移動方法を説明しろ。」
ラフォージ:「了解。」
データの手を握るクレメンズ。「いやあ、君に礼を言う機会がもててよかったよ。」
データ:「お礼とは?」
「君のおかげで誰も経験したことのないこんな最高の冒険をさせてもらえたんだからな、ヘヘ! この偏屈な爺さんにも、未来の素晴らしさがよくわかったよ。テクノロジーは、いいもんだ。目から鱗が落ちるってのは、このことだな?」

座ったままのガイナン。「水が欲しいわ。」
近づくピカード。「外へ行って、助けを求めてくるよ。」
ガイナン:「駄目よ、ここを離れちゃ。迎えが来るわ。」
「いや、君は限界だ。」
いきなり人がやってきた。フェイザーを向けるピカード。
それはヘビの杖を持った、クレメンズだった。「いやあ! 全く寄りによって市場の真ん中に戻っちまってな。ここへ来るのに時間がかかった…。」

ブリッジのウォーフ。「ラフォージ少佐から連絡で、魚雷の準備はようやく完了したそうです。」
ライカー:「…艦長はとうに戻ってきていいはずなんだが。」
「…ミスター・クレメンズが、無事に戻ったかどうかは確かめられません。」
「…発射時間をセットし直してくれ。あと 5分だけ待とう。」
「了解。」

説明するクレメンズ。「無駄話をしている時間はない。」 杖を渡す。「さあ。ラフォージ君からの伝言だが、あんたのメッセージは届いたそうだ。フェイザーの周波数を、えーと 0.047 にセットすれば、この怪物がその、えー動き出す。」
ピカード:「一つ頼みがある、ガイナンを医者に診せてくれ。」
「任しておけ、約束するよ。」
「それにカーマイケルさんに家賃を払って欲しい。」
「ああ、お安い御用だ。」
「ありがとう。…できれば、もっとじっくりとあなたと知り合う時間が欲しかった。」
「ハー…それなら本を読んでくれよ。私のことがよーくわかるって。」 笑うクレメンズ。「あ?」
ガイナンに近づくピカード。
ガイナン:「500年後に会うのが楽しみだわ?」
ピカード:「帰って 500年後の、君に会うよ。」

報告するデータ。「副長。惑星上に強力な、トリオリック波が観測されます。」
ライカー:「艦長か。」
「生命反応はありません。」
制服の裾を伸ばしたライカー。「時間のひずみはないか。」
データ:「ありません。トリオリック波は、強まっています。」
「エイリアンだ。ウォーフ、魚雷の準備は。」
ウォーフ:「できています。」
「…発射しろ。」
連続して光子魚雷を発射する、エンタープライズ。
ウォーフ:「目標に向かっています。」
データ:「副長。惑星上に時間のひずみが発生しています。生命反応も見られます。」

起き上がるピカード。
辺りに大きな音が響き、空間が明滅している。
デヴィディア人の姿も見える。動く気配はない。

命じるライカー。「オブライエン※33、艦長を転送しろ!」

転送されるピカード。
爆発音と共に、一帯は真っ白になった。

ライカー:「艦長は収容できたか。」
ピカードの声が返る。『ああ間一髪だったが間に合ったよ。無事に戻った。』
微笑むライカー。
ウォーフ:「ターゲットに命中しました。トリオリック波は、惑星上から完全に消えた模様。」
ライカー:「少尉、最寄りの基地に針路を取れ。ワープ6。」
ワープに入るエンタープライズ。

『航星日誌、宇宙暦 46001.3。19世紀の人たちはエイリアンの脅威から免れ、24世紀の者は無事帰還した。データ少佐も復元され、元気な姿だ。そしてクレメンズは 19世紀の世界で元気に著作活動を続けるだろう。』
テン・フォワードに入ったピカードは、ジャケットを着ている。
ガイナンのいるカウンターへ向かう。二人は無言で見つめ合った。

洞窟のクレメンズ。「気をつけてくれよ、そーっと運ぶんだぞ。大丈夫だ、マダム・ガイナン。きっと元気になるよ。」
担架で運ばれていった。
クレメンズは、近くにあった懐中時計に気づいた。砂を吹き払う。「うん。」
ポケットに入れようとしたが、その場に置いた。出ていく。
そのそばには、データの頭が落ちたままになっていた。


※30: 吹き替えでは「ロード」

※31: 声はクラッシャー役の一城さんが兼任

※32: 非常に不思議なことですが、吹き替えではここだけ「キャプテン」と訳されています

※33: 実際には登場しません

・感想など
最近エピソードガイドで多く扱っている第6シーズンにおける、初めのエピソード。DS9 が始まる時期に当たりますが、TNG は円熟期と言えますね。前編同様に都合良いストーリー展開が見え隠れするので、個人的にはこれほど上位にくるとは思っていませんでした (順位としては、後編から 5話ほど空いて前編)。エミー賞も受賞しているように、文字通りの見所は多くあります。いろんな服を着たレギュラーの面々は、過去で別々に職に就いてから数ヶ月後に再会するという案もあったとか。
E・L・ドクトロウのスタイルにならったというジェリ・テイラーは、最初は結末をどうするか困ったそうですが、結果的には満足しています。前編では顔見せ程度だったクレメンズ (登場はリック・バーマンの提案) が、過去に未来にと動き回るのが痛快ですね。演ずるジェリー・ハーディンも実物にそっくりで、これを契機として舞台でトウェインを演じることになったそうです。


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