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TOS エピソードガイド
第21話「宇宙暦元年7・21」
Tomorrow Is Yesterday

dot

・イントロダクション
※1多数の飛行機が待機する、米国の空軍基地。
レーダーを見た技師のウェブ※2。「大尉※3。」
大尉:「どうかしたか。」
「映像です、レーダーにキャッチしました。」
「何だ正体は。」
「飛行機の一種です。しかし大きさやスピードは、常識を越えています。こういったタイプのは初めてです。」
「接近してくるか。」
「いいえ、ただ飛んでいるだけです。空に突然飛び出してきたようです※4。」
近づく大尉。「現在位置は?」
ウェブ:「ちょうど、オマハ基地※5の正面に当たりますが。」
「監視を続けてくれ。もう少し接近しないと、無理かな。誰かに追跡させて調べよう※6。」 大尉は電話を手に取った。

基地の警報が鳴る。
滑走路から、飛行機が飛び立った。

その上空を、エンタープライズが飛行していた。


※1: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 謎の精神寄生体」収録「明日はきのう」になります

※2: Webb
(リチャード・メリフィールド Richard Merrifield) クレジットでは「技師 (Technician)」。名前は訳出されていません。声:嶋俊介、TOS カイル (一部)、ムベンガ、旧ST5 マッコイなど

※3: 空軍大尉 Air Force Captain
(マーク・デンプシー Mark Dempsey) 吹き替えでは「大」。空軍では Captain は大尉です

※4: 吹き替えでは「ただ飛んでいるだけで接近の様子はありません」で、これだと大尉が驚いて近づく行動につながりません

※5: オマハ空軍基地 (Omaha Air Base) のこと。吹き替えでは「オマ基地」と聞こえます

※6: 原語では「本物の UFO が相手かもしれんぞ」と言っており、以降も UFO と何度も呼んでいます。吹き替えでは「(正体不明の) 飛行物体」「空飛ぶ円盤」など

・本編
地球。
『航星日誌、宇宙暦 3113.2※7。燃料補給のため第9宇宙基地※8へ向かう途中、強力な引力をもったブラックスター※9が、我々のエンタープライズに影響を与え始めた。引力から逃れるためには全動力を逆回転させなければならなかった。だがその結果、ゴムバンドで弾き飛ばされたように宇宙の彼方に投げ出され、コントロールを失い停止した。位置は不明だ。』
起き上がったカークは、スールーを起こした。「ミスター・スポック。」
スポック:「付属装置以外は全部狂って※10ますね。衝動で動いているだけです。」
「補助装置は。」
「ミスター・スコットが無事なら、間もなく補助装置が復旧するはずです※11。…ウフーラ大尉※12、大丈夫か?」 起こすスポック。
ウフーラ:「ええ。」
ライトが復旧する。
スポック:「ミスター・スコットは無事ですね※13。」 イヤーレシーバーを装着した。
カーク:「…こちら船長、全デッキのコントロール装置の被害を調べろ。全セクションは、記録計算機を使用し損害を直ちに副船長まで報告すること。以上だ。ウフーラ大尉、司令部と連絡を取ってくれ。それにあのブラックスターの引力圏から、第9宇宙基地までの距離を調べろ。」
ウフーラ:「はい。」
スポック:「船長。推定では損害は軽微となっていましたが、どうやらメインエンジンが操作不能らしいですねえ。現在進んでるのは、自動操縦装置をセットして衝撃力に頼っているからです。」
カーク:「どこの軌道上だね※14。」
「地球ですよ。例のブラックスターの引力に引かれた時、こちらの方向へ大まかなコースを向けていたんです※15。そして、投げ出されて更に地球の方へ寄ったんでしょう。」
「…スクリーン。」
アメリカ合衆国が映る。
スポック:「現在の高度は低すぎて長時間保てません。報告によれば、大気圏脱出に必要な推進力はあるそうですが。」
カーク:「よし、一応チェックしろ。」
スールー※16:「はい。望みはあります。ギリギリですが。」
ウフーラ:「船長。スターフリート・チャンネルに何の反応もありません。別の周波数が入ってきましたが我々のとは違います。」
カーク:「音声を出せ。」
声が聞こえる。『ケープ・ケネディ発、人類最初の有人月ロケット打ち上げは、水曜※17の東部標準時午前6時に予定されています。3人の宇宙飛行士は全員、この歴史的な…。』
音声を切るように指示するカーク。「人類最初の。1960年台後半※18だな。」
スポック:「戻りましたね、その時代※19に。」
「……何。」
「あの時の激しいショックで戻ったんですよ、過去へ。クロノメーターで、測定してみましょう。」
ウフーラ:「船長。地球の無線連絡をキャッチしました。」
「…報告です、正体不明の飛行物体が下から接近中。我々を発見したらしいですねえ。」

飛行中の軍用機。
パイロットは探している。
連絡が入る。『ブラックジャック※20からブルージェイ4※21 へ。正体不明の飛行物体はその方角だ。』
パイロット:「今レーダーで捕まえた、追跡する。」

命じるカーク。「無駄な摩擦を避けるために、接近させるな。」
スールー:「わかりました。まだ反応が鈍いですね※22。」
上昇するエンタープライズ。

報告するパイロット。「ブルージェイ4 から、ブラックジャックへ。飛行物体は、スピードを上げて上昇中。更に接近する。」
追って上昇する飛行機。
基地:『ブルージェイ4 へ。肉眼で見える位置まで接近しろ。』
エンタープライズが見えてきた。
パイロット:「見えたぞ。何か知らんが、バカでっかい。後方に、2本の筒のようなものが出てる。下にもあるぞ。円盤状のものがついてる。」
基地:『2機をスクランブル発進させて向かわせた※23。現在方向で 2分後にランデブーの予定。』
「無理だなあ。相手はどんどんスピードを上げてるぞ。」
離れていくエンタープライズ。

軍用機の会話はエンタープライズにも流されている。
基地:『ブルージェイ4 へ、飛行物体に接近して強制着陸を指示しろ。これは命令だ。反抗した場合は、君の判断で破壊するのもやむをえない。』
パイロット:『了解、できるだけ接近する。』
スポック:「確認できるようになりました。恐らく、要撃機の一種でしょう。核弾頭を装備したミサイルを搭載しているかもしれません。もしやられたら、かなりの損害をこうむりますよ。現状ではひょっとすると修理作業が、行えなくなる可能性もあります。」
カーク:「スコッティ。妨害光線※24を出せ。これ以上接近されると危険だ。」
「船長。ああいうタイプの、ジェット機はもろいですから分解するかもしれませんよ。」
スコット:『妨害光線、放射します。』

光に包まれるパイロット。
ヘルメットのゴーグルを下げる。

スコープを覗いていたスポック。「目標は分解を始めました。」
カーク:「…転送室。目標の操縦席をキャッチできるか。」
転送部員:『はい、できます。』

どうすることもできないパイロット。

カーク:「よーし、転送室に回収しろ。後を頼む。」 ブリッジを出ていく。

後ろ向きに立った姿で、転送されるパイロット。
カークは転送室に入った。パイロットはヘルメットを外す。
近づくカーク。「エンタープライズへようこそ。」
パイロットは振り向く。「……言葉がわかるのか。」
カーク:「もちろんだ。遠慮しないで、さあこちらへ来たら。」
「合衆国空軍、ジョン・クリストファー大尉※25だ。認識番号、4857932。」
「我々は敵ではないよ。さあ、来たまえ。…私は船長のジェイムス・カークだ。」
クリストファー:「…どういうことなんだ。ここはどこだ、何があった。…君たちは何者だ。」
「一度には答えられんな。その前に…突然ここへ来ていただいたことをお詫びしたいが、あの場合仕方がなかったんだ。妨害光線で君の飛行機が分解するとは思わなかったんで。」
「そんなことを聞いてるんじゃない。何者だ! 貴様。」
「そのうち教えるからそういきり立つなよ。まあとにかく、君は御客だからね。一息入れてもらいたい。」
スポックの通信が入る。『ブリッジから船長へ。』
カーク:「カークだが、どうした。」
『ジェット機は完全に分解しました。妨害光線を切りましょうか。』
「頼む。お客が見えたぞ、そちらへ行く。以上。さあ、どうぞ。」
仕方なく外へ出るクリストファー。

廊下を歩く 2人。
女性士官※26が通りかかる。「おはようございます。」
カーク:「おはよう。大尉。」
クリストファー:「女性も?」
「そう。」

カークはターボリフトに入った。「ブリッジ。」
クリストファー:「…すごい宇宙船を造ったもんだな。」
「ほかに 11隻※27同じのがある。」
「なるほど? …海軍か?」
「いやあ、もっと総合的だよ。」
「というと?」
「地球連合宇宙開発局※28というようなね。」
「地球連合?」
※29「…ちょっと、説明しにくいんだが。…我々は未来から来た。時間がずれて、過去へ戻ったんだ。事故でね。」
「よく事故を起こすようだな※30。しかし、君がここにいるのは認めるよ? 宇宙船にな?」 クリストファーはブリッジに到着した。「緑の小人の話は信じられん。」
スポック:「私もだ※31。」
カーク:「クリストファー大尉、こちら副船長のミスター・スポック※32だ。」
驚くクリストファー。
スポック:「よろしく。」
カーク:「…自由に見て回っても構わんよ。ただし触られると困るが。興味深いだろう。」
クリストファー:「『興味深い』じゃ言い足りないな※33。」
またスポックを見て、コンピューターに近づくクリストファー。
スポックはカークに言う。「大気圏外へ出ることに成功しました。ディフレクターが機能しているので、また我々が正体不明の飛行物体として追跡されることはありません※34。あと、スコットがエンジンについて話があるそうです。」
カーク:「よーし、わかった。」
ウフーラがクリストファーに話している。
カーク:「まだ何か言いたいのか?」
スポック:「大尉のことですが。」
離れるカーク。「どうした。」
スポック:「もう彼を地球へは戻せませんよ。我々についていろいろ知りすぎましたからね。別にクリストファー大尉を疑うわけではありませんが、しかし万が一不心得な人間に未来についての知識を与えたとしたら、やがて彼は主要産業や株価や国際関係まで操るかもしれません。予言者としてね。万一そういうことになれば、将来が変わる可能性がある。もし変われば、私達は全員存在しなくなります。」
「我々が存在しないか。驚いたね。」
ウフーラに説明を受けているクリストファー。
カーク:「その飛行服では、ゆっくりくつろげないだろう。早速補給部へ行って着替えてもらった方がいいな。終わったら 2人で私の部屋へ来るように。」 出ていく。
スポック:「はい。」
クリストファーは無意識に耳を触りながら、スポックの方を見た。
目をそらす。微笑むウフーラ。


コンピューターに触れるカーク。「船長だ、記録。」
コンピューターは女性の声※35だ。『はい、船長?』
ブザーに応えるカーク。「どうぞ。」
宇宙艦隊の制服を着たクリストファーと、スポックが部屋に入る。
カーク:「航星日誌、補足。技術主任スコットの報告によれば、破損したエンジンは修理によって操作可能になるそうだ。」
コンピューター:『みんな記録しちゃった、あなた。』
「…余計なことをしゃべらないで、記録しろ。」
『してるわよ、あなた。』
あきれるスポック。
カーク:「ミスター・スポック。コンピューターの発声装置を修理するように言っといたはずだぞ?」
スポック:「はあ。予備調査をしたところ、この発声法を修正するには全装置のオーバーホールが必要です。最低 3週間はかかりますよ。」
微笑むクリストファー。
カーク:「記録は正確にしてくれるんだが…態度が悪い。」
スポック:「甘い声でささやいてきますからね。」
笑うクリストファー。「僕はこういうコンピューターは大好きだな。」
スポック:「この間コンピューターを、シグネット14※36 に修理に出したんだ。シグネット14 は女が支配してる遊星でね? コンピューターにも個性が必要だと考えているんだよ。しかしこれじゃ、個性がありすぎる。」
「…傑作だ、素晴らしいコンピューターじゃないか。やあこれなら、当分ここで御世話になってもいいな。」
カーク:「そうなるね。…地球へは帰せない。」
「…何? …ミスター・スポックの話では、ここからでも簡単に地球へ帰れそうなのにどうしてだ。」
「技術的な問題ではない。…君は未来を知ったわけだ。未来※19のことがわかったら、我々の現在が変えられるかもしれん。」
「僕が消えたことは影響ないのか?」
首を振るスポック。「…君が未来に何らかの影響を与える人間かどうかは、コンピューターに掛けて調べてたよ。回答では、そのような記録はない※37。」
クリストファー:「…未来とか過去とかの話はもうたくさんだ、やめてくれ。君たちは何者で、何を企んでるかは知らんが帰ったら僕は事実を報告するぞ。…僕の義務だ。」
カーク:「…そうか。報告か。じゃあなおさら、送り返せないな。」
「勝手なことばかり言うな。僕には妻と子供※38がいるんだ、どうしてくれる。」
「…すまん。」
スコットの通信。『エンジンルームから船長へ?』

機関室に声が流れる。『カークだ、どうした。』
スコット:「経過報告です。損傷部分の修理は順調に進んでまして、4時間後には始動を行えると思いますが、しかし…」

カーク:「しかし何だ。」

スコット:「つまりその一口で言えば、たとえエンジンは直っても…うーんその、我々が行くところはありません。…つまり、この意味はよくおわかりでしょう。……船長。」

カーク:「ああ、スコッティ。わかった。」
クリストファー:「…残念だな? …基地や家がないというわけか? 君たちにはここは過去の世界だからな。」


※7: 吹き替えでは「0401.7272」

※8: Starbase 9
初言及

※9: black star
ブラックホール (この言葉が生み出されたのは 1967年) の別名

※10: DVD・完全版ビデオでは「全部やられてますね。惰性で動いてるだけです」と修正されています

※11: 吹き替えでは、カーク「加速度は」 スポック「スコット (チャーリー) が間もなく計算の結果を、知らせてくれるはずです

※12: 吹き替えでは全て「尉」。シリーズ中一貫して、ウフーラの階級は大尉です

※13: 吹き替えでは「スコット (チャーリー) から連絡です

※14: 吹き替えでは「どこに向かってるんだね

※15: 吹き替えでは「コースが逸れたんです

※16: 声は通常の富山さんではなく、納谷六朗さん (TNG レミック、DS9 初代ウェイユンなど) が代役で担当しています

※17: アポロ11号 (Apollo 11) の打ち上げのことで、1969年7月16日(水曜)。このエピソードの放送日は 67年1月26日であり、脚本の D・C・フォンタナは水曜というのを偶然予言したことになります。(次の) 水曜ということなので、エンタープライズが来たのはその一週間前以内なんでしょうね。この音声部分、吹き替えでは「ヒューストン発、人類最初の月着陸船アポロ11号は 7月21日午前5時17分40秒、月面の静かの海に着陸しました」。日時が変わっていますが、日本での初放送日は 69年8月3日だったため、まさにタイムリーな話題を盛り込んだわけです。ちなみに吹き替えの着陸時刻は日本時刻であり、米国東部時間では 16時17分40秒でした

※18: 吹き替えでは「1969年」。前項参照

※19: 吹き替えでは順に「400年昔に」、「400年後」、「400年昔の世界」。なぜ日本語版では 24世紀の設定になっているかは不明ですが、邦題の「宇宙暦元年7・21」からすると、「0401.…」といった吹き替えの宇宙暦は 400年後と言いたいのかもしれません。もっとも、原語でも不統一なセリフが見られますが…(注釈※57)。なお実際には、月着陸が宇宙暦の起源という設定は一切ありません (そもそも 23世紀の宇宙暦は、計算して実際の年月に当てはめるのは実質的に不可能)

※20: Blackjack

※21: Bluejay 4
bluejay=アオカケス。吹き替えでは「ジェイ (J) 4」

※22: 吹き替えでは「十分逃げ切れますよ」

※23: 吹き替えでは「こちらの計算の結果を教える」

※24: トラクタービームのこと

※25: Captain John Christopher
(ロジャー・ペリー Roger Perry) エンドクレジットでは誤ってクリストファー少佐 (Major Christopher) となっています。一部日本語資料では階級が大佐になっていますが、宇宙艦隊 (海軍) 式と空軍式を間違えたものと思われます。声:仲村秀生 (DVD・完全版ビデオ補完も継続)

※26: クルーの女性 Crew Woman
(シェリー・タウンゼンド Sherri Townsend)

※27: 改装型の U.S.S.イーグルを除いても、コンスティテューション、コンステレーション、リパブリック、ファラガット、ポチョムキン、エクスカリバー、エクセター、エセックス、フッド、レキシントン、コンゴウ、ディファイアント、ヨークタウン、イントレピッド、エンデヴァーの最低 15隻はあるはずです。この時点では建造中の船があったのかも?

※28: United Earth Space Probe Agency
略して UESPA (ユースパ)、TOS第8話 "Charlie X" 「セイサス星から来た少年」より。惑星連邦や宇宙艦隊の設定が固まっていない初期の組織名としている場合もありますが、連邦については既に TOS第19話 "Arena" 「怪獣ゴーンとの対決」で言及、宇宙艦隊はこのエピソードでも触れられています (吹き替えでは「スターフリート」)。ただし VOY第167話 "Friendship One" 「終焉の星」に登場した探査機フレンドシップ1 (2067年打ち上げ) には "UESPA-1" という登録番号が書かれており、カークはクリストファーにわざと (地球が中心ということが含まれる) 古い組織名で言った可能性もあります

※29: TOS の国内オンエア分では、カット部分が存在しています。完全版ビデオ (第1シーズンの一部) および DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (スーパーチャンネル版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です

※30: 吹き替えでは「さっぱりわからんな」

※31: 吹き替えでは、クリストファー「ほかの難しい話は信じられん」 スポック「無理もない」。「緑の小人 (little green men/man)」は、1955年8月にホプキンスヴィル近くのケリーで目撃されたという宇宙人のことで、宇宙人自体の代名詞でもあります。DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」の原題

※32: 原語では「スポック少佐」と言っています。シリーズで一貫して中佐の階級章でもあるにかかわらず、第1シーズンでは少佐と呼ばれている場合があります

※33: 吹き替えでは、カーク「ただし触られると困るが」(で終わり) クリストファー「つまり、体のいい捕虜ってわけか」

※34: 吹き替えでは「早く大気圏外へ出た方がいいですよ。このままだとまた我々は正体不明の飛行物体として追跡されて、面倒になる」

※35: コンピューター音声 Computer Voice
(メイジェル・バレット Majel Barrett) ちなみに「あなた」は "dear"

※36: シグネット14号星 Cygnet XIV

※37: 吹き替えでは「君が未来に何らかの影響を与える人間かどうかは、今コンピューターに掛けて調べてるよ。回答は、すぐに出る」

※38: 原語では「2人の子供」

地球軌道上のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 3113.7※39。エンジンの修理は進んでいる※40。だが依然として過去にいる。予期せぬ客を乗船させてしまい、帰すこともできない。』
日誌をコンピューターに記録しているカーク。
コンピューター:『邪魔者は消した方がいいわよ、あなた。』
カーク:「船長命令。我々のコンピューターは非常に不謹慎な発言をするゆえ、大幅に修正するか…破壊するかだ。記録しろ。」
『もうしちゃった。』
スポックの連絡が入る。『ブリッジから船長へ。』
カーク:「カークだ。」
『クリストファー大尉に関する資料が入りました。すぐお会いして話したいんですが※41。』
「よーしわかった、部屋まで来てくれ。クリストファー大尉も、呼んでおくから。」
『はい、了解。』
「クリストファー大尉。…クリストファー大尉。…船長から保安部へ。」
保安部員:『はい、保安主任です。』
「非常警戒だ。クリストファー大尉が部屋を出たらしい、脱出するかもしれん。転送室の警備を厳重にしろ。私もすぐ行く。」 自室を出るカーク。

廊下を急ぐクリストファー。人影が見え、反対に逃げる。
やってきた保安部員を、隠れていたクリストファーは殴り倒した。
フェイザーを奪い、転送室に入る。
ミスター・カイル※42がいた。
クリストファー:「よーし! 動くな。…その上に載るから、早く僕を地球に送り返せ。」
カークが来た。フェイザーを奪うと同時に、クリストファーを殴る。
クリストファーは倒れた。

医療室のマッコイ。「別に心配はいらないよ。軽い打撲傷とかすり傷だけだからすぐに回復する。そろそろ気がつく頃だ。」
カーク:「脱出を図ったんだ。気持ちはわかるが、現状では帰すわけにはいかん。」
マッコイ:「…我々が帰れないならどうするんだ? …何をすればいい? ここで燃料が尽きて、動力が消えるのを待つのか。結果そうなったら、我々は絶対地球には帰れないな。大尉が帰るより悪い。我々は 430人もいる。つまり、未来を変える可能性も 430倍になるわけだね。」
「ああ。…我々はまだその立場にはない※43。」
「それを聞いて安心したよ。」
「だが帰りたいのは我々だけじゃない。彼も同じだよ。生きている時代は違うが、同じ年頃だ。」
目を覚まし始めるクリストファー。
カーク:「それに、同じ…地球人じゃないか※44。」
マッコイ:「再教育して我々の世界に入れられないかな。」
「成功すると思うか。」
「しかし何とか方法を考えないと※45。」
「…奥さんや子供を忘れてくれればいいんだが。…どうだろう。」
クリストファー:「悪いが、忘れられんね。」 起き上がる。
「ああ。…大丈夫か。」
「ああ。ここでは、身体のトレーニングもやってくれるらしい。」
医療室に来たスポック。「うーん、手段はいくらでもあるよ。」
クリストファー:「どういうことなんだ、それは。」
カーク:「いやあ、ただの冗談だよ。…ところで先ほどの資料というのは、何だね。」
スポック:「私の計算に誤りがありました※46。」
マッコイ:「ほう? まるで歴史的大事件並みだ。」
「結局は大尉を地球へ戻さなければならないようですね。」
クリストファー:「なぜだ。さっきは未来に影響を与えないと言ったろ?」
「大事なことを見逃してましてね。彼本人ではなく、彼の子孫が未来に影響を与えるということもありうるわけですよ。今度はその点を重点的に調査しました。君の息子のショーン・ジェフリー・クリストファー大佐※47は、過去に…いやあ未来にだ、人類初の土星探検※48に成功するんですよ。これは非常に重大な事件で…」
「ちょっと待ってくれ、男の子はいないぞ。」
微笑むマッコイ。「そのうち生まれる。」
スポック:「まあそういうわけだね。もし我々が大尉を地球へ戻さないと、土星探検に成功したショーン・クリストファー大佐は生まれないことになる。」
カーク:「ああ、そりゃあ困るな。…となると、方法を考えないと。」
笑うクリストファー。「そうか。…男の子が生まれるのか…。」

会議室。
スポック:「クリストファー大尉を地球へ戻すについては 2、3 問題がありますね。まず第一はどうして帰れたのかの説明ですよ。妨害光線によって分解した大尉のジェット機を追ってみたところ、ネブラスカの平原に落ちたことがわかりました。」
カーク:「となると、もうその調査隊は現場へ向かってるな。」
「そこへ大尉が無事に現れると大騒ぎになるでしょう。」
クリストファー:「肉眼で見えた時に翼のカメラのスイッチを入れたから、接近した時にいい写真が撮れてるはずだ。もちろん同時に電送してるから、本部では今頃それを現像してるだろうし、僕と地上との会話も記録されてるはずだ。」
カーク:「歴史的に考えれば、そういう記録は気象観測用の気球や、光の反射みたいな説明できるものとして無視されるんだ。少なくとも報道ではね※49。」
スポック:「船長。しかし我々の妨害光線によって既にジェット機は墜落しているんです。なぜ墜落したのか納得のいく説明がなければ、ならないはずです。明らかにこれは、敵対行為でしょ?」
「我々の問題はどうなるんだ。どうしたら我々の世界に戻れると思うかね。」
「…理論では、既に起こったことを逆に行えばいいわけです。理論的には可能なわけだが、果たして理論通りに行くかどうかですねえ。下手をすると現在より悪い状態になるかもしれません。」
「…まず記録と写真を取り戻すことが、先決だな。大尉は飛行中にもっともらしい報告をしたが、その証拠は一切消さねばならん。」
クリストファー:「じゃあ僕は、バカの嘘つきになるのか?」
「まあね。」
スポック:「そうじゃない。空飛ぶ円盤を見たという人の仲間入りするだけだ。」
クリストファー:「本部は、僕がよく知ってる。去年までそこにいたんだ。一緒に行こう。」
カーク:「いやいい。…ここにいろ。万一何か事件が起こって、怪我でもされては大変だ。君じゃなく、息子のためにね。」
微笑むクリストファー。「ただ待ってるんじゃ。じゃあ、内部の見取り図を描こう。よく覚えてる。記録室や、写真部は? あった方がいいでしょ。」
クリップボードを差し出すカーク。

空軍基地。
憲兵が巡回している。
通り過ぎた後、カークとスールーが転送されてきた。壁の張り紙を見る。
たくさんの置物が飾られている。微笑むスールー。
「統計業務部/498番空軍基地隊」とドアに書かれた部屋。
鍵がかかっている。カークはスールーから装置を受け取り、解錠した。
ライトを手にし、中に入る。資料を見ていく。
壁には記録テープ装置が並んでいる。
カーク:「ずいぶん原始的だな。博物館で一度見たことがある。」
スールー:「私もです。実に簡単ですね。多分動かすと大きな音がしますよ。」
「注意してやろう。」

エンタープライズ。
転送室にいるマッコイ。「もう、どのぐらいになる。」
スポック:「15分28秒だ。」
「戻ってもいい頃だな。」
「密かに行動するんだからな。直接的なアプローチよりは、多少時間がかかるのは当然だ。我々と言えども、簡単に…」
「理論はもう聞き飽きた。何でも理論で割り切れると思うか?」
「…思うなあ※50。」

空軍基地。
2人がテープを取っている時、ライトがついた。
空軍憲兵隊の軍曹※51。「動くな!」 銃を向けている。「両手を挙げろ。」
近づく軍曹。「よーし。一人ずつだ、ベルトを外せ。」
従うカークとスールー。
軍曹:「カバンもだ。」

マッコイ:「遅いなあ、もう連絡があってもいい頃なのに。」
スポック:「確かに遅すぎるな。チャンネルのスイッチを入れろ。」
操作するカイル。

基地の部屋に呼び出し音が響いた。
軍曹:「何だあれは。」
カーク:「あれって?」
「音だ!」
スールー:「聞こえませんよ?」
コミュニケーターから鳴っている。
軍曹:「また音がした。こっから聞こえてくるぞ。」
軍曹はコミュニケーターを操作した。
スールー:「触ってますよ。」
軍曹:「おーい、近寄るんじゃない。」

カイル:「非常信号をキャッチしました。」
スポック:「直ちに転送しろ。」
マッコイ:「一度だけだ、何があったんだ。」
「間もなくわかりますよ。」

すると、軍曹が転送されていく。
どうしようもないカークとスールー。

転送室に現れる人影に、目を見張るマッコイ。
実体化した軍曹。スポックは片眉を上げた。
マッコイはスポックと顔を見合わせる。
近づくスポックを、無言で見つめ続ける軍曹。
通信が入る。『カークからエンタープライズへ。』
スポック:「スポックです、大丈夫ですか船長。」

カーク:「ああ無事だが御覧のように、また…客が増えたな。」

状況がつかめない軍曹。


※39: 吹き替えでは「0401.7277」

※40: 吹き替えでは「修理完了

※41: 吹き替えではこの部分のみ、スポックの声が通信を通したものではなく、普通に聞こえている感じがします

※42: Mr. Kyle
(ジョン・ウィンストン John Winston) 初登場。後に映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」にも登場。クレジットでは「転送主任 (Transpoter Chief)」で、名前は言及されていません。声はフェリーニ役の家弓さんが兼任となっていますが、違うような気も…

※43: 吹き替えでは、マッコイ「人のことを心配してる時か? …我々自身帰れないかもしれないんだぞ? この際まず我々が自分たちの世界へ帰れるように全力を尽くすべきだ。大尉のことはそれから考えればいい。我々は 430人もいる。過去の一人と現在の 430人と、君にはどちらが大切なんだね」 カーク「ああ。…それは決まってるだろ」。クリストファーよりクルーが大事と言っているわけではなく、クルーが今の時代に残るわけにもいかないことを示しているに過ぎません

※44: 原語では「しかし我々の社会では、大尉は役に立たない。時代遅れだ」

※45: 原語では、カーク「スポックみたいな言い方になってきたな」 マッコイ「汚い手を使う気なら、取り合わんぞ」

※46: 吹き替えでは「過去の記録を調査してみたんですが」。これだと次のマッコイの皮肉につながりません

※47: Colonel Shaun Geoffrey Christopher
脚本家 John D.F. Black (TOS第7話 "The Naked Time" 「魔の宇宙病」など) の 3人の息子、ショーン、ジェフリー、クリストファーにちなんで

※48: 地球・土星間探査 Earth-Saturn probe

※49: 吹き替えでは「つまり歴史的に考えれば、そういう記録は一切あってはならないわけだな? もし残れば、これからの未来が変わるかもしれん」

※50: 原語では、マッコイ「君のタイムワープの計算をやらなくていいのか、ミスター・スポック」 スポック「やっています」

※51: Air Police Sergeant
(ハル・リンチ Hal Lynch) 吹き替えでは後に「基地の警備を担当している兵士」と訳されており、原語・吹き替え共に「軍曹」と単に呼んでいる個所もあります。声:村瀬正彦

スポック:『航星日誌、宇宙暦 3113.9※52。副船長スポック記録。不運な出来事により、再び招かざる客を迎えることになった。』
転送室。
動かない軍曹。

ドアをロックし、明かりを消したカーク。「その男は基地の警備を担当している兵士だ。転送室から出すのは構わんが、内部を必要以上に見せないようにしてくれ。」

スポック:「その点に関しては御心配なく、責任をもちます。」
全く動けない軍曹から、マッコイは銃とコミュニケーターを取り上げた。
スポック:「お客は、今いるところで十分満足しているらしいですよ。」

カーク:「了解。」 コミュニケーターをスールーに返し、テープを見る。「あれは何時頃だったかなあ。大尉がエンタープライズを見たのは。」
スールー:「クロノメーターで 5時半でした、間違いありません。」
「とするとこのテープだ。落とすなよ。」
辺りを確認し、部屋を出る。
ドアが開く音がし、すぐに隠れた。作業着姿の男達が歩いていく。
また廊下を進むカークとスールー。いま出ていった部屋に入ると、映像の機械が並んでいた。
カーク:「暗室を見よう。」
隣の、赤いライトの部屋に入る。

「写真部」の警告ランプが点滅する。集まる軍人たち。
帽子を被ったフェリーニ大佐※53。「写真部だ。」
外に出る。

テープを確認したカーク。「写ってる。これで全部だ。回収準備をするように、スポックに連絡しろ。念のためにファイルを調べてくる。」
スールー:「はい。」
暗室を出ると、フェリーニたちがやってきた。
暗室のドアを閉じ、軍人の一人に飛びかかるカーク。
音に気づくスールー。
カークは独りで相手をする。
スールーはコミュニケーターを操作した。
軍人を殴っていくカーク。ドアのへりにつかまり、向かってくる男をかわした。
だがついに捕まり、フェリーニは銃を向けた。
暗室を確認するフェリーニ。スールーの姿はない。
フェリーニ:「さ、もう一人はどこだ。」
カーク:「もう一人?」
「相棒だよ、お前の動きを見ればそれぐらいわかるぞ。」
「とんでもない。私だけだ。…ここから目につかずに出られると思うかねえ。」
「……いや、そりゃ不可能だな。」
「じゃあ。」 微笑むカーク。

テープを手にするスポック。「君一人でも回収してよかったよ。」
スコットの通信が会議室に入る。『エンジンルームより、ミスター・スポックへ。』
スポック:「スポックだ。」
『エンジンの修理が完了しました。燃料を補給しましょうか。』
「ああ補給してくれ。間もなく私の理論をテストする。」
『了解、以上です。』
テープを見るスポック。「…よく撮れてるな。」
マッコイ:「…そんな物に感心してる場合じゃないだろ! 冷たい男だ※54、カークはどうなる! 地球で独りで逮捕されてるんだぞ? しかもコミュニケーターを取り上げられて、回収も連絡もできないっていうのに。」
「言われなくてもわかってる。…副船長スポックよりクリストファー大尉へ。」

腕時計を見るフェリーニ。「そろそろ口を割ったらどうなんだね。君がどうやって入り込んだのか知りたいだけだ。簡単な質問だろ。誰にも見られず、警報装置にもかからずに入り込むとはね。どうやった!」
カーク:「話したところで、信じてもらえませんよ。」 オフィスで椅子に座っている。
「ごまかすんじゃない、素直に答えろ。」
「空中から現れた。」
「…私がお遊びで聞いてるように見えるか。」
「いえ、遊びだなんて滅相もない。」
「君、名前は何と言ったかな。」
「もう 4度目ですよ。私の名前は、ジェイムス・T・カークです。」
「では聞くがカーク君、厳重警備の中をどうやって入り込んだのかね?」
「言っても信じません。」
フェリーニは、ハンドフェイザーに触れた。
カーク:「あのう、扱いには気をつけて下さい?」
フェリーニ:「ほう、これが心配か? ラジオか、通信機の一種か?」
「ええまあ。」
「詳しく説明してみろ、私にわかるようにな。」
「手荒に扱うのをやめないと、あることが起こりますよ。ひどいことがね※55。」
「分解して調べてみるまでさ、我々だって馬鹿じゃない。知りたいことを調べる手段はいくらでもあるんだ。」 フェリーニは部下に、フェイザーを投げ渡した。
目を閉じたカーク。幸い何も起こらなかった。
フェリーニ:「何だその服は。ユニフォームか何かか。」
カーク:「これですか? …ほんの普段着。」
「ことの重大さがわかっていないようだな。政府の施設に破壊工作を行うとは。」
「そんなことしてません。」
「我々が未然に防いだが、止めなければするつもりだったろう。」
「とんでもない、そんなつもりはない。」
「では何の用もなくて、入り込んだというのか?」
「邪魔されなければ何も起こらずに済んだ。」

「…ここに忍び込めばどんな罪になるか、言ってやろうか! スパイ行為に不法侵入に強盗罪だ、まだいくらでもあるぞ。あくまで黙秘権を行使するなら、一生出られなくしてやる!」
「よーし言おう。実は私は美しいアルファ・ケンタウリ※56から来た緑の小人だ。ぜひ一度私達の国を見せてあげたいね。」
「どこまで舐める気だ。もういい! 200年はぶち込んでやるからな。」
「……それで丁度時代が合うことになるね※57。」

エンタープライズ。
クリストファー:「多分今頃は、保安課にいるはずだ。当局に連絡しても、誰か来るまでには時間がかかる。」
スポック:「理論的だな。ところでその保安課の付近の略図を描いてもらえるとありがたいんだが。」
「よーし。その代わり、僕も一緒に連れて行ってくれ。」
「……いやあ、そりゃあ無理だな。」
マッコイ:「万一何かあったら。」
クリストファー:「こんな目に遭わせて万一もあるか。…それが嫌なら勝手に行ってくれ、僕はもう君たちには一切協力しない。」
眉を上げたスポック。「スールー。君と、クリストファー大尉も一緒に来てもらう。転送主任に話して大尉の装備を用意しろ。」
スールー:「フェイザー※58は。」
「君に一つ私に一つ。強度の麻痺にセットする※59。」
「はい。」 会議室を出ていくスールー。
微笑むクリストファー。「僕を信用してないんだな?」
スポック:「…いやあ? してるよ。ただしある程度までだ。」

転送台に立つ 3人。スポックはクリストファーに立ち位置を教える。
スポック:「転送しろ。」
上を見るクリストファー。操作するカイルのそばに、まだ軍曹がいる。
転送されたスポック、スールー、クリストファー。
軍曹:「すごい装置だな。」
カイル:「…何か食べるか。」
「ああ。」
「何がいい。」
「そう、チキンスープがいいな。」
カイルはチップ状のテープを、フードスロットに刺した。
すぐに料理が出てくる。匂いで気づく軍曹。
指でスープを舐めてみた。「ほんもんだ。」
うなずくカイル。

空軍基地。
憲兵※60が見張っているドアのそばで、隠れているクリストファーたち。うなずくスールー。
クリストファーはおもむろに憲兵の前を通っていく。
憲兵:「おい君。待て!」
後ろからスールーが、憲兵をチョップした。意識を失わせる。

中にいるカーク。ドアが叩かれた。
フェリーニ:「よーし、開けてやれ。」
部下が出ると、スポックが立っていた。
銃を出される前に、スポックはヴァルカン首つかみで倒した。
フェリーニが銃を構える。殴り倒すカーク。
カークは殴った拳を見る。
スポック:「異常ありませんか。」
カーク:「ああ、ありがとう。」 憲兵を中へ引きずるクリストファーを見る。「何してる彼は。」
「この基地に詳しいからと言って自分から案内役を買って出ました。」
「そうか、ご親切に。ミスター・スールー。持って帰った物はチェックしたか。」
クリストファーは密かに、憲兵の銃を取った。
スールー:「はい。先ほどミスター・スポックが。いやあどうなるかと思いましたよ。」
スポックへ奥の部屋へ向かった。
クリストファー:「連中たまげたろ。」
カーク:「何を言っても信用してもらえなかったよ。転送係に回収の準備を頼んでくれ。」
スールー:「はい。」
クリストファー:「おっと。」 銃を向ける。「残るぞ。」


※52: 吹き替えでは「0401.7279」

※53: Col. Fellini
(エド・ペック Ed Peck 1992年9月に死去) 名前は言及されていません。声:家弓家正。DVD・完全版ビデオ補完は不明ですが、同じ家弓さんのようにも聞こえます

※54: 原語では、スポック「ひどい撮影だな」 マッコイ「理論と観察はどうした、ミスター・スポック」

※55: 吹き替えでは「手荒に扱わないと、約束して下さるならお答えしますよ。ちゃんと」

※56: ケンタウルス座アルファ星 Alpha Centauri
「緑の小人」については注釈※31 参照。吹き替えでは「実は私は素晴らしい宇宙から来た人間だ」

※57: これからすると 200年後がカークの時代に思えますが、実際は 300年後です。吹き替えではフェリーニ「死ぬまでぶち込んでやるからな」 カーク「だから言いたくなかったのに」

※58: 吹き替えでは「転送ボックス」

※59: 吹き替えでは「大尉は私が引き受ける」

※60: 空軍憲兵 Air Policeman
(ジム・スペンサー Jim Spencer)

カークは言った。「バカなことをするな。…どうなると思う。」
クリストファー:「もうたくさんだ。僕がいなきゃ、我が家に息子は生まれんぞ。すまんがこのまま地球に残らせてもらう。」 奥の部屋を見る。「スポック、出てこい!」
「どうやってここに現れたことを説明する。」
「見たことは全て報告するのが義務だと言ったろ。それで十分説明はつく。…スポック!」
「必ず帰らせてやる。…もう少し待ってくれ。」
スポックが後ろに現れたことに、クリストファーは気づいていない。「お前たちに付き合うのは御免だ。」
スポックはクリストファーに、ヴァルカン首つかみをした。「…何か企んでるとは思ってましたがね。」
微笑むカーク。「…よし、回収してもらえ。」
スールー:「はい。」

エンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 3114.1※61。この時代※19から脱出を試みなければ、我々は永久に宇宙の放浪者になってしまう。だが果たして、理論通りにゆくかどうかだ。』
スポック:「スコットと同じ意見ですね。スリングショット効果※62に頼るよりほかないでしょう。ここへ来た時のように。私の計算によれば、太陽に向かって飛行しながらまずその磁力に乗ることです。そして急に後退を始めれば、その衝動で未来に戻れるはずです。」
クリストファー:「君たちはそれでもいいかもしれんがね。軍曹と僕は、いつ帰してくれるんだ。」
「…理論的には、太陽に向かってどんどん速度を上げていけばやがて…時間が後退し始める。つまり、昨日にまで戻れるわけだ。…我々が地球の上空に姿を現した時にだ。それから、先ほど言った衝撃で今度は時間が進み出す。そして君たちを例の事件の直前で送り返すわけだ。」
カーク:「…つまり君はこの事件を経験しなかったことになる。」
クリストファー:「もし太陽に、そのまま吸い付けられたら?」
スコット:「その点なら御心配なく。逆進できないほど近くには寄りませんよ。…でも一つ気になるんですが、自由にコントロールできるかどうかわかりませんね。」
カーク:「操舵装置か。」
「いえ、ブレーキ装置です。瞬間に上手く止まらないと、遥か未来※63に行きますよ。エンジンを止めてもいいんですが、抵抗が大きいですからねえ。まどちらにしろ、非常に危険な計画です。」
「……全てを懸けてやってみよう。今の状態では誰も救われん。位置について。」
会議室を出て行く一同。

地球を離れるエンタープライズ※64
スクリーンに、小さくなっていく地球が映る。周りを見るクリストファー。
カーク:「これはまさに命懸けの試みだな。」
スールー:「全力を尽くします※65。」
さらに小さくなる地球を見る、クリストファー。「宇宙とはこんなものだったのか。…考えようによっては、とても恵まれてるな。素晴らしい眺めだ。」
カーク:「よく見ておいた方がいいな。もう二度と見られないぞ※66。」
クリストファーはうなずいた。

速度を上げるエンタープライズ。
スールー:「船長、スピードが増しています。現在 8 を突破しました。」
カーク:「ミスター・スポック。」
スポック:「水星を通過してから太陽の引力が増大していますね。どんどんスピードが、増すでしょう。見て下さい、クロノメーターが後退を始めました。」
計器の時間が、急速に逆に進んでいる。
スポック:「スピードに比例※67して、時間が過去の方に戻っています。」
時間を確認するスールー。
カーク:「転送室と連絡を取ってくれ。クリストファー大尉、15年しかないぞ※68。用意した方がいい。」 微笑む。
出ていくクリストファー。

進むエンタープライズ。
スポック:「脱出地点に接近。秒読み開始。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1…」
カーク:「よし、今だ※69。」
ブリッジのクルーは、一気に傾く。
揺れる船。
カーク:「もっと、パワーを出せ※70!」
今度は逆の方に傾く。
スールー:「全開にしました。これ以上はもう。」
揺れ続けるエンタープライズ。大きな揺れが襲う。
やっとで安定する。
スポック:「脱出して後退を始めた。」
スールー:「次第にスピードが増しています。現在 4。…7 です。8。振り切れました※71。」
「クロノメーターが前進を始めました。」
時間は通常通りの進み方になっている。
カーク:「クロノメーターを読みながら、クリストファー大尉に指示を与えてくれ。」
スポック:「了解。」
「カークから転送室へ。クリストファー大尉。」

飛行服に戻っているクリストファーは、コンソールに触れた。「クリストファーだ。」 軍曹も転送台に載るところだ。

カーク:「地球に接近するぞ、用意はいいか。」
クリストファー:『とっくにできてる。ああ、船長。…世話になったな。』
「いやあ、とんでもない。元気で。」

スイッチを切るクリストファー。

スクリーン上で、地球が近づいてきた。刻々と時を刻むクロノメーター。
スポック:「あと 20分※72、接近中。」
カーク:「カークより転送室へ。…転送準備。」
「10分※72。9、8、7、6、5、4、3、2、1…」 だんだん早くなってくる。
「転送。」

飛行中の軍用機。
クリストファーは探している。
基地:『肉眼で見える位置まで接近しろ。』
エンタープライズが見えてきた。
コクピットの全く同じ位置に、クリストファーが転送されてくる。
辺りを見るクリストファー。エンタープライズはない。
基地:『ブルージェイ4。見えたか。…何だ、応答しろ。目標の映像が消えたぞ。』
クリストファー:「…ブルージェイ4 より、ブラックジャックへ。ある種の宇宙船のようだが、しかし速過ぎてよくわからん。」
『追跡は不可能と認める。また正体不明の飛行物体と記録しておけ※73! ブルージェイ4 は基地に戻れ。以上。』

通信を聞いていたカークたち。
スポック:「第2 目標時限に接近。」
カーク:「カークから転送室へ。転送準備。」
「…今です。」
「転送。」

記録室の前に来た軍曹。
同じ位置に転送されてくる。
部屋の中を見るが、特に異常はない。ドアを開けても同じだ。
軍曹は立ち去った。

エンタープライズ。
スールー:「完了しました※74。」
カーク:「…時間は進んでるか。」
スポック:「現在のところ予定通りです。目標時限に接近。どうぞ?」
「カークよりエンジンルームへ。ブレーキパワー全開。」

機関室のスコット。「今度はさっきより大変ですよ。分解の可能性もあります。」

カーク:「ほかに方法はない。」

スコット:「了解。」 部下に向かってうなずいた。

スポック:「あと 50年。」
スールー:「エンジンを落とします、船長。減速なし※75。」
「40。30。」
カーク:「いちいち言わなくてもいい。」
船が大きく揺れる。

機関室も同じだ。

スールー:「エンジンが※76!」
耐えるクルー。
揺れ続けるエンタープライズ。

連絡するスコット。「機関部よりブリッジ! エンジン逆進全開。限界です!」
まだ安定しない。
スコット:「ブリッジ※77!」

カークは立ち上がった。「スコット、よくやったぞ。」
ウフーラ:「…船長。」
通信が入る。『スターフリート・コントロールより、エンタープライズへ。エンタープライズどうぞ。』
カーク:「チャンネルを合わせてみろ。」
ウフーラ:「合いました。」
「スターフリート・コントロール。こちらエンタープライズ。カーク船長だ。」
コンピューター:『ただ今から帰還するわ、あなた。』
微笑むウフーラ。カークの笑みは一旦消えた。
士官:『スターフリート・コントロールよりエンタープライズへ、応答願います。』
カーク:「こちらエンタープライズ。報告を繰り返す。ただ今より帰還する。以上。」
スールーは、操縦する。


※61: 吹き替えでは「0401.7301」

※62: slingshot effect
初言及。吹き替えでは「急速な速度の変化」

※63: 吹き替えでは「昔」。太陽を過ぎた後、23世紀へ向かって飛行する時を意味しています

※64: 船の一部が消えています

※65: 原語では、カーク「ワープ係数 3へ、ミスター・スールー」 「ワープ係数 3、了解」

※66: 原語では、クリストファー「僕は宇宙プログラムに選ばれる候補だったんだが、落とされたんだ」 カーク「よく見ておいた方がいいな、大尉。君が一番乗りだぞ」

※67: 吹き替えでは「比例」

※68: 吹き替えでは「あと少しだぞ」。一旦 15年前まで戻っているということでしょうね…

※69: 吹き替えでは「ブレーキ」

※70: 吹き替えでは「早く、逆進しろ」

※71: 吹き替えでは「もう大丈夫です」

※72: 吹き替えでは「時間」

※73: 吹き替えでは「別の飛行物体を発見」

※74: 原語では「冥王星を通過」

※75: 吹き替えでは「エンジンに異常なし。現在加速中」

※76: 吹き替えでは「エンジンストップ!」

※77: 吹き替えでは前のセリフから、「ブレーキを出せ! よーし、エンジン全開。逆進開始! 早く!」

・感想など
初めて現代の地球へ戻るエピソードで、タイムトラベルものとして元祖・基本となるようなシーンがたくさん見られます。スリングショット効果をはじめとして、いろんな点が映画 ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」と共通していますね。時間を越えた接触は SF ならではのもので、やはり面白いです。クリストファーと軍曹の反応の違いが興味深いですね。
元は前後編の案でしたが、結局前編は "The Naked Time" 「魔の宇宙病」、後編はこのエピソードへと完全に分離されました。最後に全てをリセットするところは時間・位置・理論的に何が何だかよくわからないですが、当時らしい勢いがあるのは確かです。これまで手がけた TOS ガイドの吹き替えは、思っていたより原語に忠実な印象を受けたものの、今回に限っては (補完部を含めて) 誤訳や元の意味とはかけ離れた意訳が多かったようですね。


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