スター・トレック:ローワー・デッキ シーズン3 #9「信頼できる情報源」視聴ログ

※ストーリーのネタバレに触れています。

データ

シーズン3 第9話 (通算29話)
“Trusted Sources” 「信頼できる情報源」
配信日: 2022年10月20日 (米国) 10月21日 (日本)
配信:Amazon Prime Video (吹き替え版) (字幕版)
監督:Fill Marc Sagadraca
脚本:Ben M. Waller

声優クレジット

原語キャラクター吹き替え
Starring
タウニー・ニューサムベケット・マリナー小島 幸子
ジャック・クエイドブラッド・ボイムラー平野 潤也
ノエル・ウェルズドゥヴァナ・テンディ種市 桃子
ユージン・コルデロサム・ラザフォード最上 嗣生
ドーン・ルイスキャロル・フリーマン磯辺 万沙子
ジェリー・オコンネルジャック・ランサム志村 和幸
フレッド・タタショアシャックス/スティーヴ・リーヴィー後藤 光祐 (シャックス)
ジリアン・ヴィグマンタアナ橘 U子
Guest Cast
カルロス・アラズラキレス・ブエナミーゴ
アリソン・ベッカーヴィクトリア・ヌーゼ
ショーン・クレメンツブニア
ケヴィン・ドーフ第80宇宙基地の士官その1
ジョージア・キングペトラ・アバディーン
フィル・ラマールセリトスのドッキングベイ士官
ローレン・ラプカスジェニファー Sh'reyan
ジェシカ・マッケンナバーンズ
カール・タートケイション
ポール・F・トンプキンスミグリーモ/セリトス保安部員青山 穣 (ミグリーモ)
その他の吹き替え声優:後藤 ヒロキ、佐古 真弓、櫻庭 有紗、渡辺 ゆかり

レビュー

 シーズン最終話を次週に残し、大きな展開が見られるエピソードでした。
 これまでのセカンドコンタクトとは異なり、スイングバイ・プロジェクトという追跡調査任務に当たるセリトス。今後のカリフォルニア級全体に関わることもあり、フリーマンは意気込んでいます。詳しくは後で触れますが、オルナラが対象ってのが通好み。
 レポーターが同行するため、ローワー・デッキのメンバーも楽しみにしていたパイ食い競争は禁止。バーにも入れなくなり、マリナーは「真実」をレポーターに話すことにします。レポーターが語るセリトスでの数々の事件は、これまでの振り返りにもなってましたね。
 フリーマンをはじめとするクルーは、当然マリナーが告げ口したと考えます。本人は否定しているあたりから、ようやく見ている方も疑問に思い始めますが、結局フリーマンの命によりマリナーは「あの」第80宇宙基地に追放。ところがレポーターの映像を見て、実はクルーが無意識に過去の出来事を明かしていたとわかります。マリナーはフリーマンが追い詰められているのを見ての行動だったんですね。これまでの彼女の行動を考えれば狼少年的な面はあるものの、視聴者にもミスリードを誘う作りでした。
 娘の行動に気づいたフリーマンは連絡を試みますが、時すでに遅し。マリナーは宇宙艦隊を辞め、以前出会った考古学者と行動を共にしていました。
 ゲストキャラはいませんでしたが、新スタートレック シーズン1「禁断の秘薬」の後日談が含まれているのも興味深かったです。初期ならではの「ピカードが放置した」といった荒さもあり、あえて見直すほどのエピソードではないかもしれません。でも喉の奥の小骨というか、なんとなく記憶の奥底に引っかかっていたのを掘り起こしてくれました。
 オルナラが薬物依存から抜け出せてたっぷり笑いのネタとしても描かれていたのは対照的に、売人側のブレッカは荒廃、侵略 (懐かしのブリーン人に!) されていてさっさとストーリーが別の視点に移ってしまいましたね。何のフォローもないところが、当時にあったような残酷さの再現にも感じました。それこそ、レギュラーキャラクターが前触れもなく死んで退場するような…。自動操縦艦アレドの登場が都合良すぎる気がしますが、次につながるのか今回のみなのか。
 今シーズンは後半にかけて盛り上がってきていた中、来週に向けていわゆる「前編」すぎるのがちょっと気にはなりました。それも払拭するようなシーズン・フィナーレにしてくれるものと思います。

トリビア

◆宇宙暦は 58496.1。

◆レス・ブエナミーゴ提督は「すべてを聞き何も信じるな」以来の登場。「歯が浮くようなお世辞はやめて」は、”Let’s ditch the pomp” という表現です。ランサムとシャックスが繰り返しています。

◆オルナラ、ブレッカ、フェリシウムの話は、新スタートレック シーズン1「禁断の秘薬」より。2364年の出来事が17年前と言及されており、改めて現在が2381年だとわかります。初放送は1988年で、34年前。宇宙艦隊は以降初めて再訪したことがわかります。

◆タイトルは「信頼できる情報源によれば…」という、信頼できないフェイクニュースの決まり文句をおちょくったもの。最近のスタートレックの記事でも結構見られるようですね、だまされないようにしないと。

◆FNN (連邦ニュースネットワーク、「自宅待機」など) レポーターのヴィクトリア・ヌーゼを運んできた6A型シャトルは、レッド・ウッド (Red Wood) という名前になっています。ただしシャトルベイにもレッドウッド (Redwood) があり、前者がジョシュア・ツリーの間違いのようです。

◆マリナーはパイ食い競争のことでマーティという人物と言い争っていますが、姿は見せず詳しくは不明。ブルーベリーのパイ食い競争は、「ブレイキング・バッド」 (Netflix) シーズン5「汚れた金」が元ネタ。バッジャーが宇宙大作戦のオリジナル脚本案を話すシーンがあります。

◆ボイムラー「そもそもアルファ・シフトなんてあったっけ?」 え?

◆ヌーゼはアリゾナ州フラッグスタッフ出身。

◆パイ食い競争に向けて準備したテンディ、「私はアゴを外せるようにしてきたのにー!」。ボイムラーいわく、パイ食い競争は「今年最大のイベントだよ、ポン・ファー以外でね」。宇宙大作戦シーズン2「バルカン星人の秘密」より。イベント…。

◆ヌーゼのインタビューを受けるクルー。トリル人のバーンズは、「2人の自分」以来の登場。連続で登場 (ただし前回はホログラム) したケイションは、自分が暮らしていたガラノガの洞窟について話しています。シロイルカのキモル&マットは、「史上最小の殺戮ゲーム」以来 (前回のマットの写真を除く)。ランサムはヌーゼを口説いています、ライカーばりに。

◆オルナラ人にベンチプレスの重さを自慢するランサム、「俺は110はイケるぜ」。原語の「250」をポンドと解釈して、キログラム (約113kg) に換算しています。

◆少尉のジェットはシーズン1「キューピッドの外れ矢」などに登場、今回セリフはありませんでした。

◆オルナラの現状を聞いたブエナミーゴが、「子供たちが、密かに政府を操ってる可能性もある。悪魔を装った奴や…」。前者は宇宙大作戦シーズン1「400才の少女」やS3「悪魔の弟子達」、後者は新スタートレックS4「悪魔の契約」を思い起こさせます。

◆フリーマン「ベータ3に戻りましょうか? またランドルーにだまされてるかもしれませんよ?」。シーズン1「セリトス絶体絶命!」、宇宙大作戦S1「ベータ・スリーの独裁者」より。

◆ヌーゼが突き止めた(?)過去の出来事は以下の通り。
「副長が巨大な頭になって、船をハンバーガーのように食べようとした」……シーズン2「奇妙なエネルギー」
「(フリーマンが) エンジニアたちを連れてスパへ行き、情緒不安定になった」……S3「機関部を休ませろ!」
「パーティ会場に入れてもらえなかった腹いせに、ドゥープラー人を転送で送り込んだ」……S2「ドゥープラーの困惑」
「パンドラ人の教官を心臓発作に追い込んだ」……S2「セリトスクルーの実力テスト」
「保安部長が人形になり」……S2「ケイション 彼の目は開かれた」
「槍を持つ異星人の乗っ取りを許した」……S1「時間厳守命令」
「クワークが誘拐」……S3「すべてを聞き何も信じるな」
「エクソコンプの職務離脱」……S1「セリトス絶体絶命!」、S3「数学的に完璧な罪滅ぼし」
「Qとの絡み」……S1「真実」

◆陰謀論好きのスティーヴ・リーヴィーは、シーズン1「セリトス絶体絶命!」以来の登場。「どうせいつもの悪ふざけの一環なんだろうけどさあ」の「悪ふざけ」は、原語では「時間冷戦の悪ふざけ (ペテン)」と言っています。スタートレック:エンタープライズより。

◆アンドリア人のジェニファーが、「すべてを聞き何も信じるな」以来の登場。ロウソクを返すように言ったカストロも、同エピソードからです。マリナーの「これって妄想?」は、原語では「心の状態 (Frame of Mind) 的なの?」。新スタートレック シーズン6「呪われた妄想」のタイトルを使っています。

◆ローワー・デッキを去るマリナーは、別れ際にヴァルカン・サリュートをしています。

◆第80宇宙基地がついに登場 (シーズン1「気のいいフレッチャー」など)。マリナーを迎えに来たシャトルは新スタートレックの初期から使われている15型シャトルポッド (シーズン2「戦慄の未来」など。しかもひどく汚い) ですが、ワープ航行ができるようになっています。宇宙基地のメンバーが着けているコミュニケーターも、当時のタイプです。

◆指揮を任されたミグリーモは、セリフありでは「妄想と悪夢」以来の登場。原語ではミーマ (Meema) と呼んでいる家族は、日本語版では祖母と解釈されていますが、通信を切る際にミグリーモが「母さん (Mother)」と呼び掛けています。

◆ブリーン人は新スタートレック シーズン4「失われたテレパシー」で初言及、DS9 S4「デュカットの娘」で初登場した種族。DS9最終章で、ドミニオン/カーデシア側の重要な勢力として描かれました。ヌーゼも「ドミニオン戦争以来…」と言っています。今回のブリーン艦もDS9 S7「彷徨う心」などに登場したのと同じタイプで、初めて「迎撃機 (迎撃艦、interceptor)」という船種で呼ばれています。武器の描写も同じですが、当時のエネルギーを吸い取る能力は描かれていません。種族としての登場はヴォイジャーS7「裏切られたホログラム革命」以来、22年ぶり (その際はホログラム)。

◆シャックスはブリーン人は捕虜を取らないと言っていましたが、実際には過去に例があります (DS9シーズン4「デュカットの娘」、S7「彷徨う心」)。ブリーンの方針が変わったのか、あえて嘘を言ったのか。

◆テキサス級U.S.S.アレドの番号は NA-01。3隻ある完全自動操縦船の一つだそうです。アレドはテキサス州の地名。

◆第80宇宙基地にいたピリシアン・コウモリは、エンタープライズ シーズン1「死のファースト・コンタクト」、S2「小さな生命の灯」など。ドクター・フロックスが飼っていました。

◆マリナーが去った後のローワー・デッキに、またタオル男のフェドロフがいました (「機関部を休ませろ!」)。

◆「2人の自分」より、独立した宇宙考古学者のペトラ・アバディーンが再登場。ヴェダラのミイラを探しに行くそうです。ヴェダラ人は、まんが宇宙大作戦シーズン1「惑星マッドの冒険」に登場したネコに似た種族。同エピソードでは知られている限り最も古くから宇宙航行能力をもつ異星人とされており、今回の「めちゃめちゃ古代」というセリフと符合します。

出典

公式サイト
TrekMovie.com (レビュートリビア)
TrekCore.com
Memory Alpha