スター・トレック:ローワー・デッキ シーズン3 #10「夜空の星」視聴ログ

※ストーリーのネタバレに触れています。

データ

シーズン3 第10話 (通算30話)
“The Stars At Night” 「夜空の星」
配信日: 2022年10月27日 (米国) 10月28日 (日本)
配信:Amazon Prime Video (吹き替え版) (字幕版)
監督:Jason Zurek
脚本:Mike McMahan

声優クレジット

原語キャラクター吹き替え
Starring
タウニー・ニューサムベケット・マリナー小島 幸子
ジャック・クエイドブラッド・ボイムラー平野 潤也
ノエル・ウェルズドゥヴァナ・テンディ種市 桃子
ユージン・コルデロサム・ラザフォード最上 嗣生
ドーン・ルイスキャロル・フリーマン磯辺 万沙子
ジェリー・オコンネルジャック・ランサム志村 和幸
フレッド・タタショアシャックス後藤 光祐
ジリアン・ヴィグマンタアナ橘 U子
Guest Cast
カルロス・アラズラキレス・ブエナミーゴ/アレドのコンピューター
ジョージア・キングペトラ・アバディーン
フィル・ラマール
ジェシカ・マッケンナバーンズ
トックス・オラグンドイアミナ・ラムジー
サム・リチャードソンヴェンドーム
Al Rodrigoデュランゴ
ガブリエル・ルイスティリン
ポール・シェアーアンディ・ビラップス
カール・タートケイション
ポール・F・トンプキンスミグリーモ青山 穣
バロン・ヴォーンメイヤー
ミシェル・ウォンウォン
その他の吹き替え声優:後藤 ヒロキ、櫻庭 有紗、渡辺 ゆかり、佐古 真弓、斉藤 次郎、小松 由佳、金子 由之、上田 燿司、山本 格、佐藤 せつじ

レビュー

 マイク・マクマハン脚本による、シーズン・フィナーレでした。これまでの2シーズン同様、最終話らしい盛り上がりでしたね。
 やはり前回の展開を引き継ぎ、アレドの登場によりカリフォルニア級自体の存続危機に陥ります。フリーマンが思いつきで提案したのが、セカンドコンタクト・レース。3つの惑星を巡る対決は、スピード感もありました。知覚生物の兆候が見られた瞬間に調査に当たる節は、宇宙艦隊のプロ意識が垣間見えて好みです。
 結局レースには負けたものの、アレドのAIコードが気になっていたラザフォードのおかげで急展開。「2人の自分」で棚上げになっていた陰謀は、ブエナミーゴが仕組んだものでした。悪い提督も、暴走するコンピューターも、もはや伝統美。
 意外と打たれ弱いシャックスの意見が「大胆不敵な」ボイムラーの助言で採用され、アレド以外のテキサス級を撃退します。もはや残る手がない…というところで、駆けつけるマリナー。カリフォルニア級の全艦が勢揃いするという、アツい展開でした。以前登場した艦長たちがきちんと再登場するのも嬉しいですね。
 マリナーはセリトスに復帰、最初の展開とは逆に自らランサムを訓練教官に指名します。今シーズン出てこなかったので一回こっきりだったのかとも思っていた、シーズン2の名作「wej Duj」よりヴァルカン人ティリンも再登場。テンディとの関係にも今後注目です。
 ストーリー的にはてっきり今回は次に引っ張らずに終わり…と思ったら、まさかのポストクレジット! ラザフォードの古いインプラントに、バッジーが映りました。トラクタービームで回収しようとしていたのは誰なのか。AGIMUS とピーナツ・ハンパー、そしてセクション31に入ったウィリアム・ボイムラーも継続ネタとして描かれるんでしょうか。
 今シーズンを振り返ります。DS9再訪といった目玉も当然引き続きありましたが、最後の2話はスペシャルゲストが誰もいませんでしたね。話数としては全然まだまだですが、宇宙大作戦と同じ3シーズンを越えようとしている中、がっちりとした一つのシリーズとしての自信の表れのようにも感じました。ちょっとおとなしめの話も見られましたが、バラエティに富んでいましたね。小ネタもおなじみのものから調査中に膝を打ったマニアックなものまで、楽しい10週でした。他シリーズも含めてすっかり「1シーズン10話」となっていますが、もっと観たいのと同時にクオリティとの天秤が難しいのかとも思ったり。
 当初からの吹き替えのもはや偏執的とまでさえ言える起用については、シーズン初期は当時の声優が故人となっているケースも多くありました。当然それは仕方がないことですが、逆にそれ以外のDS9回など、十数年、下手すると数十年ぶりに同じキャラクターを同じ声優で聴けることのありがたみを改めて思い知らされました。結局セクション31の女性は吹き替え版の純粋なファンサービスだったのか、それはそれでものすごいことですが…。

トリビア

◆宇宙暦は 58499.1。

◆ダグラス (宇宙) 基地はシーズン1「第二次接近遭遇」など。

◆宇宙艦隊司令部の外観は、DS9シーズン4「地球戒厳令(前編)」の再現。ただし手前のチューブ内は当時は高速の乗り物が動いていましたが、今回は普通に人が歩いています。

◆女性提督 (階級は大将) の名前は言及されていませんがウォンで、シーズン1「時間厳守命令」以来の登場。原語声優がミシェル・ウォンです。司令部の机やランプは、アングルも含めて映画ST6「未知の世界」冒頭のものとそっくり。

◆フリーマン「宇宙艦隊設立の目的は、人類が宇宙に進出することでしょ。何世紀もの成果を無に帰していいんですか!」

◆タイトルはテキサスを歌った、”Deep in the Heart of Texas” 「テキサスの空」の冒頭の歌詞より。

◆タオル男のフェドロフのファーストネームがハンスと判明しましたが、今回は登場していません。ゴシップの王様であり、噂を「戦術部のフィロージャンのガールフレンドのヴェデク」から聞いたそうです。戦術部のフィロージャンはシーズン1「キューピッドの外れ矢」で言及、フィロージャン (ファイロス人) はまんが宇宙大作戦シーズン1「惑星ファイロスの巨人」に登場した植物型種族です。ヴェデクはベイジョーの宗教者で、カイの下でランジェンの上。

◆ブリッジクルーのモノマネをするボイムラー。タアナを真似して「私はドクターだ、ケ…野郎!」。原語では “I’m a doctor, not an …hole.” と言っており、宇宙大作戦よりマッコイの言い回しのパロディ。またシャックスに関しては、シーズン1「セリトス絶体絶命!」でのシャックスの死後に「今ごろはベイジョーの天国の誰かに怒りまくって、ワープコア捨ててるんじゃない?」というマリナーのセリフがありました。「第二次接近遭遇」ではシャックスが、「ワープコアを丸ごと爆破するのはどうでしょう」。

◆テンディの心配をよそに、元気にクリンゴンの偶像を持ってフェレンギから逃げているマリナー。この黄金の像は、映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(1981) の冒頭で登場した偶像にそっくりです。その像は、DS9シーズン1「共生結合体生物“トリル族”」でダックスの部屋にも飾られています (シスコが入るシーンで映り、金ではありません)。音楽も「インディ・ジョーンズ」風。マリナーはまた転送される際にヴァルカン・サリュートをしています。ペトラ・アバディーンは遺物をクアラ歴史博物館に寄付する予定で、あとからクアラ3号星に向かっています。シーズン2「永遠のトム・パリス」ではクアラ2号星が登場しましたが、街並みは同じものが使われています。

◆ビトラス星域はシーズン2「奇妙なエネルギー」で言及。

◆アバディーンは原語ではロミュラン・エール (映画ST2「カーンの逆襲」) を略してロム・エールと呼んでいます。

◆フリーマンがブエナミーゴに推薦された艦隊長は、原語では Fleet Captain。宇宙大作戦シーズン1「タロス星の幻怪人」のパイク (当時の吹き替えでは「大佐」のみ)、S3「宇宙の精神病院」のガース (Starship Fleet Captain、当時の吹き替えでは「宇宙艦隊の指揮官」「宇宙艦隊の船長」) が該当。

◆ビラップス少佐は「数学的に完璧な罪滅ぼし」以来の登場。「今日はギャラクシー級に乗ったつもりで」「データ少佐レベルで働いてもらう。アイソリニア・チップがかすんで、見えない速度でなあ!」。新スタートレック シーズン1「未知からの誘惑」で、データがチップをものすごい速度で戻すシーンがありました。

◆タアナ「こっちは7年ものク●長い間、オーベルト級に乗ってたんだ」。7年は新スタートレックなどの放送期間。タアナは乗馬鞭を振り回しており、マリナーは以前もし新しい艦長が来たら乗馬鞭を持った変人かもと言っていました (シーズン2「初めてのファースト・コンタクト」、吹き替えでは訳出なし)。映画ST3「ミスター・スポックを探せ!」のスタイルズ艦長もステッキを持ってましたね。

◆連続で登場したドクター・ミグリーモ。自信をなくすテンディに、「イヤイヤのパパイヤになっちゃいかん。イエス・ユー・キャンだ、ミキャン (ミカン) になれ」。原語では「カンタロープ (メロンの一種、cantaloupe) の話になってる。カン・ロープ (can-aloupe) になれ」。上手い翻訳ですね。

◆司令部門の士官に対してライカーばりの座り方、いわゆるライカー作戦 (マニューヴァー、この用語自体は映画スター・トレック 叛乱で言及) を指南するランサム。

◆アンドリア人のジェニファーが再登場していますが、雑多なセリフ以外はなくマリナーが戻ってきた時に反応はしていました。

◆オプス士官のバーンズが連続で登場。

◆アレドのコンピューターとして表示される画面は、宇宙大作戦シーズン2「恐怖のコンピューターM-5」よりM-5複合装置のパロディ。こりゃ幸先悪い…。

◆シーズン1「第二次接近遭遇」のギャラドニア人を再訪。母星の名前がギャラードンと表示されます。

◆続いて訪れた惑星は LT-358。知覚生命体の兆候がありましたが、間違いでした。新スタートレック シーズン1「神に似た人々」の、ヴェラーラ3号星のマイクロブレインの出来事を思い起こします。

◆3つ目の惑星はオクメニック9号星。オクメニアンが棲んでおり、通常の時空には1年に2時間しか出現しません。このようなタイプの惑星はブリガドーン型と呼ばれており、100年に一度しか出現しない同名の村を描いたミュージカルに由来するものと思われます。DS9シーズン3「次元移動惑星M」のメリディアンに似ていますね。オクメニック9号星の直径などのデータは、画面上に表示されています。

◆Prime Directive 艦隊の誓いは、今回「最優先指令」という訳でした。

◆ラザフォードが取り戻した記憶の中で、ブエナミーゴは少佐でした。テキサス級のコードやデザインもラザフォードのもので、S1「気のいいフレッチャー」「セリトス絶体絶命!」のバッジーも同じコードということがわかります。

◆ブエナミーゴは前回ブレッカにブリーン人がいることも知っていたほか、「すべてを聞き何も信じるな」でわざとセリトスをDS9に派遣したことがわかります。フリーマンは「あなたは今まで闇堕ちして失脚した提督とは違うでしょ」。確かに悪い提督が何人いたことか…。

◆アレドの「お前の心臓を炎で焼き尽くす」というセリフは、シーズン1「気のいいフレッチャー」のバッジーも似た内容を言っていました (その際の吹き替えは「これから僕が君たちの心臓を爆発させてあげよう」)。ブエナミーゴがアレドのフェイザーに撃たれて死ぬ際、内臓が一瞬剥き出しになっています。新スタートレック シーズン1「恐るべき陰謀」の最後に似ていないこともないですね。

◆ダグラス基地の普段は収納されている武器は、DS9に追加されたものに似ています (DS9シーズン4「クリンゴンの暴挙」)。

◆前回言及されたアレド以外のテキサス級が登場し、ダラス NA-02 とコーパス・クリスティ NA-03。アレドと同じく、どちらもテキサス州の都市名です。

◆アバディーンの船はフリー・スピリットという名前で、クアラ3号星に停泊しているシーンで左舷前方に小さく描かれています。前回の最後でもわかります。

◆アバディーンにスラッシーを頼むマリナー、シーズン2「永遠のトム・パリス」でも飲んでいました。

◆マリナーがアバディーンの考古学者ギルドの資金源を調べると、あのピカード提督ということが判明。アバディーンはジャン・リュックと呼ぶほどの仲で、さすがの考古学好き。少なくとも2381年以前にピカードが提督に昇進していることがわかり、これまで描かれた中では最も古いようです。マリナーはロミュランかズィンディ (スタートレック:エンタープライズ) が絡んでればよかったのにと、ガッカリ。

◆ソヴェリン級U.S.S.ヴァン・シターズ NCC-72504 が登場。スタートレックのTRPGを開発した経験もある、スタートレックのブランド担当ジョン・ヴァン・シターズにちなんで。

◆タイタンが言及されましたが、星系の反対側にいるということで登場せず。

◆ワープコア排出を命じるフリーマン、「ミスター・シャックス、やってちょうだい!」 “Mr. Shaxs, make it so.”

◆今回も登場したケイションのタマリアン語、「入隊した夜のアーノックだ」。シーズン2「ケイション 彼の目は開かれた」でも、「アーノック、ナタラのレース」という形で使われています。

◆シーズン2「ドゥープラーの困惑」では、セリトスの模型でワープコア排出をしていました。

◆集合したカリフォルニア級の姉妹艦は、言及順に以下の通り。セリフが早すぎて字幕版では一部省略されています。すべてカリフォルニア州の地名です。
U.S.S.オークランド NCC-75012:シーズン1「ボイムラーのから騒ぎ」より。アミナ・ラムジー艦長やクルーも再登場 (ラムジー以外はセリフなし)
U.S.S.アルハンブラ:S1「真実」より、セリトスの平行宇宙っぽいクルーも再登場
U.S.S.サンディエゴ
U.S.S.サンクレメンテ:S1「クライシス・ポイント」でホログラムとして登場
U.S.S.シャーマン・オークス
U.S.S.ヴァガヴィル NCC-72707:大きく映った黄色系統の船。ヴァガヴィルはマリナー役タウニー・ニューサムの故郷で、市外局番 (エリアコード) は707です。船によって色だけではなく塗り方が異なることが、改めてはっきりとわかります。
U.S.S.バーバンク
U.S.S.フレズノ
U.S.S.サンタ・モニカ
U.S.S.サンノゼ
U.S.S.サクラメント:S1「セリトス絶体絶命!」で言及
U.S.S.カルヴァー・シティ
U.S.S.アナハイム
U.S.S.リヴァーサイド
U.S.S.ファレホ
U.S.S.ウェスト・コヴィーナ
U.S.S.パシフィック・パリセーズ
U.S.S.レディング
U.S.S.ユーリカ
U.S.S.マウント・シェスタ
U.S.S.マーセッド NCC-87075:S1「湿った船」より。デュランゴ艦長やクルーも再登場 (デュランゴ以外はセリフなし)
U.S.S.カールズバッド NCC-73110:S3「妄想と悪夢」より。メイヤー艦長やクルーも再登場 (メイヤー以外はセリフなし)
U.S.S.イングルウッド:S3「史上最小の殺戮ゲーム」より。ヴェンドーム艦長 (セリフありではS1「時間厳守命令」以来) やクルーも再登場 (ヴェンドーム以外はセリフなし)

カリフォルニア級には他にルビドゥー (S1「ボイムラーのから騒ぎ」で消滅)、ソルヴァング (S1「セリトス絶体絶命!」で破壊) もありました。また、言及されただけの船ではS2「あからさまなスパイ」のヴェンチュラ、S2「セリトスクルーの実力テスト」のベーカーズフィールドもカリフォルニア州の地名です。今回も実際は駆けつけている可能性があります。

◆ラザフォードは引き続きインプラントを使っており、新たなサブルーチンも見つけています。

◆テンディのトレーニング仲間として、シーズン2「wej Duj」よりヴァルカン人のティリンが再登場! 階級章はスタートレック:ヴォイジャーで元マキのクルーが着けていたタイプで、宇宙艦隊アカデミーを経た通常の入隊ルートとは異なることを示唆しています。ヴァルカン艦シヴァルからの転属でしたからね。

◆最後の「カリフォルニア! カリフォルニア!」という吹き替えの掛け声は、原語では以前から言っているカリフォルニア級の略称「カリ・クラス」と連呼しています (字幕も同様)。

◆クレジットの後に描かれる、いわゆるポストクレジット・シーンがあります。シーズン1「セリトス絶体絶命!」、S3「数学的に完璧な罪滅ぼし」のカラ星系が描かれます。

出典

公式サイト
TrekMovie.com (レビュートリビア)
TrekCore.com
Memory Alpha
The Texas Flag” by TFDuesing is licensed under CC BY 2.0.