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ディープスペースナイン エピソードガイド
第14話「混迷の惑星“ベイジョー”」
The Storyteller

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・イントロダクション
『ステーション日誌、宇宙暦 46729.1。ベイジョー政府からの依頼で、2つの勢力、パク派※1とナヴォット派※2の調停をすることになった。領地を巡る対立で、内戦へ発展する恐れがある。』
司令室。
キラ:「中佐、パク派の代表がドックに到着しました。」
シスコ:「よし出迎えよう。ナヴォット派から連絡は。」
ダックス:「間もなく着くとのことです…」
オブライエン:「すいません、中佐。」
シスコ:「どうした。君はベイジョーへ向かったはずじゃないのか。」
「…すぐに、出発できます。…その前に一つ提案なんですが、どうでしょう。この任務でしたら、ボイヤー少尉※3でも務まります。単なる、シャトルのパイロットですし。パイロットとしての腕は彼も劣りません。」
「ステーションに残らねばならんような緊急事態でもあるのか。」
「とんでもない、万事順調ですよ。とは言え、いつ何時…」
ベシアが来た。「ああオブライエン、ここだったのか。行けるかい?」
オブライエン:「はい、ドクター。」 顔を背ける。
「中佐、救命活動を依頼してきた村から、その後情報は入りましたか。」
シスコ:「壊滅寸前だという以外はわからない。」
「でしたら、急がないと。」
「私もそう思う。」
オブライエン:「わかりました。」
キラとターボリフトに乗るシスコ。「第6ドック。」
ベシア:「なあ、オブライエン。今回の任務は、とても楽しみだよ。」
オブライエン:「なぜです?」
「ほんとの君を知る、またとないチャンスだからさ?」
先にドアへ通すオブライエン。「どうぞ。」
ベシア:「ああ。」
オブライエンは気に食わない様子だ。

ターボリフトのシスコ。「とりあえず今日の夕方、両者を顔合わせして…略式の会議をしたい。あくまで非公式なものだと伝えておいてくれ。とにかく腹を割って話をさせたい。」
キラ:「…実際は、同じテーブルにつかせるだけでも一苦労です。…中佐は…彼らを御存知ないから。」
「だったらアドバイスをくれ。」
「ああ…ベイジョーのことわざにあります。『人は住む土地に似るものだ。』 パク派とナヴォット派が住むのは惑星上でも、非常に厳しい土地です。」
「そう心配するな。調停役はいつだって大変だよ。」
「でも…。」
「第一、何か問題があっても君という強い味方がいるしな。パク派の指導者※4はよく知ってるのか。」 エアロックの前へ出る。
「いいえ、あまり。彼らは外の者と接触しません。」
初老の男性ベイジョー人がやってきた。だが脇へそれる。
続いて出てきたのは、少女だ。「シスコ中佐ね?」
シスコ:「そうだが?」
「パクの指導者、ヴァリス・スル※5です。」
顔を見合わせるシスコとキラ。


※1: Paqu

※2: Navot

※3: Ensign Boyer

※4: tetrarch
古代ローマの「四分領主」の意味。吹き替えでは「代表者」と訳されている個所もあります

※5: Varis Sul
(ジーナ・フィリップス Gina Phillips) 吹き替えでは「ヴァリス・ル」。声:坂本真綾

・本編
ランナバウト。
ベシア:「……なあ、質問してもいいかな。」
オブライエン:「どうぞ?」
「正直に答えてくれ?」
「…何です。」
「僕を……嫌ってるのか。」
「嫌ってる? …何を言うんですか?」
「…だって、このシャトルにもう 2時間も二人っきりで乗ってるのに、一言も口聞かないからさ。」
「そうでした、気づかなかった。」
「ああ、やっぱり。」
「…考え事をしていたものですから。」
「考え事?」
「そうです。」
「何について。」
「え?」
「何を考えてたんだ、聞きたいなあ。」
「ああ…そうですねえ、うん。…ステーションに戻ったら位相コイルジェネレーターのレベル1 チェックをやらなくちゃならないなって考えてたんですけどね? …そんなとこです。」
「なるほどね。」
「…どうぞ御安心を。」
「同行してもらったのは、何より君が頼りになるからだ。だからしゃべらなくたっていいさ、僕がおしゃべりすぎるんだよな。」
「そんなことは…」
「落ち着きがなくて…気を悪くしないでくれ?」
「いやあ、とんでもない。」
「……もう一つだけ。」
「何でしょうか?」
「僕には、敬語を使う必要はないんじゃないかなあ。」
「そう言われても、ドクターは上官ですから。」
「ジュリアンと呼べよ。」
「……命令ですか。」
「いやあ、命令なんかじゃないさ。単なる、僕の希望だよ。名前で呼んでもらいたいなあ。」
「…了解。」

ランナバウトはベイジョーへ近づく。
オブライエン:「…ベイジョー星の周回軌道に乗りました。すぐ、上陸できますよ…ジュリアン?」

集落※6の中心に転送される 2人。
人々は普通に生活している。
トリコーダーで調べるベシア。「空気中に病原体はなし。土壌も汚染されてはいない。地下水の水質も問題なしだ。」
ベイジョー人の男性が近づく。「ようこそ。私が村長の、ファレン・カグ※7です。」
ベシア:「ドクター・ベシアです。彼はオブライエン。」
ファレン:「村の一大事です、早速診ていただきたい。」 案内する。

※8の中で、一人の老人が寝ていた。
ファレン:「容態に変化はないか。」
付き添っていた若者。「何も。」
ファレン:「…助けて下さい。」
ベシア:「病人は何人?」
「何人って?」
オブライエン:「村の一大事だと言いましたよね?」
「その通り。この方が死ねば、村は終わりだ。」

DS9。
部屋にいる男性ベイジョー人、ウーバン※9。「カーデシア人もなかなかやる。奴らのレプリケーターで作ったラリッシュ・パイ※10は実に美味い。」
ヴァリス:「食事しに来たわけじゃないわ?」
シスコ:「じゃあ話し合いを。正式な交渉が始まるのは今夜からですが、形式張らない場で意見を交わしておくのは有益かと思いましてね。条約を見たところでは『過去 90年間に渡って、パク・ナヴォット両派の境界線はグリアホンド※11川』となっています。」
ウーバン:「その通りだ。」
うなずき、座るヴァリス。
キラ:「まず、前提は整ったわ?」
シスコ:「ここからが問題となるわけですがカーデシアは占領中にその川で採掘作業をしました。その結果、グリアホンド川は元の位置より西へ 20キロ移ってしまった。」
ウーバン:「我々ナヴォットの領地へ食い込んできた。」
ヴァリス:「文句は言えないはずだわ? 条約にある通り、あの川が境界線よ。」
「条約には土地泥棒していいとは書いてないぞ? 君の父親が生きていれば、あの土地は返しているだろう。」
「父は、絶対に折れたりはしないわ! …それに今の代表者は私よ。みんなのために、あの土地は私が守ってみせる。」
クワークがやってきた。「お待たせ! 特製シンセエールを 2つに? ガムジアン・ワイン※12と、お子様にはトリクシアン・バブルジュース※13。はーいお嬢ちゃん?」
ヴァリス:「口の利き方に気をつけてちょうだい。」 ジュースをクワークの顔にかけ、出ていく。
「…飲まなくても御代は頂くよ。」

プロムナード 2階の角にいるジェイクとノーグ※14。ジェイクはグローブを持っている。
ノーグは下を歩いている異星人に、何かを投げた。「それ。」
頭に当たり、上を見上げる異星人。笑うノーグ。
ジェイク:「ノーグいつまでここにいる気だ。ホロスイートで野球しようよ。」
ノーグ:「…やだね。」
「どうしてだよ。」
「だって野球なんてつまんないだけだもん。」
「下手くそだからだよ。」
「あんなの何百年も前に廃れた大昔の遊びじゃないかあ。」
「僕のカーブが打てないから嫌なんだろ?」
オドーが近づく。「そこの二人? 全く。プロムナードで遊ぶなと前にも注意したはずだがな。」
ジェイク:「下には落ちないよ。」
ノーグ:「ここ、すごく眺めいいんだもん。」
オドー:「何をそう熱心に眺めていると言うんだね?」
ジェイク:「……別に?」
「『別に』何も見ていないんなら、ここに座っている必要はないな。では、二人とも起立!」
従うジェイクとノーグ。
オドー:「よろしい。」 歩いていく。
また座るノーグ。
ジェイク:「ねえ、もうホロスイートに行こうよ。僕らなら、バック・ボカイ※15にも負けないよ。歴史的なバッターだけどさ。グローブ貸してやるから。」
ノーグ:「…俺、あんな綺麗な子初めて見たよ。」
下をヴァリスたちが歩いていく。
ジェイク:「まあまあだね。」
ノーグ:「最高だよ! …ナンパしてこよう。」
舌打ちし、追いかけるジェイク。

ベイジョーの村。
うめいている老人。突然声を上げた。「ああ…ダルロック※16。」
ベシア:「起きないで。安静にしてた方がいい。」
若者を呼ぶ老人。「ホヴァス※17。」
ホヴァス:「ここにおります。」
「日暮れは?」
「あと、2時間はありますよ?」
「なぜ、もっと早く起こさなかった。着替えるから手を貸せ…」
ベシア:「申し訳ないが、ベッドから出すわけにはいかない。」
「…預言者が遣わしたのはそなたか。」
「何のことです?」
ベシアの手を握る老人。「ああいや、この者ではない。…そなたには、連れがいるな?」
ベシア:「…オブライエンですか?」
「ああ、ここへよこせ…」
「なぜ。」
「なぜなら、わしが待ってたのはお前ではないからだ。」
「…オブライエン。…ここへ来てやれ。」
「…そばへ……。そばへ寄れ。」 また手を握る老人。「ああ…やはりな。やはり預言者は我らを見捨てなかった…。もう下がってよいぞ、2人ともだ…。」
「ベッドにいるよう、見ててくれ?」
ホヴァス:「うん?」

外に出るオブライエン。「一体どういうことだ?」
ベシア:「見当もつかない。」
ファレン:「シラー※18の容態は。」
「悪いニュースだ。気の毒だが細胞崩壊によって、全身の器官がむしばまれてしまっている。老衰からくるものだよ。」
「治療の手だては。」
「痛みを和らげてやることしかできないね。残念ながら、後は時間の問題だ。」
「何とかしてくれ! ダルロックが来てしまう。」
オブライエン:「その、ダルロックってのは。」
「化け物だよ。北にある森に住んでいるんだ。毎年収穫の時期に現れる。」
ベシア:「それが今夜来ると言うんだな?」
「そうだ、5日続けてやって来る。今夜で 4日目だ。村を守れるのはシラーだけなんだ。」
「今のあの人にはベッドから起き上がる力もないぞ。」
「…それが事実なら、この村は今夜で全滅だ。」


※6: このベイジョーの村は、第18ステージに建設されました

※7: Faren Kag
(ジム・ジャンセン Jim Jansen DS9第104話 "Trials and Tribble-ations" 「伝説の時空へ」のラクスリー (Lucsly) 役。ゲーム "Armada" でも声の出演) 声:大川透、DS9 ガラックなど

※8: DS9第1話 "Emissary, Part I" 「聖なる神殿の謎(前編)」で、シスコとオパカが会った部屋の使い回し

※9: Woban
(ジョーダン・ランド Jordan Lund TNG第101話 "Redemption, Part II" 「クリンゴン帝国の危機(後編)」のカルグ (Kulge)、ENT第51話 "Bounty" 「狙われた首」のスカラー (Skalaar) 役) 声:乃村健次

※10: larish pie
吹き替えでは「ラリッシュ」は訳出されていません

※11: Glyrhond

※12: Gamzian wine
DS9第7話 "Q-Less" 「超生命体“Q”」より

※13: Trixian bubble juice 初登場

※14: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」以来の登場。声:山口勝平

※15: Buck Bokai
TNG第12話 "The Big Goodbye" 「宇宙空間の名探偵」より。吹き替えでは「ベーブ・ルース」となっており、2話後とのつながりが台無しに…

※16: Dal'Rok

※17: Hovath
(ローレンス・モノソン Lawrence Monoson ENT第10話 "Fortunate Son" 「復讐の連鎖」のマシュー・ライアン副長 (First Officer Matthew Ryan) 役) 声:吉沢徹

※18: Sirah
(ケイ・E・クター Kay E. Kuter TNG第93話 "The Nth Degree" 「謎の頭脳改革」のサイセリア人 (Cytherian) 役。2003年11月に死去) 声:小関一、旧ST5 コードなど

廊下を歩くジェイク。「ほんとにここなんだろうなあ。」
ノーグ:「データを見ただろ? 若い女の訪問客は一人しかいなかったんだ。…この部屋にいるはずだよ…。……行けよ。」
「行けって?」
「ベルを鳴らせ。」
「僕が? あの子に会いたいのはお前だろ?」
「怖いのか?」
「…別に?」
「じゃ押せよ。」
「お前が押せよ!」
「怖いくせに!」
「そっちがだろ!」
取っ組み合うノーグ。「やめろよ! 押せってば!」
ヴァリスが出てきた。「何をしてるの?」
ノーグ:「ああ…僕はノーグ。じゃなくてノック。違った。」
ジェイク:「ノーグにジェイク・シスコだ。」 中に入る。
ヴァリス:「…シスコ?」
「実は、君の歓迎会を開こうと思って来たんだよ。」
ノーグ:「あ、そ…その通り。…DS9 へようこそ。」
ヴァリス:「ありがとう。ヴァリス・スルよ?」
ジェイク:「ステーションを案内しようか。クリンゴンの貨物船が、ガンマ宇宙域へ出航するから。ワームホールに入るとこ見られるよ?」
ノーグ:「そ、そ、それいいね。」
「そうだろ? どうかな、見たくない?」
ヴァリス:「…ワームホールは見たいわ?」
ノーグ:「あ、じゃ決まりだ。…俺たち、すっごくよく見えるところ知ってるんだぜ?」 笑う。
ジェイク:「…でも忙しいんじゃないの?」
ヴァリス:「今なら大丈夫。」 外へ出る。
喜ぶ二人。

夜のベイジョー。
ベシア:「シラー、いけませんよ。今すぐベッドへ戻って下さい。外へ出るなんて、今の状態では無茶だ。」
シラー:「…ドクター、心配してくれるのはありがたいが、わしの運命は預言者の手の中にある。」
ホヴァスに支えられ、高台へ向かうシラー。風の音が大きくなってきた。
トリコーダーで調べるオブライエン。
シラー:「さあ。」
シラーを独り残し、降りるホヴァス。
だんだんと風が強まってくる。
オブライエン:「おかしいなあ。風があるのに、大気の乱れは全く探知できない。」
手を広げるシラー。「ダルロックが目覚めた。」
声を上げる村人。
シラー:「かかってくるがよい。…飢えたるものは宵間の闇に紛れ、太古の憎しみを抱え荒れ狂う。歪んだ混沌の淵から起き出し、いま我らの元へ。」
空中に、雲のような物体が現れた。
ベシア:「生命反応は!」
オブライエン:「トリコーダーには相変わらず何の反応も出ない。」
大きくなる物体。
ベシア:「あれはホログラムの映像じゃないのか?」
オブライエン:「いや、ホログラムならパワーを感知できる。」
シラー:「ダルロックの怒りは、波となり、この村を飲み込み押しつぶす。我々を脅かし、どこまでも留まるところをしらぬ。ダルロックよ、お前は我々を非力と思うだろう。」
辺りに雷光のような光が走る。
シラー:「だがそれは大きな誤りだ。我らのもつ力は、遥かに強いのだ。ダルロックは、我々を見下している。」
ファレン:「さあみんな、力を合わせよう! 我らには力がある。」 村人から、白いエネルギーのようなものが空へ注がれる。「負けるものか。奴を叩き潰すぞ、かかってこい!」
それはダルロックの一点にぶつかる。
シラー:「力を合わせ、心を合わせて全員でダルロックを…。」 倒れた。
するとダルロックから、エネルギーが発せられた。村の一部に辺り、飛散する。
下へ落ちる村人。
ダルロックの攻撃は続く。
オブライエン:「どうなってるんだ。」



逃げまどう村人たち。
シラーについているベシア。「オブライエン、運ぶから手を貸してくれ!」
シラー:「わしの世継ぎはどこだ。」
ホヴァス:「シラー。」
「違う、預言者が遣わした者だ。そう、あなただ。」
オブライエン:「え、待って下さい。そりゃあ人違いですよう。」
「わしの後に続けて言え。我が村が滅びることは決してない。」
「え?」
「早く言え。」
「我が村が滅びることは決してない。」
「声が小さい、みんなに聞こえるように。」
「我が村が滅びることは決してない!」
村人が再び集まってくる。
シラー:「恐怖に打ち勝ち、地を踏みしめてダルロックに立ち向かってゆけ。」
オブライエン:「恐怖に打ち勝ち、地を踏みしめて…ダルロックに立ち向かえー。」
再び、村人からエネルギーがダルロックに注がれる。
オブライエン:「我らは最強なり。…ダルロックは我らに及ばない。…今こそ、共に力を合わせ、悪を退けるのだー。」
次々とダルロックに注がれる。うなずくシラー。
そしてダルロックは消えた。
シラー:「逃げ去った。」
オブライエン:「ダルロックは逃げ去ったぞー。」
喜ぶ人々。
シラー:「平和がまた戻った…」
オブライエン:「平和が、また戻った!」
倒れるシラー。
ファレンも近づく。「ああ…。」
ベシア:「…死んでる。」
村人に話すファレン。「…シラーは、逝ってしまった。…だが預言者は世継ぎを、遣わされた。新しいシラーが導いて下さる。…語りの術で村を守って下さる!」

DS9。
モーンに話しているクワーク。「クリンゴンの女はもう最悪だぜえ。※19
笑うモーン。
クワーク:「少佐、これはお珍しい。おいでを首を長くして待ってたんですよ?」
キラ:「下らない挨拶はいいから早くスタードリフター※20をちょうだい。」
「どうです、例の話し合いは順調ですか?」
「…ダブルにして。」
「おお。」

ヴァリスが司令官室に入る。「お呼びになった?」
シスコ:「…どうぞ座って?」
腕組みするヴァリス。「5時間も座りっぱなしでもうウンザリよ。」
シスコ:「ああ、5時間も無駄な時間を過ごしたね。」
「ウーバンが頑固だからよ。」
「君は発言さえしない。何しに来た。」
「言うまでもないと思うわ? 我々の土地を守るためよ。」
「戦争して守る気か。」
「そんなこと私は言ってないわ?」
「話し合うよりも戦う方がいいと言うんなら、我々のしていることは時間の無駄だ。」
「あれは明らかに我々の土地よ。」
「ナヴォット側は認めない。」
「命がけで戦う覚悟もない連中なんて、怖くない。信じてないようね。」
「理性をもって問題に対処する気のない人間など信じる気にはなれない。協力して欲しい。」
「あなたなんかにどう思われようと構わないわ? まだ言いたいことがあるというのなら、明日聞かせてもらいます。公式な会議の場でね?」
「ヴァリス。君の下にいる者たちが本当に戦争を望んでいると思うのか?」
何も言わず、出ていくヴァリス。

プロムナードを歩くノーグ。「…どこへ行ったんだろう。」
ジェイク:「ここにいなかったら、彼女の客室へ行ってみよう。」 モーンがジャムジャ・スティックを買って歩いていく。
「…見つけたら、俺に話させろよ。」
「僕に話しかけた時は僕が答えてもいいだろ。」
「言っとくけど、目をつけたのは俺だ。俺のもんだぞ。」
2階へ上がるジェイク。「そんなこと言ったってあの子の前に出るとしゃべれなくなるくせに。」
ノーグ:「そんなことないよ。」
「あんなに上がっちゃうなんて、ほんとに好きなんだな?」
「好きとは言ってないだろ。俺は、ただ…」
ヴァリスが角にいた。
ノーグ:「ああ、ああ…あの、俺たち今…」
ジェイク:「君を捜してたんだ。」
ヴァリス:「仕事だったの。」
ヴァリスを挟んで座る二人。
ジェイク:「な、何かあったの。何だか元気ないね。」
ヴァリス:「…別に何もないわ? …ただ、嫌な人がいるの。私のものをよこせって、断ってもしつこくて。」
ノーグ:「相手は、すごく欲しがってるの?」
「…ものすごく。」
「そいつのもので、君が欲しいものはないの。」
「欲しいもの?」
「あったらいいチャンスだよ、お互い…取り替えっこすればいいんだ。」
「…まあねえ。」
ジェイク:「どうすればいいか迷った時は、僕ならパパに聞くよ。」
ノーグ:「ああ、俺も相談する。」
ヴァリス:「お父さんは、頼りになる?」
ジェイク:「うん。」
ノーグ:「いや?」
「僕のパパは、頭がいいんだ。」
「あ、う…うちだってさ。…あ、ずる賢い。」
ヴァリス:「うちの両親は、死んだの。…カーデシアに殺されてしまったのよ。」
ジェイク:「…うちもだよ。ママはボーグの襲撃で殺されちゃったんだ。…ほかに誰か、相談できる人はいないの?」
「頼れる人はあまりいないわ?」
「うちの、パパなら…」
ノーグ:「親父の自慢話ばっかりするのはやめろよな!」
ヴァリス:「お父さんを尊敬してるのね? とっても。」
ジェイク:「信頼してる。」
オドーの声。「ジェイク君。」
ノーグ:「オドーだ。」
ジェイク:「あ、いま行きます。」
ヴァリスを連れて行く二人。微笑むオドー。

朝食を食べているベシア。「あのエネルギーの化け物を退治したのは、何なんだろうな。」
オブライエン:「私じゃないことは確かだ。」
「みんな君だと思ってる。シラーが君を後継者に選んだんだ。」
「何かの間違いだよ!」
「ここに着いた時も待ってたと言ってたろ?」
「ああ。」
「こうなる運命だったんだよ。でもほんとによかった。君がこの任務に同行してくれなかったら、今頃さじを投げて DS9 に帰ってる頃だ。」
「君が喜んでくれて嬉しいよ、ジュリアン?」
「大丈夫だよ、僕も信じる。」
「何をだ?」
「…君はほんとに、預言者に遣わされたんだよ。」
「私はシスコ中佐の命令で来たんだ。あの、ダルロックだか何だかは、今夜もやってくるんだぞ? 村人は私が追い払うものと思ってる。ところがどっこい…どうしたらいいか私には皆目見当がつかない。」
ベイジョー人が多数やってきた。
ファレン:「あなたへの、貢ぎ物ですシラー。」
オブライエン:「困るよ、持ち帰ってくれ。」
ベシア:「いやあ構わない、そこへ置いてくれ。」
次々と花などが運ばれる。
オブライエン:「ジュリアン何てことを。」
ベシア:「せっかくもてなしてくれてるのに、断るなんて失礼だよ。」
笑顔で置いていくベイジョー人たち。
そして、3人の若い女性が立った。
オブライエン:「…お嬢さん方は何の用かな?」
ベシア:「この娘たちも君への贈り物ってことだと思うよ?」
「…悪いが思い違いをしてるようだ。」
ファレン:「お気に召さないので?」
「いやあそんな、もったいない。…いや、困るよう。みんな、かなり…。私は DS9 に妻も娘もいる身だ。」
「ああ、失礼を。」 女性を追い払うファレン。「ご家族をお呼びしますか?」
「どうして。」
「ご一緒に暮らした方がいい。」
「…わかってないようだが、留まる気はない。」
「では誰が村を救うと。」
「君たちで適当に探してくれ。」
「あなたしかいない、シラーの決定です。」
ベシア:「人選ミスのようだね。」
「今夜はどうしたらいいんです、ダルロックに皆殺しにされます。」
オブライエン:「そりゃあ力になれるものなら、なりたいとは思うさ。だが何の策もない。」
「語りかければいいんです。」
「そんなことだけでいいのか?」
うなずくファレン。「預言者はシラーを裏切りません。」
オブライエン:「知らないぞ。」
ホヴァスも出ていく。
座り、目を押さえるオブライエン。
ベシア:「さて、どうする?」
オブライエン:「こうなったら、何とかダルロックの正体を突き止めるしかこの泥沼から、抜け出す手はない。そして潰すんだ、こっちが潰される前に。」


※19: 原語では「だから俺は奴らに、クリンゴンのターグの群れを丸ごと売ったんだ」

※20: stardrifter
吹き替えでは「お酒」

『ステーション日誌、補足。パク・ナヴォット両派の話し合いは既に 2日を経たが、これまでのところ歩み寄りは全く見られず、依然として出口の見えぬままだ。』
地図をコンソールで見ているヴァリス。ドアチャイムに応える。「どうぞ?」
ノーグと一緒に来たジェイク。「ねえ、何かして遊ばない?」
ヴァリス:「悪いけど、忙しいの。」
「…じゃあまた後で来るよ。」
ノーグ:「ああよかったら、何か手伝うけどどうかな。」
ヴァリス:「…必要ないわ。」
「…ほんとにいいの?」
ジェイク:「もう行こう、邪魔しちゃいけないよ。」
ヴァリス:「待って!」
ノーグ:「あ、はい。」
「……昨日の件だけど、ほんとにいい取引のチャンスだと思う?」
「そうさ!」
「…でもその取引が、上手くいかなきゃ不利になるかも。」
「ああ…直感で決めなよ。金儲けの秘訣の、第9条にある。チャンスと直感が合わさったら、必ず儲かる※21ってね?」
「直感ねえ?」
ジェイク:「…余計なこと言うなよ。」
ヴァリス:「いえ、ためになったわ? ありがとう、ノーグ。」
ノーグ:「あ…か、解決だね! じゃあパーッといこう。」
「何するの?」
「…おじさんの保安ロッド※22持ってきたんだ。」 笑うノーグ。
ジェイク:「だからって、何をするんだよ。」
「…わかんないけど…あ、オドーのバケツでも盗もう※23…。」
「冗談だろ?」
ヴァリス:「バケツ?」
ノーグ:「後で返すんだよ。」
ジェイク:「でもさあ…」
「きっと面白いぞ?」
「でも保安部には入れないよ。」
「…ついてこいって!」
コンソールを消し、立ち上がるヴァリス。

保安室の前に来たノーグ。ヴァリスたちに言う。「あっちにいて。」
ヴァリス:「バケツなんか壊して一体何が面白いのよ。」
保安室の脇へ向かうノーグ。
ジェイク:「オドーのベッドなんだ。彼は、流動体生物で 16時間※24おきに元の姿に戻って眠る。」
ヴァリス:「バケツに入るの?」
「…液体みたいなもんなんだよ。」
いつのまにかノーグが中からドアを開け、2人を呼ぶ。
入るジェイク。「なあ、やっぱりまずいと思うよ。」
ノーグ:「ここ見張ってろよ、すぐ戻る。」 奥へ向かう。
外を見るジェイク。
ヴァリス:「ジェイク、そんなイタズラしていいの?」
ジェイク:「まあ、何かを盗むわけじゃないしね。」
ノーグが容器を持ってきた。「あったぞ。おおっと…」 よろめく。
バケツ※25に入っていた白い液体が、ジェイクにかかってしまう。「うわ! オドー! オドーが…。」 必死に取ろうとする。
ノーグ:「…オートミールだよ! レプリケーターで作ったのさ。」 笑う。
ジェイク:「ふざけるな!」 オートミールをノーグにかけた。
「おお…。さっきの慌てた顔…。」
ジェイクやヴァリスも、一緒に笑い出した。
オドーが戻って来る。
笑うのをやめる 3人。
オドー:「それは私の物だと思うが?」
バケツをオドーに向かって投げるノーグ。
走って逃げ出すが、たまたま外を歩いていたシスコに捕まる。
シスコ:「どうしたんだ。」
ノーグ:「あ…。」
ジェイクもオドーに連れられてきた。
手についたオートミールを見るシスコ。オドーの前にノーグを連れて行く。

ベイジョーの村。
オブライエン:「岩のミクロ構造にニュートリノ反応があるぞ?」
ベシア:「ダルロックは実体がないのに、なぜニュートリノ反応が出るんだ?」
「さっぱりわからないよ。だがこの岩が自然に砕けたわけじゃないのは確かだね。」
「君が追い払わなかったら、ほんとに村は危なかったな。」
「私はシラーの言葉を復唱しただけだよ。」
「じゃシラーはどうやって追い払ったんだろうな。」
「いい質問だね。どこかに、怪物をコントロールする秘密があるんだよ。ちょっと通して?」
オブライエンの前にいたベイジョー人女性※26。「シラー? 私の娘なんです。」 赤ん坊を抱いている。
オブライエン:「…どうか、したのか?」
ベシア:「君に祝福をしてもらうために来たんだよ!」
「私に?」
母親:「ぜひ、お願いします。」
オブライエンを見るベシア。
赤ん坊の頭に手を置くオブライエン。「きっと、自慢の娘に育つだろう。」
母親:「感謝します、よかった…。」 歩いていく。
声が聞こえる。「いらしたぞ!」
オブライエン:「おい、またなのか?」
ベシア:「お次はゾロゾロとやってきたようだぞ?」
「よせよ、ここは君に頼むよ。この辺りを調べてくれ。私は、シラーの部屋を当たる。」
大勢のベイジョー人の前に立ちふさがるベシア。「待った、待ってくれ。あの…シラーは今お忙しいんだ。すまないが、ええ…僕が代わりに聞こう。」
その様子を見ているホヴァス。立ち去る。

家の物を調べていくオブライエン。ため息をつく。
ホヴァスが来た。
オブライエン:「悪いが独りにしてくれ。」
ホヴァス:「あの、貢ぎ物が届いています。」
「…じゃ中入れといて。ああ待った。シラーのお付きの者だったな。」
「うん。私は、先代の弟子でした。」
「ああ…あの人から何か秘密を聞いてないかなあ。ダルロックを操る方法とか、そんな類の。」
「なぜそんなことを? 世継ぎならあの方から伝授されてるはずだ。」
「そうか、わかったよ! もう聞かないさ。その代わり、化け物に村を荒らされてもガタガタ文句は言わないでくれよ?」
鏡の前に立つ。迫ってくるホヴァスが見えた。
振り向きざまに止めるオブライエン。ホヴァスはナイフを振りかざしている。
やってきたベシアが気づいた。「チーフ!」 一緒にホヴァスを止める。
オブライエン:「気をつけろ、怪我するなよ。」
「勘弁してくれ!」
「…いい加減にしろ!」
「こいつに言え!」
「こいつに、言ってんだ!」 オブライエンはホヴァスのナイフを取ることができた。「なぜ私を殺そうとしたか説明しろ。」
ホヴァス:「……お前はシラーではない。」
笑うオブライエン。「私だってなりたくてなったんじゃない。」
ベシア:「じゃ本物は誰だ。」
ホヴァス:「…私だ。」


※21: No.9 "Opportunity plus instinct equals profit."
吹き替えでは「金儲けの鉄則

※22: 吹き替えでは「警棒」。直訳的にしたんでしょうが、これではロックを開けられるという意味には取れません

※23: 吹き替えでは「壊そう」となっており、「後で返すんだよ」は「仕返しするんだよ」になっています。後に保安室でジェイクが「(後で返すのなら、実際には) 盗むわけじゃないしね」と自分を納得させていますが、バケツを壊してしまうのなら意味が合いません

※24: DS9第4話 "A Man Alone" 「宇宙ステーション殺人事件」では 18時間ですが、今回から修正

※25: 初登場

※26: Woman
(エイミー・ベネディクト Amy Benedict) 声:棚田恵美子、DS9 モリーなど

説明するホヴァス。「…この 9年間、私はシラーに仕えて…語りの術を学んできたんだ。……ところがあなたが来て、シラーの座を取られた。」
オブライエン:「そんなことはない、シラーの座は喜んで君に譲ろう。」
ベシア:「君が継ぐはずだったのなら、なぜオブライエンが選ばれた。」
ホヴァス:「それは私への、当てつけだよ。」
「当てつけって?」
光を発する小さな石がつけられた、装飾品を手にするホヴァス。「…3日前に、語りをやるチャンスを与えられたんだ。だが私はダルロックを上手く操れずに、怪我人を出してしまった。」
オブライエン:「…どうやって操るんだ。」
「これを使う。この石は聖なる神殿から来た発光体の破片と言われている。※27
ベシア:「同じ物がステーションにもある。その威力はよく知ってるよ。」
「かつてこの村の者たちは、憎悪と不信感に満ちて、分裂していた。このままでは村が潰れると危機感を抱いた初代のシラーが、みんなを団結させる方法を考え出した。その発光体で、共通の敵を作ったんだ。恐怖心を煽って怪物を生み出したのさ。」
「じゃあ、村人の恐怖心がダルロックを作っているのか?」
「そうとも。だがみんなは知らない。歴代の、シラーだけに語り継がれる秘密だ。」
オブライエン:「なぜ、語りの術を使う。」
「語りでみんなを引きつけ、心を一つにさせる。」
ベシア:「その集中力があの光を生んで、ダルロックを消し去るんだな。」
「…私にチャンスがあれば今度こそ上手く操るのに。」
オブライエン:「フン、よかったな。早速今夜そのチャンスが巡ってきたぞ?」 笑い、ローブを着させる。
駆け込んでくるファレン。「何をしている! お前にローブを着る資格はない。」
ホヴァス:「シラーは私だ。」
「シラーにはなれないと試されてわかったはずだ!」
「失敗は繰り返さない。」
「その通り。二度とお前の語りで村を危険にさらしはしない。さあそのローブを脱げ!」
従うホヴァス。
オブライエン:「ちょ、ちょっと待ってくれ。」
ファレン:「シラー、お支度の時間です。間もなく、村の者が集まります。」
仕方なくローブを羽織るオブライエン。

DS9。
ヴァリス:「はっきりさせておきたいのですが、保安部での一件は全て私に責任があります。」
シスコ:「君一人の責任で済む問題ではないと思うね。ジェイクも無分別だった。」
「でも、二人は私の気を引こうとしてあんな真似をしたんです。」
「だがあれはいきすぎだ。」
「…女の子の気を引こうと、イタズラした経験は?」
「…あるかもな?」
「ジェイクはいい子です。ノーグも。」 笑うヴァリス。「悪い子じゃないわ。…友達になってよかった。」
「同じ年頃の子と、友達になる機会はないだろうな。」
「ええ。でも…相手をした元々の理由は…あなたを知りたかったからよ。」
「そうか。」
「ジェイクはあなたを信頼してる。尊敬してるわ?」
「それはとても嬉しいね。」
「話を、聞いているうちに……両親が、とても恋しくなったわ? …父は偉大な人だった。最高の指導者よ。」
「君だって自慢の娘だよ。」
「もっと強くなりたい。父を見習って。でも……難しいわ。」
「聞くところによるとお父さんは、話のわかる方だったらしいな。」
「ナヴォット派に恐れられるほどの力が、父にはあったわ? でも私が譲歩すれば、足元を見られるのが落ちよ…」
「ウーバンはつけいるような真似はしない。だがあの土地だけは何としても取り戻す気だ。」
「私はあんな連中なんか怖いとはちっとも思ってないわ。」
「怖がってるなんて言ってない。土地を渡す気はないんだな?」
「…連中に負けるわけにはいかないわ。」
「そうか。お父さんのような立派な指導者は、負けるが勝ちという言葉を知っているはずだぞ?」
後ろを向くヴァリス。「……中佐。」 振り返った。「出方によっては、いいチャンスかも。お互いに利益になるよう、もっていきます。」

人々が集まる中、オブライエンが家から出てきた。
ホヴァスが歩くように指示する。
オブライエン:「君が語った方がいい。」
ホヴァス:「そうしたいさ。」
「なら勇気を出してやれよ。」
「いや。ファレンには一理ある。私は、みんなにシラーと認められていない。みんなの協力がない限りダルロックを操るのは無理だ。」
「私だって無理さ。」
「…何とかなる。」
ベシア:「オブライエン。…がんばれよ。」
オブライエンは笑みを浮かべるが、すぐに消えた。
風が強まる中、高台に立つオブライエン。村人から声が上がる。
オブライエン:「……そ、その…昔の、ことだ。ダ、ダルロックという怪物が、ええ…も、森に住んでた。森の、中だ。奴はこの村を憎み…村人全員を憎んでいた。」 ダルロックが現れた。「そしてこの村を潰そうと…企んだ。」
ダルロックを指さすファレンたち。
オブライエン:「そうだ、奴がまた現れた。ダルロックは飢えている。だが、我々は戦いを恐れない。これまでも何度となく、我々は光を放って勝ってきた…」
ホヴァス:「いつもと違う。」
ベシア:「それは、オブライエンが本物のシラーじゃないからなんだよ。行ってこい!」
オブライエン:「…我らは、決して負けない。恐れることはない。」
動揺する村人。
オブライエン:「さあ力をもって、あのダルロックに…対抗しよう。」
ホヴァスに話すベシア。「これは全てシラーが仕組んだことじゃないのか? 君の信用を回復するためにオブライエンを後継者に選んで、君に窮地を救わせようとしたんだ。さあ勇気を出せ。もしここで怪物を退ければ、みんなは君をシラーと認めるはずだ!」
オブライエン:「じゃあいくぞ、みんな集中してくれ? 怪物を追い払うんだ。いいか、ダルロックよ去れとみんなで念じよう。ちっとも光が出ないな。」
ダルロックの攻撃が始まった。オブライエンの足下に当たり、倒れる。
空を覆うほど広くなるダルロック。逃げまどう人々。
ホヴァスはオブライエンから腕輪を手にした。「待て! みんな聞け、逃げ去る必要はない! 新たな声が、ダルロックに挑戦する!」
オブライエン:「その意気だぞ。」
「ダルロックは恐るべき敵だ。山々もその猛威に打ち震える。だが、我らの繁栄は奴を阻み…我らの結束は、奴を砕くのだ。我らの威力は、奴を葬る。」
村人から光が現れ、ダルロックに注がれる。
見上げるホヴァス。「見よ、ダルロックが怯えている。我らの力に、震えている。我らの決意に、恐れをなしている。よいか、お前はもはや我々の敵ではない! この村は団結した。我らは一つだ!」
消えていくダルロック。静かになった。
抱き合い、喜ぶ村人。
ホヴァス:「その目で確かめるがよい。ダルロックは消え去った。次の年まで村は平和に包まれる。」
ファレン:「シラーだ。シラーだ!」
オブライエン:「引き留められないうちにさっさと帰ろう。」 ベシアと共に下へ降りる。
近づく村人に手を挙げるホヴァス。

DS9。
シスコ:「緊張してる?」
ヴァリス:「全然? ……ちょっとしてるわ。ウーバンは、取引に応じるかしら。」
「十中八九ね。土地が戻るんなら条件を呑むさ。」
「川を挟んで自由に貿易ができるようになれば、みんな喜ぶわ。」
「いい取引だと思うよ?」
プロムナードのドアの前では、ジェイクとノーグが待っていた。
ジェイク:「会議が上手くいくといいね。」
ヴァリス:「ありがとう。」 ノーグの頬にキスした。「アドバイスのおかげよ。」 落ち着かないジェイク。
咳払いするシスコ。ジェイクをつつき、ヴァリスと部屋へ向かう。
オドーが近づく。「ほーら何してる。これから保安部を掃除して、ピッカピカに磨き上げてもらうぞ?」 ジェイクとノーグを隣の保安室へ連れて行った。
その隣のエアロックから出てくるベシア。「しかしみんなに、いい土産話ができたと思わないか?」
オブライエン:「話さないよ、語りの術なんて一体誰が信じる。」
「じゃ代わりに語ってもいいか?」
「御勝手に、ジュリアン?」
「ああ、そうだ考えたんだが…やっぱり無理にジュリアンって呼ぶことはないよ。」
オブライエンは、微笑んだ。「わかりました、ドクター?」


※27: 吹き替えでは「この石はテンプルに納められていたと言われる発光体だ」

・感想
二派の勢力争いと、謎の怪物に怯える村。どちらもベイジョー人の話であり、一見暗い印象を受けがちですが、実際はかなりコメディ色が強く出ています。並行ストーリーが効果的に生かされており、間延びすることなく最後まで楽しませてくれますね。見直すまでダルロックの正体を忘れていましたが、発光体 (預言者) の所業ということであれば、強引ですが何となく納得できてしまいます。
ベシアとオブライエンの名コンビは初めて組むことになり、今後へとつながっていくことに。対するジェイクとノーグも、プロムナード 2階の「お気に入りの場所」が使われるのは初めてです。元々の原案は、TNG 第1シーズンの頃に提出されたものでした。ヴァリス役の声優は、現在も多方面で活躍しているようです。


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