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ディープスペースナイン エピソードガイド
第15話「第五の月“ジェラドー”」
Progress

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・イントロダクション
カードゲームを楽しむジェイク。相手はノーグ※1だ。
2階から降りてくるクワーク。「全くこのタコが。発注は取り消しとけって言ったろ。どういうつもりなんだよ! カーデシアのヤモック・ソース※2を 5,000袋も買っちまって、とてもさばけんぞ! あれを食うのはカーデシア人だけなんだ。」
話を聞いているノーグに怒るジェイク。「おいノーグ、ボケッとしてんなよ。」
クワークはフェレンギ人に話し続ける。「お前が注文したんだ、お前が払え。給料から天引きするからなあ。来週から向こう 6年間、手取りは半額だと思え。もう二度と、カーデシアの食い物なんか絶対に発注するんじゃないぞ。わかったな!」
ジェイク:「どうしたんだよ、君の番だぞ!」
ノーグ:「ヤモック・ソースが 5,000袋か。えらく買い込んだもんだな。」
「ノーグ、さっさと引かないと、僕の勝ちだよ!」
「5,000袋も無駄なんてもったいない。」
「…もういいよ、やる気がないんならやめる!」
「ジェイク! 俺、今耳たぶがゾクゾクっときてんだ。このゾクゾクってのさあ、本能で感じるんだよな! チャンスだよ、チャンス。」
「チャンスって何のチャンスさ。」
「もちろん金儲けのチャンスだよ、決まってんだろ? ラチナム 4本、いやや 5本かな。」
「ヤモック・ソースで金儲けができる?」
「この機会に俺が金儲けの秘訣を教えてやるって! 来いよ!」
「どこへ。」

『ステーション日誌、宇宙暦 46844.3。ベイジョーは惑星連邦の支援を得て、ベイジョー第5の月、ジェラドー※3の核からエネルギーを取り出すというプロジェクトに取り組むことになった。』
司令室。
ベイジョー人と一緒に司令官室を出るシスコ。
ダックス:「マグマの圧力は安定しています。」
オブライエン:「地表下の差度運動は、0.3%です。」
ベイジョー人:「正常なのか。」
キラ:「ええ、ご心配いりません。」
「なぜ赤いライトが点滅してる。」
オブライエン:「ノーマル・スタンバイモードなんです。」
「それじゃ、異常が発生するってことじゃないんだね。」
シスコ:「我々も異常が発生しないことを願ってます。」
キラ:「あの、トラン※4大臣? ここは専門家にお任せを。」
トラン:「ああ、申し訳ない。しかし今年の冬は、数十万世帯の暖房をジェラドーからのエネルギーでまかなう予定なもんでね。」
「ええ、よくわかっています。では調査飛行に行って参りますので。」

衛星軌道上のランナバウト。
ダックス:「私がクワークの店で御茶を飲んでたらねえ、モーンが来てディナーはいかがですかって誘うのよ? 区域第12デルタには生命体の反応なし。」
キラ:「まさか OK したわけ?」
「次は区域第15デルタのスキャンを開始。」
「ねえ、教えてよ。」
「忙しいって断った…」
「よかった。」
「でもねえ、モーンのオデコに 7、8本クルクルっとした巻き毛が生えてるの知ってた?」
「…巻き毛?」
「あれは結構可愛らしいのよね? …あらおかしいわね、第15デルタに人間の反応があるわ? 調査に出たエネルギー学者※5かしら。」
「15デルタにはいないはずよ。」
「自分で見てみて?」
「…住民には全員退去命令が出てるはずだけど…ジェラドーへ転送してもらえる? ちょっと見てくるわ。」
「ビーム転送準備。」
「すぐ帰るわ。」 転送されるキラ。

地上※6に実体化する。
作物が置いてあり、井戸もそのままだ。
女性がいた。農具を手に近づいてくる。
反対側からは男性。キラは囲まれた。


※1: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) 前話 "The Storyteller" 「混迷の惑星“ベイジョー”」に引き続き登場。声:山口勝平

※2: yamok sauce
初言及

※3: Jeraddo

※4: Toran
(マイケル・ボフシェヴァー Michael Bofshever TNG第151話 "Timescape" 「時空歪曲地帯」のロミュラン/異星人、映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のエクセルシオ機関士役) 声:大滝進矢

※5: 熱学者 thermologist

※6: この部分は第18ステージに建てられました。よく使われる洞窟セットの前

・本編
別の男の声が響いた。「その 2人は制服が大嫌いなものでね。」 家の入り口に立っている老人だ。
キラ:「私だって嫌いだけど、しょうがないでしょ?」
「うん、何しに来た。」
「…話すから武器を降ろさせて。」
指示する老人。キラは近づく。
老人:「美人じゃないかあ。」
キラ:「じゃあ中に入れて下さる?」
「いいや? 制服を着た人間は信用しないことにしてるんだ。何度も痛い目に遭わされてるからな。」
「私はカーデシア人じゃない。」
「うーん…」
「ジェラドーからは退去命令が出てるはずよ?」
「この農場は私の命なんだよ、お嬢ちゃん。自慢の畑だ。」
ドアを閉じさせないキラ。「ちょっと。『お嬢ちゃん』はやめて頂きたいわね。」
老人:「ほとんどはキャターポッド豆※7だがね。うちの豆ほど美味い豆はないよ。」
「父がよく言ってたわ? 大きな豆を収穫したければ、クロロバイクローブ※8をたっぷりやれって。」
「お父さんが…」
「うーん。」
「よく知ってるなあ。うちは農家なんだね?」
「いいえ? でも御機嫌を取らないと腕を切り落とされそうだから。」
「綺麗な目をしてるねえ。夕食を御馳走しよう。」
「…申し訳ないけどそんな暇はないわ。ほんとならとっくにこの月から出てなきゃいけないんです。さ、ビーム転送しますから。」
「とにかく食べながら話をしよう。さあ、おいで。」
「ああ…。」

DS9。
1階を指さすジェイク。「あそこにいる。」
笑うノーグ。
話している異星人。「それじゃあ、2 の 20 で手を打とう。お買い得だよ。」
相手は席を立った。「ああ。」
異星人:「ああ!」
離れた相手に近づくノーグ。「あのー、すいません。リセピアンの、貨物船のキャプテン※9ですよね。」
リセピアン:「ああ、そうだ。」
「カーデシアとも結構貿易してますよね。」
「悪いか? カーデシア人は金払いだけはいいからなあ。」
「ええ、そうらしいですね。それにヤモック・ソースが大好物なんでしょ?」
「坊主、ヤモック・ソースを買い付けようってんなら御門違いだぞ。私はもっとらんよ。」
「買うんじゃありません、売りたいんです。」
ジェイク:「そうなんです、5,000袋もあるんですよ。」
「レプリケーターのじゃない本物が。」
リセピアン:「どこでそんなにたくさん買い付けてきたんだ。」 プロムナードには女性と話しているモーンがいる。
「ちょっと、コネがありまして。」
「しかし、5,000袋とはなあ。」 笑うリセピアン。
「どうでしょう、買っていきませんか? お値段は、ラチナムの延べ棒 5本でいかが。」
「そりゃまた、えらく吹っかけたもんだ。」
「本物のヤモック・ソースですから。」
「坊主、あいにくラチナムのもち合わせはない。引き取ってやってもいいが、ただし…物々交換だ。」
「…あ、いやラチナムじゃないとちょっとね。」
ジェイク:「おい、ちょっと待ってよ。交換って何と。」
リセピアン:「セルフ・シールのステム・ボルト※10、100グロスとだ。注文したベイジョー人が金が払えなくなってなあ。」
「セルフ・シールのステム・ボルトですか。」
「ああ、品質は最高だよ? この辺りじゃまず、手に入らない商品だ。」
ノーグ:「あ、いやお断りします。やっぱりラチナムで払ってもらわなきゃ…。」
ジェイクはノーグを脇へ連れて行く。「ノーグ、ほんとにいいのか。」
ノーグ:「だってステム・ボルトなんか買ってどうすんだよ。」
「でもヤモック・ソースなんかもっててどうすんだ?」
ノーグはリセピアンに言った。「キャプテン、パートナーとの相談の結果…お受けすることにしました。」 握手する。
リセピアン:「よーし! それじゃ 21時に第9貨物室へ来てくれ。そこで物を交換しよう。」 歩いていく。
「しかし問題はだ。セルフ・シールのステム・ボルト 100グロス、どうやってさばくかだよな。」
ジェイク:「その前に問題があるだろ? どうやってクワークからソースを手に入れる?」
「ああ…。」

食事の準備をしているベイジョー人たち。
老人:「あんたは腹ペコの男に家の明け渡しを要求したりせんだろ?」
キラ:「まさか、そんなこと。」
「それで安心したよ。こいつを軟らかく煮るには 3時間かかるからなあ。」
「何ですって?」
「固いのはとても食えたしろもんじゃないぞ。」 野菜を叩く老人。
「わかったわ、付き合うわよ。キラよりガンジス。」
ダックス:『こちらダックス。何かあったの?』 コミュニケーターに興味を示す老人。
「人の予定を遅らす名人がね、お別れの夕食会に招待して下さったの。先に帰ってて、この人たちは私が連れて帰るわ。」
『どうぞごゆっくり。』
老人:「じゃあこれを、まずはよく洗って、それから皮をむいてくれ。」 鍋を取り出す。
キラは隣りに来た女性を見る。「すごく無口ね。」
老人:「ああ、その 2人はしゃべれないんだ。カーデシアの奴らにやられたらしくて。18年前にこの月に逃げ込んできたのさ。私は 40年いるが、仲良くやってるよ。ああ皿を並べて、ナイフとフォークを出しといてもらえるかな。あっちの棚に入ってる。」
野菜を女性に渡すキラ。皿を出す。
老人:「…後ろから見てもなかなかのべっぴんさんだ。」
キラは皿を置いた。
老人:「でも惜しいことに、歩き方が肉食獣※11みたいなんだよなあ…」
キラ:「肉食獣!」
笑う老人。
キラも微笑んだ。「あ…わざと怒らせようとしてる?」
老人:「ハハ…怒ってくれたかな?」
「怒らせて追い払おうとしたって無駄よ?」
「失敗かあ。ああ。それで、あんたの御名前は。」
「私はキラ少佐。住民退去作戦の指揮官。」
「苗字じゃなくて名前は。」
「…ネリスよ。」
「ネリスか。よろしくな、私はムリボク※12だ。料理ができるまでには 3時間たっぷりかかるから、のんびり構えて待っていてくれ。味は保証するよ。」 野菜を切り始めるムリボク。
座るキラ。「ムリボク。7日後に、この月からのエネルギー移転を始めるわ?」
ムリボク:「知っとるよ。」
「ここにいるのはあなたたちだけ。このプロジェクトが成功すれば何十万人が助かるのよ?」
「ベイジョーがどうなろうが私にはどうでもいいことだ。私はベイジョーにあったカーデシアの収容所からここへ逃げてきたのさ。」
「私達がやろうとしていることは、ベイジョーの国民みんなのためなの。…あなただってベイジョーの一員でしょ?」
「私の故郷は、この月だけだ。」
「ベイジョーに戻っても、農場はもてるわ? 周りの人だって、あなた方に援助は惜しまないわよ。そりゃあ環境は違うだろうけど…でもやっていけるわ! 大丈夫よ。」
「いいや。この農場は私の命だ。ここを離れては生きられん。…それならここで死ぬさ。」 また切り始めるムリボク。


※7: katterpod beans
初言及

※8: chlorobicrobes

※9: リセピアン・キャプテン、リセピアン船長 Lissepian captain
(ニコラス・ワース Nicholas Worth DS9第115話 "A Simple Investigation" 「オドーの恋」の Sorm、VOY第106話 "Bride of Chaotica!" 「侵略されたホロデッキ」などのロンザック (Lonzak) 役) リセピアン (リセピア人) は初登場。声:大川透、DS9 ガラックなど

※10: self-sealing stem bolts
stem=「幹」などの意味があります。初登場

※11: 原語では「肉食ラスティポッド (carnivorous rastipod)」。pod は生物の分類を示す接尾辞

※12: Mullibok
(ブライアン・キース Brian Keith ドラマ「ニューヨーク・パパ」(1966〜1971)、映画「罠にかかったパパとママ (パパとママは大あわて)」(1961) などに出演。1997年に死去) 声:筈見純、DS9 イヴェック、VOY コロパック、旧ST5 カークなど

DS9。
ダボで勝ったボリアンの宇宙艦隊士官が、拍手を受けながら帰っていった。
店に入るノーグ。ジェイクは離れる。
ノーグ:「クワークおじさん!」 カウンターにはモーンがいる。
クワーク:「ノーグ。昨日の夜、飲み物を落とした客がいたな。お前金を取らずに新しいのを出したろ、見てたんだぞ。」 ノーグの耳たぶをつかんだ。
「ああ…」
「親父みたいになっちゃダメだっていつもあれだけ言ってるだろうが!」
「は、はい。これから気をつけます。」 離された耳たぶを押さえるノーグ。「ああ…。…あ…おじさん、明日ロカー豆※13が入ることになってるんですけど、倉庫にしまうのにどこに置けばいいですか。…ヤモック・ソースの上に積んどいて構いませんか。きちんとやっときますから。」
「ヤモック・ソースの話はするな!」
「それじゃ処分しときましょうか。物質再生装置のとこに運んどきますよ。」
「任せるからさっさと処分しといてくれ!」
「ああ…。」
「ノーグ。お前は使える。」 店の外にいるジェイクが見える。
笑うノーグ。クワークは歩いていった。
ジェイクに向かって手を挙げるノーグ。ジェイクも応える。

夜のムリボクの家。
ムリボク:「で、カーデシアの調査船に密航したってわけだ。奴らはベイジョーの月を一つ一つ回って鉱山があるかどうかを調査していたんだよ。で船がこのジェラドーに着いた時、私は乗組員を叩きのめして生きるのに必要な物を盗んで逃げたんだ。」 皆で食事をしている。
キラ:「独りで、乗組員を全員叩きのめしたの?」
「6人しかいなかったからな。でも長い収容所生活で身体が弱っていたんで殺さずに済んだからよかった。で私はたった一人で、このジェラドーでの生活を始めたわけだ。困ったことに農業をやる道具は何にももってなかったんでな、当然のことながらまたまた飢え死にの危機に直面したわけだ。ああ、退屈かな。」
「いえいえ、そんな。早く続きを聞きたいわ。」
「ああ。とにかく人間、精神力が大事だ。毎朝起きるたびに、ベルトを前の日より一つ内側の穴に締めたもんだよ。胃袋が縮んでいくんでな。」
「だからそれで?」
「…私がジェラドーに住み着いたいきさつを知りたがったのはそっちだろ。話を急かすな!」
「だって今生きてるってことは飢え死にしなかったってことでしょ?」
「話を聞きたくないのか。」
「…聞かせて頂きます。落ちを聞くのが待ちきれないわ?」 2人のベイジョー人は微笑んでいる。
「とにもかくにも、種をまいて収穫しないと食べ物がない。だろ? それで、たった一人で何の道具もなくゼロからの出発となったわけさ。まずは、地面の上をゴロンと転がって平らにならしてな。次は四つんばいになって土を掘り返した。シャベルなんてないから手で掘ったんだぞ? そして畑の畝を作ったんだ。さっき見たろ、あの畑全部だ。」
「それは大変だったでしょうね。」
「ああ。土が硬くなって手じゃどうしようもないところは、歯でかじって土をほぐして空気を含ませてやったもんだ。バルトリム※14、ワインを持ってきてくれないか、みんなで飲もう。」
うなずく男性。
ムリボク:「そして必死の思いで、手なずけた土地なのさ。私がな。」
キラ:「よくわかるわ?」
バルトリムはワインを 2人に注ぐ。
ムリボク:「あなたも結構苦労してきたらしいね。」
キラ:「そりゃあベイジョーでは大変だったから。」
「カーデシアと戦ったんだもんな。血も涙もない奴らさ、うん。」
「かたきを取ったわ。」
「ああ、よくやった。奴らの慌てたところを…見物したかったな。」
「見物?」
「魚籠の魚※15を突き刺すのは見てて楽しい。」
「そんなこと本気で言ってるの? カーデシアがどんなに手強いか知ってるでしょう? 武器だってすごいし、勝ち目なんかなかったのよ?」
「じゃ何で勝った。」
「何で勝ったかって、そりゃ…。……最後まであきらめないで粘ったからよ。」
「うん…。最後まであきらめないで粘る。」
微笑むキラ。
ムリボク:「…そうか。戦いの極意だ。」 立ち上がった。
キラも後を追う。

外に出たキラ。「ムリボク、話を聞いて。」
ムリボク:「後もう少しでこの窯ができあがる予定なんだ。そしたら、陶芸もできるようになるぞ。土をこねて鍋を焼くのも乙だろ、うん?」
「この土地をどんなに大切に思ってるかはわかるわ? よくわかるけどもうここにはいられないのよ。エネルギー移動が始まれば、硫黄化合物が大気中に噴出して呼吸ができなくなるわ?」
「カーデシア人と戦っても勝ち目はないぞって言われて、あんたは降伏したか。」
「いいえ?」
「なら私が降伏しない気持ちもわかるだろ。この月を壊すのならいつでも始めればいいさ。だが私は、出て行かんよ?」 窯を造り始めるムリボク。
「そう伝えるわ。」


※13: lokar beans
DS9第10話 "Move Along Home" 「死のゲーム」より

※14: Baltrim
(テレンス・エヴァンス Terrence Evans DS9第25話 "Cardassians" 「戦慄のカーデシア星人」のベイジョー人プロカ・ミダール (Proka Migdal)、VOY第72話 "Nemesis" 「ヴォリ防衛隊第4分隊」のトリーン (Treen) 役) 声優なし

※15: 原語では (瓶の中の)「キャンディパー (kandippers)」。吹き替えの魚籠は「びく」と読みます (こんな単語知りませんでした。「ビクの魚」という固有名詞かと)

DS9。
大量に並んだ商品。その一つを取り出すノーグ。
触ると 2本の突起物が出てきた。ノーグは驚き、笑う。
ジェイク:「これがステム・ボルトなのか。」
ノーグ:「セルフ・シールのステム・ボルトだ。そこが肝心だぞ。」
「どう肝心なんだ?」
「あ…だから要するにだな、最高の品質のボルトだってことだよ。この辺りじゃまず手に入らない商品だぜ…。」
「だけど 100グロスもあるんだよ?」
「何とか売るさ。」
オブライエンが貨物室にやってきた。「やあお二人さん、この荷物は一体どういうことなんだ?」
ノーグ:「あ、クワークおじさんが買った物なんです。ステム・ボルトなんです。」
「じゃ帰ったらおじさんに、伝えといてくれないか? ちゃんと手続きを踏まないで物を輸入するのはいい加減にしろって、うん?」
「あ…はい、必ず伝えときます。おじさん、どうしても急にステム・ボルトが入り用になったらしくて。」
「へえそう、セルフ・シールのステム・ボルトをねえ?」
「ええ、そう。それです! セルフ・シールのステム・ボルトです。」
「ああ。しかし一杯あるなあ。」
ジェイク:「品質的には最高の物で、まずこの辺りじゃ手に入らない物なんですよ。」
「うーん、そりゃあすごいな。でも何に使うんだ?」
ノーグ:「そりゃあ、普通の使い道に。」
「普通の使い道?」
「ご存知でしょ、セルフ・シールのステム・ボルトったら決まってるでしょ。」
「私は知らないよ?」
「え…」
「使ったことないし。」
「あ…」
ジェイク:「い、一度も?」
オブライエン:「見るのも初めてだよ。」
ノーグ:「じゃなぜセルフ・シールだってわかったんです?」
「読んだんだよ。目録パッドに書いてある。フン。」 出ていくオブライエン。
「…オブライエンさんが知らないんじゃ、きっと誰も知らないぜ。」
ジェイク:「何に使うかキャプテンに聞けって言ったろ?」
「そうだ! セルフ・シールのステム・ボルトを知ってる奴が一人いるぜ! 最初にこれを発注したベイジョー人に聞けばいい。名前は、貨物コードを調べりゃわかる。」
装置を使うジェイク。「シルコ・チャーノ※16。名前だけじゃなく住所も載ってる。でも横取りされたって怒るんじゃないか?」
ノーグ:「確か金が払えなくなったんだよな。ってことは値段さえ折り合えば、買う気はあるってことだ。」 セルフ・シールのステム・ボルトを見つめ、笑う。

キラが司令室に帰ってきた。
ダックス:「ずいぶん遅かったじゃないの。どうしたのか心配したわよ?」
キラ:「…司令官は。」
「トラン大臣と御一緒だと思うけど。」
うなずくキラ。「丁度いいわ。」

トランは怒った。「今更どういうことだ! ジェラドーの 47人の住民は全員喜んで退去したはずだ。」
キラ:「喜んでとは限りません。ただ退去命令に従ったってだけかもしれない。」
「3人にも従ってもらう。」
「ムリボクはそうはいきません。」
シスコ:「だが彼の気持ちを変えさせる方法は何かないのか。」
「いいえ? もう死ぬ気でいますから。」
「プロジェクトを延期したらどうだ。」
「まあ説得の時間は増えますけど…」
トラン:「延期するわけにはいかん! ただちに退去してもらわないと困る! …強制転送するしかない!」
「駄目です、そんなことしたら…彼を殺すのと同じです。」
「たかが 3人のわがままのために大多数の国民の利益がかかっているプロジェクトを犠牲にはできんだろ! 彼らの気持ちはわかるが、ほかに方法がないんだ。納得してもらおう。」
「いいえ、方法はちゃんとあります。取りだしたエネルギーを一度フェイズさせ、回復させれば…」
「その方法は時間がかかりすぎるから駄目ということになったろ。それだとまとまった量のエネルギーを取り出すまでに、一年も待たなくてはならん。むごいようだがもうプロジェクトは待ったなしなんだよ。」
「カーデシア人みたいなこと言わないで下さい!」
シスコ:「落ち着くんだ、少佐。」
トラン:「少し言い過ぎじゃないか? 君はそのムリボクって男に同情しているようだな。もちろん気持ちはよくわかる。だが君がこの任務を遂行できないというなら、別の人間を任命する。」
キラ:「…いいえ、私がやります。」

ジェラドーへ戻るランナバウト。
キラは保安部員たちを連れている。「ムリボク、ムリボク!」
保安部員※17:「ほかの 2人はどうします?」
「あっちの方にある小屋に住んでるわ。3、40メートルぐらい先の。気を遣ってあげてね、あの 2人はカーデシア軍にやられてしゃべれないのよ。制服を怖がってるし。いいわね?」
「わかりました、少佐。」
「もしも…畑に出て働いていたら、身の回り品とか、服を荷造りして。」
「勝手にいいんですか。」
「いいえ、強制転送するから。とにかく気をつけて行動してちょうだい。」
「ええ。」 2人は向かった。
キラが家に近づくと、ムリボクが出てきた。「銃を使うのか。」
腰に武器を下げているキラ。「いいえ、規則だから。…よければ荷造りを手伝うけど。」
ムリボク:「部下 2人はバルトリムとキーナ※18のところへやったのか。」
「ええ、そうよ。そういう命令を受けて来てるの。」
「私は行かん。」 中に戻るムリボク。
ドアを叩くキラ。「実力行使はしたくないの! お願い!」
ムリボクは器を持って出てきた。
キラ:「私を信じて。ベイジョーへ戻ってちょうだい。ベイジョーでも農場はもてるわよ。人との付き合いが嫌なら無理にしなくていいわ? それに 3時間も煮なくちゃ食べられないお芋より、もっといい作物もあるわ。頑なにならないで。」
ムリボク:「自分の心に聞いてごらん。本当にそう思ってるか?」
「それ、どういう意味?」
「あんたは私が子供の頃友達だったマルゴリアン※19にそっくりだ。マルゴリアンは頭が二つあるんだよ。」
「昔話を聞いている暇なんかないわ?」
「マルゴリアンは頭が二つあるもんだから、本当に自分がしたいことが何なのかいつもわからなくなって困っとったよ。」
「いつまでもそうしてはぐらかすのはやめて現実を見なくちゃ駄目よ。」
「それでいつも頭を抱えて悩んでるんだよ。でも二つの頭で考えることが違うもんだから決められないんだな。で私のところへ聞きに来るってわけだ…」
「ムリボク、お願いだから…」
「私の代わりに決めてくれって…」
「ムリボク。」
「…私が何て答えたかわかるかい。『人に頼るな。自分で考えて決めろ。』 うん?」 笑うムリボクは、窯を造り始める。
「わかったわ、じゃ荷造りは私がやってあげる。」
保安部員が戻ってきた。「キラ少佐、こいつらどうかしてますよ! 男の方はいきなり鍬で突いてくるし、女は後ろから飛びかかってきた。」 腹から血を流している。2人を連れてくる保安部員たち。
ムリボク:「離せー!」 保安部員の首を絞める。「キーナを離せー!」
もう一人が銃を構える。やめさせようとするバルトリム。
キラは保安部員に命じた。「やめなさい!」
だが撃たれた武器は、ムリボクを直撃した。倒れるムリボク。
近づくキラ。「あっ! …早く! シャトルへ戻ってステーションからドクター・ベシアを呼んで! …急いで!」


※16: Sirco Ch'Ano

※17: 第一護衛 First Guard
(ダニエル・リオーダン Daniel Riordan TNG第19話 "Coming of Age" 「宇宙戦士への道」のロンドン (Rondon)、ENT第45話 "Judgment" 「反逆の法廷」などのデュラス (Duras) 役) 声:室園丈裕

※18: Keena
(アニー・オドネル Annie O'Donnell) 声優なし

※19: 二つ頭のマルゴリアン two-headed Malgorian

DS9。
通信相手の声が聞こえる。『よく聞こえないな。名前は何ですって? 何だか亜空間通信がよく聞こえないんですよ。』
ノーグは機械をいじっている。
ジェイク:「…僕の名前は…」
ノーグ:「僕たちは、ノーグ&…いや、ノー・ジェイ商会※20と申します。実はセルフ・シールのステム・ボルトが 100グロスあるんですが。」
コンソールに映った人影は、映像が乱れてほとんど見えない。『私が注文したやつですか? いくらで売ってもらえます。』
ジェイクと喜ぶノーグ。「そうですね、それじゃどうでしょう。」
ジェイク:「5本。」
「ラチナムの延べ棒 5本でいかがで。」
シルコ:『延べ棒 5本?』
「それなら 4本。」
『いやあ、あいにく今…』
「3本で、いいですよ?」
『いやあ、実は今ラチナムの持ち合わせがないんですよ。何かと、交換じゃ駄目でしょうかねえ。』
「ああ…そうおっしゃらず。延べ棒一本でもいいですけど。」
ジェイク:「もってないって言ってるじゃないか! 交換に応じた方がいいよ。」
「また『交換』なんてやだね! ラチナムでなきゃ。」
シルコ:『よく聞こえないんですけど、ああ…よければ、土地と交換してもらえませんかねえ。』
ジェイク:「土地ならいいじゃん!」
ノーグ:「何言ってんだ、ただの土じゃないか、ああ…。」
「土地ってどれくらい?」
シルコ:『広さは、7テシペート※21の土地なんですが。』
「7テシペートだってよ!」
ノーグ:「最初にヤモック・ソース、次はステム・ボルト、今度は土地ときたらいつになったら儲かるんだ!」
「…でも段々近づいてきてるよ。」
「そうかなあ。」
「ああ、大丈夫さ。」
シルコ:『どうです、いいですか?』
「…一度その土地を見せて下さい。」
『いいですよ? それじゃあ、こっちへ来る 12時の便に乗って下さい。』
「じゃあステム・ボルトはその時に。」 通信は終わった。「…土地だぞ!」
ノーグ:「土だ!」

うめくムリボク。
ベシア:「ゆっくり休んでいて下さい。ダメですよ、フェイザーが腹膜※22を貫通したんですから。かなりの重傷です。」
ムリボク:「ああ、ああ…」
「動いたら気分が悪くなるだけですよ。」
「…また制服の野郎か。」
「艦隊士官のドクター・ベシアです。キラ少佐に呼ばれましてね。」
「そうか、お嬢ちゃんが。やっぱり二つ頭があるんだな。」
キラを見るベシア。キラは外へ出ていった。
ムリボク:「私が気絶してる時ビーム転送しちまえば簡単だったのに。…ああ、そうだ。バルトリムとキーナは。」
ベシア:「ベイジョーへ退去させられましたよ。あなたにはステーションへ来て頂きます。そこで診察を…」
「いいや! 私はここに残る。」
ため息をつくベシア。外へ出る。

ベシアはキラに近づいた。「ここに残るって言ってますよ。」
キラ:「ああ、そう。」
「でも治療を受けさせないと。強制的にでも連れて行きます。」
「そんなの駄目よ。」
「でもかなりの重傷なんですよ。」
「私が残るわ?」 制服の上着を脱ぐキラ。
「でもここには何の医療器具も施設もない。」
「治療方法を書いていって? それから必要な薬は置いてってね。」
キラは、窯を組み立て始めた。

話を聞くシスコ。
ベシア:「キラ少佐は何の説明もしようとせずに、いきなり制服を脱いで窯を造り始めたんです。驚きました。」
シスコ:「このままでは、キラはもう一生制服を着ることはできなくなってしまうかもしれない。…トラン大臣には、キラはドクターの要請でしばらくジェラドーにいることになったと伝えることにするよ。」
「でも私は…そんな要請は。」
「……しかしそれしかないんだ。要請して欲しい。」
「…司令官、医学的な理由から、キラ少佐がジェラドーに留まることを要請いたします。…ああ、それで期間は。」
「1日もしくは 2日。」
「1日もしくは 2日。」
「ありがとう、ドクター。要請は前向きに考える。下がっていい。」
シスコは立ち上がった。

ジェラドー。
装置を胸に当てられるムリボク。「それは何だ。」
キラ:「これで打ち身を治すの。」
「ふーん…」
「なぜ治るかは聞かないでよ? 医者じゃないんだから。」
「…ここに残って罰を受けないのか。」
「…それを言うならあなただって同じ立場でしょう?」
「うーん…。」
「まあ、なるようになれよ。」
「何をそんなに怒っとるんだ。」
「自分でもわからないわ! ……まだ子供だった頃、私の部屋の窓の外に大きな木が植えてあってね? その木ときたら節とコブだらけで幹はヌルヌルしてて、見るからにおぞましかったわ。鳥もよけて通るぐらいだった。」
「でも好きだったんだろ。」
「大嫌いだったわ? 大きく育ちすぎたせいで、下には何ケリペート※23も全然日の光が届かなくなったし、根が張りすぎて周りの地面にはほかの植物が育たなくなった。その木だけが、大きな顔して偉そうに生えてて。」
「生意気か…」
「ええ、そうよ! 生意気な木だったわ。」
「うーん。なかなか個性的な木だったらしいな。」
「……ええ、すごく。」
「…その木は切り倒しちまったのか。」
「…知らないわ?」
通信が入る。『シスコよりキラへ。』
置かれた制服のコミュニケーターで応えるキラ。「司令官。」
シスコ:『今から私がそちらへ行く。』
「…でもわざわざいらしても…。」
『少佐、私が行くか君が帰ってくるかだ。』
「ああ…。」
ムリボク:「あんまり信用されとらんようだなあ。」

転送されるシスコ。辺りを見渡す。
ドアを叩いた。

外へ向かおうとしたキラ。
ムリボク:「ネリス。この家の主は私だよ。ああ…。」

出てくるムリボク。「何の用だ。」
シスコ:「キラ少佐に会いに来たんだ。」
「彼女も私もあんたと話す気はないよ。」
キラ:「ちょっと待って。」
「うん?」
「勝手に決めつけないでよ。」
「ああ…。」
シスコ:「あなたのおかげで大変な騒ぎですよ。」
「そいつは嬉しいな、生きてた甲斐があったってもんだ。…私を捕まえるのに後何人艦隊士官が来るんだ。4、50人かな。」
「そこまでいかないと思いますが。」
「とにかく何人来ても私はここに残る。」
「ムリボクさん。私はキラ少佐のためにジェラドーに来たのです。」
「ほう? 彼女がどうした。」
「いつまでもこんなことをしてたらキャリアに傷がつきます。」
キラ:「…ベッドに戻って休んで?」
ムリボク:「指図するのはやめろ。」
シスコ:「少佐、外で話がしたいんだがいいかな。」
「ゆっくりしゃべってくりゃあいいさ。さっきの木の話でもしてやったらどうだ…」
キラ:「いいから黙ってて!」
「…節とコブだらけの、木がありましてねえ。ああ…」
シスコ:「それから?」
「…もういい。」 中へ戻るムリボク。
「彼を気に入るわけもわかるよ。」
キラ:「何を言いにいらしたんですか?」 また窯を造り始める。
「君と私で今週末までに仕上げる予定の報告書があったろう。」
「申し訳ないけどお手伝いはできません。」
「しかし副官としての大事な仕事だぞ。」
「わかってます!」
「君には副官としてやらなければいけない任務がある。…なのに君はその任務を果たそうとしていない。」
「そんな単純じゃありません。」
「単純だとは言っていないがもう時間がないんだ。……いいか。君が敗者に同情する気持ち自体はよく理解できる。」
笑うキラ。
シスコ:「君もずっと負け戦を戦ってきた。だからムリボクの抵抗に共感するんだ。…でも一つ大事なことを忘れてるぞ? 君はもう勝者の側にいるんだ。」
キラは悲痛な顔を浮かべてシスコを見上げた。
シスコ:「勝つのも嫌なもんだろ。」
キラ:「…ええ、最低だわ?」
シスコはキラの前にしゃがんだ。「…キラ、初めて君に会った時…何て傲慢で嫌な奴なんだろうって思ったよ。でもそれは違った。ベイジョーには君が必要だ。もちろん私にもだ。君を信じてる。だから傷つくのは見たくない。…キラ、友人として…これだけは言っておきたい。ムリボクの運命はもう決まっている。運命には逆らえない。」
キラ:「…ありがとう。」
「…すぐに迎えのシャトルをよこそう。…ビーム転送してくれ。」 転送されるシスコ。


※20: Noh-Jay Consortium

※21: tessipates

※22: peritoneum
吹き替えでは「膜」と誤訳

※23: kellipates
テシペートと同じくベイジョーの面積の単位。この部分は訳出されていません

夜のムリボクの家。
寝ているキラ。
寝言を言うムリボク。「何をするんだ。あ、ああ…。よせ、おい。おい…おい…。あ…。」
近づくキラ。「ムリボク?」
ムリボク:「ああ…」
「ムリボク?」
「やめてくれ。よせ、ああ!」
キラはハイポスプレーを用意する。
ムリボク:「よせ、彼女から手を離すんだ。」
注射するキラ。「落ち着いて? 落ち着いて。」
ムリボク:「ルシーラ、聞こえないのか。俺から手を離すんだ。……ああ…あ、あ…。」
水を含ませた布を、ムリボクの額に置くキラ。「大丈夫よ? 安心して? 心配しなくても大丈夫よ?」
ムリボク:「ああ……ああ…あんただったか。」
「悪い夢を見てたのよ。」
「ああ…いや、悪い夢というよりは悪い思い出だ。…うなされて何か寝言を言ってたか。」
「いいえ?」
「ああ…ああ…」
「喉渇いてる?」
「いいや。」
「お腹は?」
「いや、空いとらんよ…。」
「それじゃゆっくり休んで。」
「ああ…ああ。どこ行くんだ。」
笑うキラ。「私だってゆっくり眠りたいわよ。」
ムリボク:「いいとも。椅子をこっちへ持ってきてくれ。看護婦なら頼みは聞くよな。」
キラは言われたとおりにする。
あくびするムリボク。「うん…。」
キラ:「さあ、これでいい?」
「一晩中話しかけてくる気か。眠らせてくれよ。」
キラは眠り始めた。ムリボクの身体に手を置く。

DS9。
またカードゲームをしているジェイク。「ノーグ、どうしたんだよ。」
ノーグ:「考えてんだよ。」
「何のことを。」
「ラチナムだよ。一本も手に入りゃしねえ。…土なんか何になるんだよ!」
「何回説明したらわかるんだよ、ただの土じゃない、土地なんだよ!」
「だけどよう、土地なんかあったって何になるんだ。」
「売れば金になる。」
「誰に売るんだ。」
「おい、何でもかんでも僕に聞くな!」
「ステム・ボルトを売るんじゃなかった。」
「ボルトより土地の方がマシだよ。」
「何でそう言いきれる。」
「…土地には建物が建つ。」
「でもボルトがなきゃ建物は建たねえんだよ。」
「…いいから早くカード出せよ。」
続けるノーグ。
クワークが 2階から降りてきた。「このステーションを基地にしてるって?」
オドー:「その通りだ。」
「ノー・ジェイ商会ねえ? いや、聞いたことねえけど何でそんなことを。」
「今朝、政府から問い合わせがあったんだが、4人の地主が所有してる土地に、厚生施設を建てようって計画があるそうなんだ。3人は売るってことなんだが、4人目にどうしても連絡がつかなくてね。この…ノー・ジェイ商会ってのにだけな?」
「じゃあその土地がないと施設を建てられないってことか?」
「ああ、そういうことだ。」
「金儲けにはバッチリの話なのにな?」
話を聞いていたジェイク。「だからボルトより土地の方がいいって言ったろ?」
ノーグ:「やったぜ!」
クワーク:「で? 俺がその商会と関係あると?」 カウンターにはモーンがいる。
オドー:「このステーションでお前の知らないことはほとんどないと言っていいからな?」
「確かに。…だが今回のその話だけは寝耳に水だったよ。」
「それじゃお前は関係ないってそういうことか。」
「ああ、今んとこはな。でもこれから巻き返してみせるぜ? ベイジョーの政府に言っといてくれ。その地主は必ず探し出すってな? この俺が。」 離れるクワーク。
首を振るオドー。「ハ。」 店を出て行く。
クワークは引き出しからアイソリニアロッドを取り出すと、コンピューターに挿入した。「さーて、俺を出し抜いた奴はどこの誰だあ?」
ノーグ:「クワークおじさん。」
「後にしろ。」
「…でもクワークおじさん…」
「うるさい、床でも磨いてこい。」
「大事な話なんです。」
「よし、じゃ手短にな?」
「実は、おじさんが喜びそうな金儲けの話をもってきたんですよ。」
「あ?」
「おじさんですから特別に…ラチナムの延べ棒、5本で手を打ちますけどどうですか。」
クワークは二人を指さした。「ノーグと、ジェイクでノー・ジェイ商会!」 ため息をつく。

ジェラドー。
目を覚ますキラ。外から音が聞こえる。
窓から見ると、ムリボクが窯を造っていた。
制服を持ち、ため息をつくキラ。外に向かった。

制服を着たキラ。「痛みはない?」
ムリボク:「まだちょっとはな。一日中寝るつもりかと思ったぞ。」
「だって一晩中寝ないで看病してたのよ?」
「誰も看病しろとは頼んどらんだろ。…ここは大丈夫だから何か食べておいで。」
「時間がないわ?」 手伝うキラ。
「やっぱり帰るのか。」
最後の部品を渡すキラ。「これで完成。」
受け取り、窯につけるムリボク。「完成できるとはな。」
キラ:「よかったわね?」
「早速、火を入れるぞ。」
キラは家に戻る。
ムリボクは窯の中に物を入れ、棒の先につけた火で着火した。
窯を見つめ、棒の火を吹き消す。
荷物を持ってくるキラ。
ムリボク:「何だそれは。」
キラ:「私も自分の任務を遂行しなければ。」
「したくないくせに。」
「…ベイジョーに帰りましょう、友達でいたいの。」
「あの小屋がここに建ってる限りは、私はここに残る。」
キラは銃を取りだし、撃った。
窯は粉々になった。
ムリボク:「何てことをするんだ!」
キラ:「あなたを救うのよ。」
棒を手にし、窯の跡から火をつけるキラ。
そして、小屋に次々と着火させていく。見つめるムリボク。広がる炎。
最後に棒を中へ放り込んだ。
ムリボク:「…結局制服の方が大事だったわけか。」
キラ:「それは違うわ? あなたとここで過ごした時間は本当に素敵だった。…でも旅立つの。…人生は続くのよ、あなたの人生も私のも。」
「本当に友達なら…お願いだ、その銃で私を殺してくれ。」
「……できないわ。」
「ここを離れるなら死ぬ。」
「いいえ、死なせない。私がいる限り。」
ムリボクはキラに背を向けた。
キラはムリボクに手を伸ばそうとしたが、やめた。燃えさかる家。
コムバッジに触れるキラ。「ビーム転送。」



・感想
キラと「頑固親父」の関わりを描いた話。途中は多少間延びに感じるところもありますが、最後の突き放したような終わり方は ST らしいですね。普通ならムリボクがキラを受け入れてハッピーエンド、となりそうなものです。原語ではキラが「2名転送」と言っていることから、とりあえず連れ出したことは間違いないのですが。
サブストーリーは前話に続いて「ローレル&ハーディ」を目指したという、ジェイク&ノーグのコメディ。ノーグ役アイゼンバーグは「ハックル・ベリーとトム・ソーヤ」だと思っているそうですが、今回の「ノー・ジェイ商会」は二人を語る上で外せない要素ですね。今後も何度かネタにされる「セルフ・シールのステム・ボルト」も、結局何だかよくわからないのが面白いです。


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