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ディープスペースナイン エピソードガイド
第64話「老化促進テレパシー」
Distant Voices

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・イントロダクション
ベシアとガラックが食事をしている。ベシアはイグリッシュクリームパイ※1を勧めるが、ガラックは体重を落とそうと思っているため、遠慮する。ホロスイートでエクササイズプログラムを組んであげうというベシア。ガラックはホロスイートで思い出したといい、ハッピーバースデーとカーデシアのホロスイートのプログラムを差し出した。ストーリーはショース※2のエニグマ物語※3だ。だがベシアはカーデシアのエニグマ物語は、結末が同じで面白くないという。どんな罪で有罪になるのかを予想するのが面白いと言うガラック。ダックスが今年もびっくりパーティーと開くのかと聞くガラックに、多分そうだろうと答えるベシア。あまり嬉しそうじゃないというガラックだが、パーティーはありがたいが今年はちょっと違うというベシア。30歳になるのだ。※4地球人には30歳というのは若者の時代が終わり、中年に足を踏み入れる特別な歳だと説明するが、カーデシア人は歳を取れば取るほどと力が増し、威厳が備わると考えるそうだ。ベシアは自分の誕生日を祝おうが祝うまいが構わないだろうと言った。
そこへクワークと、一人の異星人がやってきた。ベシアに話があると言う。異星人をアルトヴァ※5と紹介し、形状記憶ジェル※6を探しているのだがベシアなら分かるだろうと思ってきたという。形状記憶ジェルの売買は連邦の法律で禁じられているというベシア。アルトヴァは金ならいくらでも出すというがベシアは承知しない。クワークはアルトヴァに分かっただろうというと、向こうへ行こうとする。レシア人※7は頑固だからというクワーク。さらに新商品の説明を始めるクワークだが、もう分かったとベシアはやめさせる。ガラックがベシアは30歳になるから気が立っているんだ、と説明した。
ベシアが戻ってくると、さっきのアルトヴァが部屋を物色しているところだった。何をしているんだというベシア。アルトヴァはベシアにつかみかかると、ベシアの頭を手でつかみエネルギーを発し始めた。苦しむベシア。ついに床に倒れてしまう。アルトヴァは部屋から出ていった。
※1: Yigrish cream pie

※2: Shoggoth

※3: Cardassian enigma tales

※4: このことから、ベシアは2341年生まれであることがわかります

※5: Altovar (ヴィクター・リヴァー Victor Rivers)

※6: bio-mimetic gel TNG 第161話 "Force of Nature" 「危険なワープ・エネルギー」など

※7: Lethean


・本編
苦しみながらも起き上がるベシア。保安部を呼び出すが応答はない。司令室にもだ。コンピュータの映像も乱れ、全く反応がない。遠くで声のようなものが聞こえてくる。誰かいないのかとベシアが声を上げても、プロムナードには一人もいない。近くにおいてある鏡を見たベシアは、妙に白髪が増えていることに気付く。
物を投げる音が聞こえてきた。クワークのバーに入ると、カウンターでクワークがおびえていた。どうしたんだと聞くと、奴に殺されてしまうというクワーク。自分と一緒にほかの人を探しに行こうというが、ここにいた方が安全だという。誰に追われているのかを聞いても答えない。音は更に激しくなり、クワークは見つかってしまったといって走り去った。暗闇で椅子を投げている何者かがいる。ベシアはクワークを探し、その場を立ち去る。
レプリケーターの側を通りかかるベシア。液体が垂れ流しになっている。匂いをかいでみると、それはターカリアンティー※8だった。保安室から音が聞こえる。オドーかといって中に入るベシア。いきなり後ろからつかまれる。相手はガラックだった。どうしてここにいるんだと驚くガラック。ベシアも同じだ。ガラックは誰もいないのでオドーを探しにやってきたという。クワークが何者かにおびえていたというベシア。ガラックはコンピュータのシステムも基地全体に渡って停止しているという。夕べレプリケーターがおかしくなってからだという。この基地内にクワーク、ガラックと自分の3人しかいないのはおかしいというベシア。ウイルスの影響か、時空の変動、ドミニオンの攻撃かもというガラック。ベシアはその時、遠くでささやき声のようなものを聞く。ガラックには何も聞こえない。カーデシア人の聴覚は地球人ほど優れていないからという。ガラックはベシアが白髪だらけになっているという。ベシアは何が起こったかを突き止めなければといって、フェイザーを身につけると1時間後にプロムナードで落ち合おうといい、出ていった。
部屋を調べているベシア。だが誰もいない。ふいに奥から、ライトが消え始めた。だんだん暗闇が迫ってくる。後ろへ下がるベシアだが、そこにはフォースフィールドがありそれ以上下がれなくなってしまった。

※8: Tarkalean tea DS9 第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」など

ベシアは近くのリフトに入り、行き先を命じた。だが扉をこじ開けようとする者がいる。あのアルトヴァだ。ベシアが足で蹴るととアルトヴァは手を離し、扉が閉まった。だがベシアは疲れを感じ倒れ込んでしまう。リフトの上から大きな音がしてきた。天井がへこむほど強い力でうちつけている。ベシアはフェイザーを構えながらリフトを降りた。
すると近くで誰かの声が聞こえる。ダックスやオブライエンの声で、口論しているようだ。部屋に入るとそこには2人のほかにキラとオドーもいた。この状況を打破する方法を話し合っている。ダックスはどこをうろついていたのかとベシアにいう。オブライエンは通信システムを復旧させるのには数時間かかるといい、レプリケーターが動かないと修理部品を作ることさえできない。ダックスはフェイザーを持って、レシア人、つまりアルトヴァを倒しに行こうという。早くしないとこっちが殺されるというダックスに対し、逆にやられてしまうというオブライエン。キラはそれでも男かといい、オドーはまさかレシア人とグルじゃないのかとオブライエンにいう。その様子を見ていたベシアは、コンピューターに4人のスキャンをするように命じる。いつもと言動が違うという。オドーはオブライエンを見ながら、コンピュータもどういうわけか動かないという。自分のせいだというのかというオブライエン。ベシアはシスコはどこへ行ったのか、この状況をおかしいと思わないのかと聞く。ダックスは白髪やしわの増えたベシアを見て、自分を見たかと聞く。ベシアにはまた、謎の声が聞こえてきた。だがほかの4人には聞こえない。自分をスキャンしたらどうだ、横になった方がいいというダックスたち。これには何か原因があるはずだというベシア。ダックスはベシアが調べている間にレシア人を見つけるというが、オブライエンはそれは危険だという。ダックスは腰抜けには何も頼まない、それなら自分一人でも倒しに行くという。ベシアはそれでは何の解決にもならないといい、クルーが消えたこと、自分が老化していること、ダックスたちの様子がおかしいことには関係があるかもしれないという。オブライエンに内部センサーの復旧ができないかと聞くベシア。オブライエンは近くのプロセッサーの連結部に行けば直せるかもしれないといい、一緒に来てくれという。ベシアはそれならみんなで行こうといった。
オブライエンは調査を行っている。センサーアレイが焼き切れている。直せそうなのは亜空間通信システムだけだ。至急修理を始めるオブライエン。オドーは周りをうろうろしている。キラはそれを見て神経に障る、じっとしているようにという。レシア人が来ているかもしれないというオドー。それを聞いておびえるオブライエンに、自分の仕事に専念するようにいうベシア。オドーはベシアが手引きしたのではないだろうなと疑う。通信機能が復活した。ベイジョーに連絡は取れないが、受信だけはできる。その声は何とダックスだった。コードラジン※94ccを注入といっている。シスコの声も聞こえる。この声はステーションの外から聞こえているものだ。ベシアは何者かのテレパシー攻撃を受け、昏睡状態に陥ってしまったと声のダックスは説明している。ダックスからトリコーダーを渡されたベシアは、自分の脳波を調べデルタ波しか出ていないことを知る。それはさっきの声が言っていた通り、ベシアが意識不明であることを意味していた。

※9: cordrazine TOS 第28話 "The City on the Edge of Forever" 「危険な過去への旅」など

キラはそれならなぜ立っていられるのかと聞く。私たちまで実は昏睡状態というんじゃないかというダックス。ベシアはそれだけではなく、ダックスたちからは生命活動を感知できないという。実際に調べてみるオブライエン。その結果を見て、このトリコーダーは壊れているという。ベシアは否定する。キラはあなたの想像の産物なのかと聞く。その通りだというベシア。行動がおかしいのもそのせいだという。ダックスが銃を持ち出そうといったり、オブライエンが臆病だったりすることだ。ベシアは実在するのは自分だけだという。4人とも、ベシアのさまざまな人格の一部を象徴していると説明する。信じないオブライエン。オブライエンはベシアの疑心暗鬼になりやすい部分を、キラは攻撃的な部分、オドーは猜疑心と恐怖、そしてダックスは強さと冒険心を象徴していると話すベシア。オドーはそれならレシア人は何を象徴しているのかと聞く。実際のテレパシー攻撃を象徴していると説明するベシア。レシア人がこのステーションを破壊しているのは、現実には心を破壊していることに値する。これでさっき通信システムが回復したとき、現実の声が聞こえてきたことのつじつまが合うというベシア。このステーションの機能を全て回復させれば現実の自分も意識を回復するだろうという。だがその時、ダックスがアルトヴァに連れ去られる。扉が閉まり、それを叩いて開けようとするベシア。
その瞬間、ベシアはガラックとテニスをしていた。なぜここにいるのかと聞くベシア。ガラックはベシアの想像なんだから、わからないと答える。ガラックはダックスが連れ去られたことも知っていた。理由を尋ねると、私はあなただからなんでも知っていると答える。年老いてしまったベシアはテニスを上手くすることができない。ベシアはこんなことをしているときじゃないといい、司令室に行ってステーションの機能を回復させるというベシア。オブライエンたちを探すようにガラックに頼んだ。
ライトを持ち、通路を進んでいくベシア。大勢の人が倒れているところに出た。ドクター、と助けを求めてくる。そこへ前から、看護婦と共にシスコがやってきた。患者を診ると、骨生成スティミュレーター※10での治療とインペドレジン※11を2cc投与するようにいう。それはベシアが言ったのと全く同じだった。なぜ治療法を知っているのかというと、それが自分の仕事だからというシスコ。手際がいいシスコを見て、ベシアはシスコが医者としてもプロ意識を象徴していると知る。司令室に一緒に来てくれるように頼むベシア。シスコは看護婦に頼み、ベシアとともに行こうとした。だがその瞬間、壁面からアルトヴァが現われ、中へ引きずり込んでしまった。おびえて逃げ出すベシア。
逃げるベシア。いきなり前にアルトヴァが立っている。どこにも逃げられないという。ベシアはフェイザーで撃つが、全く歯が立たない。お前は俺の攻撃からは逃れられず、精神を蝕まれ、最後にはうつろな抜け殻になるというアルトヴァ。逃げ出すベシアに、アルトヴァは最後には死が待っているというだった。

※10: osteogenic stimulator

※11: inpedrezine


ベシアは、倒れているキラを見つけた。しかし息は既にない。そばからベシアを呼ぶ声がする。それはオドーだったが、体の半分以上が流動体になってしまっている。レシア人の空中からの攻撃を受けたというオドー。アルトヴァは自分の力も、知識も奪おうとしているというベシア。司令室に行くにはコンジットを通るのが近道だと教えるオドー。ベシアは力が残っている内にといい、向かった。オドーは完全に液体になってしまった。
階段を降りていくベシア。そこにはオブライエンがいた。司令室に行くというと、無理だ、レシア人に殺されるというオブライエン。オブライエンをおいてベシアが一人で向かおうとすると、オブライエンもついてきた。それでこそオブライエンだというベシア。望みは薄いというオブライエン。
2人は思っていたところとは違うところへ出てきた。近くのモニターをみると、現実のベシアの生命反応が映し出されている。それをみて、じき死ぬというベシア。それは今の君を見ればわかるとオブライエンはいう。人々の騒いでいる声が聞こえてきた。その方へ向かう2人。大勢の人がクワークのバーにいる。クワークにこの人たちはどこから来たと聞くベシア。わからないというクワーク。人々の中心には、ベッドに横たわったベシアがいた。クワークに聞くと、いつ死ぬか、どうして死ぬか、賭けをしているという。死なない方に掛けるとベシアが言うと、それは大博打だという。だがベッドを見るとそこにいるのはオブライエンだった。脈をとるクワーク。賭けはこれまでだという。しかしいきなり首をつかまれ、倒されるクワーク。ベッドに寝ているのは今度はアルトヴァになっている。全員はずれだというアルトヴァ。ベシアは後ずさりし、逃げ出した。
ベシアはつまずき、倒れてしまう。肩をつかんだのはガラックだった。司令室に行かなければというが、起き上がることができない。倒れたショックで骨折してしまったのだった。


もうこれ以上は無理じゃないかというガラック。手を貸してくれとベシアは言うが、こんな状態ではどうしようもないとガラックはいう。頭ははっきりしているというベシア。起こしてくれといい、ガラックと共に歩き出した。
ガラックがフェイザーでドアを撃ち、開けた。もはやベシアは歩くことさえままならない。司令室の中へ入る。そこでベシアがみたものは、「ハッピーバースデー」のたれまくと、飾り立てられた部屋、一人の女性だった。おめでとうという女性。ガラックと女性は、ハッピーバースデーの歌を歌う。ベシアに帽子をかぶせ、キスをする女性。心から祝福する、ベシアは素晴らしい心の持ち主だというガラックに、そんなことをしているときじゃないとベシアはいう。機関部に連れていってくれと頼むベシア。ガラックに付き添われ、歩き出す。
中央コンピューターネットを復旧させる方法があるはずだというベシア。医学が専門なので船の操縦しか習ってこなかったが、セントラルプロセッサーの回路の配列を変えることができれば、システムも作動させることができるかもしれないという。どのパネルからアクセスするかと聞くガラック。ベシアは本物のガラックならわかるはずだというが、ガラックは自分はベシアの想像に過ぎないからわからないという。ベシアは一つのパネルを開けるようにガラックに頼む。パネルを開けると、中から大量のテニスボールが出てきた。倒れるベシア。コンピューターはどれかのパネルにあるはずだ、探して直してくれというが、ガラックはもうあきらめるようにいう。ベシアは自分でやるといい、いすを伝って立ち上がった。本物のガラックならそんなセリフは言わないとベシアが言うと、さっきも言ったように私はあなただと言うガラック。ベシアは自分だとしてもそんなことは言わないと言って、ボタンを押す。またもテニスボールがたくさん転がり落ちてきた。ベシアはガラックに向き直り、なぜレシア人は手伝ってくれそうな人間はすべて殺してきたのに、ガラックを生かしておくのかと不思議に思うという。そもそもガラックは自分のどの部分を象徴しているのか、理性か、好奇心か、それともユーモアかという。自分の頭の中の、どこにも存在しない、君はいったい誰だという。するとガラックは姿を変え、アルトヴァになった。悪あがきだったなというアルトヴァ。そろそろ楽になれという。あきらめないとベシアが言うと、お前はいつもあきらめてきたという。お前の頭の中はお見通しといい、本当はテニス選手になりたかったんだろうとアルトヴァは言う。ベシアはプロになるほどの腕はなかったというが、親に反対されしかたなく医者になったんだろうというアルトヴァ。ベシアは立派な仕事だという。だがテニスの方が好きだったとアルトヴァは言い、医学学校も主席で卒業できるはずだったのに逃がしたという。最終試験でミスをしたからだというベシア。アルトヴァは間違えたところを指摘し、お前はわざと間違えたんだという。主席が嫌だった、プレッシャーが恐くてだろうというアルトヴァ。ベシアは否定する。ダックスのことはどうだというアルトヴァ。友達だというベシア。もう一押しすれば違う関係になれるのに、その前からあきらめているとアルトヴァは言う。勝手なことを、というとベシアはターボリフトに乗った。どこへ行くというアルトヴァ。
ベシアのいく先にはすでにアルトヴァがおり、何をするつもりだと聞く。ベシアは間違っていた、ステーションの中枢は司令室だが、僕の中枢はここだ、と医療室へはいる。パネルから手を離せというアルトヴァ。殺すのか、それなら殺すがいいというベシア。パネルからライトを復旧させる。明るいところでみればお前など取るに足りないとベシアは言う。アルトヴァはモニターを指差し、お前は死にかけている、どうして現実を認めないのかという。だがベシアは、それを認めたらお前の思うつぼだからといった。頭の中を覗けても、心の中を知ることはできないと。ダックスに好意は持っているが、彼女は大切な友人であり何があっても友情を壊すつもりはないというベシア。仕事も、テニス選手になれたかもしれないが立派な医者になり、学校で主席を取ろうが取るまいが、DS9での任務を選んでいたという。コンピューターに命じ、隔離フィールドをアルトヴァの周りにはるベシア。こんなばかな、どうしてというアルトヴァに対し、望めばなんでもできるはずだ、ここは自分の世界だ、とベシアはいった。そして殺菌処理を命じた。アルトヴァは叫び声と共に消滅した。
現実のベシアが目を覚ました。ダックスとシスコがいる。おかえり、というシスコ。とんでもない夢をみていたというベシア。
ベシアはガラックと食事をしながら、本物のアルトヴァは医療室に侵入したときに警報が鳴り、オドーに捕まったことを話している。レシア人のテレパシー攻撃は相手を殺すことができるもので、運が良かったというベシア。ガラックはそれは運ではなく、ベシアが強かったからだという。100歳も年を取った後だと30歳なんかどうということはないという。ところで、とガラックはいい、ベシアの夢の中で、クルーたちが無意識の内の意識を反映して出てきたことが面白いという。そして何より面白かったのは、ベシアの中では最後まで自分が悪役だったというガラック。深読みしないでくれというベシア。毎日ランチを食べる仲なのに、まだ信用してないわけだ、なかなかみどころがあるとガラックは言う。笑うベシアだった。

※12: このレシア人が使うテレパシーのような攻撃的(?)なテレパシーは、TNG 第112話 "Violations" 「記憶侵入者ユリア星人」でもユリア人が使うものがありました


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