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TNG エピソードガイド
第176話「惑星連邦“ゲリラ部隊”」
Preemptive Strike

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・イントロダクション
※1通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 47941.7。現在エンタープライズは、カーデシア境界線沿いの非武装ゾーン※2に関するブリーフィングに向かっている。そんな折、懐かしい仲間がエンタープライズに戻ってきた。』
テン・フォワードのカウンターは、料理で彩られている。ドアが開き入ってきたのは、ロー・ラレン※3だった。
ラフォージ:「ロー!」
クラッシャー:「…おかえりなさい。」 キスする。
ロー:「お久しぶりです。」
トロイ:「大尉に昇進ですって、おめでとう。」
「そちらこそ、中佐※4。」
「ありがとう。」
ラフォージ:「上級戦略訓練※5なんて、ピクニックみたいなもんだったろ?」 笑う一同。
ロー:「ええ…。」
クラッシャー:「…テーブルを見た?」
トロイ:「これは本物のベイジョー・フォライガ※6なのよ?」
ラフォージ:「苦労してそろえたんだ。」
ロー:「私なんかのためにここまでしなくても。」 ピカードが出ていくのに気づいた。
クラッシャー:「歓迎の気持ちを知ってもらいたかったの。」
トロイ:「それで? 今度の船室はどこ?」
ロー:「第4デッキのセクション8。」
クラッシャー:「この後予定でも…」
ピカードの通信。『ロー大尉。』
ロー:「はい、艦長。」
『ブリッジへ来てくれ。』
「了解。失礼?」

ローが外に出ると、ピカードが立っていた。「艦長。」
ピカード:「…熱烈な歓迎に、面食らったか。」
「ええ、正直言うと…まあ。みんなに会えて嬉しいんですけどこういうのは苦手で。」 笑うロー。
人の往来を避けるように、廊下を歩くピカード。「とにかく元気そうだ。訓練が、性にあったようだな。」
ロー:「…厳しいほど燃えるたちですから。」
「厳しいどころじゃない、毎年半数は脱落してる。まあ君は、大丈夫だと思ってたが?」
「艦長。…私を推薦して下さって本当にありがとうございました。艦長にお会いできなかったら今頃どうなっていたか。」
微笑むピカード。
ライカーの通信が届く。『ブリッジより艦長。』
ピカード:「何だ?」

ライカー:「非武装ゾーン近辺のカーデシア船から、たった今救難信号が送られてきました。」

ピカード:「針路変更だ、今そっちへ行く。どうだ…操舵席に座るか。」

ターボリフトを出るピカード。「ゲイツ少尉。…報告を。」
操舵席に座るロー。
ライカー:「救難信号をキャッチしたんですが、状況をつかむ前に切れてしまいました。」
ロー:「長距離センサーで船を捉えました。数隻の小型船に攻撃されています。」
ピカード:「どこの船だ。」
「認識コードを発信していないのでわかりません。」
データ:「ワープサインをスキャンしてみます。艦長、センサーによると攻撃しているのは連邦の船です。」


※1: このエピソードは、ピカード役パトリック・スチュワートの監督作品です。担当した 5話中、TNG第158話 "Phantasms" 「戦慄のドリーム・プログラム」以来で最後となります (参考)

※2: Demilitarized Zone
TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」など。今回なぜか、「非武装ゾーン」「非武装地帯」の 2種類の訳があります

※3: Ro Laren
(ミシェル・フォーブス Michelle Forbes) TNG第133話 "Rascals" 「少年指揮官ジャン・リュック・ピカード」以来の登場。DS9 のベイジョー人や TNG第167話 "Lower Decks" 「若き勇者達」のシトー同様、以前のメイクと比べて眉間の出っぱりが消えています。声:藤木聖子

※4: TNG第168話 "Thine Own Self" 「記憶喪失のアンドロイド」より

※5: Advanced Tactical Training

※6: foraiga
この個所の訳は「本格的なベイジョー料理でしょ?」

・本編
ブリッジ。
ロー:「艦長、視界に入りました。」
ピカード:「スクリーンオン。」
カーデシアのガロア級戦艦が、何隻もの船※7に攻撃を受けている。
ライカー:「連邦の船ですね。」
ピカード:「…もう少し拡大してくれ。」
船の種類がわかるほど大きくなった。
ピカード:「マキ※8だな。…宇宙チャンネルオン。」
ウォーフ:「どうぞ。」
「全マキ船に告ぐ。攻撃をやめろ、拒否すれば実力行使に出る。」
「…返事はありません。」
「…君たちは連邦の一員だ。現在の行為はカーデシアとの和平条約に違反する、攻撃をやめるんだ。」
攻撃を続けるマキ船。
データ:「依然、返事はありません。」
ピカード:「ウォーフ。射程距離に入ったか。」
ウォーフ:「まだです。」
「…フェイザー砲と、光子魚雷用意。」
ライカー:「カーデシア船を守るために味方を攻撃することになるとは。」
データ:「マキ船が編成を変えました。カーデシア船に近づいています。」
ウォーフ:「カーデシアのシールドが消失寸前です。」
ライカー:「次の攻撃には耐えられないかも。」
「艦長、射程距離に入りました。」
ピカード:「…ウォーフ、マキ船とカーデシア船の間で光子魚雷を爆発させられるか。」
「はい。」
「やれ。」
光子魚雷を発射するエンタープライズ。その爆発により、姿勢を失うマキ船。
ウォーフ:「マキの隊列が崩れました。撤退していきます。」
ピカード:「…負傷者の救護が必要かどうか、カーデシア船に問い合わせろ。」
「了解。」

カーデシア戦艦のそばにいるエンタープライズ。
医療室はカーデシア人だらけだ。
イヴェック※9:「カーデシア人を治療したことはあるのか。」
女性のカーデシア人士官を診るクラッシャー。「ええ。…失礼?」
ピカード:「ガル・イヴェック。…救援が遅くなって申し訳なかった。」
イヴェック:「…来てくれただけでマシだよ。最近はマキに遭っても皆、見ぬ振りだからな。」
「そんなことはない。艦隊は、マキ対策に全力を尽くしている。」
「私の船の被害を見ると成果ははかばかしくないようだな。光子魚雷をぶっ放してきたぞ? タイプ8 フェイザー※10も。…説明してくれ。どうして民間人があんな武器を所有できるのかね。」
「正規のルートでは、入手できないはずだ。」
「そうか、マキの中に元艦隊士官もいるという事実は無視するんだな?」
「……宇宙艦隊では、非武装ゾーンにおけるマキの活動※11を一切認めていない。…カーデシアも民間人の軍事行動を認めていないだろ、それと全く同じことだ。」
「うちには不法に武装した者をすぐ見つけ出すシステムがある。」
「ついこの間、ジュリア星の貨物船※12を破壊した者がいたところを見るとあまり信頼はおけないようだがね。」
「艦長、このままマキを野放しにすれば状況は悪化の一途をたどる。そうなると我が国としても自衛手段を執らざるをえないからそのつもりでな。治療は済んだのか、よーし引き上げよう。」

エクセルシオール級の船とランデブーしているエンタープライズ※13
『航星日誌、補足。ガル・イヴェックほかカーデシアのクルーがエンタープライズを離れた直後、ナチェフ提督が到着した。』
作戦室で飲み物を注ぐピカード。
ナチェフ※14:「今日はバラリア・カナッペ※15は出ないの?」
ピカード:「同じ手を二度はしつこいかと。」
「よかったわ? …あれカロリーが高いのよ。」
「…ほんの数時間前まで、ガル・イヴェックが乗っていたんです。艦隊がマキの活動※11を黙認してはいないことを、提督からも説得していただきたかったのですが。」
「彼に言わせればカーデシアは可哀想な小羊ね? 連邦はそれを狙う狼。その実カーデシア政府は、非武装ゾーンの居留民に率先して武器を供給してるのよ?」
「…それは、もうやめたと断言していましたが?」
「ハ、怪しいもんだわ。」
「…提督。かなり頭を痛めておられるようですね。」
「…もしもカーデシア人のすぐ近くに住んでれば、私だって銃の一つも欲しくなるわ? …でもここ数週間のマキの活動※11は、自衛の域を越えていると思うの。…規模は大きくなり、船や兵器をどんどん手に入れてる。武装化は過激になっていく一方よ? …早く何とかしないと、非武装ゾーンが戦場になってしまう。…まずはマキの正体の究明。あちこちに散らばっているようなんだけど、信頼できる情報が何一つとしてないの。」
「…非武装ゾーンに、スパイを潜入させては。」
「実はそのことで来たの。マキ組織を解明する任務を、今この船に乗ってるある人物に託したいの。」

怪訝な顔をするロー。「艦隊本部は私を指名したんですか。」
ピカード:「ベイジョー人であること。訓練の成績。…そして…君のこれまでのキャリア※16から見ても、最適であると判断したらしい。」
「まあそうでしょうね。…任務にはいつかかるんでしょうか。」
「ただちに。」
「わかりました。」 自室の荷物を手にするロー。「…カーデシアとは随分戦ってきましたが、まさか助けることになるとは。」
「今回は、珍しく彼らと利害が一致したんだ。非武装地帯に、平和をという点でな?」
「マキの噂は聞いています。戦略訓練の教官の一人は艦隊の少佐で、尊敬できる人物でしたがマキに加わったんです。職務をなげうって※17。」
「みなマキには同情的だ。非武装地帯の治安状況に問題があるのも確かに事実だが…同情にも限度というものがある。和平条約は紙切れじゃない。もしもカーデシアと戦争にでもなったら、何千という犠牲が出るだろう。…2年前なら、艦隊は決して君を指名しなかったはずだ。だが今、大きな信頼をおいている。」
「お引き受けしますが、その理由はたった一つです。艦長の期待に応えること。」


※7: マキ船には、後にローも乗る初登場のタイプ (DS9 イラストレイター Jim Martin デザイン、Greg Jein 製作) のほか、DS9第41話 "The Maquis, Part II" 「戦争回避(後編)」に登場した攻撃戦闘機タイプ (これも Martin のデザイン)、DS9第23話 "The Siege" 「帰ってきた英雄パート3」に登場したベイジョー・インパルス船タイプがあります。大型艦と複数の小型船の戦闘が描かれるのは初めて

※8: Maquis
DS9第40・41話 "The Maquis, Part I and II" 「戦争回避(前)(後)」より。吹き替えでは「ゲリラ」

※9: ガル・イヴェック Gul Evek
(リチャード・ポー Richard Poe) DS9 "The Maquis, Part I"、TNG では "Journey's End" 以来の登場。今回登場した戦艦は、その際と同じヴィター (Vetar) かもしれません。声:宝亀克寿

※10: type-8 phaser
タイプ1=ハンドフェイザー、タイプ2=フェイザーピストル、タイプ3=フェイザーライフル。ほかにシャトルに搭載されるタイプ4 などがあります

※11: 吹き替えでは「ゲリラ活動」

※12: Juhrayan freighter
Juhraya は後のセリフでは「ジュラヤ」と訳されています

※13: TNG第68話 "Tin Man" 「孤独な放浪者」でのシーンの使い回し。このナチェフを運んだ船は名前不明ですが、同じくナチェフが乗っていた U.S.S.ゴルコンかもしれません (TNG第152話 "Descent, Part I" 「ボーグ変質の謎(前編)」)

※14: アリーナ・ナチェフ Alynna Necheyev
(ナターリア・ノグリッチ Natalia Nogulich) DS9 "The Maquis, Part II"、TNG では "Journey's End" 以来の登場。声:磯辺万沙子

※15: Bularian canapes
TNG "Journey's End" より

※16: 原語ではトラブルと言っており、いい意味ではなく悪い意味の過去

※17: 意味ありげに語られる「マキに加わった少佐」という人物は、製作陣が VOY レギュラーのチャコティだと意図したという説があります。実際公式サイトでは、チャコティとして扱われています (ローのページチャコティのページ)。ただし VOY第98話 "In the Flesh" 「偽造された地球」では、チャコティが 2368年 (ローがまだエンタープライズにいた、TNG 第5シーズン時) に宇宙艦隊を辞めたことになったので、矛盾します

惑星。
賑わうバー。ベイジョー人やクリンゴン人、ヴァルカン人の姿も見える。
私服姿のローがやってきた。テーブルにつく。
一人の男がローをジッと見ている。
そこへウォーフたちが入ってきた。ローはテーブルにいた異星人※18の男と、いきなり口づけを始める。
フェイザーを携えたウォーフとデータの姿に、静かになる客。
ウォーフ:「ベイジョー人の女を捜している。髪は黒。」
データ:「カーデシア兵士を殺害した犯人だ。」
少し騒ぐ客。
ウォーフ:「かくまったことがわかれば、店は営業停止になるぞ?」
ローを見ていた男、サントス※19。「黒髪の女?」
ウォーフ:「そうだ。」
「いたよ。…さっき出てった。」
データ:「どこへ行ったかわかるか?」
「さあね。」
店を出て行く 2人。ローはキスをやめた。
腕をつかむ異星人に言う。「楽しかった、またね?」
ローに注目する者もいる。ローはカウンター席に座った。
サントスに話す。「…サンキュー。」
近づくサントス。「で? あんたが犯人なのか?」
ロー:「艦隊はそう思ってる。だから逃げてんの。どうしてかばってくれたの?」
「カーデシア兵の一人や二人殺しても大した罪じゃない。」
「…そういうことは大きな声で言うもんじゃないわ?」
「いいんだよ、そう思ってる連中は大勢いる。」
「ぜひ会ってみたいもんね。」
サントスは突然、隠し持っていた武器でローを撃った。意識を失うロー。

目を覚ますロー。
起き上がると、目の前に老人が座っていた。「安心しなさい? …危害は加えないよ?」
脇にいた 2人が、ローのそばに椅子を置いて座る。
片方はサントスだ。「君の名前は。」
もう一人の女。「カーデシア兵を殺したってほんと?」
ロー:「あんたたちは?」
サントス:「君を艦隊から助けた者だ。」
「…あっそ。ありがとう、じゃあね?」
銃を向ける女。
サントス:「…カーデシア人を殺したのか。」
ロー:「そうよ。」
女:「非武装地帯で大胆なことするのね。艦隊とカーデシアの両方から、追われるわよ。」
「そう思うならなぜ助けたの?」
「こっちが質問してるの。何者。」
「名前はロー・ラレン。ベイジョーの難民キャンプ出身。」
老人:「それではカーデシア人を憎んで当然だ。」
「最低な連中よ。父は拷問の末死んだわ。私の目の前で。」
サントス:「どこに住んでる。」
「うちはないの。…艦隊の士官だったんだけど、軍法会議にかかってジャロス2号星※20の営倉に入ってたわ? 艦隊勤務の資質がなかったみたいでね。」
「…ジャロスにはいついたんだい。」
「そんなことどうだっていいでしょ?」
女:「本当かどうか調べるのよ、いついたの。」
「釈放されたのは 3年前よ、艦隊に協力するって条件でね。…ベイジョーの仕事が主だったけど、カーデシアに対する懐柔策に嫌気が差して…離れたの。」
「辞職したの?」
「非公式にね。それも追われている理由の一つ。」
サントス:「ロナラ※21で何をしていた。」
「これだけ答えればもう十分でしょ? そっちこそ何者よ。」
老人:「カーデシアに反発する者の、シンパだとでも言っておこうか?」
「マキなの?」
「だとしたら?」
「もしそうなら、仲間に入れて欲しいの。一緒に戦いたい。」
老人を見るサントスと女。
老人:「裏が取れたらな? 行け、私が見張ろう。」
老人を残し、2人は出ていった。
受け取った銃※22を置く老人。「さあ。散歩に出よう。」 外に出た。

建物※23を見下ろすロー。「私にあちこち見せるのは危険じゃない? どうするの、さっきの話が全部デタラメだったら。」
老人:「そうだなあ、とてもまずいことになるね?」
「マキなんでしょ?」
「ここにいる大勢がそうだ。」
「艦隊は恐れてるわ?」
笑う老人。
ロー:「和平条約を破る気だって。」
老人:「彼らはゾーンの状況がわかっていない。私はジュラヤ※24にいたが、条約締結の後コロニーはカーデシア領のようになってしまったよ。私は、仲間と留まった。希望をもってね? …だがある夜、奴らに寝込みを襲われた。役人はめんどくさそうに、舌打ちして事故で片づけてしまった。何も調べずに。」 顔の傷跡を示す。後ろで話しているネイティブ・アメリカン。
「ありそうなことだわ。カーデシア人は連邦の市民に嫌がらせをするだけして、追い出すつもりなのよ。」
「その通りだ! だがみんな見ない振りさ。マキ以外は、みんな。……お父さんが死んだとき、いくつだった?」
「…その話はしたくないわ。」
「…腹が減ったな。君はどうだい。」
「いえ、大丈夫…。」
食堂に入り、レプリケーターに注文する老人。「ハスペラート※25。」 出てきた皿を手にする。
ロー:「あら、好きなの?」
「ベイジョー人の友達がよく作ってくれてねえ。」 口にする老人。「ただもっと、辛いのを。ずいぶん前に死んだ。ベイジョーを、カーデシアの支配から救おうとして。…いい奴だった。…料理も上手かった。」
「…私の父が作ってくれたハスペラートも絶品だったわ? …どこにも負けないくらい辛かった。」
「君も作れるのかい。」
「ええ。でももう何年も作ってないけど。」
「一つ作ってみてくれないか、本当に辛いハスペラートを。涙が出て、舌が焦げるくらいのやつをねえ。」
笑うロー。
老人:「そんなもの、食べてみたいもんだ。」
ロー:「わかった、挑戦してみる。」
サントスが帰ってきた。「マシアス※26。…艦隊の記録を調べてみた。話は本当だ。」
マシアス:「そうだろ、わかってたよ。カリタ※27、部屋が見つかるまで彼女を泊めてやってくれないか。」

夕方の街。
サントスと建物※28に入るロー。
マシアス:「ああ、来たか。」 カリタたちとテーブルに集まっている。空いた席を示した。
カリタ:「悪い噂を聞いたの。」
ロー:「また噂?」
「かなり深刻な問題よ。ペンディ2号星※29の商人の話では、どうやらカーデシアが近々居留民に向けて生物兵器※30の供給を始めるらしいの。」
「積荷は全て調べられるはずだわ?」
「カーデシア人は抜け道を見つけるのなんてお手の物よ。」
サントス:「では先制攻撃※31を仕掛けるしかない。奴らのなすがままに殺されやしないってことを、思い知らせてやろうじゃないか。」
マシアス:「賛成だ、がしかし医療品がもう底をついてきている。このまま攻撃を仕掛けるのは危険だ。」
カリタ:「でも、大量に注文したら感づかれるわ。」
ロー:「私に任せて。…エンタープライズには救援用の医療品※32がたくさん常備してあるの。」
サントス:「君はお尋ね者なんだろ、向こうにノコノコ取りに行けるわけないじゃないか。」
「どうぞ下さいと頼む気はないわ? 奪ってくるのよ。」
カリタ:「どうやって。忍び込めるはずないわ。」
「警備システムはわかってる。船を貸してよ。必ずやるわ。」
サントス:「無謀だ!」
カリタ:「彼女のこと何も知らないのに、任せられないわ。」
マシアス:「知ってるよ。辛いハスペラートを作る人だ。」
「何のこと?」
微笑むロー。
マシアス:「医療品は絶対必要だ。ここは、任せてみよう。」
カリタ:「…いいわ。私も行く。」
ロー:「手伝ってくれると助かるわ? 証人にもなってね?」
ローを見るカリタ。


※18: DS9第9話 "The Passenger" 「宇宙囚人バンティカ」に登場したコブリアド人の可能性があります

※19: Santos
(ウィリアム・トーマス Jr. William Thomas, Jr.) 名前は言及されていません。声:大川透、DS9 ガラックなど

※20: Jaros II
出来事を含めて、TNG第103話 "Ensign Ro" 「流浪のベイジョー星人」より

※21: Ronara

※22: TNG第70話 "The Most Toys" 「究極のコレクション」で使われた、ヴァロン・T ディスラプターの使い回し

※23: セットは TNG "Thine Own Self" のバーコン4号星の町並みを改装

※24: Juhraya
前のセリフでは「ジュリア星」と訳されています

※25: hasperat
初登場

※26: Macias
(ジョン・フランクリン・ロビンス John Franklyn-Robbins) スペインからの独立戦争で戦った、キューバの自由闘士にちなんで。声:藤本譲、VOY ダ・ヴィンチ、旧ST6/STG スコットなど

※27: Kalita
(シャノン・コックラン Shannon Cochran DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」のシレラ (Sirella)、映画第10作 "Star Trek Nemesis" 「ネメシス/S.T.X」のタローラ議員 (Senator Tal'aura) 役) 初登場。声:滝沢久美子、DS9 ナチェフ (ネチェーエフ)

※28: 会議場のセットは、同じくマキが使っていた DS9第40・41話 "The Maquis, Part I and II" のヴォラン植民地の会議場を改装

※29: Pendi II
吹き替えでは「ペンディ」のみ

※30: biogenic weapon

※31: preemptive strike
原題

※32: medkits
正しく「医療キット」と訳されている個所もあります

マキ船。
後部のパネルを操作したロー。「転送キャパシティを最大にセットしたわ? 一度のビームで貨物室一杯の医療品が手に入るはずよ?」
カリタ:「そんなに簡単にいくとは思わなかった。」
「もうすぐ連邦の境界線よ?」
「どうやって非武装ゾーンを出るつもり? チェックポイントで、必ず見つかるわ。」
「ここから境界線を越えるの。」
「センサーが張り巡らされてるのよ。チェックポイント以外の場所から外に出たら、すぐに艦隊の船がやってくるわ。」
「正しいセキュリティコードを使えば接近探知機の作動を止められるわ?」
「艦隊はしょっちゅうコードを変えるのよ。」
「大丈夫、心配ないって。プロトコル・サブシステムにアクセスできれば、コードを割り出せるはず。」
「割り出せるはず?」
「任務を失敗させたいの?」
「とんでもない。医療品は必要だもの。」
「それなら黙って私に任せて。…やった!」
だが、警告音に気づくカリタ。「どうしたの。」
ロー:「20秒以内に正しいコードを打ち込まないと、異常接近警報が鳴るわ。」
「ひとまず、後戻りしましょう。」
「駄目! 途中で逃げたらやり直しは利かないわ。…成功。またコードが変わらない限り、ここを通れるわ。」

静止しているエンタープライズ。
『航星日誌、宇宙暦 47943.2。ロー大尉がエンタープライズを離れ一週間以上経ったが、彼女からは何の連絡も入らない。』
作戦室を出たピカードに話すライカー。「艦長、トピン星系※33にいる連邦の科学船からの救難信号をキャッチしました。」
ピカード:「…近くにほかの船はいないのか。」
「いません。」
「操舵士、トピン系に針路変更だ。データ、ただちに救助に向かうと伝えろ。」
データ:「科学船との交信は、不可能かと思われます。トピン系には不安定な原始星※34が存在して、かなり強力な磁波※35を発生していますから。」
「位置は確認できるのか?」
「センサーはほとんど、全滅でしょう。方向探知センサーだけは、何とか使えますが。」
ライカー:「それではスキャンの範囲が狭すぎる。パームビーコン※36を使って探した方がよさそうだ。」

二連星※37のそばにいるマキ船。
カリタ:「正気なの? こんなところで、ジッと待つわけ。センサーも使わずに。エンタープライズに先に見つけられて、捕まるのがオチだわ。」
ロー:「大丈夫。方向探知センサーじゃ滅多なことでは見つからない。それにとりあえず彼らが探してるのは科学船だもの。…来た。推進エンジンスタンバイ。」

ライカー:「いたか。」
データ:「いえ、全域のスキャンには 6時間かかります。」
ウォーフ:「艦長。また遭難信号です。」
ピカード:「発信源を確認できるか。」
データ:「少々お待ち下さい。」

カリタ:「さっきの位置を、スキャンしてる。」
ロー:「センサービームにロックオン完了したわ。転送可能域に誘導させましょう。」
「防御スクリーンは通せるの。」
「それは無理。医療品を手に入れるには船ごとスクリーンの中に入らなきゃ。」

データ:「艦長、遭難信号の発信源をスキャンしてみましたがそれらしき船は見つかりません。」
ウォーフ:「艦長、さっきの遭難信号の中に組み込まれた※38通信が混ざっています。」
ピカード:「解読できるか。」
「数分かかりますが。」
「頼む。」

ロー:「防御スクリーンには弱点があるわ? 航行中は推力エンジンの影響で安定しない場所があるの。ここよ?」 エンタープライズのシールドの図を指差す。「そこを突破するわ。」
カリタ:「見つからない?」
「スクリーンが破られたことには気づいても犯人を突き止めるのに数秒はかかるから、その間に医療品を頂いて逃げればいいわ。」

ウォーフ:「メッセージの解読は困難です。干渉波のせいで大部分がひずんでいますが…どうもこれはロー大尉からのようです。」
ピカード:「…ローが乗ってるのか。」
データ:「艦長、何らかの船が後方の防御スクリーンを破ろうとしています。」
「…通してやれ。」

マキ船はエンタープライズのシールドに突入する。
ロー:「上手くいきそう。」
通過した。
ロー:「OK、入ったわ。」
カリタ:「転送。」
貨物室がケースで一杯になる。
振り返る 2人。
ロー:「行きましょうか?」

ウォーフ:「艦長、第7貨物室から大量の医療品が持ち去られました。」
データ:「防御スクリーンを突破した船は、マキが使っていたのと同じデザインのものです。出ていきます。」
ピカード:「…行かせろ、独りじゃないはずだ。…一応、捕らえようとする振りは見せておこう。ウォーフ、さっきまでいた位置にフェイザーを撃て。」
ウォーフ:「了解。」
ライカー:「さすがは上級戦略訓練帰りですね。」
ピカード:「フン。」

ロナラ※39
サントス:「船ごと防御スクリーンを突破?」
カリタ:「ワープエンジンの間に、輸送船を止めたの。初めはどうなるかと思ったけど、見事に成功。恐れ入ったわ?」
マシアス:「よくやった。」
サントス:「急いで積荷を調べて一覧を作ろう。」
カリタ:「…後でね。」 歩いていく。
マシアス:「カリタもやっと君が連邦のスパイじゃないと判断したようだな?」
笑うロー。
マシアス:「彼女は誰でも一通りは疑うんだ。まあ、無理もない。…よそ者にはひどい目に遭ってるからねえ。」
ロー:「でしょうね。」
「だが私は一目でわかった。君の心は、我々と同じだと。」
表情を変えないロー。


※33: Topin system

※34: protostar
TNG第98話 "The Mind's Eye" 「裏切りの序曲」など

※35: magnetascopic interference

※36: palm beacons
携帯用のライトのことで、ライカーは一種の冗談を言っています (ピカードの表情に注目)。この部分の吹き替えは「オープンビーコンを発射して探すしかなさそうだ」

※37: TNG第128話 "Realm of Fear" 「プラズマ放電の謎」のシーンを再利用

※38: 吹き替えでは piggyback が「小型輸送船の」と訳されています

※39: DS9第36話 "Shadowplay" 「幻影の村」のヤデラのマットペインティングを使い回し

エンタープライズ。
『航星日誌、補足。ロー大尉は今やすっかりマキ※40の信頼を得て、単身で居留地を離れエンタープライズに向かうことを許された。』
観察ラウンジを歩くロー。「カーデシア政府が、居留民に生物兵器を供給するという噂が流れています。」
ピカード:「まさか、それは無理だろう。ゾーンに入る船は、全て検査される。」
「検査をくぐり抜ける方法があるに違いないとマキは考えてます。」
「そこを狙うか。」
「え?」
「…ある作戦を立てた。その手を使えば、間違いなくマキの数は激減するはずだ。…彼らにとてつもなく恐ろしい標的を与え、向こうが総力を挙げて攻撃してきたところを一気に潰してしまおうというものなんだが。」
「『標的を与える』ってどういうことです。」
「例えばその、生物兵器だ。…君から、マキに情報を流すんだ。カーデシア人が生物兵器をばらまくという噂は、どうやら事実だとな?」
「すぐ飛びついてくるでしょうね。」
「さらにチェックポイントで引っかからないために、第三者を使って合成前の成分を運んでいると伝える。そして囮の輸送船団を使って、非武装地帯へと送り込むんだ。」
「マキが襲いかかるとそこには、艦隊が待ち受けてる。」
「ヒュゴラ星雲※41の中に隠れていれば見つかるまい。」
「…要するに罠にかけるんですね。」
「そうだ。…何か支障があるなら、今ここで言ってくれ。」
「…何があったとしても、任務は任務ですからやり遂げます。」
「さすが頼れる部下だ。」

ロナラ。
会議場のロー。「多少手間取ったけど艦隊の通信システムに入り込めたわ? …あるチェックポイントからの通信を傍受したの。パクレド※42の輸送船がレトロウイルス・ワクチン※43を運び込んだことを問題にしてた。」
サントス:「何が問題なんだ。」
「先週はフェレンギの輸送船が、形状記憶ジェル※44を運び込んだの。一つ一つは有害物質じゃないわ? でも、ほかの成分と合成したら大変な脅威になりかねない。つまり生物兵器も、できうるってこと。」
カリタ:「艦隊は、どうするつもりなの。」
「今のところは法に触れてないから手の下しようがないのよ。」
マシアス:「必要な成分がそろうまで、後どれくらいなのかね。」
「もうすぐよ。…2日前、イリディアン※45の輸送団が DS9※46 から非武装地帯に向かったの。アイソマイオティック・ハイポ※47と、プラズマフレアー※48、滅菌ポッド※49も積んで。」
カリタ:「ゾーンへの到着を、阻止しなくちゃ。」
サントス:「しかし、我々だけではとても。」
マシアス:「ほかのセクトのリーダーたちと、話し合ってみよう。…状況を訴えれば、きっと協力してもらえる。」
視線を逸らすロー。

建物を歩くマシアス。フードを被った 3人が歩いていく。
マシアスはローに近づいた。「みんなに連絡してきたよ。…これが済んだらお祝いしよう。」
ロー:「いつ終わるの?」
「いくら脅しても無駄だと、カーデシア人が思い知ったときさ。」
「それじゃあ随分先のことになりそうね。」
「弱気になるな、ロー。時間はかかる。でも大切なのは、あきらめないことだよ。」
「難民キャンプに 10年いたのよ、根性はあるわ。」
「どんな風に祝おうかと、前から考えていたんだ。盛大なパーティを開こう。…ハスペラートを作ってくれ、私はブルーベリーのパイを焼く。ワインを飲んで、踊ろうじゃないか。私のベラクラヴィオン※50で、みんなを笑わすのもいい。」
「クラヴィオンを弾けるの?」
笑うマシアス。「ああ、下手だがねえ。…難しい楽器なんだが、その分やりがいがある。」
ロー:「父もよく弾いたわ。…小さい頃ベッドの下に怪物がいる気がして怖がってたら、弾いてくれたの。クラヴィオンの音色には、魔法のパワーがある。…その音色を聞けば、怪物は逃げてしまうって。…父が奏でる音楽を聴いてると、とても安心して眠れたの。」 涙を浮かべる。「父が死んだとき…追い払えない怪物もいるんだなと思った。」
ローの顔に触れるマシアス。「…待つことはない。市場へ行こう、食料を仕入れて祝いの準備だ。」
ロー:「何をお祝いするの?」
「まあ、別に何もなくたっていいじゃないか…。ただ、祝いたいんだよ。」
「素敵ね。」
立ち上がるマシアス。「さあ、市場へ行こう。ただし今はブルーベリーがあまり出回ってないから、パイの中身はほかの物にしなくちゃな。」
ロー:「ベイジョーにはティコ※51っていうイチゴがあるわ?」
「ああ、知っとるとも。とても甘いやつだろ…」
先ほどのフードを被った者たちが、階段を上っていく。
気づき、見上げるマシアス。
彼らはカーデシア人だった。いきなり銃を撃ち始める。
ローを隠し、逃げるマシアス。
サントスが武器を持ってきた。「ロー!」
受け取るロー。サントスはマシアスにも銃を渡す。
攻撃を避け、カーデシア人を倒すサントス。もう一人は後ろに気を取られたところを、カリタに撃たれる。
撃たれた男性にマシアスが近づく。そこをカーデシア人に狙われてしまう。
倒れるマシアス。
それを見たローは、カーデシア人を撃った。下に落ちるカーデシア人。
ロー:「マシアス!」
うなるマシアス。「…ここにマキがいることを突き止められたようだ。」
ロー:「医療キットを持ってきて、早く!」
向かうカリタ。
マシアスはローの手を握る。
ロー:「死んじゃ駄目よ。」
マシアス:「歳を取った兵士が、死ぬ…ときは…誰かが、必ず跡を継いでくれる。」
マシアスは笑みを浮かべた後、目を閉じた。
声を上げ、涙を流すロー。


※40: 吹き替えでは「ゲリラたち」

※41: Hugora Nebula

※42: Pakled
TNG第43話 "Samaritan Snare" 「愚かなる欲望」など

※43: retroviral vaccines

※44: biomimetic gel
TNG第161話 "Force of Nature" 「危険なワープ・エネルギー」より

※45: Yridian
TNG第142・143話 "Birthright, Part I and II" 「バースライト(前)(後)」など

※46: ディープ・スペース9 Deep Space 9
言わずと知れた第3シリーズの舞台。TNG "Birthright, Part I" など

※47: isomiotic hypos

※48: plasma flares

※49: quarantine pods

※50: belaklavion
吹き替えでは、この個所も「クラヴィオン」のみ。「弾く」と弦楽器のように訳されていますが、実際はどのような楽器か不明です。BGM では管楽器のような音色が流れ、もしかすると DS9第30話 "Sanctuary" 「さまよえるスクリーア星人」でヴァラーニが吹いていた笛のことかもしれません

※51: teakle

惑星ロナラ。
バーに来ているピカードは、服装を変えている。
ローが来て、異星人に言う。「今夜はダメ。」 ピカードに話しかけた。「ハーイ、独り?」
ピカード:「付き合うか?」
「それじゃ奥のテーブルに移りましょ、静かよ?」
「…いいね。」
移動する 2人。
ローはピカードといちゃつく振りをして、ささやく。「作戦は失敗です。」
ピカード:「…なぜ。」
「餌に引っかかってこないんです。輸送船団はどうも、大きすぎるようで。」
「たった 6隻だぞ。…何ならもっと減らしてもいい。」
「いえ、戦力的な問題です。一度に一個所に集結するのは、彼らとしても不安なんです。」
「…艦隊からの諜報レポートによれば、マキ※40は積極的に攻撃の拡大を…狙っていると聞いているが、それは事実じゃないと言うのか。」
「セクトによって違うんでしょう。私が会った人たちは、保守的な方です。ほかはもっと好戦的なのかもしれません。」
「…ラレン、どうした。」
「…お金は持ってきました?」
「ああ。」
「出して下さい。」
「え?」
「そろそろ料金交渉をしないと。」
テーブルに置くピカード。
ロー:「今回の任務を命じられた時は、やれると思ってました。カーデシアと戦う人々を敵に回すということも、納得していました。…でももう自信がないんです。」
ピカード:「この任務から離れると言うのか。」
「艦長の期待を裏切りたくはないんですが…」
「私は関係ない、君の問題だ。…今までの努力を、全て無駄にしてもいいのか。」 ローと額を合わせるピカード。「重要な任務だ。もう一度考え直せ。やり遂げて欲しい。…偽りの報告をされたら、審理委員会に突き出さねばならん。任務を途中放棄したら、軍法会議だ。それでもいいと言うのか。」
「…わかりました、やります。」
「…独りでは心配だ。ライカー中佐を送ろう。そうだ、新入りだとでも言えばいい。…作戦成功に、万全を期したいんだよ。」 立ち上がるピカード。「悪いね、そんな金はない。」

星雲内にいるエンタープライズ。
『航星日誌、補足。ライカーとローから報告があった。マキは計画通り、輸送船団を襲うことになったらしい。我々は、ヒュゴラ星雲でこれを待ち受ける。』
データ:「星雲の周辺に残したセンサーとの間に、中継リンクを設置しました。これが、輸送船団。」 ブリッジのモニターに表示される点※52。「マキは、ゾーンに差し掛かったところで飛び出してくるものと思われます。」
ピカード:「現れたら直ちに捕らえてくれ?」
ウォーフ:「艦長、ライカー中佐とロー大尉の操縦する船が攻撃に巻き込まれないようにするため、全艦に渡ってワープサインを伝えておきました。」
データ:「マキ船隊が、センサーレンジに入ってきました。」
ピカード:「…非常警報※53。」
ウォーフ:「了解。」

多くのマキ船が向かってくる。
ベイジョー人に変装しているライカーとローの船に、サントスの通信が入る。『全機に告ぐ。』
ロー:「はい、隊長。」

サントス:「今から一分以内に、境界線を越える。攻撃準備。」
ロー:『了解。』

ライカー:「我々がゾーンを出るまで、艦隊は手を出してこない。彼らが現れたら即、星雲に隠れよう。」
ロー:「輸送船団がシールドを張ってる、見つかったようね。」
「境界突破まで 30秒。」
操縦するロー※54。音が低くなる。
ライカー:「何だ。」
ローはフェイザーを取り出し、ライカーに向けた。「…ごめんなさい。やっぱりできない。」

データ:「ロー大尉が操縦する輸送船が、星雲に向かって弱い素粒子ビームを発射しています。」
ピカード:「…何のつもりだ。」
「ビームによる分極効果のせいで、センサー回避が難しくなりました。」
「効果を抑えられるか。」
「何とかやってみます。」

サントス:「ロー、何してんだ!」
ロー:『星雲をスキャンしてみて。艦隊が私達を待ち伏せしてるわ?』
「ほんとだ。隊長より全機に告ぐ。作戦は中止だ、ただちに引き返せ。」

データ:「艦長、マキが船隊を崩しています。」 境界線の手前で去っていくマキ船の点。
ピカード:「境界線は越えたか。」
「いいえ、撤退しています。」
ウォーフ:「艦長。…ロー大尉の船は一緒に戻っていこうとしません。こっちに向かってます。」
ピカード:「乗船したら…身柄を拘束しろ。」

ロー:「アルファ7 からアルファ9。」
カリタ:『どうぞ?』
「そちらに移るわ?」
『了解。』
「これでエンタープライズに帰って。」
ライカー:「彼らと行くのか。」
「久しぶりに自分の居場所を見つけた気がするの。」 後部に立つロー。「艦長に言付けしてくれる?」
「いいとも、何だ。」
「ごめんなさいと。」
うなずくライカー。「さようなら、元気でな。」
ロー:「さようなら。…転送して。」 非実体化する。

通常航行に戻ったエンタープライズ。
ライカー:「考え抜いた末に出した結論のようです。…艦長を裏切ったことだけを悔やんでました。…報告書です。」
パッドを受け取ろうとしないピカード。ライカーはテーブルに置き、作戦室を出て行く。
ピカードは険しい表情のままだった。


※52: 前のピカードのセリフでは輸送船団は 6隻 (もしくはそれ以下) になる予定でしたが、ここでは 12個の点が星図に映っています

※53: 「警戒警報」と誤訳

※54: マキ船なのに、コンピューターにエンタープライズの図が表示されているのは変だという指摘があります

・感想など
TNG「新たなる旅路」を発端として、すでに放送済みの DS9「戦争回避」で導入され、ほどなく始まる VOY で重要な位置を占めることになるマキ。最終話直前のこのエピソードは、その設定を極限にまで生かし切った名作です。「ゲリラ」という訳が残念ですが、日本では TNG の放送が先でしたから仕方ない点もありますね。連邦市民のテロリストという設定に、初見当時は結構違和感があったのを覚えています。
もちろん細かい設定がわからなくても、久々に帰ってきたローとの別離という根幹のストーリーがしっかりしているため、さほど大きな問題はありません。かつて DS9 の出演を断ったフォーブスが、このような形で復帰するのは奇跡的でもあり、ある意味こんな最後を描けて正解だったかもしれませんね。間延びが全くなく、時間が短いながらも戦闘シーンもよくできています。
旧題は "The Good Fight" ですが、次の最終話と被る単語があるため変更されました。DS9 でも最終話一つ前の「自由への叫び」は、主役であるブルックス監督でしたね。カリタ (カリータ) は DS9「奪われたディファイアント」にも登場。マキの男の声優が、ガラック役の大川さんというのが面白いところです。


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