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TNG エピソードガイド
第52話「守護神伝説」
Who Watches the Watchers

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・イントロダクション
『航星日誌、宇宙暦 43173.5。現在、ミンタカ3号星※1へ航行中。現地では、人類学者 3名が原住民の調査を行っている。彼らに物資を届け、リアクターを修理することが今回の任務だ。』
ブリッジ。
ピカード:「ラフォージ少佐、状況は。」
ラフォージ:「修理に必要な部品はそろいました※2が、たった 3人しかいない基地で出力 4.2ギガワットのリアクターなど何のために使ってるんですか?」
ライカー:「フェイザーバンク※3や亜空間通信にはかなりの出力がいるだろ?」
「それにホログラムも。…そうか、『カモフラージュ※4』ですね? それなら納得がいきます。」
ピカード:「うーん。調査ステーションを、ホログラムで隠して観察していたんだ。…なかなか素晴らしいアイデアだな。」
トロイ:「バロン博士からの報告書によれば、ミンタカ星人※5は青銅器時代のヴァルカン星人と同じ文化水準で※6、温和で知性的な人たちです。」
「進化がヴァルカンと似通っていることを考えれば、驚くことではない※7。」
ウォーフ:「艦長。ミンタカ3号星から、連絡が入ってます。」
「そうか、スクリーンをオンにしろ。」
男性の乱れた映像に切り替わった。『こちらバロン※8だ。リアクターを修理してみたんだが、直すことは難しそうなんだ。』
ピカード:「補助バッテリーがあるだろう。」
『もって 3時間だ。』
データ:「艦長、速度をワープ7 に上げれば 23分で着きます。」
ピカード:「そうしよう※9。…すぐに向かう…」
爆音が響いた。バロンがいる部屋が火花を上げている。
意識を失うバロンたち。

地表の岩山※10の一部が乱れ、中の施設が姿を現した。

煙が上がる部屋。

窓から出てきた調査員の一人が、岩山を転がり落ちる。

スクリーンを見つめるピカード。映像は消えた。
ウォーフ:「通信が途切れました。」
ピカード:「ワープ9 に上げろ。」
進むエンタープライズ。


※1: Mintaka III
ミンタカは実在する恒星で、太陽系から 1,000光年の距離にあるオリオン座デルタ星 (三つ星の西端)

※2: 原語では「レプリケートしました」

※3: 吹き替えでは「フェイザーバリア

※4: 隠れ場所 duck blind
映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」でも、バクー人の調査に同じ言葉と手法が用いられています

※5: ミンタカ人 Mintakans

※6: 原語では「ミンタカ人は青銅器時代にある原始ヴァルカン型ヒューマノイド (proto-Vulcan humanoid) で」。単に文明が昔のヴァルカン人に似ているというだけでなく、種族の起源が同一とも取れるセリフです。実際ミンタカ人の耳や眉はヴァルカンに、額はロミュランに似ているようにも思えます

※7: 吹き替えでは「いずれにせよ、異文明への干渉は惑星の規約で禁じられている」

※8: バロン博士 Dr. Barron
(ジェイムズ・グリーン James Greene DS9第145話 "The Reckoning" 「善と悪の叫び」の Koral、VOY第117話 "11:59" 「甦るジェインウェイ家の秘密」の通行人役。ドラマ "The Days and Nights of Molly Dodd" (1987〜91) に出演) 声:二瓶秀雄

※9: "Make it so."

※10: ロサンゼルス近く、ヴァスケス・ロックスで 2日間のロケ撮影が行われました。TOS第17話 "Shore Leave" 「おかしなおかしな遊園惑星」、第19話 "Arena" 「怪獣ゴーンとの対決」、第20話 "The Alternative Factor" 「二つの宇宙」、第32話 "Friday's Child" 「宿敵クリンゴンの出現」、VOY第18話 "Initiations" 「ケイゾン戦士誕生」、ENT第5話 "Unexpected" 「予期せぬ侵入者」、映画 ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」でも使用

・本編
惑星軌道上のエンタープライズ。
施設内に転送されてくるライカーたち。クラッシャーはトリコーダーでバロンを調べる。
ラフォージ:「感電する危険がある。慎重に。」
あちこちで電流が流れている。
外の岩山を見るライカー※11

原住民の男、リコ※12。「こんなに早くから行くことは、ないだろう。」
女性:「失敗しないように、太陽が天頂に昇る前に準備しとかなくっちゃ。」
「心配ないさ、日時計を読むのは初めてじゃないんだから。」 笑うリコ。
「でも記録係に任命されたのは初めてだもの。」
日時計を扱う女性。
リコ:「こんなに立派に働いてる姿を、母さんに一目見せたかったよ。」
女性:「…あれ何?」
岩山で光っている点。
女性:「あそこよ、父さん。何かしら。」
リコ:「何だろう。」
向かう 2人。

ハイポスプレーを打つクラッシャー。
うわごとを言うバロン。「…がんばれよ、パーマー※13。」
クラッシャー:「落ち着いて、大丈夫。」
作業するラフォージとライカー。
データの前のコンピューターの表示が戻った。「ホログラムの方は、修理完了です。」
ライカー:「あとはリアクターだな。」
ラフォージ:「あと一息です。」 部品をつける。

岩山を登るミンタカ人の親子。
施設の目の前まで来た。
リコ:「お前はここにいろ。」
さらに近づくリコ。娘に合図する。
隠れる娘。
リコは窓の前から、ついに中を覗き込んだ。
クラッシャー:「エンタープライズ、ワレン博士※14を医療室に転送して。」
転送される医療部員のマルティネスたち。
息を呑むリコ。
データは窓に気づいた。「副長!」
リコが窓に触れたとき、電流が流れてしまう。叫び、その場から見えなくなるリコ。
岩山を落ちていく。
駆け寄る娘。
ライカー:「ドクター、危険だ!」
クラッシャー:「でも手当てしなくちゃ。」
娘は 2人の声に気づき、再び隠れた。
降りてくるクラッシャー。リコにハイポスプレーを注射する。
身体を調べ、コミュニケーターに触れた。「こちらクラッシャー。急患発生です。2名を、医療室に転送して。」
転送部員:『了解。』
非実体化する 2人。娘が一部始終を見ていた。

ラフォージ:「これでいいはずだ。」
音が響き、明るくなる。
露出していた施設の一部は、再びホログラムで隠された。

驚く娘。近づいていく。
岩山に触れる娘。

エンタープライズ。
クラッシャー:「トリコードラジン※15の量を増やしたわね? …レベルを見せて?」
マルティネス:「これです。」
「かなり安定したわね。」
「生命反応は、ほぼ正常です。」
医療室に入るピカード。
クラッシャー:「脳波も正常?」
マルティネス:「はい。」
「しばらく様子を見て。…最後に注射を打ったのは?」
「6分前です。」
意識を失ったままのリコに近づくピカード。「ドクター・クラッシャー。」 険しい顔だ。
クラッシャー:「規約※16を犯したことを責める前に聞いて下さい。私達の姿を見られた上に、ここへ運ばなければ死んでいました。」
「しかし規約は絶対なんだ。」
「彼が怪我したのは私達のせいなんです。」
「…そんな理由では納得しかねるな、ドクター。…しかし、揉めても始まらん。君の責任で、彼の記憶を消してくれ。」
「我々に関する記憶だけ?」
「技術的には可能だろ。」
「ドクター・ポラスキーの手法なら知っていますわ※17。でも、ミンタカ星人の脳は抵抗性が高いんです。上手くいくか保証はできません。」
バロン:「待て、駄目だ。避難しなければ…。」
「バロン博士、ここはエンタープライズですよ。安心して下さい。」
「ほかの 2人は。」
ピカード:「ワレン博士は、あそこだ。手を尽くして診ている。」
リコは目覚めた。クラッシャーたちは気づいていない。
バロン:「パーマーは、パーマーはどこです。」
ピカード:「それが行方不明なんだ。」
「早く助けて下さい。」
「もちろん。」
「彼も重傷だ。」
話しているピカードたちを、ぼんやりとした意識で見ているリコ。
ピカード:「心配ない、必ず捜し出す。見捨てたりはしない。」
バロン:「頼みましたよ。」 またハイポスプレーを打たれた。
リコはピカードを見つめる。
ピカード:「ブリッジ、ピカードだ。報告しろ。」
ウォーフ:『惑星上に地球人の存在は確認できません。』
「そうか、惑星に接近しろ。」
『しかし、接近してもセンサーの感度は 4%しか向上しません。』
「4%だろうと接近しろ。」
『はい。』
「命令だ。」 ピカードはリコを見た。
リコ:「あなたは!」
クラッシャー:「大変!」 すぐにハイポスプレーを使う。
また眠るリコ。
ピカード:「ドクター、責任はきちんと果たしてくれ。」 出ていく。

ミンタカ3号星。
岩山に、横になった姿のまま転送されてくるリコ。
身体を起こす。「オジー※18! オジー! …いないのか、オジー!」
岩山を降りていた娘は声に気づいた。「父さん?」
リコ:「ここだ。…オジー。」
「父さん! …私…」
「おいで。」
「もう会えないのかと。あの人と一緒に消えたとき、死んじゃったのかと思った。」
「一度は死んだんだよ。だがこうして生き返った。オジー。信じられない場所に行ってきたんだ。怪我もすっかり、治ってる。傷も残ってない。」
「そんなことってあるの?」
「……昔の人は、偉大な神の存在を信じていた。大地に雨を降らすのも太陽を昇らせるのも、そして今生きていることさえ定めだと。」
「そういう言い伝えは、何の根拠もない迷信だわ?」
「いや昔の人の信じたことが正しいんだ。ほかにこのことを説明できるか。…父さんは神に出会ったんだよ。…みんなに伝えよう!」 歩き出す二人。


※11: ここにあるスコープは、映画「2001年宇宙の旅」(1968) のカメラを基に Rick Sternbach がデザインしたもの

※12: Liko
(レイ・ワイズ Ray Wise VOY第94話 "Hope and Fear" 「裏切られたメッセージ」のアートゥリス (Arturis)、ドラマ「ツイン・ピークス」(1990〜91) のリーランド・パーマー役 (このエピソードにもパーマーというキャラクターが登場しますが、こちらの方が先で偶然の一致)。舞台「毛猿」でフレイクスと共演) 声:佐古雅誉

※13: パーマー博士 (Dr. Palmer) のこと。ティム・トレラ (Tim Trella、映画 "Star Trek: Insurrection" のスタント) が演じていますが、エキストラ扱い。声はラフォージ役の星野さんが兼任しているそうですが、息づかい以外のセリフはありません

※14: マリー・ワレン博士 Dr. Mary Warren
(ロイス・ホール Lois Hall 2006年12月に死去) ファーストネームは訳出されていません。声はクラッシャー役の一城さんが兼任しているそうですが、息づかい以外のセリフはありません。原語では「マルティネス (Martinez) と患者を」と言っており、マルティネスはエキストラの医療部員 (TNG第36話 "The Dauphin" 「運命の少女サリア」など)

※15: tricordrazine
TNG第48話 "Shades of Grey" 「悪夢の果てに」より。吹き替えでは「ホルモン」

※16: Prime Directive は「規約」「艦隊の掟」「艦隊の誓い」と訳されています

※17: TNG第41話 "Pen Pals" 「未知なるメッセージ」より。その第2シーズンのレギュラーだった、ポラスキーがシリーズ中で言及された最後のセリフ。吹き替えでは「ドクター・ポラスキーの腕なら可能ですわ」となっており、クラッシャーにはできないようにも取れます

※18: Oji
(パメラ・セーガル Pamala Segall) 声:松本梨香

観察ラウンジのクラッシャー。「ワレン博士の状態は危険です。」
ライカー:「行方不明の、パーマー博士の方もセンサーでは存在を確認できません。データ。」
データ:「ステーションの付近は、石灰岩の多いカルスト地形です。…地下水脈や、鍾乳洞が見られます。…また地層にタリウム※19化合物が多量に含まれているために、センサーが遮断されてしまうのです。」
ピカード:「パーマーが鍾乳洞の中に逃げて意識を失っているとしたら、生命反応は確認できないな。」
「その通りです。」
クラッシャー:「…艦長、一刻も早く上陸班を派遣して捜し出さなければ彼の命が危険ですわ?」
トロイ:「でもミンタカ星人は我々に出会うと、大きなカルチャーショックを覚えるでしょう。」
ピカード:「その通りだ。…これ以上彼らの生活に介入してはならない。」
ライカー:「…アイデアがあります。」

ライカー:『副長日誌、宇宙暦 43174.2。パーマーを捜索するため、トロイと共にミンタカ3号星へ降りる。住民を混乱させぬよう配慮をし、ドクターの手で彼らとそっくりな特殊メイクを施した。また艦からの通信が外に漏れぬよう、コミュニケーターを皮膚に埋め込む手術も受けた。』
ミンタカ3号星。
転送されてくる 2人。ミンタカ人の姿になっている。
荷物を背負うライカー。「こちらライカー、聞こえますか。」
データ:『感度良好です。お二人の行動はセンサーでモニターします。』
トロイ:「ミンタカ星人はヴァルカン星人と同様に、秩序を重んじる慎重で賢い人たちよ? …とても興味深いわ? 例えば女性が、男性パートナーの先を歩く慣習があるの。ほかの女性への合図なのよ。」 ライカーの前を歩く。
ライカー:「『誘惑するな』ってこと?」
「ちょっと違うわ。と言うより、『この人にサービスさせたければ私に頼んでね』っていう合図。」
「『サービス』って、どんなこと。」
「何でも OK よ?」
「賢い人たちだね。」

2人は集落に近づく。ミンタカ人が女性を先にして歩いている。
追って建物に入った。
リコの声。「疑う気持ちはわかるよ。立場が逆だったら、俺だってきっと信じないだろうさ。」
オジー:「でも父さんの話は本当なのよ。」
「フェント※20、あんたは伝説に詳しいだろ。俺が見た人に似た神様の話はないかな。」
「煙みたいに消えちゃうのよ。」
ミンタカ人の老人。「それは守護神※21のことかな? 自由自在に現れたり消えたりするんだ。」
リコ:「一度死んでしまった者を、生き返らせるのか。」
「まさに全知全能の神だ、そう昔の人たちは信じとった。」
「俺が見た人はその、守護神だ。…神の名は、ピカード。」
密かに話すライカー。「まずい。」
トロイ:「記憶が消えてないわ。」
「失敗だったようだ。」
話を聞いていた女性。「リコ? …神話なんて今時バカげてるわ? 本気で信じるなんてあなたどうかしてる。…星が運命を決めるとか、死者の魂が彷徨うとか。迷信に惑わされてはいけないわ。」
近づくリコ。「ヌリア※22、そういう迷信は俺も信じないが…ピカードはこの目で見たんだ。この俺を生き返らせて下さったんだよ。」
トロイ:「すいません、私達布を売りに来たんですが。お邪魔ですか?」
ヌリア:「とんでもない、歓迎しますわ? ヌリアです。」
「トロイと、ライカーですわ。あなた夢を御覧になったのね?」
リコ:「夢だって? 夢なんかじゃない!」
オジー:「…私も神の遣いを見たのよ。」
トロイ:「…お二人は親子なんでしょ? それなら同じ夢を見ても不思議じゃないわ?」
リコ:「…そんなバカな話が!」
ライカー:「そちらの方がバカげた話だ。魔法みたいに消える人間なんて、いるはずない。」
声が聞こえた。「ヌリア!」 調査員が中に運び込まれた。
リコ:「きっとパーマーだ、神のお捜しの男だよ。」
ヌリア:「何てことなの、本当の話だったのね!」
「神もお喜びだ。」
ミンタカ人:「行ってみよう。」 みな向かう。
ライカー:「こちらライカー。」
ピカード:『どうした、副長。』
「大問題です。」

医療室に来ているピカード。「見抜かれたのか。」
ライカー:『もっと重大なことです。彼らが神の存在を信じ始めました。その神というのは、艦長です。』


※19: thallium
原子番号 81、元素記号 Tl

※20: Fento
(ジョン・マクリアム John McLiam 1994年4月に死去) 声:鈴木泰明

※21: Overseer
原語では、これ以前に「神」という言葉は使われていません。god という言葉を使うのはエンタープライズ側の人間だけで、ミンタカ人が言う "the Picard" が神と訳されている個所もあります

※22: Nuria
(キャスリン・リー・スコット Kathryn Leigh Scott ドラマ "Dark Shadows" (1966〜70) および劇場版「血の唇」(70) のマギー・エヴァンス役) 声:戸田恵子

医療室。
患者服姿のバロン。「艦長、さっさとパーマーを収容して下さい。今すぐ手当てをしないと…」
ピカード:「そう簡単にはいかん、ミンタカ星人に転送するところを見られてしまったら彼らに影響を与えて…」
「もう十分見られてるさ、転送したところで今更どうだと言うんだ。パーマーが生きるか死ぬかなんですよ?」
連絡するピカード。「副長、何とかパーマーを住民たちの目の届かぬところへ連れて行けないか。」

ライカー:「やってみます。」
ピカード:『がんばってくれ、交信を終える。』

バロン:「そんなことじゃダメだ、こうしてる間にパーマーは死んでしまう!」
ピカード:「それは重々承知だ。しかし我々はパーマー博士ももちろん、艦隊の掟を遵守すると誓ったはずだ。万一の時は命も捧げると。」

パーマーに触れるオジー。
ミンタカ人:「クェゴ※23と一緒に狩りに行ってさあ、シカ※24を追ってほらあなへ入ったらこの男が眠ってたんだ。」
ヌリア:「この人は守護神のしもべなの?」
リコ:「ああ。…ピカードには、しもべは大勢いる。そうだよな、フェント。」
フェント:「そう言われている。…しかしこの男が神の従者であるなら、何だってほらあなにいたんだ。」
オジー:「逃げてきたのかも。」
ミンタカ人:「何かわけがあって、ピカードから隠れてたんだよ。」
リコ:「目を覚ましたとき、逃げられないように縛った方がいいぞ。」
ライカー:「見知らぬ人にそんな仕打ちをするんですか? 守護神なんているわけがないのに。ただの迷信ですよ。」
ヌリア:「そうは思わないわ? …この男の存在こそ、神がいる証拠よ。」
リコ:「そうともピカードは、パーマーを捜せと言ってた。」
オジー:「…捕まえておけば、喜んで下さるかしら。」
「きっと褒美に、望みを叶えて下さる。」
ヌリア:「望みって?」
フェント:「守護神は何だってできる御方だ。お願いすれば、天気だって狩りだって収穫さえも思いのままだ。」
リコ:「そうとも。死者を生き返らせることもできる。」
リコを見つめるオジー。
ヌリア:「…決まったわ。パーマーは捕まえておきましょう。」
トロイ:「もう一人いるわ! 似たような人が。」
リコ:「ピカードのしもべなのか。」
「鍾乳洞の方へ行ったわ。」
ヌリア:「フェントは、ここでパーマーを見張ってて?」
出ていくミンタカ人たち。「急げ。」

先導するトロイ。「あっちよ。」

縄を使おうとするフェントに話すライカー。「ああ、それじゃダメだ。やろうか。」
フェント:「そうか、頼むよ。」
「もっときっちりとした結び方があるんだよ。これを、こうやって。」

トロイやヌリアたちは歩き続ける。
オジー:「父さん、太陽が真上に行くわ。時間を計らないと…」
リコ:「よーし。」
独り離れるオジー。

ライカーはフェントの口に、布を巻いている。「許してくれ、あの人を逃がしてやりたいんだ。」
パーマーを担ぐ。
フェントの手は縄でくくられている。

歩いてくるオジー。
ライカーはパーマーを建物から出した。倒れてしまうパーマー。
オジー:「ライカー?」
ライカーはパーマーを背負った。「こちらライカー、転送準備だけして私がいいというまで待機してくれ。」
データ:『了解しました。』
オジー:「どこへ行く気なの、ライカー!」

オジーの声に気づくヌリア。「どうしたの!」

オジー:「ライカーがパーマーを連れて行くわ!」

ヌリア:「追って! ユリ※25はトロイを見張ってて。」
遮られるトロイ。
走っていくミンタカ人。

オジーは歩いていくライカーを見る。ミンタカ人が戻ってきた。

ミンタカ人は岩の上で矢を構える。だが放つ寸前、ライカーは岩の裏に逃げた。
さらに追うミンタカ人。
ライカーはパーマーを岩陰の穴に入れ、自分も入った。「よーし、いいぞ。転送。」
ミンタカ人が追いついたが、すでに転送された後だった。

医療室で実体化したライカー。「データ、トロイも収容したか。」 パーマーをベッドに運ぶ。
データ:『できませんでした。センサーによると、ミンタカ星人に取り囲まれています。』
「…クソ!」

解放されるフェント。
ヌリア:「大丈夫そうね。ハリ※26? 早くライカーを捜して。」
向かう狩人たち。
リコ:「なぜ我々からパーマーを奪ったんだ。」
トロイ:「奪ったわけじゃないわ、自由にしたのよ。どう考えても守護神が実在するとは思えないもの。」

ブリッジでトロイの会話を聞くピカードたち。元の姿に戻ったライカーも入る。
リコ:『…何てことをしてくれたんだ。ピカードはきっとお怒りだ、天罰が下ったらどうする。』
ライカーと顔を見合わせるピカード。
リコ:『ピカードのお力は、計り知れないものなんだぞ。フェント、守護神が意に背いた民を滅ぼすという言い伝えはあるか。』

フェント:「あるとも、恐ろしい。」
ヌリア:「心配ないわ、パーマーは見つかるわよ。あれではそう遠くへは行けないはずだわ?」
リコ:「しかしもしも、取り戻せなかったら天罰が下るんだぞ? …この女を、痛めつけよう。…こいつらの責任だと、わかっていただけるように。」

ため息をつくピカード。

ヌリア:「見張ってるだけで十分よ。」
リコ:「いいや、生ぬるい!」
「見せしめにしろと言うの?」
「…ピカードのお怒りを鎮めるためだ。でなきゃ、きっと俺たちは滅ぼされてしまう。」
「パーマーを取り戻せば済むことよ。…ハリが帰ってくるのを待ちましょう。」
オジー:「パーマーを見つけられなかったら?」
トロイに近づくヌリア。「その時はリコの言うとおりにするわ。」

エンタープライズ。
観察ラウンジのピカード。「博士、ミンタカ星人がトロイを見せしめにする可能性はあると思うか。」
私服姿のバロン。「決して好戦的な民族ではないが状況が状況ですからね。神の怒りを恐れ異常な心理に陥っています。」
裾を引っ張るピカード。「…どうすればいい。」
バロン:「彼らは守護神が何を望んでいるのか知りたがっています。ヒントをやることです。」
「ヒントとはまさか。」
「あなたが地上へ降りるしかない。」
ライカー:「守護神の振りをしてですか!」
ピカード:「冗談はいい加減にしてもらいたいね、艦隊の誓いが…」
バロン:「今さら誓いが何です、もう破ってるんだ。彼らを抑えるにはそれしかない!」
「それこそ内政干渉だ。」
「ただヒントを与えるだけです。従うかどうかは彼らの自由ですよ。」
「誤解を利用して彼らを意のままに動かすなんて私にはできないし、やりたくもない。これ以上艦隊の誓いを汚すなど許されんことだ。」
「彼らの信仰熱を呼び起こしてしまった責任はどう取る気です?」
ライカー:「このまま放っておいたら、宗教として確立されてしまうんでしょうか。」
バロン:「当然のことだ。いま彼らを正しく導かねばこの信仰は彼らの未来に、必ず悲劇をもたらしてしまう!」
ピカード:「…恐ろしい。…バロン博士。…あなたの調査報告書には、彼らは知性的な民族であり千年も前に原始的な信仰は捨て去っていると明記してあった。その彼らの進化を、私に逆行させろと言うのか? …神の振りをして出ていけば、彼らは信じてしまうだろう。文化的な暗黒時代に、逆戻りだ! …この事態は、ほかの方法で収拾せねばならない。…副長、彼らのリーダーはどんな人物だ。」
ライカー:「ヌリアという、非常に聡明で冷静な人物です。村人からの信頼も厚く、彼女が艦長を神ではないと言えば…」
「ほかの者たちも納得するか?」
バロン:「彼女をどう説得するんですか。」
「彼女もこの私を、全能だと信じている。私の本当の能力を見せるしかない。ヌリアを船へ呼ぼう。」

トロイに届くデータの声。『カウンセラー、あなたの周囲には 5人の原住民がいるようですが。4人は静止していますね、あとの一人は南へ遠ざかっています。ヌリアはこの中にいますか?』
トロイ:「うーん。」

データ:「…今のは肯定の返事ですか?」
ライカー:「ああ、肯定だ。」
「一番近くにいるのがヌリア?」
トロイ:『ん、んーん?』
ライカー:「否定だ。」

データ:『動いている人物ですか?』
咳払いするトロイ。

ライカー:「センサーをヌリアにロック。」
データ:「ロック完了。これでいつでも収容できます。」
ピカード:「データ、彼女の周囲に人がいなくなったら直ちに転送してくれ。」
「了解!」
ピカードはターボリフトに入る。

転送室。
転送部員に話すピカード。「ホイ少尉※27。」
データ:『艦長、今がチャンスです。』
「私が代わろう。」
出ていくホイ。操作するピカード。
ヌリアが下を向いた格好のまま転送されてきた。周りを見渡し、慌てて転送台を降りる。
ピカード:「ヌリア。…心配するな。危害は加えない。」
ヌリア:「誰なの?」
近づくピカード。「ジャン・リュック…ピカードだ。」
ヌリアは声を上げ、床に手をつけた。


※23: Quago
吹き替えでは「ゴ」と聞こえます

※24: 角ジカ hornbuck

※25: Yari
エキストラ

※26: Hali
(ジェイムス・マッキンタイア James McIntire) 声:梁田清之

※27: Ensign Hoy
エキストラ。TNG第49話 "Evolution" 「進化の刻印」など

頭を下げたままのヌリア。
ピカード:「立ちなさい。…私にひれ伏すことはない。」
ヌリア:「お気に召しませんか。」
「ひれ伏される資格はない。」
立ち上がるヌリア。目を合わせようとしない。
ピカード:「顔を上げて? …こっちを見て。…手を。」 握る。「私には体温がある。温もりを感じるだろ。…私は神ではない。…君と同じような、存在だ。」
ヌリア:「…私などとは。」
「同じだ。外見は君とは違うが、同じように生きているんだ。生を受け、成長し衰え…そしていつか死ぬ。…そういう意味では同じ存在だ。」
「…でもあなたは神です。」
ピカードはヌリアのあごに触れ、顔を起こす。「君に見せたいものがある。」
開くドアに驚くヌリア。「まるで魔法みたいだわ。…壁も自由に操れるのね。」
ピカード:「魔法のように見えるのだろうが、ただの…扉さ。動くように仕掛けがしてあるんだよ。」
勝手に閉まるドアに、ヌリアはまた声を上げる。

観察ラウンジの窓から、ミンタカ3号星が見えている。窓に触れようとするヌリア。「私が、住んでるところ。」
ピカード:「ここは高い空の上だよ。」
「下へは落ちないんですか? …空の上から雲を見下ろしてるなんて信じられません。やはりあなたは全知全能の神。」※28
ピカードは自分の頭に触れた。「…ヌリア。君たちは昔から、家をもっていたか。」
ヌリア:「いいえ? …我々の先祖はほらあなに住んでいたようです。昔の道具が出てきてますから。」
「なぜ家に住むようになった。」
「快適だからです。ほらあなは暗くて寒いわ?」
「では昔はなぜ、ほらあなに住んでいたんだ。」
「…昔の人は家を造ることを知らなかった。そう考えるのが一番自然だと思いますけれど。」
「そうだ。…家だけでなく、弓を作ることも布を織ることも昔の人は知らなかった。」
「ええ、そうだと思います。」
「誰かが思いついて、家や弓を発明しほかの者に教えた。それが代々伝わり、もっといい家やいい弓が創られるようになって今に至っているんだ。」
うなずくヌリア。
ピカード:「…そこでだ。例えばほらあなに住んでいた頃の君の先祖が、君の姿を見たとしよう。その人はどう、思う?」
ヌリア:「わかりません。」
「なぜ。立場に立ってごらん。彼らには遠くからシカを仕留めることはできんが、君にはそれができる。彼らにはない能力がある。」
「それは弓があるからです。」
「彼らは弓を知らない。…まだ発明されていないからだ。君には簡単なことでも彼らには、魔法だよ。」
「…ええ、きっとそう見えるでしょうね。」
「君にどんな反応を示すだろう。」
「…きっと私を怖がるわ。」
「君が私を恐れるように?」
「…もうあなたを怖がったりしません。」
「そうか、よかったよ。…いいかい。私の先祖だってほらあなに住んでいた。それが家を建てることを覚えそして時を経て、こういう船を造るようになった。」
また惑星を見るヌリア。「私達の子孫も空の上へ行けるようになるかしら。」
ピカード:「…君たちの子孫なら必ず行けるよ。」

地上では雷鳴がとどろいていた。
リコ:「この季節に雷が。これは前触れだ。」
フェント:「ただの嵐とも考えられる。」
オジー:「何だか怖いわ。」
リコ:「神の警告だよ! ピカードが怒ってらっしゃるんだ! 我々がパーマーを逃がしてしまったからだ。」
フェント:「リコ、この嵐と守護神を結びつけてしまうのは早計過ぎるぞ?」
「洪水になるんじゃないか。…女房は去年洪水で死んだ、今度は俺たちかも。ヌリアを捜そう!」
ついていくフェント。トロイの肩に触れる。

作戦室にある船の模型※29に触るヌリア。「素晴らしいわ。今まで想像したこともなかったものばかり見せていただいて。ほんとに何と御礼を言ったらいいのか。みんなのために一つ御願いをしていいですか。」
ピカード:「君はいいリーダーだな?」
「…こんなにお優しいあなたですもの、きっと叶えて下さいますわよね。…去年の冬、洪水で村の者が 6人死んだんです。…4人は子供でした。生き返らせていただけませんか?」
「私にはできない。」
「どうして。リコは生き返らせてくれたのに。…洪水で死んだ者たちはなぜ駄目だとおっしゃるの? …私のせいですか。あ、トロイを捕まえろと命令したから? お願いです。お気に障ることをしたならおっしゃって下さい、改めます。」
「どうやら私の話は、通じてなかったようだな…。」

リコに近づくオジー。「誰一人、ヌリアの行き先を知らないわ。」
リコ:「ハリ、どうだった。パーマーの方は何かわかったか。」
ハリ:「これ以上無駄だ、どこにもいないよ。」
オジー:「父さん、どうしたらいいの!」
リコ:「…ピカードの怒りを鎮めねば。…この女を罰するしかない。」
フェント:「ヌリアがいたらきっと許さんぞ…」
「ヌリアはいないんだ! …何とかしないと。」
リコはハリに手を差し出した。弓を渡すハリ。


※28: この時一瞬、上から降ろされたマイクが映り込んでいます

※29: この黄色いコンステレーション級の模型はパイロット版 "Encounter at Farpoint" 「未知への飛翔」から継続して登場していますが、番号は TNG第9話 "The Battle" 「復讐のフェレンギ星人」に登場した U.S.S.スターゲイザーの NCC-2893 ではなく、NCC-7100 になっていて船名表記もありません。もともと劇場版エンタープライズ (NCC-1701) のプラモデルキットを使って作られたためで、ピカードが乗っていたスターゲイザーがコンステレーション級と決められたのは (クラス名自体も含め) その後の "The Battle" の時点です。以降もこうして模型はそのまま使われているため矛盾とも取れますが、そもそも飾っているのはスターゲイザーではないのかもしれません

エンタープライズ。
息を荒げる女性患者。バロンが身体を押さえる。
クラッシャー:「こちらクラッシャー。ワレン博士が危篤です。」
ピカード:『すぐ向かう。』
目を見開き、バロンを見るワレン。
バロンは涙を流している。「私がついているよ。」
ショック症状を起こすワレン。
医療室に入るピカードとヌリア。
クラッシャー:「ノレーピニフリン※30。」
ワレンは目を痙攣させた後、動かなくなった。注射するクラッシャー。
脈を取る。「残念です。」
バロン:「ああ…。」
ヌリアはピカードを見た。バロンを連れて行くクラッシャー。
ヌリアはワレンの首に触れる。「ピカード。助けられないの。」
ピカード:「ああ。」
「あなたには死んだ人を、蘇らせる力はないのね。」
「その通りだ。我々は様々な病気や怪我を治療し、患者に延命処置をすることはできる。しかし今の我々の能力では死んだ者を、生き返らすなど不可能だ。人に永遠の命を、与えることはできない。」
「優れた方ではいらっしゃるけど、全能の神ではないのね。村のみんなにそのことを伝えなくちゃ。」

弓矢を構えるリコ。
トロイ:「リコ、あなたはそんな人じゃないわ。」 ハリに押さえられている。
リコ:「こうするしかない。ピカードの怒りを鎮めば…」
「殺せば本当に怒りは鎮まる? …ピカードが何を望んでいるのかわからないのに、勝手な思い込みで行動するの?」
リコは弓を下に向けた。「だが何かしないと!」
オジー:「かえってお怒りを買うかもしれないわ。」
オジーを見るトロイ。
リコは、また構えて天を仰いだ。「ピカード、お教え下さい。この女を殺すことを、望んでらっしゃいますか。…お答え下さい! さあ!」
ピカードが背後から現れた。「リコ!」 ヌリアも一緒だ。
リコ:「…ピカードだ!」
息をつくトロイ。
リコ:「守護神がお見えになった。」
ピカード:「よせ、リコ。」 リコを立たせる。「リコ、私は人間だ。神などではないんだ。私は、遠いところからやってきたただの旅人に過ぎないのさ。」
「しかし私を生き返らせて下さった、あなたは神です!」
「ひざまずくのはよしたまえ、私は崇められるような存在ではないんだ。」
ヌリア:「おっしゃったことは本当よ。…彼らの船を訪ねて、どんな暮らしをしているか見せていただいたの。大切な仲間が死ぬのも見たわ、生き返らせることはできなかった。」
リコ:「じゃあ…俺が生き返ったのはどうしてなんだ。」
「あなたは死んでなかったのよ。…ピカードには我々の知らない知識があるんだわ? …それであなたの傷を治すことはできたの。」
「違う、違う。ピカードは神なんだ。どうか御願いです、俺の女房を生き返らせて下さい。」
ピカード:「できない。」
「なぜです。…なぜ叶えて下さらない。俺が何かしましたか。…やっぱり怒ってらっしゃる。」
「怒ってなどいない…」
「じゃあ頼みます。女房を返して下さい。…その代わりに、俺の命を差し出します。お願いです。…俺に見せてくださった力で、女房を返して下さい。」
「私にそんな力はない。」
「なぜ隠そうとするんです、あなたは守護神だ。証明してみせる。」 離れ、ピカードに向けて弓矢を構えるリコ。
ヌリア:「やめてー!」 ピカードの前に立ちはだかる。
ピカードはヌリアをどけた。「私が全能の神なら、傷つくことはないはず。だがもしも私の言うことが本当なら、私が神でないなら…死ぬことになる。…私の言うことが信じられないのなら仕方ないだろう。矢を放て!」
ヌリア:「リコ、やめて死んでしまうわ!」
オジー:「父さん駄目!」
リコは矢を放ったが、オジーが押したために狙いは外れた。だが矢はピカードの肩に命中する。
倒れるピカードに近づくヌリアやトロイたち。
ヌリアの手には、ピカードの血がついていた。嘆くリコ。

『航星日誌、補足。傷口はドクター・クラッシャーの応急処置によって事なきを得、私は別れの挨拶のためにもう一度ミンタカへ降りた。これから、調査ステーションの撤去にかかる。』
昼の岩山。
腕を固定しているピカードは、ミンタカ人の集まった前にいる。「撤去開始。」
ラフォージ:『了解。』
岩肌を見つめる人々。ホログラムが消え、施設が見える。
ヌリア:「あれは何です?」
ピカード:「あそこから、君たちを観察していたんだ。」
フェント:「何のために。」
「君たちを、理解するためだ。作業続行しろ※31。」
岩肌に戻った。
ヌリア:「私達のような、劣った者を観察して何の役に立ちますの?」
ピカード:「祖先の暮らしぶりを推察し、我々自身を理解することに役立てるんだ。」
フェント:「何も隠れて見ていなくてもよかったのに。」
リコ:「きっと勘違いする者がいるのさ、俺と同じようにね。」
ピカード:「よその土地の人たちに、干渉するなという決まりがあるんだ。」
オジー:「じゃあ決まりを破ってしまったのね。」
「そうなんだ、だからもうゆかねば。」
「知識を与えて下さらないの。」
「これ以上決まりを、破るわけにはいかない。君たちの未来は君たちで、築いていくことだ。」
ヌリア:「がんばります。…いつかあなたたちのようになれることを夢見て。」
「空の上にも行けるさ。」
「パキ※32?」
男の子が、装飾の施された布※33を差し出した。
手にするピカード。
ヌリアはピカードの手に触れた。「素敵な旅を続けて下さい。私達を忘れないで。」
握り締めるピカード。「もちろんだ。」

ミンタカ3号星を離れるエンタープライズ。


※30: norep
TNG第23話 "Skin of Evil" 「悲しみの星に消えたターシャ」より

※31: 原語では、前の「撤去開始」は「今だ」、「作業続行しろ」は「もういい」。ホログラムのオンオフを指示したに過ぎません

※32: Paki
エキストラ

※33: 名前は言及されていませんが、エンサイクロペディアなどでは「ミンタカ・タペストリー (Mintakan tapestry)」とされています。今後もピカードの私室に飾られており、映画では作戦室の椅子に掛けられています

・感想など
吉水ピカード最後となる (一部資料では誤って今回から麦人さんに変更と書かれています)、この時期を代表するような教科書的エピソード。と言っても決してありきたりでつまらないという意味ではなく、派手さはないものの TNG の土台を支えるような佳作に仕上がっています。スタートレックのテーマの一つである「内政不干渉=艦隊の誓い」が主眼であることに加え、人類の進歩、宗教との関わり、歴史を学ぶ意味など見事にまとめられています。詩的とさえ言えるセリフのやり取りが生きていて、まさに初心者向けと呼べますね。
原題「観察者を観察するのは誰か」(クエスチョンマークがつかないのが正式なタイトル表記) は、ユウェナリスの詩に由来するラテン語の格言、"Quis custodiet ipsos custodes?" を意訳したもの。Robert Wiemer の初監督作品です。吉水慶さんの最終作でピカードが神として扱われ、映画まで登場するタペストリー (このような使われ方をするプロップは稀) を後に残していったというのは、偶然ではありますが何か思うところがあります。声優つながりで言えば、ミンタカ人の女性 2人。今も第一線で活躍する戸田恵子さんと松本梨香さんが、唯一出演した ST のエピソードです。


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