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TOS エピソードガイド
第32話「宿敵クリンゴンの出現」
Friday's Child

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・イントロダクション
※1惑星へ近づくエンタープライズ。
マッコイ:「身体が大きく身長 2メートル※2も珍しくはないし、体力もかなりある宇宙人だ。大尉※3。」
ウフーラが操作すると、会議室のモニターに異星人の顔が映った。
マッコイ:「非常に危険だから間違いは許されない。…このカペラ人※4の武器はクリガット※5だが、それは 100メートル※6離れたところからでもほとんどフェイザーガンと変わらない威力のあるものだ。」
映像でマッコイ※7と一緒にいるカペラ人たち。一人が武器を投げると、命中した木が折れた。
マッコイ:「加えて、彼らが好んで使う物に剣とナイフがある。」
呼び出しに応えるウフーラ。「ブリッジから呼んでます。」
スールー:『ブリッジです。』
カーク:「ミスター・スールー、何だ。」
モニターに映るスールー。『周回軌道上より、彼らの野営地を発見しました。』
カーク:「よーし、わかった。ただちに転送室をスタンバイ。」
『わかりました。』
映像が過去のものに戻る※8
スコット:「この惑星にはどのくらい行ってたんだ?」
マッコイ:「2、3ヶ月だよ。ところが、彼らは病気の治療にはからっきし興味がなくてね。…何しろ弱肉強食がモットーだからな。」
カーク:「何か意見があるかね?」
スポック:「そのような惑星なら完全武装の大部隊を上陸させた方が、安全かもしれませんね。」
「それはそうだが、大勢行くと部隊の中から彼らのタブーを破る者も出てくるからなあ。」
マッコイ:「そうだよ。万一争いにでもなれば、我々の目的である鉱物採掘権も取れなくなる。」
「その通りだ。スコッティ、船内指揮だ。この辺には、クリンゴン人がいるから気をつけてくれよ? 我々が交渉してる間に、このエンタープライズ※9に何かあっては困るからな?」
スコット:「わかりました、十分気をつけます。」
部屋を出る一同。

惑星軌道上のエンタープライズ。
カペラ人の野営地に転送されてくるカークたち 4人。
声が響いた。「待て!」
カペラ人たちが近づく。
先頭のカペラ人、マーブ※10が言う。「地球の宇宙船の者か?」
カーク:「船長のカークだ。」
手を広げるマッコイ。「お互い心を開いて、話し合いたい。」
だがカペラ人の隣に、クリンゴン人※11が進み出た。
保安部員のグラント※12がフェイザーを向ける。「クリンゴン人だ!」
カーク:「おい、やめろ!」
クリガットを投げるカペラ人。グラントの胸に命中した。
マッコイ:「何をする!」


※1: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 地球上陸命令」収録「金曜日の子供」になります

※2: 原語では「7フィート」

※3: 吹き替えでは「尉」。TOS では基本的に中尉は存在しないと考えられます

※4: Capellans

※5: kligat
吹き替えでは「クリット」と聞こえます

※6: 原語では「100ヤード

※7: マッコイがエンタープライズに乗る前だと思われるので、本来は古い制服になっていないと変かもしれません (TOS第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」など)

※8: 3面モニターの 2面が同時に映し出されていますが、正しい映り方にはなっていません。また、この後に登場するカペラ人の追跡シーンの映像が使われています

※9: 吹き替えでは「エンタープライズ

※10: Maab
(マイケル・ダンテ Micheal Dante) 声:和田文夫

※11: 名前は Kras (タイジ・アンドリュース Tige Andrews ドラマ "The Phil Silvers Show" (1955〜57)、「モッズ特捜隊」(68〜72) に出演。2007年1月に死去) ですが、言及されていません。「クラス」としている日本語資料もあります。今回からクリンゴン人のメイクが異なっており、黒塗りがなくなって眉毛も普通になっています。後のエピソードでは元に戻ります。声:村越伊知郎、TAS マッコイなど

※12: Grant
(ロバート・ブラルヴァー Robert Bralver TOS第32話 "Is There in Truth No Beauty?" 「美と真実」の船長付下士官 (Yeoman) 役。映画第1作 "The Motion Picture" 「スター・トレック」のスタント) 赤シャツ

・本編
『航星日誌、宇宙暦 3497.2※13。惑星カペラ4号※14には、宇宙飛行に欠かせない貴重な鉱物資源※15が潤沢にあることを発見。我々はその資源採掘の権利をうるために、カペラ4号へ上陸。しかしそこには既に我々に先んじて、宿敵クリンゴン人が来ていた。しかもメンバーの一人が殺されてしまったのだ。』
カペラ4号星。
倒れるグラント。
クリンゴン人はマッコイと同じ挨拶を返した。「我々クリンゴン人は地球人に恨まれる覚えはないぞ。」
カークを制するマッコイ。「カーク!」
クリンゴン人:「それともクリンゴン人を殺すのがあなた方の趣味なのかね。」
カーク:「…彼は若いし、勇みすぎただけだ。」
マッコイ:「…クリンゴン人が我々の宿敵であるってことを、知ってるのか。」
マーブ:「しかし我々の鉱物資源と交換に貴重なものを提供してくれる。…すでに武器や機械類を持ってきてくれた。……地球人もそうするか?」
カーク:「…船に連絡して、知らせなくては。」
クリンゴン人:「ここを攻撃するつもりかな? わしの言ったとおり、地球人※16のやり方は全て卑劣だよ。」
マーブ:「…お前たちの武器をもらおうか。」
スポックとマッコイを見るカーク。全員、フェイザーとコミュニケーターを放り投げた。

テントの前は、カペラ人たちが見張っている。
中に戻るカーク。「カペラ人は律儀で約束を守り、非常に正直だとか何とか君は誉めていたっけな。」
マッコイ:「そう思ったからだ!」
スポック:「しかし同時に非常に危険だとも言いましたよ。」
カーク:「それは嘘を言ったりタブーを犯したときだが、我々はそんなことはしなかったぞ? ドクター、我々は何もしていないんだ! …なぜグラントが殺されなければならないんだ!」
マッコイ:「それはクリンゴン人にガンを向けたからだよ。」
「突然正面に、あの凶悪なクリンゴン人を見れば誰でもガンを抜くさ! 彼は何をしてるのかね、君の言うこの正直者の惑星に来て。」
「……船長、部下を失った気持ちはよくわかってるよ。」
「ここには一人だけ来ているが、上空には 400人以上いる。…しかもここに来ている以上は、クリンゴンの宇宙船がこの近くに飛んでいるに違いない。」

スコープを覗いているチェコフ※17。「ミスター・スコット。飛行物体を発見しました。宇宙船のようですねえ。」
スコット:「よし、スクリーンに出してくれ。」
上部のモニターに表示される光点。
チェコフ:「まだ、相当距離があるようです。何の飛行物体でしょう。」
スールー:「クリンゴンの、宇宙船かなあ。」
スコット:「こっちに接近してくるからにはそうに決まってるさ。しかし、あんな飛行ぶりでは大したことはあるまい。まだ船長に報告することはないだろう。」

テントのカーク。「…ドクター。」
マッコイ:「…どうかしたか。」
「君に責任はない。当たって悪かった。」
「気にするな。」
スポック:「…厄介ですね。…人間の感情というのは。」
カーク:「ああ、その通りかもしれんな。…厄介で…非論理的だ。」
テントに女性が入ってきた。果物が積まれた器をテーブルに置く。
マッコイ:「武器を渡したから、我々に敵意がないとわかったようだな。もてなしをしてくれてるんだよ。」
差し出された食べ物を受け取ろうとするカーク。
マッコイ:「やめろ! …この星では、女に手を触れたら最期親族の男に殺されるんだ。…これは戦いを仕掛ける罠だ。…カペラ人は愛より戦いが好きだからな。」
中に入るカペラ人の男※18。「チュラ※19。」
スポック:「…船長が罠にかからなかったので、ガッカリしているようですよ?」


カペラ人が集まるテントに案内されるカークたち。クリンゴン人もいる。
中央に座っている男。「私は皇帝のアカアー※20だ。ここでは 10 の部族を率いておる。」
女性が近づいて隣に座った。お腹が大きい。
アカアー:「これは、エリン※21。…この先、わしの跡を継がせるため子を産まんとしておる。」
カーク:「私は船長のカークだ。まず部下を殺したことに抗議したい。」
「名誉じゃないのか? 部下が上官のために死ぬのは。地球では違うのか…」
マーブ:「皇帝、習慣が違うのです。」
クリンゴン人:「我々クリンゴン人とも習わしが違うんだ。地球人は死を恐れておる。」
マッコイ:「ここは任せてくれ。」 敬礼する。「マーブの言ってるとおりだ。我々の習慣は違う。…しかしクリンゴンの言うことは当てにはならないし、聞かないことにする。」
笑うカペラ人たち。
マッコイ:「クリンゴンは嘘が上手いからね?」
マーブ:「笑うんですか。…クリンゴン人は客ではないと言うんですか?」
アカアー:「地球人の方が、先に取引を要求してきたのだ。」
「取引に相手が二人というのはよろしくありませんな。」
「部族の代表は私だぞ! …マーブ。」
「私の部下も大勢おります。…クリンゴンと取引をなさい!」
クリンゴン人:「…地球人は何をくれるのです。今までに何をもらったというのですか。薬でしょ。病気を治すとかいう。」 笑う。「我々にとって病気というものは、死を意味するのです。…強い者だけが生き残る。地球人はあなたの部下に何を教えると、約束しましたか。…一体、何をですか。敵と戦う方法は、教えないでしょう。」
エリン:「クリンゴンの言うとおりです、皇帝?」
カークを見るクリンゴン人。
カーク:「地球連邦※22は大切なことを、教えます。皇帝。法律です。平和を守るための法律です。互いに侵略はせず、共存共栄する。これがクリンゴンと違うところです! …クリンゴン人は自分が欲しいと思えばいつでも武器を取って、攻撃してくるんです。」
マーブ:「結構だ、面白い。…クリンゴン人と地球人を戦わせましょう。…面白いじゃありませんか。」
アカアー:「地球人とは習慣が違うが、我々に嘘をついたことがないぞ。」
「しかし我々は地球人などと、取引すべきではありません。」
立ち上がるアカアー。「お前は私に逆らうのか、マーブ。」※23
マーブ:「……ではお任せします、皇帝。」 テントを去る。
クリンゴン人も敬礼して出ていった。ついていくカペラ人もいる。
カーク:「連絡が必要です、通信機を返して下さい。クリンゴンの宇宙船が来てるかもしれません。」
アカアー:「そんなことはどうでもよい。それより取引を考えねばならん。」
エリンが立った。「出て下さい。」

エンタープライズ。
モニター画面を見るチェコフ。表示されていた光点が消えた。
操作を続ける。「宇宙船が消えました。反応がありません。」
ウフーラ:「ほかの宇宙船から連絡が入っています。でもよく聞こえないんです。」
スコット:「増幅させろ、聞こえるかもしれない。」
「…消えました。地球の宇宙船からの SOS のようでした。」

マーブが野営地に戻ると、カペラ人が互いに争っていた。
混乱に乗じてテントを出るカーク。そばにあったヒモを使い、カペラ人を倒す。
ナイフを拾うカーク。スポックたちも外に出る。
剣を使ってカペラ人を倒すアカアー※24。マーブも戦っている。
クリガットを取り出して投げた。

アカアーのテントを漁るクリンゴン人。
カークがやってきた。「クリンゴン!」 スポックたちに指示する。「通信機と武器だ。」
クリンゴン人:「争うつもりはないんだ。自分の宇宙船に…戻りたいだけだ。」
クリンゴン人はナイフを拾い、襲いかかってきた。投げ飛ばすカーク。
首にナイフを突きつけるカーク。「どんな宇宙船で来たんだ!」
クリンゴン人:「小型の偵察用のものだ。…鉱物資源が必要で…交渉に送られてきた。」
カークに剣が近づく。
マーブだ。「やめたまえ。」
カペラ人が大勢テントに入る。
マーブ:「アカアーは死んだ。…わしが皇帝になった。」
クリンゴン人:「殺してしまえ!」
カーク:「待て! …皇帝になったら、慎重に考えねばならんぞ?」
「部族の指揮官がそんな臆病でどうする。」 マーブの手をつかむクリンゴン人。「わしが殺してやる!」
「では決闘さしてくれ! …面白くないか?」
手を振り払うマーブ。「皇帝になると考え方が変わるものらしい。…地球人が気に入ってきたぞ。クリンゴン人は恐れをなしておるからな?」
クリンゴン人:「約束したはずだぞ。」
「…それも当然変わってくるな。」

エンタープライズ。
ウフーラ:「交信がはっきりしてきました。ディエドレ※25からの SOS の連絡です。」
スコット:「ディエドレ。貨物船だ。」
「目下攻撃を受けて、避難中です。相手の宇宙船は、クリンゴン人のものだと言っています。」 ナビゲーターはハドレイだ。
「どうだ?」
スールー:「待って下さい、捕捉します。」
「船長を呼べ。」
ウフーラ:「エンタープライズより船長、応答して下さい。」 惑星がスクリーンに映っている。「エンタープライズ※9より、カーク船長。」

エリンが出てきた。マーブに足下に剣を突きつけられ、姿勢を崩す。
手が火元に当たりそうになった。
スポックは、エリンに手を触れないようカークに忠告する※26。「気をつけて下さい。」
マーブ:「皇帝の後継ぎを、身ごもっておるな。」
エリン:「死なねばなりません。」
剣を振り上げるマーブ。
カーク:「待て!」 エリンの手をつかんで引き寄せ、マーブを蹴った。
カペラ人に押さえられるマッコイ。スポックも争うが、殴られた。
倒れたところに剣を突きつけられるカーク。立ち上がった。
マーブ:「誰も皇帝の妻に触れることはならん!」
クリンゴン人:「…皇帝が死んだ以上死なねばならんのだ。」
エリン:「掟には従うつもりですが、この人を先に。…私に触れたのです。私の目の前で殺して下さい。」
エリンを見るカーク。

エンタープライズ。
ウフーラ:「エンタープライズより、ミスター・スポック。…ドクター・マッコイ、応答して下さい!」
チェコフ:「探知機に捕捉しています。こっちのチャンネルにつないで下さい。」
「了解。」
通信※27が届く。『ディエドレ、目下クリンゴン船の攻撃を受けております。すでに 2隻の輸送船に損害、救援を願います。エンタープライズ、了解ですか。救援を頼みます、繰り返します。』
スールー:「…発信位置を確認。目標に向かいます。」
スコット:「では直ちに、軌道離脱のスタンバイだ。」
スコットを見るスールー。「了解。」
スコットは船長席に座った。
ウフーラ:「いいんですか、船長は?」
スコット:「しかし地球連邦の宇宙船が攻撃を受けている以上、それを救出する方が大切だ。…ただちにカペラの軌道より、離脱しろ。前進、ワープ5!」
カペラ4号星を離れるエンタープライズ。



※13: 吹き替えでは「0402.0332」

※14: カペラ4号星 Capella IV
カペラは実在する恒星で、ぎょしゃ座アルファ星。太陽系からの距離は 42光年。TNG第25話 "Conspiracy" 「恐るべき陰謀」での宇宙艦隊本部の星図内にもあるそうですが、画面上では読み取れません

※15: 原語では「小惑星コロニーの生命維持システムに欠かせない貴重な鉱物トパリン (topaline)」。トパリンは初言及

※16: 地球人以外の人物は通常の human ではなく、Earthman (Earthmen) と呼んでいます

※17: チェコフはコンソールの左端に手をかけており、他のシーンでもそこで切れていることがわかります。撮影のために外されていただけで、本来はずっと続いています

※18: 名前は Duur (カーク・レイモン Kirk Raymone TOS第74話 "The Cloud Minders" 「惑星アーダナのジーナイト作戦」の雲の護衛その1 (Cloud Guard #1) 役) ですが、言及されていません。「デューア」としている日本語資料もあります。声:星野充昭、TNG ラフォージ、ジャックなど

※19: Chura
エキストラ

※20: アカアー皇帝 Teer Akaar
(ベン・ゲイジ Ben Gage 1978年4月に死去) ティアアーは肩書き。声:嶋俊介、TOS カイル、ムベンガ、旧ST5 マッコイなど

※21: Eleen
(ジュリー・ニューマー Julie Newmar 映画「掠奪された七人の花嫁」(1954)、"The Marriage-Go-Round" (61)、ドラマ「バットマン」(66〜68) に出演。ダンサー、コメディエンヌ) 声:武藤礼子

※22: この個所のみ、原語でも "Earth Federation" と言っています

※23: アカアーは立ったままですが、一瞬だけ座った映像が挟まります

※24: アカアーが刺した瞬間映像が切り替わり、相手の服装が全く変わっています

※25: S.S.ディエドレ S.S. Dierdre
アイルランド伝承に登場する美女ディアドラにちなんでかもしれません。吹き替えでは次のスコットのセリフを除き、全て「ディエドレ

※26: スポックの "Careful, Captain." というセリフですが、吹き替えではカークがエリンに対して発したものとして訳されています。直前のカットのせいかもしれません

※27: 声:水鳥鉄夫

航行中のエンタープライズ。
スコット:『航星日誌、宇宙暦 3498.9※28。スコット少佐記録。』
船長席のそばで話しているスコット。「…我々はクリンゴンの宇宙船より攻撃されている地球連邦船※29の救援に向かう。」 クリップボードにサインした。「我々はカペラ4号上陸班とは、依然として交信不能の状態である。恐らく上陸班には何かあったに違いないが、それが何であるかわからない。」

テント内で見張られているスポック。「本船との定時連絡は、1時間と 12分遅れています。本船からまだ偵察班も、出しておりません。どうしたんでしょうねえ。もう出してもいいと思うんですが。」
カーク:「恐らく、何かあって手が回らないのかもしれんよ。きっと、クリンゴンが来たんだろう。」
「そうかもしれません。敵が現れたんですよ。」
マッコイ:「カーク。女の腕の手当てをしてやろうか。そうすりゃあ、連中かかってくるぞ。」
カーク:「…そいつは面白い思いつきだな、やってみたまえ。」
スポック:「そうですね、いい思いつきですよ。」
暇を持て余す振りをするカークとスポック。
マッコイはエリンに近づいた。「腕を見せてごらん。」
エリン:「触らないでちょうだい。」
カペラ人がエリンの方を向いている隙に、カークは物を投げた。スポックもヴァルカン首つかみで倒す。
エリンの口を押さえるマッコイ。もう一人を殴り倒したカーク。
カークはナイフをエリンに向ける。「死ぬと言ったのはどうした。死にたいんじゃないのか? もっとも助けてやってもいいが、どっちにする。」
エリン:「…私だって、死にたくなんかないわ。」
「よし。行こうか。」

外に出した椅子に座っているマーブ。そばにいるクリンゴン人。
クリンゴン人はテントに向かおうとする。
マーブ:「クリンゴン。…そっちはお前には関係がないはずだ。」
クリンゴン人:「…協定を結んだんだ。私の武器を返してもらいたい。」
マーブはそばから銃※30を取り出した。「お前の武器はちゃんと私が持っておる。…取引が済んだらすぐにでも武器は返してやるさ。それが約束だったろ。」

ブリッジに通信が流れる。『速度、異常なし。コース、異常なし。』
スールー:「貨物船より、連絡のあった位置に達しました。」
スコット:「探知機に出ているか。」
チェコフ:「出ていません。宇宙船の破損物体も航跡も、ありません。」
「ミスター・スールー、捜索態勢を取ってくれ。各探知機は全て、フルに使用。」
振り返るスールー。
スコット:「信号はないか。」
ウフーラ:「何もありません。」
チェコフ:「スクリーンに出てもいい頃ですけどねえ。」
スールー:「せいぜい貨物船のスピードは、ワープ2 ですよ?」
スコット:「貨物船のスピードぐらい言われなくてもわかってるよ、ミスター・スールー?」

進み続けるエンタープライズ。

岩場※31を歩くカークたち。
『航星日誌、宇宙暦 3499.1※32。我々はカペラ人の野営地を離れる前に、通信機を取り返すことに成功したが※33武器は発見できなかった。我々は丘の上に逃げた、だが彼らが後を追ってくることは間違いなかった。その時、我々の気づいたことが一つあった。それは、エリンが子供を産むことを嫌っていることであった。』
マッコイから手を離すエリン。
カーク:「女についてろ。…ここは追い詰められそうだ。」
スポック:「でも、守るにはいいところです。」
切り立った崖が見える。
カーク:「ああそうだな。…この先へ行って、出口があるか見てきてくれないか。私は周囲を調べる。」
マッコイ:「いいかね、あんたは皇帝の未亡人という偉い人かもしれないが私は医者なんだ。怪我とか病気を治すのが私の仕事だ。」
座るエリン。
マッコイ:「いいから、私にその腕を見せてごらん。」
エリンは腕を差し出した。治療を始めるマッコイ。

坂を下りるカーク。遠方からカペラ人が近づいてくるのが見えた。
岩山を見上げる。コミュニケーターを取り出したが、しまった。

エリンの腹を調べるマッコイ。触れる。
すぐに払いのけるエリン。「失礼よ、触らないでちょうだい。」
マッコイ:「決して悪いようにはしない。医者である限り患者は診なきゃならんし、身体には触らなきゃならないんだ。」
また腹に触られ、エリンはマッコイを平手打ちした。それでもやめようとしないマッコイ。
エリンはまた叩いた。勝ち誇った顔をする。
すると今度はマッコイがエリンの頬を打った。
診察を続ける。「思った通りだ。生まれるのは時間の問題だよ。」
エリン:「どうしてわかるの?」
「だから言ったろう、私は医者だよ。」
「私の部落には触っただけでそれだけわかる人はいないわ?」 エリンはマッコイと手を重ねた。「不思議な手ね、とても柔らかくて。」
スポックがやってきた。マッコイはすぐに手を引っ込める。
見つめるスポックは、何も言わずに離れた。

カークと合流するスポック。
カペラ人が迫ってきている。
スポック:「岩が高くて狭いけど、しかし出口はあります。」
カーク:「よし。入口をふさげば彼らは丘を回らなきゃあならんから、時間が稼げるわけだ。」
「岩が砕ければいいですねえ。」
「2つの通信機から同時に音波を出して、崩せないかな。」
「さあ、上手くいくかどうですかね。」
「できないとわかってりゃ、やってみても無駄だな?」
「船長、できないとは言っていませんよ。」
2人はコミュニケーターを取り出した。

歩いてくるカペラ人たち。
コミュニケーターを操作するスポック。カークも岩陰に隠れている。
カペラ人を見張る。
スポック:「音のビームが、岩の弱いところで共振を起こせば崩れてくるかもしれません。」
音波を出している※34
マーブを先頭に歩くカペラ人。
マーブは立ち止まり、音に聴き入った。
エリンと共にいるマッコイも音に気づいた。
部下に合図するマーブ。地響きが聞こえてきた。
岩を見上げ、素早くその場を離れるカークとスポック。
岩場が突然爆発を起こしたように吹き飛んだ。カペラ人の目の前だ。
脇に隠れるクリンゴン人。崩れた岩が転がっていく。
直撃を受ける者もいる。砂煙が立ちこめる。


※28: 吹き替えでは「0498.9」。なぜかここだけ通常の「040x.xxxx」という置き換えとは異なり、本来の宇宙暦の最初の数字を 0 にしただけです。次の宇宙暦 (脚注※32) とも矛盾します (そっちも間違えてますが…)

※29: 吹き替えでは「地球連邦

※30: クリンゴン・ディスラプターは、TOS第23話 "A Taste of Armageddon" 「コンピューター戦争」のエミニアの武器を再利用

※31: ロサンゼルス北部のヴァスケス・ロックスでロケ撮影されました。TOS第17話 "Shore Leave" 「おかしなおかしな遊園惑星」、第19話 "Arena" 「怪獣ゴーンとの対決」、第20話 "The Alternative Factor" 「二つの宇宙」、TNG第52話 "Who Watches the Watchers" 「守護神伝説」、VOY第18話 "Initiations" 「ケイゾン戦士誕生」、ENT第5話 "Unexpected" 「予期せぬ侵入者」、映画 ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」でも使用

※32: 吹き替えでは「0402.0332」で、なぜか最初の数字 (脚注※13) と変わっていません

※33: 吹き替えでは「本船との交信に成功したが」。すでにエンタープライズは軌道上にはいませんし、ここでスコットたちと連絡が取れていたら、その後の展開が変わってしまいます

※34: コミュニケーターの動く模様がはっきりと見えます

マーブとクリンゴン人は無事だ。
倒れたカペラ人から、密かにフェイザーを奪って足下に隠すクリンゴン人。ナイフでカペラ人にとどめを刺した。
別の道を指差すマーブ。部下と共に、回り込んで登っていく。

カークは尋ねた。「お産が心配なのか?」
エリンと離れているマッコイ。「カペラ人は地球人とは違うし身体の構造が変わってるからね。それに私には何の道具もないんだ。」
カーク:「だったらやめとけよ。」
「大丈夫、やれると思うよ。ただし、君が手を貸してくれればの話だが。」 マッコイはエリンのそばに戻っていった。

岩山を登るカーク。

カペラ人たちも別の方向から歩き続ける。

戻ってきたカーク。スポック、マッコイ、エリンも山道に来ている。
エリンの腰を押して助けようとするカーク。
エリン:「いや! マッコイだけよ。」
カーク:「向こうに洞窟がある、人目を避けられるのはあそこだけだ。」
マッコイ:「一緒に、連れて行ってくれないか。」
スポックが手を伸ばした。
エリン:「嫌よ!」
マッコイ:「エリン、私独りじゃ無理だ※35。スポック、手を貸してくれ。」
「いや、私に触るのはあなただけよ。」
苦労して助けるマッコイ。

山を進むカペラ人一行。

エンタープライズ。
スコット:「宇宙船が消えてしまうはずがない。」
ウフーラ:「何も反応がありません。各チャンネルにも周波数にも。」
「ミスター・チェコフ。」
チェコフ:「反応ありません。破壊されていれば、少なくとも破片ぐらいは残っているはずですが。」
スールー:「貨物船のスピードは遅いんです、おかしいですね。」
何も見えないスクリーン。
スコット:「ミスター・チェコフ。あの時のマイクロテープをかけてみてくれ。もう一度聞いてみよう。」
チップ状のテープを取り出し、挿入するチェコフ。
再生される。『ディエドレ、目下クリンゴン船の攻撃を受けております。すでに 2隻の輸送船に損害、救援を願います。エンタープライズ、了解ですか。救援を頼みます。』
スコット:「聞いたか? 名前で呼んでるな。これは救援要請ではなく、我々を呼ぶのが目的だよ。」
スールー:「ただ我々が近くにいたからでしょ?」
「貨物船は我々がここにいるってことは知らないはずだ。」
「罠だ! カペラから遠ざけるためです。」
ウフーラ:「…でも、もしかしたら本当の救援要請かも。」
スコット:「確認するには時間がかかるね。捜索を続けてくれ。」
スールー:「了解! 続けます。」

移動するエンタープライズ。

洞窟に入るエリンは、息をついている。
カーク:「ドクター、マグネサイト・ニトロン※36を持ってたな。一粒くれ。」
マッコイ:「待ってくれ、落ち着かせるから。よーし。」
粒を受け取り、岩の上に置くカーク。ナイフで衝撃を与えると、火が点いた。「よーし。」
エリン:「…いいえ、違う。ここが痛いの。」
カーク:「よく触らせたな、薬でも飲ませたのか。」
マッコイ:「いや、おまじないさ。」
「それにしちゃよく効いてるね。」
「私も驚いてるくらいだ。」
外へ向かうカーク。
エリン:「ああ、違う。こっちの方。こ…ここが痛いの。うーん。」

洞窟を出たカーク。
スポック:「船長、木が生えてます。近くに水があるってことですよ。」
カーク:「そうだなあ。水もここでは武器と同じぐらい大切だよ。」
「木で弓矢を作ったらいかがでしょうか。」
「行ってみよう。」

汗をかいているエリン。「痛い! …マッコイ! ああ…。」
マッコイ:「大丈夫、私がついてるよ。…いいか、お前が子供が欲しいのだ。」
「いいえ。この子供は、夫のものです。」
「…なるほど、そう教えられてるのか。全く下らん! …答えなさい、子供が欲しいな? …言いなさい、子供が欲しいな?」
「うん。」
「よし、ではこう言いなさい。『子供は、私のもの。子供は私のもの、私のものだ。』」
「ええ、あなたのものよ。」
「違う、君は思い違いをしてる。」
「…はい。マッコイ。…あなたのものよ。」
「違う、こう言うんだ。『子供は私のもの。私のもの、私の…』」
微笑んだ後、顔を歪ませるエリン。
マッコイ:「よーし。」

コミュニケーターを使うカーク。「カークからエンタープライズ、カークからエンタープライズ。」 弓を持っている。
スポック:「この枝はしなりがいいから十分使い物になりますよ。」
「上手く飛びそうかね。」
「…そう言ったつもりですが。」
すると、赤ん坊の産声が聞こえてきた。
カーク:「これなら使える。カペラ人は弓矢という物を使ったことがないから、彼らは恐らくビックリするぞ?」
マッコイが洞窟から出てきて、微笑んだ。合図する。
中に戻るカークたち。

マッコイはエリンのそばの布を抱いた。中には赤ん坊がいた。
スポックに渡すと、赤ん坊※37が泣き始めた。
マッコイ:「いやいや、そうじゃない。…この腕はここに置いて、背中を支えてやりこの手はここにやるんだよ。さあ…」
スポック:「ダメだ、とても私にはできそうもないよ。すまんね。」
エリン:「マッコイ? …私達の子供を連れてきて。」
マッコイの腕をつかむカーク。「『私達の』?」
マッコイ:「…あとで説明するよ。」
スポック:「ほーう、面白い話が聞けそうですね。」
エリンに抱かせるマッコイ。カークたちを見た。
スポックと顔を見合わせるカーク。

エンタープライズ。
スールー:「まだ発見できません。反応なしです。」
スコット:「ミスター・チェコフ。」
チェコフ:「見えません。」
「引き返そう、ワープ5 だ。」
スールー:「ワープ5。」
速度を上げるエンタープライズ。
スールー:「目標、カペラ4号。」
スコット:「コースに乗ったら、ワープ6 だ。船長に何かあったのかもしれない。」
ウフーラ:「ミスター・スコット。今度はカロライナ※38から救援連絡ですが。」
「無視しろ。」
「でも、カロライナはこの辺を飛んでるはずです。」
「いいから無視するんだ。私が命令し責任をとる。」
「わかりました。」
スールー:「大丈夫ですか、今度はほんとかもしれませんよ。」
スコット:「地球にこういうことわざがあるのを知ってるだろ。『だまされるのも一度だけ。二度だまされるのは愚か者。』」 後ろにレズリーが座っている。
チェコフ:「知ってますよ、それ。ロシアのことわざですね。」
チェコフを見るスコットたち。チェコフは笑った。
向かうエンタープライズ※39

居眠りしているマッコイ。目を覚ましたエリンはマッコイの様子を見て、起き上がった。
そばの石でマッコイを殴る。独りで外へ向かった。

岩山の上で見張りをしているカークとスポック。
マッコイの声が聞こえた。「カーク、スポック!」
首を押さえ、マッコイが洞窟から出てきた。「カーク、スポック!」
カーク:「どうした、ドクター。」
「あの女、石で私を殴って逃げていったよ。」
スポック:「赤ん坊は。」
「大丈夫、中にいる。…身体ばかり心配してて、心理的に上手くいかなかった。自分の子だと思い込ませたつもりだが。」
「習慣はすぐに抜けるもんじゃありません。部落に戻ったんでしょう。」
「私も行こう。」
カーク:「君は医者として我々と一緒に来ているんだ。赤ん坊をほっておいちゃいけないね?」
独り、洞窟に戻るマッコイ。

エンタープライズ。
スコット:「後どのくらいだ。」
スールー:「31分です。」
スクリーンを見るスコット。
チェコフ:「ミスター・スコット。…探知機が、前方に宇宙船をキャッチ。こちらの針路を妨害しています。」
スコット:「推力 2分の1 に落とせ。」
スールー:「速度、2分の1※40。」
チェコフ:「地球のではありません。形から見て、クリンゴンの戦艦です。こちらのコース上に、真っ直ぐ向かってます。」
スコット:「ミスター・スールー、戦闘態勢を取れ。」
スールー:「はい!」
「状態/警報」とモニターに表示された。操舵席のスコープ※41がせり上がる。


※35: 原語では "Look, I'm a doctor, not an escalator." 「エリン、私は医者だ、エスカレーターじゃない」

※36: マグネサイト・ニトロン錠 magnesite-nitron tablet

※37: 頭を支えていないのに全くふらつくことがなく、明らかに人形か何かだと推測されます

※38: U.S.S.カロライナ U.S.S. Carolina
エンサイクロペディアではダイダロス級とされていますが、TNG第115話 "Power Play" 「亡霊反逆者」では同クラスは 2196年に引退したことになっています。また、項目の絵では登録番号が NCC-235 ですが、船の一覧では NCC-160 です。吹き替えでは「カロライナ

※39: 引き返すことを表すために映像を単純に反転させているため、船体番号まで裏返しになっています

※40: 吹き替えでは、スコット「ワープ2 に落とせ」 スコット「速度、ワープ2」。原語では「亜光速 2分の1」です

※41: 初登場

呼びかけるウフーラ。「U.S.S.エンタープライズより、未確認クリンゴン宇宙船どうぞ。……エンタープライズより、クリンゴン宇宙船。聞こえますか、どうぞ。」
スールー:「…スクリーンに出せる位置ですが、まだ距離があります。」
スクリーンで光る船。
スールー:「敵は真っ正面に、位置してます。」
スコット:「我々の針路に立ちふさがるとは、大した度胸だぞ。」
「接近してます。…こちらの針路上をやってきます。」
「……こちら、エンタープライズ※9の指揮官だ。そちらの正体と目的を明かしたまえ。どうぞ? …周波数を合わせてやれ。」
「フェイザー砲、準備完了。」
「必要なら敵の喉元まで突っ込んでいってやるぞ。敵に果たしてそこまで度胸があるか見てやる。」

山を下っているマーブたちカペラ人。その先には、カークとスポックが隠れている。
部下に合図し、岩場を指差すマーブ。先を歩くカペラ人。
隠れるようスポックに指示するカーク。
カペラ人のキール※42は戻った。「岩の陰に隠れています。」
マーブ:「地球人は作戦が上手い。頭のいいのには全く驚く。」
クリンゴン人:「殺さねばならん。あんた方の掟だ。」
「もちろん掟は守るし、お前との約束も守ってやる。」
キール:「マーブ。」
エリンが別の方から降りてきた。「マーブ、子供は死にました。…私を殺して下さい。」
マーブ:「地球人は。」
「死にました。眠ってるとき殺したのです。」 歩き始めるエリン。
クリンゴン人:「それが本当なら、案内してもらおうか。」
「クリンゴン、私の言葉を疑うのですか? いやしくも皇帝の妻ですよ。私はテントの中で死にます。」
マーブ:「…これも掟だ、死んだ皇帝の妻である以上…」
するとクリンゴン人が独り離れ、岩場へ向かっていく。
フェイザーを取り出した。「いかーん! その前に本当か確かめるんだ!」
マーブ:「無礼だぞ、皇帝の妻を疑うとは!」
カークは矢を放った。クリンゴン人の足に命中する。フェイザーを落とすクリンゴン。
カペラ人がクリガットでカークを襲ってきた。スポックが矢を撃ち、カペラ人に当たる。
クリガットを避けるスポック。カークはクリガットを取り出そうとしていたカペラ人を射る。
エリンはクリンゴン人に駆け寄るが、その直前にクリンゴンはフェイザーを拾った。矢をセットするスポック。
クリンゴン人はフェイザーを撃ち、スポックのそばの岩が爆発した。
カーク:「スポック。…スポック!」
スポック:「ここにいます。…船長、こっちです。」 コミュニケーターを使う。「エンタープライズ、どうぞ。」
カークはスポックと合流した。「彼らはこっちまでは到底来ることはできまい。」
スポック:「我々もエンタープライズから救援を期待することはできませんよ。」
マーブ:「殺せ!※43
近づいてきたカペラ人を撃つクリンゴン人。カペラ人は蒸発した。
驚くエリン。
カーク:「あれがこっちにあればなあ。」
スポック:「どうするんです。」
「クリンゴンを狙う。」
「復讐ですか。」
「…悪いかね?」
クリンゴン人:「今度誰か一人でも武器を握れば皆殺しだ! …お前たちのその野蛮なナイフに呆れるわい! 私の威力はこれでわかったろ。」
「クリンゴン!」
クリンゴン人がカークの方を向いた隙に、マーブのところへ戻ってくるエリン。「戦え! お前たちは戦う勇気もないのか。…マーブ。私は帰ります。クリンゴンの武器では死にたくありません。」
マーブはナイフを取り出した。「私は部族の皇帝として、お前に命を返してやろう。私は名誉を失った。…キール、行くぞ!」
部下と共にクリンゴン人に向かっていくマーブ。両手を挙げた。「クリンゴン!」
フェイザーを発射するクリンゴン人。蒸発するマーブ。
その時、キールがクリガットを投げた。クリンゴン人に命中する。
クリンゴン人の元に集まるカペラ人たち。カークとスポックも岩山を下る。
弓矢を捨て、ナイフだけを携えるカーク。
するとスコットを先頭とし、エンタープライズの保安部員が並んで走ってきた。
スコット:「動くな! 武器を捨てろ。」
従うカペラ人。
赤ん坊を抱いたマッコイも降りてきた。近づくエリン。
カークはスコットに言った。「よく来てくれたなあ。」
スコット:「途中クリンゴンの宇宙船に出くわしましたが、敵は戦う度胸がなかったようです。野営地を調べたらここだとわかって、後は簡単に来られましたよ。もっと早く…」
赤ん坊の泣き声が響いた。
マッコイ:「いやいや、そういう風に抱くんじゃない。こうだ。こうやって頭を抱えて。ほーら、こっちは背中に。これで楽だろう。」
泣き声はやんだ。
マッコイ:「ヨーチヨチヨチヨチ、ヨーチヨチアババー。」
笑うエリン。
スポック:「『ヨチヨチヨチ、アバババー』?」
カーク:「子供をあやすときの言葉だ、ヨチヨチ、アババ。嘘だと思ったら、聞いてみたまえ。」
「なるほど、なかなか面白い言葉ですね?」
「面白い?」
「ところで新しい皇帝が、ドクター・マッコイの子供であるというのはどういうことですか。」
スコット:「ドクター・マッコイの?」
カーク:「我々もまだその辺がわからないんだ。」
スポック:「ドクター・マッコイも知らない。」
マッコイたちのそばを離れ、歩いていく 3人。
マッコイ:「ヨチヨチヨチヨチ、ヨチヨチアババー。」

カペラ4号星軌道上のエンタープライズ。
ターボリフトを出たカーク。「宇宙艦隊に連絡して、カペラの鉱物資源の発掘権は皇帝※44の摂政により承認され獲得したと伝えてくれ。連絡以上だ。」
ウフーラ:「わかりました。」
スポック:「皇帝の摂政は。」
カーク:「エリンだよ、皇帝の母親さ。」
マッコイ:「あの皇帝の名前は、レオナード・ジェイムス・アカアー※45だ。」
スポック:「あの子の名前がレオナード・ジェイムス・アカアー?」
「何か思い当たらないかね、ジェイムス君?」
カーク:「カペラの歴史に残る名前だな、レオナード君? どう思うね、君は。」
スポック:「するとお二人の名前がカペラの歴史に残るというわけですか? 結構※46。」
「…さて軌道から離脱して直進、ワープ1 だ!」
カペラ4号星を離れるエンタープライズ。


※42: Keel
(カル・ボルダー Cal Bolder 2005年1月に死去) 声:石森達幸

※43: 原語では「リアム (Leem)」と、部下の名前を呼んでいます。エキストラ

※44: 吹き替えでは少し前の「皇帝」とは異なり、以下「皇太子」と訳されています。原語では "high chief" "high teer" (脚注※20) と言っています。皇太子では次に皇帝になる者という意味になり、それなら今は誰かという疑問が残ってしまいます。あくまでレオナルド・ジェイムズが皇帝で、まだ幼いからエリンが摂政になるわけです (皇太子に摂政がつくのは変)

※45: Leonard James Akaar
DS9 最終話以降を描いた一連の小説では、提督になって登場します

※46: 原語では「お二人は最低一ヶ月は嫌になるほど自己満足に浸れると思います、船長」

・感想など
傲慢な種族に振り回されるカークたち。異星人側は妊婦、エンタープライズ側はマッコイが中心として描かれます。その 2人のやり取りが面白く、クリンゴン人も再登場するのですが…結果的には凡作止まりですね。思いっきり艦隊の誓いを破っていますし。船を含めて妙に臆病なクリンゴンの性格については、一応 ENT の前後編で理由づけられていました。
原題は童謡に由来し、「金曜日の子供は気前よい (温かい)」と唄われています (ただし元の歌詞では「悲しみ一杯」)。放送されたのが 12月なので、クリスマスにかこつけたエピソードという説も一応あります。


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