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エンタープライズ エピソードガイド
第38話「嵐を告げる男達」
The Catwalk

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・イントロダクション
複数の恒星が輝く、惑星軌道上のエンタープライズ。
『航星日誌、2152年9月18日。無人の惑星の軌道に入った。スキャン結果では、動物や植物であふれているようだ。調査班を率い、上陸する。』
準備が進むシャトル発着ベイ。メイウェザーが乗り込んでいる。
タッカー:「南の峡谷はグランドキャニオンの 5倍の深さですよ?」
アーチャー:「何を考えてる。」
「ラフティングはどうです。」
笑うアーチャー。
タッカー:「太陽が 2つあって、月に 4日しか夜がないそうです。夜は調査、昼はレクリエーションがいいな。」 シャトルポッドに入る 2人。
荷物をクルーから受け取るメイウェザー。「悪い。」
アーチャー:「調査に一週間はかかるが、休暇を滑り込ませる余地はあるな。」
トゥポルの通信が入る。『ブリッジよりアーチャー船長。』
アーチャー:「何だ。」
『異星人船が接近してきており、通信が入っています。』
「シャトルに回してくれ。」
『了解。」
タッカー:「未知の星に異星人。盛りだくさんだな?」
アーチャー:「フフン。」
映った 3人の男のうち、中央の人物が話し出す。『よかった、ホッとしました。私はレラス・タグリム※1です。』
アーチャー:「エンタープライズ※2船長、アーチャーです。何かお困りですか。」
タグリム:『この状況ですので、緊急の乗船許可をいただきたいのです。』
「…この、状況というと?」
『中性子嵐※3が、そこまで来ています。』
タッカー:「…センサーには何も。」
『数分で検知できます、高速ワープで接近してる。乗船許可をいただけるなら、その後すぐワープ7 に加速して下さい。』
アーチャー:「…最高速度はワープ5 です。」


※1: Rellus Tagrim
(スコット・バークホルダー Scott Burkholder DS9第171話 "When It Rains..." 「嵐の予兆」のヒリヤード (Hilliard) 役) 声:梁田清之

※2: 吹き替えでは「エンタープライズ

※3: neutronic wavefront または neutronic storm

・本編
星図に中性子嵐の位置が表示されている。
トゥポル:「嵐の広がりは、6光年以上にも渡っています。ヴァルカン船が 100年前、クラス5 のものと遭遇しましたが、その船は……半壊しました。」
アーチャー:「遭遇までの時間は。」
「…およそ4時間ですね。」
リード:「船体強度を補強すれば…軽い被害で、切り抜けられると思います。」
フロックス:「船は無事でも、クルーは別です。嵐の中は、放射性アイソトープであふれている。もしも被曝すれば 3分以内に、死亡します。…医療室はシールドが厚いので数名は助かるかもしれません。」
司令室のコンピューターで調べるタッカー。
アーチャー:「83名全員は収容できない。くじ引きをするつもりはないぞ。」
タッカー:「…キャットウォーク※4はどうです。ほら、ナセルの上にあるメンテ用シャフトです。」 コンピューターに場所が表示されている。
「あそこのシールドは、厚いな。確か…オスミウム※5の、合金だったかな?」
トゥポル:「作業用通路に、全員避難するというんですか?」
タッカー:「そりゃあ窮屈ですけど、83名全員を収容できます。必要な物資もね。」
アーチャー:「ドクター。」
フロックス:「その、合金の吸収深度は?」
タッカー:「一ミクロンあたり、2万粒子。」
「…いけそうですね?」
「一つ問題があります。ワープコイルがオンラインだと、かなりあったかくなる。300度ぐらいスかね。メインリアクターを停止しないと。」
アーチャー:「…ほかに選択肢はなさそうだな。キャットウォークに避難だ。一区画を司令ステーションに当てるんだ。」
「はい、船長。」
トゥポルに命じるアーチャー。「君が避難を進めてくれ。トラヴィス、軌道離脱だ。」

惑星を離れるエンタープライズ。
ワープナセルがオフラインになる。

暗い通路に上がってくるメイウェザー。「…窓開けたいとこだな。」
タッカー:「無理言うな。83人詰め込んだらもっと暑いぞ?」 ライトをつける。
「それにポートスと、ドクターの動物たちもですよね。」
「…こんなデカい嵐経験あるか?」
「クラス3 なら一度。船のコアに避難したんです。一月半も入ってました。」
「一月半も? ハ、フー。」
「トイレが悲惨でしたよ。」
「…そいつを忘れてた。後部に収納ロッカーがいくつかある。あれをトイレにするか。」

狭い区画に入る 2人。パネルが並んでいる。
タッカー:「ここがブリッジだ。…このパネルに応急処置として、コマンド機能をつなぐんだ。」
メイウェザー:「船長の椅子は、置けそうにないな。」
「ああ。…嵐の時はかなりビビったか?」
「発電機が止まった時は心配でしたね。重力プレートが使えず、生命維持装置も。あの時の親父の目は一生忘れません。…生死の境でした。」

除菌室にいる異星人たち。一人のグリ※6は、容器の臭いをかいでいる。
ライトが灯り、アーチャーが入った。「長時間すみませんでした。どうぞ?」
外に出るタグリム。「仕方ありません。」
アーチャー:「皆さんは、タクレット星系※7の方だそうですね? 遥か遠くだ。」
「仕事で遠出が多いんです。」
もう一人のタクレット人※8が言った。「星図を作成してます。」
タクレット人を見るタグリム。
アーチャー:「そうですか。嵐をやり過ごしたら、我々の星図をアップデートしてくれませんか。」
タグリム:「…ええ、喜んで。」
フロックス:「こちらへ。」

避難が進む。

運び出される環境服。

機関室で作業を行うタッカー。

協力して荷物が運ばれる。

縦のシャフト内を運ぶ。

医療室のフロックスの周りに、たくさんの飼育カゴが集められている。
トゥポルが入る。「予定より遅れています。手伝いましょうか。」
フロックス:「医療物質を置く空間は 15立方メートルでしたねえ。」
「…ええ、そうです。」
「すると、ケージの 3分の2 しかもちこめません。」
「……ケージを一緒にすることですね?」
「食い合いになります。この動物たちはクルーの健康に欠かせない。……お願いするのは慣れていませんが、どうか…選ばせないで下さい。」
「……いいでしょう。20立方メートルです。」
「…エドシアン・ナメクジ※9が礼を言っています。」

荷物を運ぶタッカー。「ま、一流ホテルとはいきませんけどね。」 キャットウォークには、それぞれのクルーが場所を確保している。
タグリム:「いえ、十分です。迎えていただき感謝しています。」
「知り合う時間はたっぷりありそうです。何かあれば、そこに…いますから。」 離れるタッカー。
グリ:「星図作成のことなんて何も知らんぞ。」
タグリム:「グリ!」
「あれこれ聞かれたらどうする!」

作戦室で荷物をまとめていたアーチャーは、ガラスに一筋の線が反射していることに気づいた。
外に紫色の中性子嵐が見えた。見つめる。
ドアチャイムに応えるアーチャー。「入れ。……美しいとは知らなかったよ。……スキャンの暇がなくて残念だ。」
トゥポル:「8日近くもあの中にいることになります。…いくらでもスキャンできるでしょう。リード大尉の調整が、完了しました。」
「……パワーグリッドを停止するのはどうもなあ。」
「中性子サージがあれば、オーバーロードになり…重大な被害が出ますので。」
「……ヴァルカンのデータベースを調べたよ。100年前のクラス5 の嵐だが、船の名はトゥプラナ※10だな? 嵐から逃げ切れなかったようだ。船は大破し、クルーは全滅。……君は半壊したと言ってたよな?」
「……私の、記憶違いだったようです。」

操舵席に座るアーチャー。「ブリッジよりタッカー。」
タッカー:『何です。』
「指揮系統を移す。」

司令ステーションのタッカー。「お待ちを。」
メイウェザーもパネルを操作する。臨時操舵席が起動された。
タッカー:「スタンバイして下さい。」

作業を行うトゥポルとリード。操作するアーチャー。

報告するタッカー。「迂回完了。」

アーチャーは伝えた。「すぐそっちへ向かう、以上だ。…こっちを閉めよう。」

暗くなる廊下。非常用ライトだけが灯る。

機関室も同じだ。

出ていく前に、暗くなったブリッジを見つめるアーチャー。

エンタープライズに中性子嵐が迫る。
司令ステーションに入るアーチャー。「点呼したか。」
タッカー:「全員そろってます。プラス、犬も一匹。」 ポートスがいる。「椅子座ってみますか?」
置いてあるのは、ただの筒状の貨物だ。上に網が掛けてある。
アーチャー:「後でな。」 ポートスをなでる。「通信機は。…こちらは船長だ。」

キャットウォークに声が流れる。『ここがしばらく我々の家になる。一週間か、それ以上だ。快適とは言えないが、命は助かる。諸君は艦隊の精鋭で、船は堅固だ。必ず無事に、乗り切れる。』
それを聞くサトウ、リード、フロックス、そしてタクレット人たち。

通信を終えるアーチャー。「……何分だ。」
トゥポル:「あと 1分…5秒です。」
「装甲モードにしろ。」

嵐へ向かうエンタープライズ。
トゥポル:「あと 30秒です。」
揺れが出てきた。
アーチャー:「トラヴィス。」
メイウェザー:「空間の乱れです。」

キャットウォークのサトウも身構える。

報告するトゥポル。「あと 20秒。」
周りを見るポートス。
トゥポル:「15。10。」
アーチャー:「…全クルー、衝撃に備えよ!」

つかまるクルー。

ポートスも隠れる。
嵐に突入するエンタープライズ。
大きな衝撃が襲う。

キャットウォークのクルーも声を上げる。

操縦するメイウェザー。「船尾スタビライザーが動かない。」
タッカー:「もう一度やれ。」

なかなか揺れは収まらない。

やっとで静かになってきた。
メイウェザー:「重力歪み低下。」
出てくるポートス。
メイウェザー:「揺れは収まります。しばらくは、大丈夫でしょう。」


※4: Catwalk

※5: osmium
原子番号 76、元素記号 Os

※6: Guri
(アーロン・ラスティグ Aaron Lustig VOY第8話 "Ex Post Facto" 「殺された者の記憶」のベニーン人ドクター役) 声:小室正幸、TNG/VOY アリドール、DS9 エディングトン、ルソット、VOY バーレー、ケオティカなど

※7: Takret system

※8: 名前は Renth (ザック・グルニエ Zach Grenier) ですが、言及されていません。声:長克巳

※9: Edosian slug
DS9第98話 "Broken Link" 「可変種の脅威 第二幕(前編)」でエドシア・ラン (Edosian orchid) が言及

※10: T'Plana

キャットウォーク。
揺れは断続的に続いている。
アーチャーは通路にあったパッドを拾った。「君のか。…じき完成しそうだな。」
隅で棒につかまっていた女性クルー※11が近づく。「…地球への初のヴァルカン大使を御存知ですか? 6文字で語尾が R。」
アーチャー:「ソルカー※12だ、確かね?」
クルー:「ありがとうございます。」
「フン、お安い御用だ…。」
サトウは機具で歯を磨いていた。
アーチャー:「がんばれそうか?」
サトウ:「悪くないです。これなら閉所恐怖症も 2、3日で治りそうですよね?」
「戻ったら自分の部屋が大ホールに見えるぞ?」 笑うアーチャー。
やはり揺れが起こる。
サトウ:「あの船長、嵐に静かにできるように命令できません?」
アーチャー:「試してみるよ。」
更に歩くアーチャーは、一画が布で仕切られていることに気づいた。
近くでクルーとトランプをしているタッカー。
振り返るアーチャー。「彼らどうだ。」
タッカー:「それがちっともわかりませんね。2、3時間前に出てきて、うるさいって文句言ってきましたよ。…でもグッと我慢して、ゲームにも誘いましたよ。俺たちと関わりたくないみたいですね。」 揺れに騒ぐクルー。
「…慣れるまで待ってやれ。ん?」
「今ごろ川岸でキャンプしてたはずなのに。…焚き火たいてね?」
「よそでもできるさ。」
「フン。」

フロックスのもとへ、リードがやってきた。
フロックス:「大尉。通るだけですか? それとも具合でも?」
リード:「…実は、ちょっと具合が。」
「はい?」
咳払いし、近づくリード。「ここでも一応医者の、守秘義務はあるんですよね。」
フロックス:「…もしかするとそれは、胃腸の緊急事態ですか?」
「顔に出てます?」
「いいえ、医療記録にメモがあった。無重力の、訓練の際アンラッキーなことがあったそうですねえ。」
「ルナポート※13の EVシミュレーターだ。訓練生はこう呼んでる。ゲロ部屋※14ってね。」
笑うフロックス。「恥じることはない。今日、もう何人も治療していますよ? 乗り物酔いでね? これで 12時間はもつ。」 ハイポスプレーを使った。
「ああ! ありがとう、ドクター。」
やってくるアーチャー。「大丈夫か、マルコム。」
リード:「もう、上々です。」 また揺れ、不快な顔をしながら歩いていく。
「クルーの体調は。」
フロックス:「揺れで、怪我や打ち身はありますが大したことは。」
「…狭かったら、荷物を少し後部へ移させようか。」
「いえいえ、これで十分です。狭い方が故郷を思い出して落ち着きますよ。」
「デノビュラに土地がないとは知らなかったなあ。」
「一つの大陸に、120億人です。」
「…気が変わったら言ってくれ。」

間に合わせのベッドにポートスがいる。
司令ステーションに戻ってくるアーチャー。「どうだ。」
メイウェザー:「8万キロ先に、プラズマの渦が集団発生しています。でも、回避できると思います。」
「何かあったら起こせ。」
「了解。」
「渦を回避したら、君も休むといい。タナー少尉※15と交代しろ。」
「すみません、では。」
「おやすみ。」
その近くではトゥポルがパッドを読んでいた。
ポートスを抱くアーチャー。「どうした、おい。」
トゥポルは臭いが気になる。
アーチャー:「ほーら。お前も寝ろ。」
アーチャーはパッドで、水球の映像を見始めた。
気になる様子のトゥポル。
「よーし。」 笑うアーチャー。点数を入れられ、悔しがる。
トゥポルはアーチャーを見た。
アーチャー:「気になるか。」
トゥポル:「ええ、少し。」
「うん。」 映像を切り、横になるアーチャー。目の上に手を置く。
トゥポルのパッドの操作音だけが響く。
トゥポルを見るアーチャー。
トゥポル:「…気になりますか?」
アーチャー:「少しばかり。」 微笑む。
トゥポルもパッドを切り、横になった。
アーチャー:「これも、悪いばかりじゃないな。」
トゥポル:「そうですか?」
「クルーの結束が固くなる。外の嵐のことさえ忘れれば、キャンプに来てるようなもんだよ。」
「後で歌でも、唄ってみますか?」
「…キャンプに行ったことは。」
「……似たものなら。以前カズ・ワンの儀式※16に、参加したことがあります。砂漠での、10日間のサバイバルでした。」
「楽しそうだ。…ああ…今日…司令ステーションをあまり離れなかったな。ブラブラすれば、クルーのことがよくわかる。」
「クルーは全員知っています。」
「名前だけ知ってればいいわけじゃない。…少しは、親睦を深めてみたらどうだ?」
「…命令ですか。」
「嫌なのか?」
「……あまり得意では、ありませんので。」
「…上達のチャンスだ。」

キャットウォーク。
リード:「イチゴのショートケーキか。じゃあレイズだ。パイナップルパイ一つ。」 トランプをしながら、食料パックを置いていく。
サトウも置いた。
タッカー:「ブロッコリー?」
サトウ:「デザート切れです。」
メイウェザー:「コール。」
リード:「…シャワーが浴びられたら何でもするな。これが終わったら、造るの検討して下さいよ。」
タッカー:「サウナで我慢してくれ。」
笑うメイウェザー。
リード:「一週間以上になるのはわかっていたでしょう。もう少し考えてくれてもよさそうなもんだ。」
タッカー:「4時間しかなかったんだよ。トイレがあるだけマシだ。」
「アメリカ人は得意だと思っていました。水道の配管がね?」
「シャワー浴びたいか。…自分で造れ。」
コック姿のシェフ※17が、料理を配っていく。
タッカー:「ありがとう。」
サトウ:「ありがとう。」
リード:「ポットロースト! ああ…ここ 3日で 3度目だ! あ、アチッ!」
メイウェザー:「…夜の映画、何です。」
タッカー:「地球の静止する日※18。」
気に入らない様子のサトウ。
リード:「映画会やるんですか? ここで?」
タッカー:「船長の命令だ、第5区画にモニターを置いた。スクリーンは小さいが…」
サトウ:「誰が選んでるんです? 投票にしたいわ?」
目を押さえるタッカー。
メイウェザー:「焦げ臭くないですか。」
近くから煙が上がっている。咳き込むクルー。
布を開けるタッカー。「その下はプラズママニフォルドなんだぞ! すぐそいつを消すんだ!」
タグリム:「すみません、少佐。先に聞くべきでした。」
「ええ、そうすべきでしたね。」
タクレット人:「ここの食事は消化できなくて。」
ため息をつくタッカー。
通信が入る。『アーチャーよりタッカー。』
タッカー:「…はい。」
『司令ステーションに来てくれ。』
「すぐ行きます。…シェフに言って、こいつを…その、あっためさせよう。」 鍋を取るタッカー。
それを渡され、仕方なく手に取るリード。

入るタッカー。
アーチャー:「機関室で、トラブルなんだ。」
トゥポル:「反物質インジェクターが稼働してる。」
タッカー:「そんなはずはない。センサーミスですよ。…ここもう一人、寝られませんか。」
アーチャー:「…客人と揉めたのか?」
「…プラズママニフォルドの上でバーベキューしてたんですよ? 俺たちは探検に出てるわけで、異文化を受け入れるのは務めですけど、あの連中には我慢なりません。週に一度しか眠らないんです。一昨日から妙な儀式をやってて、眠れやしない。歌ったり、グルグル歩いたり。連中に乗っ取られたようなもんだ。」
「彼らが嵐のことを教えてくれた。…借りがある。我慢しろ。」
「…してます。」 表示を確認するタッカー。「物質・反物質インジェクター両方、オンラインだ。」
「センサーミスが 2つか。」
トゥポル:「パワーサージで、回路が起動したのでは?」
タッカー:「そんな確率どのくらいあると思うんです!」
アーチャー:「停止できるのか?」
「…無理ですね。…機関室へ行くしかない…。」

ハッチが開けられる。
フロックス:「スーツを着てても 22分しかもちませんからねえ。」
アーチャー:「…だそうだ。寄り道は、するんじゃないぞ。」
うなずくタッカーは、環境服を着ている。降りていった。ハッチを閉めるアーチャー。

階段を下り、廊下へ出るタッカー。

暗い機関室でモニターを起動し、状態を確認する。
壁の近くに道具が散らばっていることに気づいた。
そこを開けると、中にたくさんの機械が取り付けられている。
ドアが開く音が聞こえた。すぐにパネルを戻し、環境服のライトも消すタッカー。
何者かの足音が響く。
さっきつけたコンピューターも切るタッカー。隠れる。


※11: Female Crewmember
(Elizabeth Magness) ENT第29話 "Minefield" 「許されざる越境」以来の登場。声:多緒都、前回から変更

※12: Solkar
スポックの曾祖父。映画 ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」より

※13: Lunaport

※14: Vomitorium
vomitorium =円形演技場出入口、vomitory=吐き気を催させる、嘔吐の

※15: Ensign Tanner
ENT "Minefield" で言及。階級は訳出されていません

※16: Kahs-wan ritual
TAS第2話 "Yesteryear" 「タイム・トラベルの驚異」でカズ・ワンの儀式 (Kahs-wan ordeal) が言及 (当時の吹き替えでは「成人の儀式」)

※17: 初登場…ですが、セリフもないし顔は映りません。頭の部分だけ映らないようにしているので、明らかにわざとですね

※18: "The Day the Earth Stood Still"
1951年。監督は映画第1作 TMP "The Motion Picture" 「スター・トレック」のロバート・ワイズ。Amazon.co.jp

ライトをつけてやってきた 2人の人物は、環境服のようなものは装着していない。
先ほどのパネルを開け、作業している。
タッカーは操作し、警告音を出した。それに気づき、離れる男たち。
その隙に出ていくタッカー。

廊下を歩くタッカーだが、前から 3人やってきた。
通り過ぎた後で部屋から出てくるタッカー。

タッカーは別の部屋に入り、窓の外を見る。
エンタープライズには、異星人船がドッキングしていた。
コンソールを起動し、ブリッジの様子を映し出すタッカー。何人も侵入している。
拡大し、異星人の姿を確認した。

クルー一人一人の情報が映し出されている。
それを見ていた異星人船長※19に、作戦室へやってきたパランティー※20大尉が報告する。「捜索しましたが、逃亡者は見つかりません。」
「ここのクルーは。」
「船を捨てたようですね。」
「…人間というらしい。彼らの母星から100光年以上旅してきている。」
アーチャーの日誌が再生される。『航星日誌、2152年2月9日。ヴァルカンはマザール人たちを帰らせた。ヴラー大使が言うには…』※21
止める船長。「アーチャーとクルーは、この付近の星系に避難したんだろう。戻ってくるかもしれんぞ? ワープエンジンの状況はどうだ。」
パランティー:「ダイリチウムマトリックスに手間取っています。」
「…最優先しろ。」
出ていくパランティー。
再び日誌を再生させる船長。
アーチャー:『異星人船からの救難信号に応えて、我々は…』

タクレット人を調べるフロックス。「彼らはアイソトープに免疫がある。命の危険はありません。」
タッカー:「変だな、そうは言わなかった。」
タグリム:「だが危なかった。嵐に遭えば我々の船は壊れる危険があったんです!」 武器を持ったクルーも取り囲んでいる。
アーチャー:「彼らは、何をしに来た。」
タグリム:「船長、本当に知らないんです。」
「偶然、クラス5 の中性子嵐の中で、我々を見つけたのか? …偶然、ここに同じ種族の君らが避難してきたのか!」
トゥポル:「あなた方の母星から 20光年以上、偶然ではありえません。」
「彼らは君たちを、探しに来たんじゃないのか? …答えろ!」
グリ:「やはり来るべきじゃなかったんだ。」
タグリム:「グリ!」
「あれはタクレット軍※22の兵士です。何週間も前から追われてる。ここに逃げ込めば、まけると思ったんです。」
タクレット人:「我々の船を、検知したんでしょうねえ。」
アーチャー:「……なぜ追われてる。」
グリ:「下っ端ですが、我々も軍人でした。一年経って士官たちの腐敗ぶりを知ったんです。わけもなく異星人船を拿捕し、皆殺しにして金目のものを奪う。」
タクレット人:「犯罪者同然です。」
タグリム:「除隊しようとしても許可されなかった。」
アーチャー:「……逃亡兵か。」
グリ:「仕方なくです。」
タグリム:「本当のことを言えば助けてくれないと思った。」
「…もし見つかれば、処刑されます。」
「船長、苦しい立場に立たせたことは謝ります。…だが連中は、我々を捕まえても出ていかない。この船も狙えると思ったら襲います。」
リード:「リアクターを起動しようとしています。エンタープライズを、彼らの手で動かす気ですねえ。」
トゥポル:「我々がここにいることは気づいていません。もし知られれば、クルーの命が危険になります。」
タッカー:「つまり何です? ただ、黙ってエンジン点火を待てってんですか?」
アーチャー:「彼らの言うことが本当とは限らんぞ? 既に嘘をついてる。」
タグリム:「嘘じゃない。連中は危険です!」

機関室で作業を行うパランティー。「パランティーより船長。」

ブリッジのタクレット人船長。「何だ。」
パランティー:『ダイリチウムマトリックス、セット完了。ワープリアクターを起動できます。』

船長の命令が機関室に流れる。『スタンバイだ。』

船長は部下のタクレット人※23に尋ねた。「操縦可能なのか。」
「ナビゲーションリレーの反応がありません。迂回されているようですねえ。」
「いつまでかかる。」
「わかりません。」
「うーん、ワープエンジンをオンラインにし、ブリッジへ戻れ。」

パランティーは応えた。「了解しました。」

キャットウォークを急ぐトゥポル。「こちらは多勢でも、宇宙服は 3着です。」
リード:「保安チームでスーツを取ってきましょうか。」
タッカー:「途中で捕まる。出発ベイにウヨウヨしてる。」
アーチャー:「第一、放射能の中には 22分しかいられない。その間に奪還するのは、至難…」
ワープナセルが起動した。キャットウォーク一体が明るくなり、大きな音が響く。このままだとクルー全員が熱さで死んでしまう。
顔を見合わせるアーチャー。「猶予は。」
タッカー:「コイルのチャージにしばらくかかります。」
「何分だ。」
「20分です、長くて。」


※19: Alien Captain
(ダニー・ゴールドリング Danny Goldring DS9第53話 "Civil Defense" 「暴徒制圧モード始動」のレガート Kell (Legate Kell)、第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」のバーク (Burke)、VOY第86・87話 "The Killing Game, Part I and II" 「史上最大の殺戮ゲーム(前)(後)のアルファ・ヒロージェン (Alpha Hirogen)、ENT第10話 "Fortunate Son" 「復讐の連鎖」のノーシカン船長 (Nausicaan Captain) 役) 声:岡部政明

※20: Palanti クレジットでは異星人大尉 Alien Lieutenant
(ブライアン・カズンズ Brian Cousins TNG第124話 "The Next Phase" 「転送事故の謎」のパレム (Parem)、第150・151話 "Descent, Part I and II" 「ボーグ変質の謎(前)(後)」のクロシス (Crosis) 役) 声:沢木郁也、TNG 旅人など

※21: ENT第23話 "Fallen Hero" 「追放された者の祈り」より。同じ日誌なのに、違う吹き替えがされています。なおもう一つの日誌は CC では「トロサン星系」と含まれているため、その次の第24話 "Desert Crossing" 「幻影の戦士」の内容です (こちらは今回が初めて)

※22: Takret Militia

※23: クレジットでは異星人クルー Alien Crewman
(Sean Smith) 声:下山吉光

指示するタッカー。「いいですか、ジャンクション 42アルファですよ。」
環境服を装着しているトゥポル。「わかりました。」
タッカー:「右舷側にある 3つめのパネルですからね。高圧電流には気をつけて。…やっぱり俺が行くべきですよ、前回外へ出たのは 13分だけです。」
アーチャーも着ている。「いや、駄目だ。既に被曝してる。」
サトウ:「周波数を分離したので、傍受されません。」
「…トラヴィスに合図を待てと言え。」

ブリッジに入るタクレット人船長。「進展は。」
パランティー:「まだです。…我々の船が危ない。物だけ盗って逃げましょう。」
「続けるんだ! この船ごと手に入れる。」

廊下のアーチャー。「後はキャットウォークで会おう。」
リード:「はい、船長。」
アーチャーだけ別れる。

調理室に入り、環境服のライトをつけるアーチャー。
奥へ向かい、コンピューターを操作する。

アクセスシャフトを進むトゥポルたち。天井のパネルを開ける。

メイウェザーが操縦している。
タッカー:「トゥポル?」
トゥポル:『位置についたわ。』
「よし、まず反物質ストリームを止めます。」

タッカーの通信が聞こえる。『パワー・トランスファーモジュールの左のコンジットだ。』
リード:「あった。」

指示するリード。「フローレギュレーターをロックしてスタンバイだ。」

応えるトゥポル。「スタンバイ。」
慎重に操作する 2人。

パランティーはコンソールの反応に気づいた。「通信です。」
船長:「どこの船だ。」
「…それが…船内からの通信です。」
「…つなぐんだ。」
スクリーンに映るアーチャー。『私の椅子だぞ。』
船長:「アーチャー船長。まだ船内にいたとは知らなかった。残りのクルーはどこだ。」
『…死んだよ。嵐のせいだ。』
「気の毒にな。」
『お悔やみはありがたいが、私の船から…さっさと出ていくんだ!』 苦しい振りをするアーチャー。
「残念だがそれはできないな。この船の出発ベイに逃亡者の船を探知したから、乗船した。」
『ずっと、見ていたぞ! ああ…エンタープライズを奪うつもりだな。…そうはさせないぞ。』
「止められる状況にはないと思うがねえ。…ブリッジの指揮は私が執っている。この船は、タクレット軍の権限で我々が押収した。帰還後、逃亡者と共謀した罪で君を起訴する…」
『誰の権限か知ったことか。私は宇宙艦隊所属だ。船が敵の手に落ちるのを防ぐためなら、どんな手を使っても阻止してみせる。』
「部下に全てのデッキを捜索させている。お前を見つけるのも時間の問題だ。」
『…そうくるなら…仕方ない。…エンタープライズを破壊する!』
「…地球初のワープ5 の船を壊せるか? 父親のエンジンを。お前の記録は読ませてもらった。この船を、破壊などお前にはとてもできないんじゃないかな?」
『…よく見てるがいい!』 通信は切られ、スクリーンには中性子嵐だけが映る。
船長:「今のシグナルをたどれるか!」
パランティー:「第5デッキのどこかです。」
「全員に命令だ、捕らえろ!」

通信に応えるタッカー。「何です。」 かなり暑いようだ。
アーチャー:『トラヴィス、コースを変えるぞ。プラズマの渦へ向かえ。』
メイウェザー:「少々お待ちを。」
『船を壊すなよ? すぐそっちへ戻る、以上。」

だが調理室へタクレット人がやってきた。銃を撃ってくる。
フェイズ銃で反撃するアーチャー。

タクレット船とドッキングしたままのエンタープライズは、前方に見える巨大な渦へ向かって方向を変えた。
パランティー:「コース変わりました!」
船長:「どこへ行く気だ。」

連絡するタッカー。「リアクターの停止はどうなってます。」

操作を続けるトゥポル。「ダイリチウムシーケンサーに手間取っていて、思ったより時間がかかります。」
タッカー:『急かしたくないが、かなり暑くなってきてる。』

鍋を撃つアーチャー。火花が飛び散る。
環境服のライトを消した。
次々と撃たれていく食材。
アーチャーは一人を倒すことに成功した。

報告するタクレット人。「船はプラズマの渦に向かっています。」
船長:「何分ある。」
「8分以下です。」
「…操舵コントロールはまだか!」
パランティー:「8分以上かかります。退避しましょう。」
「駄目だ!」
「聞いたでしょう、奴は船を破壊しようとしてる!」
操舵席に近づくパランティーを、どかせるタクレット人船長。

汗をぬぐうメイウェザー。
タッカー:「気温が更に 6度上がりました。副司令官、どうです。」
トゥポル:『今最後のシーケンサーです。』

操作を終えるトゥポル。

機関室のワープエンジンが活動を止めた。

キャットウォークのクルーも、かなり参っている。

報告するパランティー。「ワープリアクターが停止。」
タクレット人:「空間障害です、渦まで 4分の距離!」

身体を支えるタグリムたち。

迫るプラズマ渦。
揺れで調理道具が落ちてくる。

火花が飛ぶブリッジ。
パランティー:「船の操縦が、全く効かない以上…この任務の放棄を、提案します!」
船長:「…3分か。全員に告ぐ、すぐドッキングハッチへ向かえ! 繰り返す、すぐドッキングハッチへ向かえ!」

それを聞いた調理室のタクレット人は、倒れている仲間を抱えて出ていった。

戻ってきたトゥポル。「報告を。」
メイウェザー:「渦に近すぎます、戻らないと。」
「コースを維持して。」
タクレット船は、エンタープライズから離れていった。
タッカー:「…次の揺れで真っ二つだ。」
外の様子はわからないトゥポル。「まだ連中がいます。」
メイウェザー:「…もう限界です。」
「コースを維持して、命令よ。」 通信に応えるトゥポル。「どうぞ。」
アーチャー:『トラヴィス。もう渦から離れていいぞ。…連中は出ていった。』
「少尉。」
方向を変えるエンタープライズ。

キャットウォークでも揺れが収まる。

ため息をつくメイウェザーたち。
リードはメイウェザーの肩に手を置いた。

『航星日誌、補足。嵐の最悪の部分は、乗り切ったようだが…もうしばらくキャットウォークを出られない。クルーは比較的元気だ。8日も制服を着替えていない割には悪くない。』
キャットウォーク。
一区画にたくさんのクルーが集まっている。
モニターに映っているのは西部劇だ。撃たれた男が屋根を転がり落ちる。
タッカー:「あいつ仲間を撃ったのか?」
リード:「妙な帽子で見分けがつかないなあ、フン。」
トゥポル:「死んだ男は、ボッグズ保安官の手下だったんです。」
タッカー:「…何でわかります?」
「明らかでしょ。」
アーチャーの通信が流れる。『船長より全員に告ぐ。』

司令ステーションにいるアーチャー。「…トラヴィス・メイウェザー少尉の素晴らしい操縦のおかげで、予期していたより少し早く嵐を抜けられそうだ。数分で安全圏に入る。」 微笑むメイウェザー。

拍手し、喜ぶクルー。映画会も終わり、解散する。
タッカーはトゥポルに言った。「参加してくれてよかった。毎週、火曜が映画会です。…もしよかったら。」

中性子嵐を抜けるエンタープライズ。

各々の荷物を持って、帰って行くクルー。
アーチャーはポートスを下ろした。
タグリム:「巻き込んですみませんでした。」
アーチャー:「…この後はどこへ。」
「グラナン星系※24です。あそこなら安全だ。」
「…幸運を。」
タクレット人たちは去った。
最後に出てくるトゥポル。「全員出ました。」
廊下を歩いていく 2人。


※24: Gyrannan System

・感想
クルー全員が船内で避難するという、今までのシリーズではありえない展開です。シールド技術がないことはもちろんですが、人数自体が少ないからこそでしょう。修学旅行気分みたいな描写が面白いですね、やっぱりノンビリしていましたけど。対照的に後半は早い展開となっています。
ここ何週かの話がひどかったので、今回は多少「普通」レベルになったというところでしょうか。嵐の中でドッキングまでしておきながら、83人 (+3人) 全員に気づかないタクリット人…優秀なのか間抜けなのか。


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