スター・トレック:ピカード シーズン2#4「ウォッチャー」視聴ログ

※ストーリーのネタバレに触れています。

データ

シーズン2 第4話 (通算14話)
“Watcher” 「ウォッチャー」
配信日: 2022年3月24日 (米国) 3月25日 (日本)
配信:Amazon Prime Video (吹き替え版) (字幕版)
監督:Lea Thompson
原案:Travis Fickett & Juliana James
脚色:Juliana James & Jane Maggs

俳優クレジット

俳優役名声優
Starring
パトリック・スチュワートジャン・リュック・ピカード麦人
アリソン・ピルアグネス・ジュラティ堀井 千砂
ジェリ・ライアンセブン・オブ・ナイン (アニカ・ハンセン)沢海 陽子
ミシェル・ハードラファエラ・「ラフィ」・ムジカー高乃 麗
オーラ・ブラディ麻生 侑里
and サンティアゴ・カブレラクリストバル・リオス花輪 英司
Special Guest Star
ジョン・デ・ランシーQ羽佐間 道夫
Guest Starring
アニー・ワーシングボーグ・クイーン佐古 真弓
Madeline Wiseイヴェット・ピカード藤 貴子
イト・アゲイレガイナン行成 とあ
レイフ・ガントフートモリス局員
ペネロープ・ミッチェル(声優なし)
ソル・ロドリゲステレサ・ラミレス森 なな子
クロエ・ヴェッパーガビ
カール・T・ライトFrancis Puga
Co-Starring
オスカル・カマチョペドロ
Sean Freeland背の高い男
ケリー・ドーン・ハンコックStauss 警察官
Isabella Meneses少女
Brian Quinnデイル
カーク・ランドルフ・サッチャーモヒカンのパンク
Danielle ThorpeLAPD警官その1
Dylan Von Halle幼いピカード
その他の声優:れいみ、櫻井 トオル、竜門 睦月、渡辺 ゆかり、越後屋 コースケ、中尾 智

レビュー

 予想外の新たなキャラクターも謎も増え、上手いこと盛り上げてくれたエピソードでした。
 21世紀当時は放棄されていたシャトー・ピカード、これまで何回も流されていたエディット・ピアフの「水に流して」はセリフでも触れられ、ピカードの記憶だったんですね。3話ぶりに母イヴェットとの回想が出てきましたが、まだ深いことはわかりません。
 前回ボーグ・クイーンとつながったジュラティは、今回も駆け引きを続けます。データは意識下の記憶として残っているようですね。クイーンに冷酷さを指摘されたジュラティは、最後にクイーンを利用しながらあっさり見返りを反古にしてました。確かに…。
 セブンとラフィはウォッチャーではなくリオス探しに悪戦苦闘、リオスもアイスの名の通り冷淡な組織にどうしようもありません。パトカーでのカーチェイスのシーンは、いい味つけでした。
 ウォッチャーはどうせ時間の変化に気づけるガイナンでしょ、と薄々思っていたら登場はしたものの違っていました。新スタートレック シーズン5~6「タイム・スリップ・エイリアン」では19世紀のガイナンが出てきましたが、見た目は当然 (当時の) ウーピー・ゴールドバーグでした。今回初めて「若い」ガイナンとして描写されましたが、単に今のゴールドバーグを使うのは無理があると判断されたのか、#1「スターゲイザー」で触れられた見た目を変えられるという設定にしたのか (またはその両方か) は不明です。ガイナンは「一握りの人間が財産を手放せば解決するのに」と地球人を憂います。
 外見のことよりも、ファンがどうしても思うのは「19世紀にピカードとガイナンは会ってたんじゃないの?」という至極当然な疑問。これは歴史が変わったことで連邦もなく、エンタープライズ-D の活躍がなくなったせいだと共同ショーランナーの Terry Matalas は語っています。つまり「タイム・スリップ・エイリアン」の出来事自体がない、と (INVERSE)。なーるほど…? 連合はデヴィディア人も滅ぼしたのやら。
 ガイナンはピカードという名前を聞いて、ウォッチャーに引き合わせることにします。監査官の別名で、「銀河のあちこちに派遣されて、特定の者の運命を守るのが使命」「説明はない」「自らをガーディアンエンジェルのつもりでいる」「謙遜とは縁がない」…などなど。極めつきは最後に消える際、青い煙に包まれました。
 ここまでで正直私は全く思い出せずに悔しかったのですが、宇宙大作戦にもそっくりな移動方法をもつ監査官194が出てましたね。そう、シーズン2「宇宙からの使者 Mr.セブン」。いやまさかここで、あの突飛なエピソードの設定引っ張ってきますか。ほんとに今までのタイムトラベル・エピソードへのオマージュどんぶり状態で、感心しちゃいました。
 ついに登場したウォッチャーこと監査官と思われる女性は、なぜかラリスそっくり。見た目はロミュランでもありません。そして更に視聴者を煙に巻くのが、最後のエウロパ・ミッションの記事を読んでいたQと女性のシーン。Qがジャン・リュック以外の人物に注目していることは驚きであり、ディクソン・ヒルを読んでいる彼女が「できずに皆死んでしまう」こととは。その上、Qはいつものように指パッチンで何かをしようとしたのにできなかった模様。Qは「想定外だ、不運極まりない」と言ってましたが観ているこっちもほんとに想定外でした。
 エピソードの時間としてはこれまでの4話で最短でしたが、しっかり山場があってよかったです。

トリビア

◆前回ではなぜか深く取り扱わなかった不時着地点の「我が家」は、やっぱりフランスでした。パネルのカリフォルニア州の座標は関係なかったようです。シャトー・ピカードは第二次世界大戦でナチスが攻め込んできたときに本部として使われ、一家は地下トンネルで逃げたそうです。以来、百年間放棄された状態。一家がイギリスに逃げたというのは、もしかするとパトリック・スチュワートが英国人であることを意識しているのかもしれません。

◆ICE (アイス) は、前回も出てきた移民関税執行局 (Immigration and Customs Enforcement) の略称。後の護送バスによると、国土安全保障省に属します。

◆セブンとラフィはクリニカ・ラス・マリポサスに到着しますが、リオスが残したコミュニケーターについては今回特に触れられませんでした。

◆遮蔽機能を使うC.S.S.ラ・シレーナ。当然アルジェロン条約などないんでしょうね。映画ST4「故郷への長い道」でも、過去へ行ったのはエンタープライズではなくクリンゴン・バードオブプレイのバウンティであったため、最大限に遮蔽を利用していました。

◆ピカードの「ティー、アールグレイ、ホット」を真似て「ミルク、チョコレート、ホット」と子供時代を想像するジュラティ。1915年のピノ・ノワール、百科事典 (=ブリタニカ) の15巻などと、前回の「15」は意外と単純で4月15日を指すようです。DS9シーズン3「2024年暴動の夜」のベル暴動は、9月でした。

◆ジュラティはピカードお気に入りの探偵、ディクソン・ヒルのことも知っています。今回最後に登場する女性が読んでいた本もディクソン・ヒル・シリーズの小説で、タイトルは “The Pallid Son” 「血の気のない息子」。作者はディクソンが初登場した新スタートレック シーズン1「宇宙空間の名探偵」の脚本、Tracy Torme になっています。

◆監督は前回に続いてリー・トンプソンです。

◆セブンとラフィが乗ったバスには、前回にもあったエウロパ・ミッションの宣伝が。最後の公園のシーンで、少女が去る際に右のゴミ箱にもあります。Qもエウロパのパッチを付けているということは、女性も含めてあの場所はミッションに関係しているのでしょうか。

◆バスでうるさい音楽をラジカセで楽しんでいた「モヒカンのパンク」、映画ST4「故郷への長い道」でもそっくりなシーンがありました。なんと俳優もその「バスのパンク」と同じカーク・ランドルフ・サッチャーで、曲も当時の “I Hate You” が “I Still Hate You” 「俺は今でもヘイト・ユー」になってます。歌詞も「35年経っても変わってない…」。でも前とは異なり、セブンに注意されてすぐ大人しくなりました。もしかしたら前回スポックにやられたから? 映画「スパイダーマン:ホームカミング」にも「ストリートのパンク」役で出ています (スタートレック公式サイト)。

◆ピカードは座標の地点に降りて初めて、テン・フォワードだということに気づいたようです。転送するシーンなどで、BGMに新スタートレックの一節が使われてますね。ドアの前には宇宙大作戦 シーズン1「危険な過去への旅」に登場したのとそっくりな、ボクシングのポスターがあります (後に他のシリーズでも)。中で流れている曲は Jacopo Tittarelli Rubboli の “So Good”。

未来と同じく、異星の飲み物であるソーリアン・ブランデーが用意されています。ガイナン役はイト・アゲイレ、新スタートレック シーズン6「少年指揮官ジャン・リュック・ピカード」の幼い姿 (Isis J. Jones) を含めるとガイナンを演じるのは3人目。吹き替えでもテン・フォワードと呼ぶシーンがありますが、新スタートレック本編では「ラウンジバー」「バーラウンジ」といった訳になっていたため、史上初かもしれません。時代的には、こちらにちなんでエンタープライズ-D のバーに名づけたってことになるのかも。

◆パトリック・スチュワートは実際にジグソーパズル好きです。

◆リオスがテレサに対し、「よき隣人だ」。原語では “Good Samaritan” 「よきサマリア人だ」。

◆ガイナンのピットブル、ルナを譲ったデイルおじさんを演じたのは、ドッキリ番組 “Impractical Jokers” の「Q」で知られるコメディアンの Brian Quinn。

◆エル・オーリア人は時間軸が乱れた際、アフ・ケルト (af-kelt)=時間酔いを経験するそうです。新スタートレック シーズン3「亡霊戦艦エンタープライズ’C’」でも、ガイナンが歴史の変化に気づくシーンがありました。

◆車の運転に苦労するセブン。宇宙大作戦 シーズン2「宇宙犯罪シンジケート」ではカークが、エンタープライズ シーズン3「デトロイト2004」ではアーチャーが四苦八苦してました。

◆ピカードとガイナンが訪れる救済センター。「21番街伝道会館」とも書かれており、宇宙大作戦「危険な過去への旅」でエディス・キーラーがいた場所のオマージュ。その前には同エピソードの「フロイドの理容室」もあります。

◆リオスがICE局員のモリスについて、「フェレンギみたいな顔だ」。テレサの姓がラミレスと判明します。「車が待ってる」は原語では「Uberが待ってる」。スターゲイザーのことなど事実を次々と話すリオスですが、ピカードの身体が新しくなったことはきちんと教えられてないようです。

◆リオスたちが連れて行かれるのは、国境近くのサンクチュアリ地区。前回も書いた「保護区域」の今シリーズでの訳語です。ロサンゼルスにもありましたが、収容者によって違うのでしょうか。

◆転送されるセブンとラフィの後ろで、タンブルウィードがコロコロ…。

◆ガイナンの車のナンバーは「S02 E01」。シーズン2 エピソード1と解釈すると、新スタートレックとスター・トレック:ピカードの両方でガイナンが初登場した話です。

◆ピカードたちがウォッチャーと会うシーンは、前回言及されたマッカーサー・パークで撮影。最初の少女は、蝶がモチーフの服を着ています。

◆Qが読んでいた新聞ロサンゼルス・タイムズは、2024年1月21日の日付になっています。女性の服装からしても4月の設定なので、過去の新聞を読んでいたんでしょうか。また、ブリナーに関する記事があります。DS9「2024年暴動の夜」のクリストファー・ブリナー (ブリナー・インフォメーションシステム) のこと。そのほか、映像では読み取れませんが透明アルミニウム (映画ST4「故郷への長い道」) にも触れられています。

◆最後の女性が歩いてくる後ろには、ジャクソン・ロイカーク・プラザと掲げられています。ジャクソン・ロイカークは21世紀に打ち上げられた、ノーマッドの設計者 (宇宙大作戦 シーズン2「超小型宇宙船ノーマッドの謎」)。

出典

TrekMovie.com
TrekCore.com
Memory Alpha