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ディープスペースナイン エピソードガイド
第138話「ルビコンの奇跡」
One Little Ship

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・イントロダクション
※1ディファイアント。
『艦長日誌、宇宙暦 51474.2。ディファイアントは最近見つかった珍しい亜空間圧縮※2現象の調査を命じられた。数ヶ月ぶりの科学調査は、ドミニオンとの戦闘を一時忘れるいい機会だ。クルー 3名が、ランナバウトでこの現象の中に入る。船とクルーは激しい空間の歪みにさらされるため、命綱としてトラクタービームを使う。』
ディファイアントの前に出たランナバウトに、トラクタービームが照射される。
ブリッジのキラは尋ねた。「で? もう小さくなってるの?」
ノーグ※3:「まだです。縮小化のプロセスは、圧縮エリアに達しないと始まりませんから。」
「そうなの。それじゃあ、これから縮み始めるの?」
「そうです。」
「ふーん…」 キラは笑い始める。
シスコ:「少佐。亜空間圧縮現象の調査が何かおかしいのかな?」
「いいえ、艦長。」
ウォーフ:「このデータを艦隊にもち帰れば、トランスワープ航路を作る鍵が見つかるしれません。そうすればドミニオンに対してかなり有利な立場に立てます。」
「ええ、とても大事な調査よねえ。あ…何? 笑ってないでしょ! ああ…それにしても、あの 3人がコーヒーカップほどに縮んじゃうなんて!」 大きく笑い出す。
ノーグ:「いえ、もっと小さいです。」
ウォーフ:「小さいってことがなぜそんなにおかしいのか、わからないな。」
「同感ですね。」
シスコも笑う。通信が入った。
シスコ:「スクリーンへ。」
ノーグ:「ビジュアル信号は弱くなりました。今は音声のみです。」
「ルビコン※4、どうだ。」
ダックスの声。『圧縮エリアに入るところよ。』
「私も一緒に行きたかった。」 また笑うキラ。
『絵葉書でも送るわ。ウォーフに彼の詩を楽しみにしてるって伝えて。きっといいの作ってくれるわ。圧縮エリアを出て、その影響がなくなったらまた連絡します。ルビコン、以上。』
「健闘を祈る。」
ノーグ:「ルビコンの信号、消滅。」
「ご苦労、少尉。ウォーフ少佐。詩だって?」
ウォーフ:「…クリンゴンの古い伝統で、重要な出来事を詩にとどめ、記念とします。ジャッジアがこの任務に詩を捧げろと。」
シスコ:「それで…書き始めてるのか。」
「ああ…」
ノーグ:「圧縮エリアを通過しました。」
キラ:「ノーグは今もしかしたらウォーフに助け船を出したんでしょうか。」
シスコ:「もしかしたら美しい友情の始まりかもな。」
ウォーフ:「船は縮小しています。」 モニター上のルビコンが、どんどん小さくなっていく。
ノーグ:「原子の内部の空間まで縮んでいますよ。」
キラ:「一体どんな気分なのかしら。」
縮み続けるルビコン。

ルビコンのオブライエンは言った。「縮んでる気がしないな。」
ベシア:「気がしなくても、身長 1メートルで更に縮んでる。あと 2、3分で、コムバッジ半分の大きさになるよ。」
「そりゃ嬉しいね。」
「ガンマ線の量が増えてるな。防御シャッター※5を閉めた方がいい。」
ダックス:「最後の眺めよ。後はセンサーでいくわ。」 シャッターが閉まる音がする。
オブライエン:「ここを出れば必ず元の大きさに戻るんだよな?」
「探査機は戻ったわ。データ見たでしょ? 何か問題?」
「いいんですけどね、ただ…縮んでるというのが落ちつかなくて。」
笑うベシア。
「…何がおかしい。お前だって縮んでるんだ。」
ベシア:「チーフは、圧縮エリアの中心に対して、僕より 1.14メートル前に座ってる。つまり僕よりも、0.4%余計に縮んでるってことだ。」
ルビコンが揺れ始めた。
ダックス:「今の何?」
オブライエン:「トラクタービームが揺らいでる。様子が変だ。」

ディファイアントは攻撃を受けていた。
コンソールが爆発し、吹き飛ばされるクルー。
ウォーフ:「ジェムハダーの船がまた攻撃してきます!」
キラ:「圧縮現象の放射能で、彼らのワープ信号が読めなかったの。」
シスコ:「ウォーフ少佐、応戦しろ。少尉、すぐルビコンを引き戻せ!」
ウォーフ:「フェイザー使えません!」 攻撃が続く。
キラ:「ルビコンを切り離さないと、ここを動けません。」
シスコ:「彼らを置き去りにするのは、最後の最後だ。ウォーフ少佐、下へ行って予備システムを使って、手動でフェイザーを撃て!」
向かうウォーフ。「了解。」
ノーグ:「艦長、トラクタービームが切れます!」

ビームが解除され、ルビコンは亜空間圧縮の中へ引き込まれていく。
ルビコン内でも爆発が起こる。
ダックス:「これじゃ出られなくなる! パワーアップして!」
オブライエン:「今やってます!」

ディファイアントの操舵士が吹き飛ばされた。
シスコ:「報告!」
キラ:「シールドジェネレーターと通常エンジンが機能停止しました。ワープエンジンもです!」
椅子から倒れるキラ。シスコが近づく。
ジェムハダーたちがブリッジに転送してきた。「降伏しろ。さもないと皆殺しだ。」
さらに次々と乗船してくるジェムハダー。
シスコたちは、どうすることもできない。


※1: このエピソードは、1998年度エミー賞の特殊映像効果賞にノミネートされました

※2: subspace compression

※3: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第134話 "The Magnificent Ferengi" 「闘う交渉人フェレンギ」以来の登場。声:落合弘治

※4: U.S.S.ルビコン U.S.S. Rubicon
NCC-72936、ダニューブ (ドナウ) 級。こないだ「小型船」と訳されていた runabout は、今回はそのまま「ランナバウト」となっています (第5シーズン以前は「シャトル」となっていたことがほとんど)

※5: blast shutters

・本編
暗いルビコン。
ダックス:「ああ…チーフ大丈夫?」
オブライエン:「…何とか。」
「ジュリアンは?」
ベシア:「僕より、君の方だ。」 治療する。
中が明るくなった。
ダックス:「ああ、助かるわ。」
オブライエン:「ほかが大変だ。」
「とにかく、みんな生きてるじゃない。圧縮現象は抜けたし。」
「でも外部センサーと、通信システムの両方が機能停止。被害のほとんどは修理可能だが、時間がかかるな。」
「防御シャッターも直してね。開かないわ。」
ベシア:「治ったよ、完璧にね。」
「その治療器で通信システムも直せない?」
笑うベシア。
オブライエン:「ディファイアントのトランスポンダー※6シグナルキャッチ。これをたどって帰れる。」
ダックス:「通常エンジン、推力 4分の1。チーフ、シャッターか外部センサーを直して、早い方でいいから。見えないままじゃ進めない。」

ジェムハダーに制圧されたブリッジ。
ジェムハダーのファースト、クダケタン※7が入ってくる。
先にディファイアントに乗りこんだ、ジェムハダーのセカンド※8が報告する。「ブリッジは確保しました。」
クダケタン:「状況報告。」
「ブリッジ士官らは、食堂に監禁しました。ほかの生存者は、貨物室です。通常エンジンは 30分で再起動できますが、ワープ機能には数時間かかります。」
「君たちガンマ種※9の、キャリアの最期を勝利で飾れたわけだ。私としても、そんな瞬間に立ち会えて光栄だ。」
「勝利宣言の前に、やるべきことがまだいくつもあります。惑星連邦の領域を出るまでは、狙われたら…」
「ファーストはこの私だ。私は勝利を宣言した。」
「それは確かに、ファーストの権限です。」
「ヴォルタにチャンネルをつなげ。」
ジェムハダーのサード※10が応える。「了解。」
スクリーンのジェムハダー船の映像が切り替わり、ヴァーチャルディスプレイを装着したヴォルタ人※11が映し出される。
報告する船内のジェムハダー。『攻撃チームからです。』
ヴォルタ人:『ああ、ファースト。どうですか?』
クダケタン:「ディファイアントは制圧しました。」
『よろしい、大変によろしい。君たちアルファ宇宙域で改良された、新ジェムハダーには懐疑的だった。だが今回は上々のデビューになったな。そう思わないか? ガンマ。』
セカンド:「船の掌握自体は、滞りなく完了しています。」
『声に多少妬みを感じるのは気のせいかな。お前としてはやはり苦々しい思いなんだろうなあ。アルファ種※12が、お前たちガンマ種にとって代わろうとしているんだ。』
「私は創設者のしもべ。新種を作るのが創設者のご意志なら、それが物事の理でしょうが…」
『が?』
「アルファ宇宙域で改良されたジェムハダーが、ガンマ宇宙域の我々より優れているという証明はありません。少なくとも、今のところ。」
クダケタン:「『今のところ』? この勝利を可能にしたのは、我々アルファ種なんだぞ。我々がいなければ、お前たちだけでは…」
ヴォルタ人:『その件はあとで好きなだけ揉めるんだな。ファースト、ワープパワーはいつ回復できる?』
「今から船の徹底調査を行い、1時間後にご報告します。」
『よろしい。では報告を、待つとしよう。』 ヴァーチャルディスプレイを切るヴォルタ人。
クダケタンは命じた。「シスコ大佐を連れてこい。」
セカンド:「…彼の…処刑は、船の修理が完了するまで待った方が賢明ではないかと思いますが。」
「処刑のために呼ぶんじゃない。私の命令に疑問を挟むのか、セカンド。」
「いいえ。服従は勝利をもたらす!」
「勝利こそ…命だ。」
セカンドはブリッジを出ていった。
サードに命じるクダケタン。「トランスポンダーを探して、機能停止させろ。敵に探知されたくない。」
「はい、ファースト。」
「それから、ここの椅子を全部外せ。」

食堂でキラの血を拭くノーグ。
キラ:「ありがとう、もういい。」
ウォーフ:「予想しておくべきでした。敵機をスキャンするために、偵察プローブを飛ばしておけば…シャトルでもいい。センサーの設定を変えるなり、そうすればジャッジアは…」
ノーグ:「そんなことしても同じでしたよ。ジェムハダーは圧縮現象の方向から接近してきた。」 ノーグを睨むウォーフ。「彼らのワー…プ信号は…」
キラ:「状況を説明してるだけよ。」
ウォーフ:「そいつに説明してもらう必要はありません!」
シスコ:「みんな落ち着け。まだルビコンが遭難したとは限らない。自力で圧縮現象から抜け出すこともできる。もしそうなら、基地へ向かっていてこっちより状況はいいはずだ。だからとりあえず、犯したミスの分析は後にするとしよう。」
キラ:「ジェムハダーがワープパワーを回復させたら、ドミニオンの捕虜収容所行きよ。」
「ワープパワーを回復するのは、そう簡単じゃないはずだ。我々も、彼らの船の操縦法をつかむのに一週間かかった※13。その間にディファイアントを奪い返すチャンスがあるかもしれない。だがここから出ないためには、どうしようもない。何か案はないか。」
ジェムハダーたちが入り、セカンドが命令する。「シスコ大佐。一緒に来い。」
シスコ:「…いいかみんな、待ってろ。すぐに戻る。」
出て行くシスコたち。

修理を進めるオブライエン。
ベシア:「ディファイアントのトランスポンダー信号が消えた。」
ダックス:「じゃあ、動けないわ。」
オブライエン:「こっち側の問題じゃない。送信が止まってる。」
「見えないままじゃ飛べない。」
「シャッターのスイッチを。」
ダックスが押すと、シャッターが開き始めた。「やるじゃない。」
オブライエン:「『求めよ、さらば与えられん。』」
前方の窓が開き始める。だが、見えるのは金属質の物だけだ。
オブライエン:「何だこりゃ?」
ダックス:「何かの壁?」
「宇宙のど真ん中に?」
上を眺めるベシア。「ちょっと待て。何かマークが見えるぞ。大きくて…黒い、丸だ。」
ダックス:「ほかには?」
「待って。」 態勢を変えるベシア。「…チーフ、見る気にはならないぞ。」
ルビコンの上方には、遥かに大きなディファイアント、"NX-74205" がいたのだった。


※6: transponder を「転送 (transporter)」と誤訳。後でトランスポンダー信号が停止されるシーンがあるのに…

※7: Kudak'Etan
(Scott Thompson Baker) 声:手塚秀彰

※8: Ixtana'Rax
(Fritz Sperberg VOY第153話 "Body and Soul" 「セブンになったドクター」のラネク (Ranek) 役) 名前は言及されていません。声:中田和広

※9: Gamma
ここは原語では "Elder" 「長老」と言っています。正確にはセカンドのことだけを指したものですね。後にもこのように呼ばれていますが、「ガンマ」と共通して訳されています。DS9第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」より

※10: Lamat'Ukan
(Christian Zimmerman) 名前は言及されていません

※11: Gelnon
(リーランド・クルック Leland Crooke ENT第37話 "Precious Cargo" 「眠る女の謎」のプリン (Firek Plinn) 役) 名前は言及されていません。後にも登場。声:仲野裕

※12: Alpha
複数形で "Alphas"

※13: DS9第125話 "A Time to Stand" 「明日なき撤退」より

ディファイアントの周りを飛ぶルビコン。
オブライエン:「圧縮現象を抜けたら、元の大きさに戻るって言っただろ?」
ベシア:「そのはずだった。」
ダックス:「もしかしたら、進入経路を戻らなかったから?」
「だから逆の現象が起きなかったんだ。」
オブライエン:「おいおい、つまり一生こんな身長ってことなのか?」 指で 5センチくらいを示す。
1センチくらいを指すベシア。「いや、こんなだ。実際はね。でも心配ない。元に戻るには、圧縮現象にもう一度はいって、元来た経路をたどって戻ればいいんだ。」
オブライエン:「理論上はな。」
「…理論上はね。」
ダックス:「そううまくいかないわ。圧縮現象に戻るためには、ディファイアントの助けがいる。」
「通信システムはダウンしてる。どうする?」
「窓まで飛んでってノックする?」
オブライエン:「待てよ。俺たちがこのぐらいなら、とするとルビコンはそうだなあ、このぐらいか?」 手で示す。
ベシア:「おおよそね。」
「で、ディファイアントの船尾プラズマ排気口が、このぐらい?」 少し大きく示すオブライエン。
ダックス:「まさかこのままルビコンでディファイアントの中に入ろうって言うの?」
「だめですか? 逆流防止バルブ※14を越える所が際どいですけど、中に入っちまえば外にいるより気づいてもらえる確率は高くなるでしょ?」
「気に入った。行きましょう。」

クダケタンに報告するサード。「技術班からの報告で、通常エンジンは 12分後に始動可能です。」
クダケタン:「よし。」
セカンドと共に、シスコがブリッジに入った。
クダケタン:「ベンジャミン・シスコ大佐。『選ばれし者』と呼ばれる男か。ファーストのクダケタンだ。実は大佐のおかげで、私が存在する。お前がワームホール内のドミニオン艦隊を消さなければ※15、アルファ宇宙域型ジェムハダーを作る必要もなかったのだ。」
シスコ:「礼を言うために呼んだんじゃないだろ。」
「ああ、我々の攻撃で、通常エンジンにはさほど被害が出なかったが、ワープエンジンはかなり損傷を受けた。修理にはお前の技術的な専門知識が必要だ。今すぐ大佐を機関室へ連れていって、修理を始めさせろ。」
セカンド:「それはまずい。大佐を機関室に近づけるのは、船を奪い返すチャンスを与えてやるようなものです。今この瞬間にもあいつは策をめぐらしている。」
「ガンマ種に、テレパシーが備わっているとは知らなかったな。」
「そんなものなくてもわかる。俺が奴の立場なら、必ずそれを考える。今すぐに殺すべきです。奴が計画を実行する前に。」
「セカンドで、私がファーストだ。私に指図できる立場ではあるまい!」
シスコは 2人の中に立った。「決着はついたか。その先だが、どうして私が手を貸すと思うんだ。」
クダケタン:「お前には、ワープドライブを修理してもらう。嫌なら部下のクルーを一人ずつ処刑することになる。」 何も言わないシスコ。「シックスのデランハダー※16に、処刑するクルーを一人選んで、ブリッジへ連れてくるように言え。」
「修理は独りではできない。クルーが何名か必要だ。」
「何人だ。」
セカンド:「そんな要求は断固却下すべきだと思いますが!」
シスコ:「武器があるんだろ。なのに丸腰の捕虜数人を監視することもできないのか!」
「俺は捕虜の罠にかかったりしない。ファーストもそうでしょう!」
クダケタンはセカンドを睨んだ。
シスコ:「わかった。私も急いで捕虜収容所へ行きたいわけじゃない。君の部下を仕込んで修理を手伝わせろと言うなら、それでも構わない。まずメインコマンドシステムとコントロールシステムからだ。およそ 6時間ほどかかる。それからやっと次の段階だ。クラス7 のワープエンジン※17基礎工学理論に移って、次に…」
クダケタン:「もういい! ブリッジ士官 3名を修理に加えろ。3名だけだ。それからセカンド、『助言』はこれ以上聞きたくない。機関室へ、連れていくんだ。」
シスコに続いて、出て行くセカンド。

ディファイアントの排気口から中に入ったルビコン。中を進んでいく。
ダックス:「チーフ、ここどこ?」
オブライエン:「二極フロージャンクション※18に入った辺りだと思います、多分。」
ベシア:「多分?」
「中から見たことはないんだからしょうがないだろ? フロージャンクションにさえ入れば、ワーププラズマ補助注入口まで上がって行けるから、そしたら後は…点検ハッチから中に入れる。」
「このパイプ汚れてるぞ。掃除したことないのか。」
ダックス:「これ以上チーフをいじめないの。」
オブライエン:「どうも!」
ベシア:「悪かったよ、人間が小さくて。」

セカンドに見張られ、ターボリフトに乗るシスコ。
中に入ると、突然セカンドはシスコにつかみかかった。「何を企んでるにしろ、やめておけ。目を離さんぞ。何か少しでも怪しい動きがあれば、お前の部下を全員殺すからな。」
シスコ:「囚われの身で、何ができるというんだ…」
「ファーストはだませても、俺はだませない!」
「なのにファーストになれないとは、残念だな。」
「一昨日まで、俺がファーストだった。俺が指揮を執っていた時拿捕していれば、お前はとっくに死んでいる。第2デッキ、セクション5。」 動き出すターボリフト。
「何があった。」
「彼はアルファ種で、俺はガンマだ。彼の DNA と心理反応は、アルファ宇宙域での戦闘に合わせて改良されている。より指揮官に向くと判断された。」
「君はどう思う。」
セカンドはシスコを見た。「……お前にこれ以上教える必要はない。いいな。」
ターボリフトから降りる。

ブリッジ。
報告するクダケタン。「通常エンジンは復旧し、ワープエンジンも 5時間後には修理を完了します。」
スクリーンのヴォルタ人。『よくやった。私の期待は裏切られずに済んでいるな。創設者も喜ばれる。…では、私はコリダン星※19での仕事を再開しよう。惑星連邦の鉱山労働者が、我々を見て驚くだろう。そこのクルーのように。』
「勝利こそ、命。」
『まさしく。』
通信が終わり、ジェムハダー船は去っていった。
命じるクダケタン。「最短のドミニオン前哨基地にコースを取れ。通常エンジンで、発進。」

パイプを進むルビコン。だが周りの壁の色が変わり始めた。
オブライエン:「やばい。」
ダックス:「どうしたの?」
「プラズマ誘導装置※20が加熱してる。」
「通常エンジンの起動準備シークエンスに入ったの。」
ベシア:「どういうことだ。」
「このパイプ全体が、超高温のプラズマでいっぱいになるってこと。」
「『超高温』って、どのくらい。」
オブライエン:「もし出口を見つけられなきゃ、俺たちは蒸発するんだ。わかるか?」
「わかった。」

ルビコンの後ろから、次々と加熱していく。


※14: anti-back flow valve

※15: DS9第130話 "Sacrifice of Angels" 「ディープスペース・ナイン奪還作戦(後編)」より

※16: Duran'Adar

※17: クラス7 ワープドライブ class-7 warp drive
ディファイアントに搭載されているクラス

※18: bipolar flow junction

※19: Coridan
惑星。TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」など

※20: 磁気プラズマ誘導装置 magnetic plasma guide

ルビコンの後ろからプラズマが迫ってきた。
オブライエン:「先にプラズマ分岐管があるはずだ。左のパイプに入ってから、すぐ右に曲がれば中継部に出ます。」
ダックス:「左で、すぐ右ね。」
ベシア:「それで合ってることを祈るよ。」
オブライエン:「俺もだ。中継部を抜けたら、右側に点検ハッチが見えてくるはずです。それを何とか開けられれば…。」
ダックス:「時間がないわ。」
プラズマが近づいてくる。中継部に出て、右側にハッチが見える。
ベシア:「ハッチはどうする?」
ダックス:「古典的な方法で行くしかないわね。」
ベシアは身構える。
プラズマが到達した。ルビコンはハッチに体当たりし、無理矢理通りぬけた。
ベシア:「ああいうのは、もうごめんだよ。」
ダックス:「またあるかもよ? で、ここはどこ?」
オブライエン:「機関室のはずです。ワープコアの近く。」
「OK。」
下の方を進むルビコン。すぐ近くにワープコアがある。
見上げるダックス。「ワープコアだわ。ワープエンジンは機能してないようね。」
ベシア:「散らかってるな。何があったんだ。」

ジェムハダーたちと共に、シスコが作業している。
キラに言うセカンド。「何をしてるんだ。」
キラ:「ダイリチウム結合フレームの再調整だけど?」
「この男に手順を説明して、やらせろ。」
「時間がかかるわ。私がやった方が早く済む…」
「手早く説明するんだ。いいな。工具を渡せ。」
「…それじゃ、側面のマイクロブレース※21を外すことから始めて。」
取りかかるジェムハダー。

ルビコンは上昇していく。
そして、窓の前にジェムハダーの顔が現れた。
ダックス:「大変だわ。」
すぐに逃げていくルビコン。ジェムハダーは気配には気づいたが、作業に戻った。
ルビコンは上昇し、隠れる。
ダックス:「チーフ、ビジュアルセンサーが今すぐどうしても必要よ。」
オブライエン:「了解。ジュリアン、ちょっと手を貸してくれ。」
床を開ける 2人。

機関室では、ノーグも作業している。

オブライエンは言った。「よーし、ビジュアルセンサーが使えるはずだ。通信システムも回復した。」
機関室の映像がモニターに映る。
ダックス:「クルーにワープエンジンを直させてるんだわ。」
ベシア:「艦長はどうするつもりだ。」
「いい質問ね。ベンジャミンなら何か考えてるはずよ。チーフ、オペレーションパネルをズームアップできる?」
オブライエン:「できます。」 シスコが作業しているパネルがだんだんと拡大される。
「チーフもわかった?」
「うーん、上手いなあ。」
「でもあれじゃ成功はしない。」
「ブリッジ制御はロックされてる。」
「…それに機密コードは暗号回路を通して組み込まれてるから。」
ベシア:「頼むから、僕も会話に入れてくれない?」
オブライエン:「艦長はここから船をコントロールしようとしてる。実際ワープエンジンの修理にかかってるのはキラだけだ。それもあんまり急いでるようには見えないな。」 次々とクルーが映し出される。
ダックス:「ウォーフは作業の痕跡を消そうとしてる。コンピューターに偽のシグナルを送ってるんだわ。」
「鍵はノーグです。ロックされたブリッジ制御に侵入しようとしてます。コマンドコードが使えるように。もし成功すれば、艦長は機関室のオペレーションパネルから船をコントロールできます。ノーグは利口ですが、機密コードを割り出すには、かなりかかるでしょう。」
ベシア:「手を貸せないのか?」
「…ここからじゃ無理だ。もしもブリッジへ行ければ、向こうからコードを解除できる。」
「どうやって。」
ダックス:「待って、順に片付けましょう。まずはこの機関室から、気づかれずに外に出なきゃ。」
ルビコンは動き始めた。

セカンドはシスコに言った。「なぜ、あのクリンゴンはプラズマディスプレイの補助システムをいじってる。」
シスコ:「私の命令だからだ。」
「ワープエンジンの操作とは、何も関係ないぞ!」
「ドミニオンの船ではそうだろう。だがワーププラズマの安定性を見るためには、ディスプレイが必要なんだ。失礼。」
作業を進める。

ルビコンはジェムハダーの足を抜けながら、床の近くを進む。
キラの声が聞こえる。「…それが済んだら次はこのコイルにパワーを通して。ただし私がストップと言うまでね。」
ジェムハダー:「わかった。」
道具を取るジェムハダー。その箱の奥に隠れているルビコン。
他の道具の上に紛れて、ドアに向かって方向を調整する。
キラ:「…長過ぎるとコイルが焼ききれるから、気をつけてね。」
オブライエンは尋ねる。「ここからは?」
ダックス:「誰かがあのドアから出てくのを待つの。」

セカンドは命じた。「シックス!」
「はい、セカンド。」
「クリンゴンと代われ。ディスプレイ補助システムは、お前が修理するんだ。」
「今すぐ代わります。」
「クリンゴンに別の仕事を与えろ。」
シスコ:「なぜ。」
「私の命令だからだ。」
クダケタンが入ってきた。「なぜまだワープエンジンは動かないんだ。」
セカンド:「引き延ばしてるんです。」
シスコ:「私が?! 君のセカンドが、我々の作業を遅らせている! 私の命令を覆したり、勝手に作業の担当を変えたり。これじゃ何も進まなくて当然だ!」
クダケタン:「邪魔ではなく監視を…しろと言ったはずだ。」
セカンド:「奴の術中にはまってる。わからないんですか?」
「シスコ大佐、30分以内にワープパワーを回復しろ。でないと処刑する。女をな。」 キラを指差す。「そして修理が済むまで、15分ごとに一人ずつ殺していく。それからセカンド、これ以上彼らの作業を邪魔するな。」
無言のセカンド。

操縦するダックス。「いい? あいつがドアセンサーを起動したら…」
ルビコンの周りの道具が取られる。その場を離れた。
クダケタンは一目機関室を確認し、ドアから出て行く。
閉まる直前、ルビコンも通り抜けた。
ベシア:「うまいもんだな!」
ダックス:「あのくらいなら、この後いくらでもあるわよ。」


※21: lateral microbrace

シスコたちを監視するセカンド。
シスコはノーグに小声で尋ねた。「少尉、どうだ。」
ノーグ:「まだだめです。システムに 3歩先を越されてて。第1セキュリティネットを破る度に、第2ネットに跳ね返される。するとコードがリセットされ、ああ…最初から全部やり直しです。ああ! まただ。だめだった時の第二案はあるんですか。」
「ああ。船を自爆させる。」
「ああ! ……まだ試していないアルゴリズムがありますから。」

道具を受け取るキラ。「ありがとう。これでデューテリアムインジェクターにつなげるわ。じゃプラズマリレーを立ち上げて。だけど説明した通り、ゆっくりやって。」
うなずくジェムハダー。作業に取りかかる。
近づいたシスコに言うキラ。「ワープエンジンの起動準備シークエンスの開始まで、あと 10分ぐらいです。ノーグはどうです?」
シスコ:「よくない。どこか故障させた方がいいな。」
警告音が鳴った。ジェムハダーに指示するキラ。「速過ぎる! システムを再起動して、もう一度やって。だけど今度は半分の速さでね。」 シスコに言う。「あいつ結構やるの。もうコマンドと制御システムをマスターして、メモリーも使える。このままだまし続けられないわ。」
シスコ:「彼と君との知恵比べなら、君に賭けるよ、何があっても。」
キラ:「で、私のオッズは?」
微笑むシスコ。

廊下を歩くクダケタン。その頭のすぐ後ろにルビコンがついている。クダケタンは一瞬立ち止まるが、気づかない。
部下のジェムハダーが報告する。「ファースト。照準センサーを再調整しました。追跡サブルーチンにエラーがありましたので。」
クダケタン:「照準センサーをチェックしろとは命じていないぞ。」
「しておいた方がいいと思いまして。帰途で敵船に遭遇する可能性もありますから。」
「さすがによく気がつくな。そういうところがガンマ種には欠けてる。」
「ええ、彼らは欠点が多い。」
「この任務から戻ったら、新しいセカンドが必要になる。お前をヴォルタに推薦しよう。」
「ご期待に応えてみせます。」
「ああ。信頼しているとも。アルファ宇宙域の未来を決めるのは、我々アルファ種だ。それが、新たな物事の理だ。」
ブリッジに戻るクダケタン。

ルビコンは逆さまになり、天井近くにいる。
逆さまの内部から、ドアが見えている。
オブライエン:「ブリッジへの最後の扉だ。」
ベシア:「ドアが開くのをいつまで待てばいいんだ。」
ダックス:「待たない。」

近くにジェムハダーがいなくなってから、ウォーフはシスコに言った。「彼らの気をそらさないと、自爆システムにアクセスできません。」
シスコ:「ワーププラズマのサブプロセッサーに、コンピューターウィルスを送れ。船がワープ1 に達したら、船が爆発するようにな。」
「…わかりました。」

ルビコンはドアの操作パネルに近づいた。
オブライエン:「そっとやって下さい、パネルが壊れたら困る。」
ダックス:「軽いタッチも得意よ。」
ベシア:「ウォーフは、そうは言ってなかったな。」 笑う。
ダックスはベシアを見た。
ベシア:「何。」
ルビコンはパネルに触れる。
ドアが開くが、誰も入ってこない。不審に思ったクダケタンが近づく。その隙にルビコンはブリッジへ入った。テーブルの下に隠れる。
オブライエン:「ファーストがあそこにいる限り、制御ロックは解除できません。」
ダックス:「バイパスできない?」
「…暗号サブプロセッサーを、手動で迂回させることはできなくはないですけど。」
「けど、何?」
「そのためには船から出ないと。でも勘弁してもらいたいですね。身長たったの 1センチじゃ、回路の中を歩き回ってるうちに、あっという間に感電しそうです。」
ベシア:「心配いらない。たとえ出て行きたくても、外へは行けないよ。呼吸できないんだ。外の酸素分子は 2,000倍の大きさで、今の君のヘモグロビンでは吸収できない。窒息する。」
「そうか。じゃ、今の案は無理だ。」
ダックス:「だけど、回路内は密閉状態でしょ? ここの圧縮空気を、転送で送り込むことはできるわよ。そうすれば回路の中で呼吸できる。」
ベシア:「可能ではあるな。空気は薄くなるけど、20分ぐらいはもつと思うよ。」
オブライエン:「その後は?」
「気絶する。」
オブライエンはダックスを見た。首をかしげるダックス。
ベシアに言うオブライエン。「お前も道連れだ。一緒に来てくれ。」

たくさんのアイソリニアチップが立っている回路内。そこに小さなベシアとオブライエンが転送された。チップを見上げる。
オブライエン:「ああ、時間がかかりそうだ。」



パッドで調べるオブライエン。「ここが予定通りメイン安全ジャンクションだとすると、自律サブプロセッサーの集合体が、直線状拡張モジュール※22の隣にあるはずだ。問題は、1センチの身長で見た時、そのモジュールが…どんな風に見えるかだ。」
ベシア:「何だって? わけがわからない。驚きだねえ、まるで光電子工学の森にいるみたいだ。」
「多分あっちの方向に…ジュリアン、やめろ!」 座ろうとしていたベシア。「…お前の後ろのチップに、20マイクロアンペアの電流が流れてるんだ。大したことないが…」
「でも、1センチの体じゃ、シナプス全部が焼き切れるな。…忠告どうも。」
「いいか。俺の後から来い。いいと言う物以外、何も触るなよ。」
「大丈夫、触らないよ。」
進んでいく 2人。

ケトラセル・ホワイトの入ったケースが、ブリッジに運ばれる。
サード:「ホワイトです。」
クダケタン:「時間だったな。」 集まるジェムハダーたち。

見つからないように位置を調整するルビコン。
ダックス:「チーフ、進んでる?」

通信を受けるベシア。「進んではいるよ! そうだろ? チーフ。」
オブライエン:「まだ機密プロトコルのインターリンクを探してます。そう長くはかかりません。」
ダックス:『なるべく早くね。ジェムハダーがウヨウヨ出てきたから。』

ケースが開けられ、クダケタンはホワイトをサードにまとめて渡した。
サード:「…我らは創設者のしもべ、この命の…」
クダケタン:「よせ! ここにいるのはアルファ種だけだ。我々は言葉でなく、行動で忠誠を示す。」
うなずくサード。

作業するオブライエン。「いいぞ、それで…。」
ベシア:「マイルズ。迷ったんだ、そうだろ?」
「ああ、迷ったよ! ……この回路の設計図なら寝てても書けるが、とにかく内側から見たなんてないんだよ。」
「認識機能低下。低酸素病の症状だ。つまり酸欠。目立つものに…集中しろ。あれは? あのでかい、アイソリニアチップ。ナンバーが 589…66-デルタ。あれは何だ。」
「ジュリアン。66-デルタは非対称暗号回路※23の中でも、24 もあるんだ。」
「わかった。それじゃあ、それ何だ。下にあるやつ。」
「四つ又インターリンク分路だ。」
「じゃあ、ってことは、このチップは…。」
「ああ…わからんよ! 言っただろうが、どれも全部同じに見える!」
「よし、じゃあ見ないでいこう。」
「何?」
「目をつぶって。記憶に頼れ。」
目をつぶるオブライエン。「ああ。」
ベシア:「いいか、四つ又分路がある。58966-D の、アイソリニアチップの根元部分だ。それはどこになる。」
「66 デルタ近くにある、四つ又分路だったら…あれは確か…確かメイン…作動リレーの下だ。それに違いない。」
「そうすると探してるインターリンクは…。」
「あっちだ。」

機関室のシスコは、キラに近づいた。「まずいぞ。奴らが検査プロトコルをチェックしてる。」
キラ:「ノーグの方の進み具合は?」
まだ作業しているノーグ。「ああ…。」
シスコ:「まだだ。」

オブライエンは、頭の太さほどもある導線をつないだ。
ベシアは別の導線を外そうとしている。「外れない!」
手伝うオブライエン。やっとで導線を取り、別の差込口に持っていく。2人とも、かなりの酸欠症状が出ている。
ベシア:「どっちだ?」
オブライエン:「そっち。……違うちがう、違う。手前だ。」
「確かか?」
「ああ。」
ベシアは線を差し込んだが、すぐに外れてしまった。
オブライエン:「戻して…。」
やり直すベシア。新たに電流が流れ始めた。
オブライエン:「ジュリアン。」 離れるように指示する。フェイザーを撃ち、溶接した。
連絡するオブライエン。「ルビ…ルビコン。……任務完了。」

ノーグはスイッチを押した。「ああ、俺って天才!」 笑う。
ジェムハダーがやってくる。「こっちへ来い!」
ノーグ:「ああ…」
セカンド:「お前たち! 全員コンソールから離れろ! 今すぐだ!」
密かに話すノーグ。「艦長。やりました。理由はわからないけど、ロック解除できました。」
シスコ:「よくやった。あとはワープに入る前に、彼らの気をそらさないと。」
セカンドは叫んだ。「黙れ!」

ルビコンに戻ってきたベシアは、咳をする。
オブライエン:「ディファイアントのコマンド機能は、機関室に移ってる。なのに変化なしか。」
ベシア:「艦長はまだ気づいてないのかもしれない。」
ダックス:「何かあったのかもね。ファーストがちょっと前に機関室へ呼ばれたの。」

セカンドに尋ねるクダケタン。「いつから…エンジンは直っていたんだ。」
セカンド:「1時間前には。もっと前でしょう。」
「どうしてお前は、それに気づかなかったんだ。」
「…邪魔をするなと命じられましたので。」
「だが注意深く見張れとも、命じたはずだぞ。」
「私が言ったように、ジェムハダーに修理させていればこんなことには…」
「お前の言い訳など、聞くつもりはない。ワープエンジンを起動しろ。」
取りかかる部下。
だがセカンドは言った。「待て! ワープエンジンを起動する前に、破壊工作がなされていないか、システムをチェックすべきです。」
クダケタン:「時間がかかり過ぎる。連邦の領域に一分でも長くいれば、攻撃される可能性が増す。お前の最期の任務が、失敗に終わっては…気の毒だしな、ガンマ。やれ。」
操作を始めるジェムハダー。
ワープコアを見つめるクダケタン。「エンジンパワーが十分に充填され次第、ワープ4 で発進だ。」
コアが起動された。
つぶやくキラ。「奴らを道連れにはできる。」
クダケタン:「この 4人を、ほかの捕虜のもとへ連れていけ。」
機関室から出て行くクダケタン。だがドアが開くと、目の前にルビコンがいた。驚くクダケタン。
中に入ったルビコンに向け、銃を発射する。素早い動きを見せるルビコンには当たらない。
武器を向ける他のジェムハダーを、ルビコンは魚雷を使って倒した。
キラたちも行動に移る。コンピューターを操作するシスコ。

ダックスに言うオブライエン。「ダックス、上にいます。」
ダックス:「任せて。」
2階のジェムハダーに魚雷を撃つルビコン。外れた。キラは倒れたジェムハダーの武器を奪う。
ルビコンに気を取られているクダケタンの隙をつき、一瞬で首を折るウォーフ。
ノーグもジェムハダーに殴りかかるが、逆に倒されてしまう。
組み合うウォーフとジェムハダー。
作業を続けるシスコ。
2階のジェムハダーがしつこく撃ってきている。
ダックス:「あいつ本当にカンに障るんだけど!」
ベシア:「光子魚雷ロック。」
「発射!」
ルビコンの魚雷が命中し、2階から落ちるジェムハダー。
ウォーフは格闘している。
シスコにもジェムハダーが近づき、遠くからセカンドがシスコを銃で狙う。だがその前に、キラがセカンドを撃った。
シスコに殴られたジェムハダーは、キラにとどめを刺された。倒れたジェムハダーを払いのけるシスコ。
ウォーフもジェムハダーを倒す。

機関室は静かになった。
シスコ:「今機関室を除く全艦に、麻酔ガスを放出している。少佐、ブリッジからワープエンジンを起動する前に、コンピューターウィルスを除去するんだ。」
キラ:「了解!」
血を流しているセカンドに話すシスコ。「君の言う通り、最初に私を殺すべきだった。」
セカンド:「彼がファーストだ。ファーストの…意思が…全てだ。服従は、勝利を…もたらす。勝利こそが…」 目を開いたまま、絶命するセカンド。
飛行音が聞こえてくる。ルビコンがシスコたちの前にやってきた。
シスコ:「ウォーフ少佐、君の奥方が帰ってきた。」
ウォーフの前で止まるルビコン。窓から、投げキッスするダックスと、手を振るオブライエンが見える。
窓に見える大きなウォーフ。

『艦長日誌、補足。修理を済ませた後我々は、圧縮現象の場所へ戻り、ランナバウトとクルーを無事元の大きさに戻した。ジェムハダーたちは、連邦の捕虜収容所へ全員移送された。』
クワークの店。
ダックス:「それ、例の詩?」
ウォーフ:「…ああ。」 ウェイターに注文する。「ブラッドワイン。」
「読んでくれる?」
「まだ仕上げてないんだ。」
「ああ、いいじゃない。出だしだけでも。」
「仕方ない。初めて書いたんだからな。」
「わかってるわ。」
「時間もかけてるし、かなり一所懸命やってる。」
「知ってる。」
「私は笑われるのは嫌いだ。」
「…笑わないから。」
「よし。『我妻に捧げる、小さな船の、小さな…旅の詩』。どう思う。」
「……そうね、ああ…いい感じじゃない?」
ダックスはウォーフのパッドを手にした。「パッドに何もないじゃない!」
微笑むウォーフ。二人は笑った。

ベシアの話している声が聞こえる。「僕らは任務をこなしてたんだ。すると突然、目の前に巨大なジェムハダーが現れたんだ。」
オブライエンも、モーンやダボガールの前にいる。「セルタン・カルノサウルス※24みたいにでかかった。もう本当に目の前で、目玉の血管が脈打ってるのがわかるぐらいだ。俺たちは身をひるがえし、コンソールの後ろに隠れた。そして大佐やみんなを救い出すために、センサーを再起動しなきゃならなかった。そこで俺はジュリアンに…」
ベシアはオドーに言った。「何ジロジロ見てる。」
オドー:「間違いなく…元通りの大きさに戻ってるのか?」
オブライエン:「…当たり前だろ。」
首を振るオドー。
ベシア:「何で。」
オドー:「いや 2人とも、私が最後に見た時よりどうも…2、3センチ縮んでるような気がしてな。可変種はそういうことに敏感なんだよ。」
ダボガールと身長を比べるオブライエンたち。
クワークも近づいていた。「実は俺も思ってたんだが、本当に…ちょっとばかり、小ぶりに見えるな。」
2人は顔を見合わせた。
ベシア:「……医療室だ。」 店を出て行く。
クワークは言った。「笑いのわからんあんたにしては、言うじゃないか。」
オドーとクワークは笑い出した。


※22: rectilinear expansion module

※23: asymmetric encryption circuit

※24: Seltan carnosaur

・感想
スタートレックにはありそうでなかった、「縮小もの」エピソード。国内外関わらず、映画やアニメ、特撮などにありがちですよね。もちろんそこは ST ですから、特殊効果を見事に生かしています。これで 4年前に放送されたものですからね。ヴォイジャーの CG にも言えますが、ST では特撮技術がある程度の質を表現できるようになってから、初めて使っているような印象があります。
小さくなった状況をどこか楽しんでいるルビコンとは対照的に、ディファイアントではジェムハダーの「アルファ種 VS ガンマ種」の設定が登場しました。今後も扱われるかは知りませんが、宣誓をしないといったところなど、これまでのジェムハダーとは違う描写が良いですね。こういう場合「本家」のガンマ種の方が威張り散らしそうな気がするのですが、逆になっているのが興味深いです。


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