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ディープスペースナイン エピソードガイド
第106話「秘められた過去」
Things Past

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・イントロダクション
※1シャトルがベイジョーを離れた。あんな騒ぎになると知っていたら、出席しなかったと後悔するガラック※2。会議に出たいと言い出したのはあなたでしょというダックスに、ベイジョー人に占領時代については違う角度からの見方もあるということを知ってもらいたかったというガラック。違う角度ですって、あなたはカーデシアによる占領を正当化しようとしたのよ、ベイジョー人が喜ぶと思うと聞くダックス。しかしあの会議の目的は、冷静な目で歴史的な見地に立ち、占領時代を見直してみようというものですと応じるガラック。なのに何か発言するとみんなで非難の大合唱とはという。ベイジョーの人たちは君に礼儀正しくしていたというシスコ。私の名札を見ましたか、エリム・ガラック、元カーデシアの迫害者だなんて失礼じゃないですかというガラック。何て呼んで欲しかったの、元スパイとでもと聞くダックスに、私は建前ではなく本音を議論したかった、ベイジョー人は歴史の真実を掘り起こすことに興味はないらしいというガラック。目的は初めから栄光あるレジスタンスという神話と伝説を作ることだったんでしょうと言った。オドーはレジスタンスのメンバーじゃなかったけど、注目を浴びてたというダックス。全くだ、ベイジョーにファンクラブでもあるみたいだね、サイン会でも始めるかと思ったくらいだったよというガラック。オドーは何も言わない。ダックスが気にしなくてもいい、占領時代の業績は誇っていいというと、オドーは誇ることはない、混沌とした状況に秩序をもたらそうとしただけですという。君は自分をもっと高く評価すべきだというシスコ。あの時代に秩序を保つのは大変な仕事だ、それをしただけでなく両者の信頼を勝ち取ったという。会議の議長もカーデシア側に立っていても、あなたが従うのは正義だけだって言ってたじゃないというダックス。君は今や伝説だというシスコ。無言のオドー。
DS9司令室。オカラ※3がシスコ大佐のシャトルが帰ってきたこととウォーフに伝える。第1着陸パッドへドッキングさせるウォーフ。しかしオカラは応答がなく、シャトルの船体を電磁気サインが取り巻いているという。自動操縦になっている。生命反応は4人だが、非常に弱い。ウォーフは自動操縦を解除し、シャトルを転送可能域まで牽引するように命じる。ベシアに第5転送室へ来るように伝え、緊急事態だといった。
ゆっくりと牽引されるシャトル。ウォーフ、ベシアと保安部員が中へ転送される。シスコたちは椅子の上で眠ったようになっている。船尾へ向かうように保安部員に指示するウォーフ。ベシアが調べると、生きてはいるが大脳皮質に神経エネルギーの過多が見られるという。どういうことだと聞くウォーフに、わからないと答える。生き返るんだろうなと聞くが、それもわからないというベシア。
シスコが目を覚ますと、違う服を着ていた。横にはオドーも横たわっている。大勢の人が前を横切っていく。囚人たちは各々の部屋へ戻れという放送が流れる。2階には銃を持ったカーデシア人がいて、監視していた。

※1: TNGラフォージ役のレヴァー・バートン監督作品です

※2: Elim Garak DS9第98話 "Broken Link" 「可変種の脅威 第二幕(前)」以来の登場

※3: Okala (Louahn Lowe)


・本編
シスコがなかなか立ちあがれずにいると、もう少ししゃんとしろよといってベイジョー人※4が起こした。近くに寝ていたダックスとガラックも起こし、だからカーデシア人に軽蔑されるんだという。オドーにも起きろよという。薬でラリるならプロムナード以外の場所でやれ、とばっちりはお断りだといって歩いて行った。どうなってるのと聞くダックスに、それは後だというシスコ。ガラックもまずここを出ましょうといって、オドーを起こし歩き出す。決められた時刻までに部屋に戻らない者は、規則違反とみなされ罰せられるという放送が流れる。
4人はベッドに寝かせられ、ベシアの診断を受けていた。神経活動のレベルは高く、つまり神経は起きて活動しているということだ。だが外部からの刺激に反応はない。入ってきたウォーフに、シャトルの記録はと聞くベシア。第2級のプラズマ嵐※5に遭遇して船に放射線を浴びたらしい記録は残っていたというウォーフ。ベシアはコンピューターを呼び出し、4人の神経状態はプラズマ嵐に遭遇したのと関連があるかを尋ねた。症状とは何の因果関係も見出せませんという答えだ。ベシアは宇宙プラズマ現象についての記録がいくつあるかを聞く。5,021件というコンピューターの答えに、ということは奇病を引き起こすような珍しい現象じゃないわけだというベシア。シャトルの外壁を調べればもっと詳しいことがわかるというウォーフに、それまで僕もいろいろ調べてみると言った。
4人は居住エリアにやってきた。ここはカーデシア占領時代のテロックノールだというシスコ。過去に来たのというダックスに、ただ来ただけではなく服が変わっているというガラック。ホロスイートじゃないですかというオドー。シスコはコンピューター、プログラム終了というが何も起きない。ダックスは誰も私たちを見ないという。それも変だ、地球人やトリル人や可変種が目立たないはずはないというシスコ。私も目立って当然です、ここはベイジョー人居住区で、カーデシア人は忌み嫌われていると話すガラック。カーデシア人に見えていない、4人とも本来の姿には見えていないんだろうなとシスコは言う。ガラックは服はベイジョーのもので、さっきベイジョー人に話しかけられたという。じゃあベイジョー人に見えているんだろうな、どう思うとシスコに聞かれ、次元を超えての移動かしら、精神だけが時空を超えて動き回り、テロックノールのベイジョー人の体に宿ったというダックス。じゃあなぜ私たちには元のお互いの姿が映り、ベイジョー人には見えないんでしょうというガラック。ダックスは首を振り、さすがにそこまではわからないという。シスコは最後の記憶はシャトルで、座っていたことだという。プラズマ偏差が現れた、それから音がしてというダックス。ガラックは音というより強い振動だったという。オドーに聞くシスコだが、オドーは覚えていません、何が起こったにせよここにいてはまずいという。早くステーションから出ましょうというと、それなら直接当局へ出向いて事情を説明するのが一番だというガラック。機密扱いの保安コードを知っています、それを言えば見た目はベイジョー人でも本当はカーデシア人だと納得させられるという。化けて諜報活動をしているといえばいいというが、オドーはシスコにテロックノール当局は助けるとは思えませんという。尋問を始めるに決まっています、正直言ってカーデシア人には尋問されたくありませんねというオドー。シスコも同意見だといい、未来から来たということがばれればという。その時ダックスがガル・デュカットが上にいるという。シスコが2階を見ると、デュカット※6がいて部下と話していた。場所を移ろうといい、歩き出すシスコたち。オドーは一旦立ち止まり、デュカットの方を見上げた。突然前から来たベイジョー人とぶつかるオドー。驚くオドー。そのベイジョー人はオドーをじっと見る。オドーを呼ぶシスコ。気づくとぶつかったベイジョー人は消えていた。
来たオドーに、あれは誰だと聞くシスコ。知りませんというオドー。君の前任者だぞというガラック。ああそっちか、デュカットの隣の奴、あいつはスラックス※7といって私の前に保安チーフをしていた男ですという。ということは今は9年前ということねというダックス。その時、一緒に来いといってカーデシア兵士※8がダックスを捕まえた。何をしたんですと聞くシスコに、まだ何もという兵士。ガラックは近寄り、勘違いしてるんじゃないですか、失礼ですがベイジョー人の女性を逮捕するよりも、ずっといいお金になる話があるというガラック。ラチナムかと聞く兵士に、板2枚という。どこにあると聞かれ、その前に友人を離して頂きたいというガラック。デュカットやスラックスたちが気づき、こちらを見ている。するとその兵士はいきなりガラックを殴り倒した。首元をつかみ、うまそうな話だ、次は乗ってやるがこの女は選ばれたんでなという兵士。心配しないでといい、ダックスは連れて行かれた。鼻血を流すガラック。
ガラックの横を通ったウォーフは、ベシアを呼んだ。寝ているガラックから、鼻血が流れていた。

※4: 名前は Belar (ヴィクター・ビヴァイン Victor Bevine VOY第130話 "Pathfinder" 「遥か彼方からの声」の保安部員、映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」の保安部員、ENT第50話 "First Flight" 「運命の飛行」の管制官役)

※5: plasma storm プラズマ分裂 (plasma disruption) とも呼ばれます。DS9第24話 "Invasive Procedures" 「突然の侵入者」より

※6: Gul Dukat DS9第99話 "Apocalypse Rising" 「可変種の脅威 第二幕(後)」以来の登場

※7: サラックス Thrax (カートウッド・スミス Kurtwood Smith VOY第76・77話 "Year of Hell, Part I and II" 「時空侵略戦争(前)(後)」のアノラックス (Annorax)、映画ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」の連邦評議会議長役) 声:仲木隆司

※8: (Brenan Baird)


モニターでガラックの破れた毛細血管を調べ、デルタ波のパターンの異常も同時に起きているというベシア。しかし出血は何らかの心身症的な症状だと思うという。殴られたと思うだけで血が出るかというウォーフ。ベシアは人間の心は体に影響を及ぼす、精神的な刺激が原因で血圧や体温が変化したり腫瘍ができてしまうこともあるという。命にダメージを与えることはあるのかと聞かれ、いくらなんでも骨を折ることはできないが、心臓を止めるとか血管を破裂させることは可能だろうというベシア。一体原因は何なんだと聞くウォーフに、何度も言うようで悪いけど、わからないんだとベシアは言った。
カーデシア人によって居住区のゲートが閉められた。女は選ばれたと言っていたが、何に選ばれたんだというシスコ。無差別尋問か強制労働所送りか、何とも言えませんというオドー。ダックスはどこへ連れて行かれたんだというシスコに、ガラックはダックス少佐を助け出す前に、我々が何者なのかを確かめる必要があるという。端末で身元照会スキャンをかければいいというが、テロックノールでは一般人はコンピューターは使えませんというオドー。ならカーデシアのコムリンクを使えばいいでしょうというガラック。オドーは鼻で笑うが、ガラックは2人を荷物の影に連れて行った。さっき私の鼻の形を直して下さった紳士から、無断で借りたといい取り出した。今度君の記録にスリという項目を足しておかなきゃならんなというオドー。ガラックは単なる趣味ですよといって、操作し始めた。それに仕立て屋がなぜか機密扱いという保安コードを知っているのも実に興味深いというオドーに、面白いでしょう、鼻の痛みがこれほどひどくなきゃ保安コードを知ったいきさつを喜んで話してあげたいところですがねというガラック。まずシスコから身元が明らかになる。ベイジョー人で職業は電気技師、年齢は38歳、犯罪歴はなく家族はラカンサ地区※9に住んでおり、名前はイシャン・チェイ※10という。コムリンクに顔写真が映し出される。ガラックは芸術家、治安を乱したかどで3回の逮捕歴があり、どうやら危険分子らしい。同じくラカンサ地区に住んでいて名前はジラール・グエタ※11だという。次にオドーはというが、オドーは自ら簿記係だという。年齢は46歳、妻と2人の子供がラカンサ地区に住んでいる、名前はティモール・ランディ※12だというオドー。その通りというガラック。なぜわかったとシスコが聞く。だがオドーは何も答えない。するとそこの3人、ありがたく思えよといって声をかけてくる者がいる。クワークだ。今日は仕事にありつける、しかもこのステーションで一番素晴らしい職場で働けるという。つまり俺の店だ、勤務時間は12時間、5分間の休憩が2回、報酬はラチナムの板1枚だと何かをつまみ食いしながら説明する。さあ行こうという。どう答えていいかわからないシスコたちに、聞こえないのか、仕事をやるっていってるんだというクワーク。何ぐずぐずしてるんだという。すいません、どちらへ行けばいいですかとシスコは言い、3人はクワークに近づく。クワークはカーデシア人に門を開けさせ、ではまずご丁寧にも開けて頂いたゲートから外に出てもらいましょうという。3人は外に出た。結構、しかし浮世離れした奴らだなというクワーク。次にプロムナードを歩いてバーまで参りましょう、手を引いてやろうか、一人で大丈夫かと言っている。大丈夫ですというシスコに、助かるといい歩き出すクワーク。オドーはシスコに、クワークがもし事故に遭ったりしたら歴史にどれくらい影響するんでしょうという。わからないな、ちょっと実験をして試してみるのもいいかも知れんなとシスコは言った。
デュカットのいる司令官室に、ダックスが連れられてきた。名前を聞かれ、ダックスはリータだと名乗る。話す時は私の顔を見て話せというデュカット。指で示され、ダックスはその場で一回転した。部下に下がらせるデュカット。カナール※13をと言うデュカットに、テーブルにおいてあった瓶から注ぐダックス。2人分だというデュカット。カナールを飲んだことはあるかと聞き、ダックスがいいえと答えると試しに飲んでごらんという。ダックスの手を見て、震えてるのかというデュカット。グラスを受け取り、何を聞かされたかは知らんが私は公平な男だという。気を楽にしなさい、何も恐れることはないというデュカット。乱暴するために君を呼んだのではないという。じゃあなぜですかと聞くダックス。デュカットは立ち上がり、これを聞いたら驚くだろうが、司令官というのは孤独な地位だという。人の上に立つ以上誰にも弱音は見せられない、だから話し相手が必要なんだという。即ち、友人がねといった。私があなたの友達にと聞くダックスに、皮肉なものだな、心の内をさらけ出す相手として、ベイジョーの女性を選ぶとはというデュカット。だが私をよく知れば、複雑な男だとわかってもらえるはずだという。確かにイメージとは違ったというダックス。デュカットはまずはそこから理解して欲しいと言った。乾杯し、カナールを飲む2人。
クワークの店で、ガラックは皿の片づけをしている。カウンターを拭いているシスコに、我々がこんなに食べ方が汚かったとは、占領時代はもっと清潔だったという印象があったというガラック。それは誰かが後始末をしてくれていたからだというシスコに、カーデシア人よりベイジョー人の方がこういう仕事に向いているんですというガラック。人に仕えるのに向いているんでしょうねという。元の次代に戻ったらキラ少佐にそう伝えようというシスコ。ガラックはもちろん何にでも例外はありますと言った。オドーも皿を運んできた。ふと店の外を見ると、3人の男が並んで歩きながらオドーの方を見ている。オドーは震えながら、慌てて皿をカウンターに置いた。大丈夫かと聞くシスコに、臭いで気持ちが悪くなってというオドー。何で自分はティモール・ランディだとわかった、この過去の世界でと聞くシスコ。オドーは3人の名前を占領時代の保安部のファイルで見たことがあったからです、ティモールとイシャンとジラールは、プロムナードでガル・デュカットを殺そうとして捕らえられた3人の名前なんですと言った。暗殺を試みた者は大勢いたろうというシスコ。オドーはこの3人は無実で、当時は無実だとわからなかったため、デュカットは見せしめのためにプロムナードで公開処刑をしたという。3人ともだ。じゃもし我々がというガラック。その3人がデュカットに殺される前に逃げ出さなければとシスコは言った。

※9: Rakantha Province DS9第70話 "Shakaar" 「シャカールの乱」に登場

※10: Ishan Chaye

※11: Jillur Gueta

※12: Timor Landi

※13: kanar カーデシア人が好みます。DS9第42話 "The Wire" 「義務と友情」など


クワークのところにスラックスがやってきた。今朝お前を尋ねてタラヴィアン※14の貨物船の船長がやってきたはずだという。リヴァラ※15船長とか言う名前のというが、今朝は客が多かったもんでね、忙しい1日だったというクワーク。リヴァラの名前は知ってるだろう、悪名高い密輸業者だというスラックス。クワークはまさかあんな感じのいい人がといい、人はみかけによらないというけど本当だなという。スラックスは、巷の噂ではオブシディアンオーダーがここ数ヶ月監視していたそうだという。これも噂だが、リヴァラに協力していた者は次々に捕らえられて、尋問を受けているという。クワークはあくまで噂なんだろうという。スラックスはそうだ、噂は当たるといい、もしオブシディアンオーダーからこのステーションにおいてリヴァラの交友関係について問い合わせがあったら、なんてという。バーには10分いただけだ、マラジクリスタルを買わないかって言われたが、断ったというクワーク。相手にしないスラックス。クワークはマラジクリスタル※16は商売にならない、カーデシア人の好みに合わないしベイジョー人には買える金が無いという。だからすぐにお引きとり願った、わかったかという。その話を聞いているシスコたち3人。スラックスはそれだけかという。そうだというクワークに、ならいいが、クリスタルの違法取り引きをしている証拠をつかんだらオーダーに突き出してやるぞといい、歩いて行った。望むところだというクワーク。
オドーに、あのクワークを黙らせるのは君だけじゃなかったんだなというシスコ。ガラックはしかし変だな、リヴァラの話をしてましたねという。シスコに聞き覚えがあるのかと尋ねられ、ただの密輸業者ではなくロミュランのスパイだが、この星域で活動を始めたのは7年前だというガラック。保安チーフはスラックスではなくオドーのはずです、この矛盾が気になって日付を調べてみたらやはり今は7年前ですという。スラックスがいるのはおかしい、保安チーフはオドーのはずだという。オドーは矛盾を追求しても始まらない、ステーションを出る方法を見つけるのが先決ですという。それはそうだというシスコ。ガラックは異議はありませんが、どうやってという。シスコはベイジョーのレジスタンスと連絡を取り、ステーションから逃がしてもらって連邦と接触するという。キラが教えてくれたんだが、テロックノールでレジスタンスと連絡を取りたい時に使う合図があるとシスコは言った。仕事が終わったらベイジョー人居住区に戻って試してみようというシスコに、わかりましたというガラック。オドーもうなずいた。
一人一人チェックを受け、居住区に入る。シスコはおもむろに置いてある花瓶に近づくと、それを逆さまに置いた。配給のスープをもらい、テーブルにつく3人。しかしベイジョー人っていうのはセンスが悪い、花瓶をひっくり返せばレジスタンスが来るとはというガラック。単純でわかりやすいというオドー。シスコはカーデシア人の目の前で何年も続いたという。私の目の前でじゃありません、彼のですよというガラック。見ると、ダックスと一緒にデュカットがやってきた。良かった、ダックスは無事だというシスコ。見て下さい、テロックノールの司令官殿だというガラック。ガルによくある保身ばかりを考えて、うぬぼれはたっぷりの能力はかけらもない男ですよという。だが彼は馬鹿じゃないというシスコ。デュカットの頭上には、何人ものカーデシア兵が見守っていた。その時オドーは自分の手が血まみれになっていることに気づき、スプーンを取り落とした。大丈夫かというシスコ。オドーの手は血も何もついていない。ええちょっと、手を滑らせてというオドー。そこへベイジョー人の男が同席した。過去へ来た時にシスコたちを起こした男だ。花瓶を見た、顔に出すなスープを飲んでという。デュカットがそこにいるのにいい度胸だなというシスコに、みんなデュカットが新しいガールフレンドを連れているのに気を取られているからなという男。スープは嫌いなんだ、全部飲み終わるまで付き合いたくない、用があるならさっさと言ってくれという。シスコはステーションから出たいといった。周りを伺い、なぜだと聞く男。理由がいるのかと聞くガラックに、当たり前だろ、運送会社じゃないという。薬や女や密輸がらみのトラブルで逃げたいのなら手助けできないという男。だがばか面※17を殺したのならというと、ガラックがばか面だとと怒った。ガラックを黙らせるシスコ。殺したのなら話は違ってくるという男。シスコがこれは仮の姿なんだというと、そうか、くだらない話で時間を無駄にするなという。シスコは連邦と関係があるという。艦隊のスパイだろう、ベイジョー人に化けて諜報活動に携わってるって言いたいんだろうという男。その時爆発音が響き渡った。ダックスを呼ぶシスコ。デュカットが倒れている。駆け寄ろうとするシスコに、いけません大佐と止めようとするオドー。男は逃げて行った。シスコは倒れているダックスに近づいた。ここにいたらいけません、ダックス少佐は奴らに任せて逃げましょうというオドー。だが、シスコもオドーも駆けつけたカーデシア人に捕らえられてしまった。ガラックも同じだ。

※14: Talavians

※15: Livara

※16: maraji crystals

※17: spoon head カーデシア人を差別して呼ぶ言葉。そのまま「スプーン頭」とするとわかりますが、恐らく額のスプーン型の部分からだと思われます


大勢のベイジョー人が拘留室に入れられた。口々に文句を言っている。シスコたち3人も同じ部屋に入れられている。ガラックはせめて普通の犯罪者とは一線を画して、独房に入れてもらいたいねという。司令官を暗殺しようとしたかどで逮捕されたんだ、特別扱いして欲しかったと声を上げる。シスコは処刑の時は敬礼されるかもなという。スラックスがやってきて、一段とベイジョー人たちの声が大きくなる。静かにするように言い、持っていたパッドを操作する。カーラ・ポロス※18、ブリン・タスク※19、マラット・コバール※20には強制労働5年の刑、判決確定の裁判は17時から行うと告げるスラックス。ペンテン・ベックは罰金が払われたので釈放し、ローバル、ポレス、ロマラ、カレン、グラムは尋問のためベイジョーのカーデシア当局へ身柄を引き渡すという。そして3人の部屋の前へ来た。ティモール、イシャン、ジラール、2日前にラカンサ地区からやってきた3人だなというスラックス。お前たちは昨日薬剤師を訪ねた後プロムナードで寝込んだ、その後クワークに雇われ報酬をもらってベイジョー人居住区へ戻った後、ガル・デュカットの暗殺を企んだ、プラズマ手榴弾を投げつけてなという。シスコは爆発の時は3人ともテーブルで食事をしていた、目撃者もいるという。誰も名乗りでまいというスラックスに、見ず知らずの他人のために誰が命をかけます、目撃者を探して下さいというオドー。スラックスは標示スキャンを行ったところ、手からも衣服からも三塩化窒素※21が検出されたという。手榴弾に使われている物質だ。オドーは三塩化窒素は洗剤にも使われており、バーで皿洗いをしている時についたという。しかし皿洗いのチャンスを利用して、三塩化窒素を手に入れたんじゃないのかとスラックスは言う。お前たちは地下組織とも関係がある、いとこ3人はレジスタンスのメンバーだし、友人5人はレジスタンスのシンパじゃないかとガラックにいう。50年も占領が続いていれば、どんなベイジョー人だって一人や二人知り合いに活動家がいるでしょうというオドー。スラックスは騒いでいたほかのベイジョー人を黙らせると、そうかもしれない、だがお前は爆発の後ガル・デュカットに走り寄った、ほかの者は逃げたのにという。爆発で倒れたので友人が気になったのですというシスコ。スラックスは護衛からの報告によれば、ガル・デュカットに馬乗りになり首を絞めたそうじゃないかという。そんなの嘘だというガラック、護衛を自分で尋問して下さいというオドー。報告を鵜呑みにしないでという。スラックスはカーデシア軍部に属する者を尋問することはできないという。なら手榴弾の弾道分析をやって下さい、手榴弾の残骸を調べれば、座っていたところから手榴弾が投げられたのではないということがわかるというオドー。もう一度スラックスはベイジョー人を黙らせ、お前たちが有罪である証拠は揃っているという。オドーは全て状況証拠でしょう、表面だけをみないで真相を掘り下げて調べて下さいという。いや、調査はもう終わりだというスラックス。午後裁判にかけられる、判決は法廷が開かれる前に言い渡されるといい、歩いていった。オドーはすがりつくように、話がある、頼むから私の話を聞いてくれというのだった。
もう十分だと、マッサージをしていたカーデシア女性にいうデュカット。ダックスが食事をしながら、気分はどうと聞く。この前の時よりはいい、命を狙われたのはこれで4回目なんだというデュカット。ほかの仕事を探したらというダックス。デュカットは笑い、そうかもしれんなという。食欲が出てきたようでよかったという。こんな食事滅多にないというダックスに、ベイジョー人居住区の食事の質を良くしなくてはならないと考えているという。しかしいくら私が君たちに親切にしようとしても、レジスタンスが水を差すというデュカット。本気でベイジョー人に優しくしたいと聞くダックスに、もちろんだ、ベイジョー人は言わば私の子供のようなものだという。父親としてよくしてやりたいと思うのは当然じゃないかという。だけど今でもそう思える、子供から殺されそうになってもと聞くダックス。子供の非行は親の責任だ、私の欠点なんだよ、ついつい甘やかすんだなというデュカット。心が広すぎてといったその時、ダックスは後ろからデュカットを殴り倒した。コンピューターを操作しながら、うぬぼれもほどほどになさいというダックス。
確かにそうです、カーデシア人には見えない、でもこれはベイジョー人になるため整形したんですというガラック。でももし遺伝子スキャンをしても細胞組織にカーデシア人のDNAがなかったらと話を続けている。シスコはスラックスが知りたいといった。どんなことをですと聞くオドーに、経歴が知りたい、なぜかしら引っかかるという。一般にカーデシアの保安士官がもつ野蛮な雰囲気が欠けている、なぜスラックスだけああなんだというシスコ。オドーはわかりません、私が来た時はもう彼はいませんでしたからという。それも気になることの一つだ、なぜスラックスがいるというシスコ。ガラックが言うには今はオドーが保安チーフのはずだからだ。私が知っているのに何か隠しているとおっしゃるんですかと聞くオドー。そうじゃない、君はきっと自分が思うより多くを知っているはずだ、かつて君は住んでおり保安部のチーフは君だったはずだというシスコ。考えろ、君と私たちの身に起こったことは関連があるかもしれんという。すると突然音がし、部屋の壁が明るく燃え出した。穴が空き、ダックスがお待たせと言った。逃げ出す3人。
周りを伺いながら、通路を歩く。デュカットのシャトルが第3ドックにあるというダックス。警備システムはと聞くシスコに、コンピューターで撹乱させてきたから大丈夫という。そこへスラックスたちが現れ、待てという。隙を突かれ、ディスラプターに撃たれてしまうダックス。オドーたちはカーデシア人と闘う。ガラックはダックスが持っていた銃を拾い、オドーの相手を撃った。シスコはスラックスと殴り合っていたが、何とか打ちのめした。だがその時、スラックスは液体状に体を変化させ、天井から逃げてしまった。シスコたちは倒れていたダックスを起こし、逃げ出す。可変種とはというガラックに、後で考えようというシスコ。
そこのはずというダックス。扉を開け、エアロックに入った。しかし次の瞬間、4人は拘留室にいた。判決が下った、お前たちの処刑は19時に執行されるというカーデシア人。今から2時間後だといい、歩いて行った。

※18: Kara Polos

※19: Brin Tusk

※20: Marat Kobar

※21: trinitrogen chloride


オドーは落ち着きがなく、歩きまわっている。作戦は失敗した、きっと逃げても無駄なのよというダックス。シスコはなぜ可変種がいるんだ、まだ創設者たちはワームホールを知らないという。わからないというオドー。スラックスが流動体生物だったこともさておき、なぜここに戻ってしまったんですというガラック。またわからないというオドー。教えてよというダックスに、なぜ私に聞くんですかという。シスコはプロムナードで目が覚めてからずっと様子が変だったといい、何かに気を取られ落ち着きがなかったという。しかも私たちの身元を知っていたというガラック。事件の詳細も知っていたというシスコ、それは当時ステーションにいなければ知らないことだというガラック。全ては君につながっているんだ、隠さないで言ってみろというシスコ。すると私に会いたいと言ったなといい、スラックスがやってきた。急用だというオドー。スラックスはフォースフィールドを解除し、オドーを外に出した。
話は聞くが、あまり時間がないというスラックス。君は大きな間違いを犯しているというオドー。4人とも無罪なのかと聞くスラックスに、そうだ、証明もできると答え説明を始まるオドー。今度の爆破事件を最近のものと比較すると、ムシラ地区※22で起きた4つの事件とそっくりなんだという。だが犯人は我々じゃないというオドー。それでは証明にならない、カーデシアの裁判では被告が無罪を証明するんだというスラックス。今回は有罪とするに十分な証拠があった、よって調査は終わりだという。オドーは君の仕事は真実を見出すことで、有罪の判決を得ることじゃないだろうという。真実な、そんなに大事かというスラックス。なら言ってやる、君たちベイジョー人がカーデシア人に敵対しなければ、誰もこんな目に遭わなかったという。あきらめろ、占領は50年も続いてきた、さらに50年続くだろうと言うスラックス。オドーはそれはどうだかわからないという。なぜしつこく逆らうんだと聞くスラックス。ベイジョー人が歴史における自分の立場をわきまえれば、こんなことは起きなかったという。今はデュカットの暗殺について議論をしている、レジスタンスの社会的・政治的意味を話しているんじゃないというオドー。根っこは同じだ、ベイジョー人の行動はテロリズムであり、暴力だ、君たちはオーダーに刃向かい社会の秩序を乱し法の支配に逆らっているというスラックス。そういう行為は許されないという。オドーは法に従うだけが人の生きる道じゃないという。スラックスは経験から言わしてもらえば、罪を犯した者だけが口にする言葉だなと言った。オドーは歴史が変わるかもしれないからこのことは言いたくなかった、だが私たちはテロリストでもベイジョー人でもないという。時空の乱れに巻き込まれてここへ来た、この時代の者じゃなく本当は未来から来たんだと話すオドー。スラックスは知ってるさと言った。ならこれからどうするんだと聞くオドー。私がこれからすることは、歴史に定められたことだとスラックスはいう。だが問題は君がどうするかだよ、オドーと言った。
次の瞬間、オドーは別の場所にいた。ガラック、ダックス、シスコが並んで立ち、その前に銃を持ったカーデシア人がいる。こちらを見つめる3人。隣にはスラックスがいて、今となってはもう助けられないという。なぜ私がいないというオドー。処刑されたのは3人だ、忘れたのかというスラックス。デュカットもいて、これが自分たちの保護者に対して武器を向けた報いだ、私は諸君のためを思っているだけなのにという。彼らは無罪だ、何もしていないというオドー。事件は起こってしまったというスラックスに、それに人が違う、この3人じゃないという。刑を執行せよと命じるスラックス。シスコの前に兵が立ち、銃を向けた。よせ、二度と過ちは犯さないというオドー。兵士の持っていた銃を払い落とし、スラックスに向き直ってこう言った。「処刑させないぞ、チーフは君じゃないんだ、私だった。」
オドーの服がいつもの服に戻っている。シスコたちもだ。銃を発射する音がした。少し離れたところで、ひざまずいた3人の男が順に撃たれている。横にはカーデシアの服を着たオドーが立っており、その様子を見ていた。オドー同士がみつめあう。そしてカーデシア兵や倒れた3人、もう一人のオドーは消えた。話してくれというシスコ。オドーはこれが7年前に起こった出来事ですと言った。君の管理下でかと聞くシスコに、そうです、プロムナードの保安チーフでしたというオドー。オドーがあの3人に無実の罪を被せてしまったのだ。デュカットに引き渡してしまったんです、処刑後3日でデュカットの時に似た爆破事件が起こりましたというオドー。ティモールもイシャンもジラールも、無実だったんですという。無実の証拠は揃っていた、逮捕した護衛の報告は矛盾だらけだったし、爆破のパターンも弾道も、調べればすぐわかることだったと声を震わせる。それなのに私は多忙で、秩序の維持と法の遵守だけしか頭になかったというオドー。自分は特別だと思っていた、何よりも正義を重んじ、間違えることなどない流動体生物だと、しかし間違えた、そのことを誰にも知られたくなかったと話す。でも7年前、私は3人の無実の男を死なせたんですと言った。すると、シスコたち3人はゆっくりと消えた。ため息をつくオドー。
オドーはベッドの上で目を覚ました。起きたかい、大丈夫、元に戻ってきたんだというベシア。シスコたちも次々と起きてきた。
保安室。ベシアは君たちは偉大なるつながりに閉じ込められてしまったらしいという。なぜ今さら私が、もう人間なのにというオドー。ベシアは思っているほど人間じゃないといい、パッドを渡した。脳を神経科学スキャンしたところ、流動体生物にしかみられない形態形成酵素※23の名残がまだ認められたという。シャトルがプラズマ嵐にぶつかった時、その酵素が活性化してテレパス反応が起きたのかというオドー。ベシアは君の精神はほかの仲間とつながろうとしたが、いたのはシスコとガラックとダックスだったという。プラズマ嵐に突っ込む前、処刑のことを考えていたというオドー。きっとつながりにいることで記憶が蘇り、自分のしたことを認めさせたんだという。面白い論文が書けるだろうなというベシア。僕は書こうとは思わないけどねと付け加えた。
キラがやってきた。何か聞きたいことがあったら、医務室にいるからといってベシアは出て行った。キラは報告書を読んだ時、何も考えられなかったという。自分にこう言ったという、いいのよネリス驚いて当然、落ち着くには時間がかかると。もう2日経ったけど、まだ言葉が見つからないとキラは言う。私は罪人、ほかに言葉はないというオドー。キラはあるかも知れない、あなたを信じてたという。みんなそう、あなたは特別だったという。誰にも媚びず超然としていた、正義を貫く人だって思ってたのにと言うキラ。今や私はどこにでもいる、過ちだらけの人間ですというオドー。キラはうなずき、私だって過ちだらけという。あの占領時代を生き抜いてきた人間は誰でも、過ちを背負っているという。でも一つ聞きたい、あなたの裁きで死んだ無実の人はほかにいない、3人だけだといってと言うキラ。オドーは断言はできない、そう願うだけですというのだった。

※22: ムシラ地方 Musilla Province ベイジョーの地名。DS9第101話 "Looking for Par'Mach in All the Wrong Places" 「クワークの再婚」より

※23: morphogenic enzyme


・感想
決して曲がったことをしないと思われていたオドーでしたが、実は過去に過ちを犯していたことが明らかになります。占領時代のテロックノールや隠された過去という点で、第28話 "Necessary Evil" 「殺しの密告者」と似ている点があります。その話の過去のシーンは、単に回想でしたが…。これも創設者がオドーに科した「罰」なのでしょうか。


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