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映画ガイド
第8作「ファースト・コンタクト」(1)
Star Trek: First Contact

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[その1 | その2 | その3]

・2. ロキュータス
※1※2※3目。
それはピカードのものだった。
機械的な声が聞こえる。
アルコーヴに入っている、古い制服のピカード。
周りにもボーグが並んでいる。
どこまでも広がる機械的な構造。

ボーグ艦の中で、各々活動するドローン※4

ピカードが手術を受ける。

立っているピカードはうめいた。

女性の声。『ロキュータス。』
同化が終わったピカードつまりロキュータスは、目の横についている赤いライトを向けた。

話すロキュータス。「私はボーグのロキュータス※5。抵抗しても、無意味だ。」

ピカードの目に、細いドリルが近づく。
瞳に突き刺さる。

作戦室※6のピカードは目を開いた。現在の制服※7だ。
ため息をつく。

洗面台で顔を洗う。鏡の自分を見つめた。
頬の下で、何か動いているようだ。突然皮膚を突き破り、放射状にインプラントが現れた。
叫ぶピカード。

椅子で寝ていたピカードは目を覚ました。コンソールが音を発し、立ち上がってきている。
「通信を受信」と表示されていた。
ピカード:「認識コード、ピカード・4・7・アルファ・タンゴ※8。…ヘイズ提督※9。」
映された提督。『今は都合が悪かったかな?』
ピカード:「いえそんなことは。」
ヘイズ:『ついさっき、ディープ・スペース・ファイブ※10から報告が入った。…今朝アイヴォール・プライム※11の植民地が破壊された。長距離センサーが探知したところでは…』
「…わかってます。ボーグですね。」


※1: チャプター1 はオープニングクレジットのみ

※2: この作品は 1996年度アカデミー賞のメーキャップ賞、および 1997年度ヒューゴー賞にノミネートされました

※3: ライカー役ジョナサン・フレイクスの映画初監督作品です。これまでに TNG 8話、DS9 3話、VOY 3話を手がけました (参考)。第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」も

※4: ボーグ Borg
ボーグ役でクレジットされているのは、以下の 7人。(ドン・フィッシャー Don Fischer)、(アンドリュー・パーマー Andrew Palmer DS9第129話 "Favor the Bold" 「ディープスペース・ナイン奪還作戦(前編)」のジェムハダー兵士 (Jem'Hadar Soldier)、VOY第147話 "Unimatrix Zero, Part II" 「聖域ユニマトリックス・ゼロ(後編)」の隔離ドローン (Errant Drone) 役。ゲーム "Klingon Academy" でも声の出演)、(ロバート・L・ゼイチャー Robert L. Zachar DS9第99話 "Apocalypse Rising" 「可変種の脅威 第二幕(後編)」の護衛長 (Head Guard) 役)、(J・R・ホースティング J.R. Horsting)、(ジョン・デイヴィッド・ウェイガンド Jon David Weigand)、(ハインリッヒ・ジェイムズ Heinrich James)、(ダン・ウォレン Dan Woren)。判別は難しい上に、少ない人数で多く見せるのが製作陣の意図でもあるため、ここでまとめて掲載します。いずれもセリフなし。そのほかにもボーグのスタントとして 10人がクレジットされ、24体のダミーが使用されています。ボーグとしては 8体が撮影に使われ、メイクは以前のテレビでは 1〜2時間だったものが 5時間かかります。午前2時から準備を始め、スーツに入るのに 30分、メイクを落とすのにも 90分かかったそうです。後にアルコーヴなどを含めて、VOY やジ・エクスペリエンスのアトラクションで流用されます。ボーグの目にあるライトは、モールス信号でスタッフなどの名前 (リック・バーマン、パラマウントの Sherry Lansing、プログラムしたマイケル・ウェストモア・ジュニアが飼っている犬 Bonnie など) を発しているそうですが、画面上で判読することは難しいと思われます

※5: Locutus of Borg
TNG第74・75話 "The Best of Both Worlds, Part I and II" 「浮遊機械都市ボーグ(前)(後)」より

※6: 椅子にはミンタカ人からもらったタペストリーが掛けられています (TNG第52話 "Who Watches the Watchers?" 「守護神伝説」)。後のシーンではシェイクスピアの書物類も映ります

※7: 初登場の黒いタイプ。部門の色分けは首元のシャツで区別されます。DS9 では第108話 "Rapture" 「預言者シスコ」から導入されました (宇宙暦で言えば今作の方が後)

※8: Picard 4-7-alpha-tango
保安アクセスコード (security access code) の一つ

※9: Admiral Hayez
(ジャック・シアラー Jack Shearer DS9第17話 "The Forsaken" 「機械じかけの命」の Vadosia、第63話 "Visionary" 「DS9破壊工作」のルワン (Ruwon)、VOY第21話 "Non Sequitur" 「現実への脱出」のストリクラー提督 (Admiral Strickler) 役) 初登場。共同脚本ブラノン・ブラガのおじ、ジャックにちなんで。声:水野龍二 (ストリクラーと同じ)

※10: Deep Space 5
TNG第163話 "Parallels" 「無限のパラレル・ワールド」より

※11: Ivor Prime

・3. 中立地帯“なぜ我々が” 〜 4. ボーグとの遭遇 〜 5. 時間の渦“過去へ”
通常飛行中のエンタープライズ、NCC-1701-E※12
『航星日誌、宇宙暦 50893.5。私が 6年間恐れてきたことがついにやってきた。最強の敵ボーグが、ついに連邦への侵略を開始したのだ。今回は、彼らを止めることはできないかもしれない。』
観察ラウンジ※13のライカー。「船は何隻。」
ピカード:「一隻だ、真っ直ぐ地球に向かっている。一時間で連邦の境界線を越えるだろう。提督は、タイフォン星域※14へ艦隊を出動させた。」
データ:「最大速度でワープすれば、3時間25分で…」
「我々は行かない。」
ライカー:「『行かない』ってどういう意味です。」
「我々は中立地帯をパトロールする。この事態に、ロミュランがつけ込んでこないよう監視するんだ。」
トロイ:「ロミュランが?」
データ:「艦長? ここ 9ヶ月、ロミュランとの境界線では何の不審な動きも見られません。ロミュランが今攻め込んでくるとはまず考えられませんが?」
クラッシャー:「まだ実戦には出せないって思ってるのかしら。」
ラフォージ:「艦長、我々は宇宙に出てもう一年です。出動しましょう。我らがエンタープライズ-E は、宇宙艦隊の最新鋭艦じゃないですか。」 ヴァイザーはつけていない※15
ピカード:「私も司令部に命令を再確認したが、命令は変わらなかった。……ではライカー、中立地帯へ針路を取ってくれ。」 立ち上がる。

作戦室。
大音量で音楽が流されている。そのせいで揺れるチップ群。
ピカードは外を見つめていた。ドアの開く音がした。
ライカーも窓に映る。
目を開いたピカードは、音楽を止めた。
ライカー:「ビゼー※16ですか。」
ピカード:「ベルリオーズ※17だ。その報告書は。」
パッドを渡すライカー。「中立地帯をセンサーで一掃探査した結果です。」
ピカード:「…実に素晴らしいな※18。一立方メートルにつき宇宙塵 20粒子。紫外線放射、52スパイク加えて第2級の彗星が一つときた。こいつは心してかからないといけないな。」 パッドを投げ置く。
「…何で我々がこんな無意味な任務を。」
「こういうことだ。司令部はエンタープライズとその乗組員には全幅の信頼をおいているが、問題は艦長だ。…私はかつてボーグに捕らえられ改造された。そんな過去をもつ私がボーグと再び相まみえる。それはまずいというのだ。」
ため息をつくライカー。
ピカード:「そんなことをすれば、危機的な状況に不安定要素が入ってくることになるというわけだよ。」
ライカー:「そんなのバカげてます。ボーグとの戦闘経験がある、あなたこそ最適な指揮官なのに。」
「提督はそうは思わないらしい。」
※19トロイの通信。『ブリッジよりピカード艦長。』
ピカード:「どうしたんだ?」
『艦隊から通信が入りました。ボーグと戦闘が始まったようです。』

ブリッジ※20に戻るピカード。「データ、艦隊交信周波数を 1486 に合わせてくれ。」
データ:「了解!」
通信が聞こえる。『旗艦よりエンデヴァー※21へ、A-15 地点に出動し待機せよ。』『ボーグの圧倒的な攻勢の前に、全滅寸前です!』『戦闘配置につけ。』『ディファイアントとボズマン※22は撤退し、第1地点へ出動!』『了解!』『もう目で見える距離です。ボーグ・キューブ発見、コース 0、マーク 215。速度はワープ9。』
ボーグの声※23だ。聴き入るピカード。『我々はボーグだ、防御スクリーンを下ろし降伏せよ。お前たちの生物的特性と科学技術を、我々のものとする。それに付け加えお前たちを我々の文化に従属させる。抵抗しても無意味だ。』
再び宇宙艦隊の通信。『全ユニット攻撃開始、スクリーン周波数を変調しろ。防御ラインが破られた。ボーグ・キューブはコースを変えつつある※24。』 爆発音が響く。『コース 021、マーク4…』『補助ワープドライブ始動。』『旗艦より宇宙艦隊司令部へ。援軍願いたし。繰り返す、至急援軍願いたし…』『…ほかに 16隻破壊され…』『艦長、直ちに応答せよ…』『レキシントン※25での死者は 96人、負傷者は 22人に上りこれ以上の戦闘は無理…』『司令官※26、ワープコアに亀裂が入りました…』
立ち上がったピカードは、通信を止めた。「ホーク※27。…コースを地球に設定。」
操舵士官のホーク。「了解。」
ピカード:「最大速度でワープ。…私はこれから艦隊の命令に逆らうつもりだ。諸君の中で異議がある者は申し出て欲しい。航星日誌に書き留めておく。」
誰も声を上げない。
データ:「艦長。私達の気持ちは、みんな一つにまとまっています。……命令なんかクソ食らえです。」
微笑むライカーたち。
ピカード:「…非常警報、総員戦闘配置につけ。…発進せよ。」
エンタープライズは、ワープに入った。

ボーグ・キューブ※28が進み続ける。先に見えるのは、地球。
その船体に光子魚雷が浴びせられた。フェイザーを発射する U.S.S.ディファイアント※29
壊れた船の破片が漂う。艦隊に向けてビームを発射するボーグ艦※30
ディファイアントの中では、何人ものクルーが倒れていた。
起き上がるウォーフ※31。「報告せよ。」
操舵士官※32:「メインパワーがダウン。シールド※33も消滅。武器も全て破壊されました。」
コンソールを叩くウォーフ。反応はない。「…今日が死ぬにはいい日かもしれんな。速度を上げろ、突っ込んでやる。」
操舵士官:「宇宙艦隊の船がやってきます。…エンタープライズです。」

攻撃を受けるディファイアント。その前に立ちふさがるように、エンタープライズが現れた。
ライカー:「ディファイアントはもう駄目です。」
ピカード:「ブリッジより第3転送室。ディファイアントの生存者を救え。」
「提督の船は破壊されたようです※34。」
「…ボーグ・キューブの状態はどんなだ。」
データ:「外側の船体に大きな損傷が見られ、パワーグリッドが不安定になっています。」
「スクリーンへ。」
メインスクリーンが起動し、外の様子が映る※35。激しく続く攻防。
ピカードは、ささやくようなボーグの声を耳にした。ピカードを見るライカー。
ピカード:「ライカー、艦隊へチャンネルを開いてくれ。」
ライカー:「チャンネル開きました。」
「エンタープライズのピカードだ、これから私が指揮を執る。…諸君の武器の照準を全てこの座標に合わせてくれ。」 ピカードは入力した。「合図で攻撃せよ。」
データ:「艦長? いま示された座標は重要なシステムではないようですが?」
「私を信じろ。」
ライカー:「…応答あり、艦隊準備 OK です。」
ボーグ艦を見つめるピカード。さらに爆発する仲間の船がいる。
ピカード:「攻撃せよ。」
フェイザーを発射するエンタープライズ。他の船※36も同様に、ボーグ・キューブのある一個所を攻撃していく。
フェイザーと光子魚雷、さらにエンタープライズの量子魚雷※37も注がれる。
爆発していくボーグ艦。すると一個所が円形に開き、球状の小型船※38が飛び出した。
その船が逃げていく中、ボーグ・キューブは木っ端微塵になった。
※39ピカードは地球へ向かう小型船を見る。「ホーク、あれのコースを割り出せ。追跡だ!」
ホーク:「了解。」
ピカードには、再びボーグの声が聞こえる。
立ち上がるトロイ。「どうしました。」
ピカード:「…ボーグの声が。」
クラッシャーが来た。「患者がどうしてもブリッジへ行くって聞かないものですから。」
ウォーフだ。
ピカード:「エンタープライズへようこそ、ウォーフ。」
ウォーフ:「ありがとうございます。…ディファイアントは。」
「漂流しているが回収できるよ。」
ライカー:「小さいがタフだ。」
ウォーフ:「『小さい』?」
ピカード:「…頼むぞ、今は一人でも多い方が助かる。」
コンソールに近づくウォーフに、ライカーは言った。「フェイザーの撃ち方は覚えてるか。」
ライカーを無言で見るウォーフ。ライカーは笑った。
地球に接近する球状ボーグ艦。
データ:「ボーグ・スフィアから、時刻測定粒子※40が出ています。」
ピカード:「時空のゆがみ※41を作り出す気だ。」
ライカー:「タイムトラベルか。」
ボーグ・スフィアの前にゆがみが現れる。その中に消えてしまった。
エンタープライズも、その余波の中に巻き込まれる。
ピカード:「データ、報告せよ。」
データ:「一時的に、衝撃波に捕らえられたようです。」
ウォーフ:「艦長。地球が。」
青い地球の色が、黒く変わっていく。
データ:「大気圏には高濃度のメタン、一酸化炭素、フッ素が存在しています。」
ピカード:「生命反応。」
「人口はおよそ 90億です。しかし…全員ボーグです。」
トロイ:「どういうこと。」
ピカード:「ボーグが過去に戻って地球を征服・改造し、歴史を変えたんだ。」
クラッシャー:「歴史が変わったのに私達がいるのはなぜ?」
データ:「さっきの衝撃波のおかげで、時空の変化から守られたんでしょう。……時空のゆがみがなくなります。」
ピカード:「針路はそのままでいい。奴らの行方を突き止め、必ず元の地球に戻す。」
エンタープライズはそのままゆがみの中に入った。それと同時にゆがみも消滅する。


※12: ソヴェリン級 (Sovereign-class)。初登場。イラストレーター John Eaves デザイン、製作デザイナーのハーマン・ジマーマン監修。Rick Sternbach もイラストを担当、ILM 製作 (同社が関わるのは今回が最後)。3メートルの模型で、John Goodson 監修。窓から中の様子が見える部分もあります。一部では CG も使われていますが、模型が中心となるエンタープライズは今作が最後となります。U.S.S.ソヴェリンも存在すると推定されます。構想イラストでソヴェリン級の円盤部分離を描いているものがありますが、実際に可能かは未だ不明。TNG Technical Manual では、次世代エンタープライズのクラスとしてノヴァ級について書かれていましたが、実際にはソヴェリン級となりました。ノヴァ級は後に VOY第120話 "Equinox, Part I" 「異空生命体を呼ぶ者達(前)」で、U.S.S.イクワノックスが初登場します

※13: 窓はエンタープライズ-D と同じもので、TNG 初期にならって金色の船の模型が飾られています。実際にブリッジのセットと直結しているのは初めて

※14: Typhon sector
TNG第118話 "Cause and Effect" 「恐怖の宇宙時間連続体」で、タイフォン星団 (Typhon Expanse) が登場

※15: 今作よりなくなり、視覚インプラントに変わっています (脚注※2-41)。もしかすると前作 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」で、ヴァイザーが原因となって結果的にエンタープライズ-D が失われたせいかもしれません。演じるレヴァー・バートンが前から希望していたことでもありました

※16: Bizet
ジョルジュ・ビゼー (Georges Bizet、1838〜75年) フランスの作曲家

※17: Berlioz
エクトル・ベルリオーズ (Hector Berlioz、1803〜69年)。フランスの作曲家。聴いているのは「トロイアの人々 (トロイ人)」

※18: "Oh, Fascinating."

※19: ここからチャプター4

※20: エンタープライズ-D とは逆で、作戦室がスクリーンの右側に位置することがわかります。ブリッジは過去最大で、初代エンタープライズのデザインが踏襲されています。各コンソールが分離しており、中央を向いています。初めて平面モニターが導入されました

※21: Endeavor
U.S.S.エンデヴァー、ネビュラ級、NCC-71805。TNG第101話 "Redemption, Part II" 「クリンゴン帝国の危機(後編)」など。戦闘中に映るネビュラ級がありますが、エンデヴァーかは不明

※22: ボーズマン Bozeman
U.S.S.ボズマン、ソユーズ級、NCC-1941。TNG "Cause and Effect" など。画面上では登場していないと思われます

※23: 声はヴァルカン人役の中田さんが兼任。宇宙艦隊の通信には、アイガー役の沢海さんなどの声が聞こえます

※24: 吹き替えでは「変化しつつある」

※25: Lexington
U.S.S.レキシントン、ネビュラ級、NCC-61832。DS9第68話 "Explorers" 「夢の古代船」より。戦闘中に映るネビュラ級がありますが、レキシントンかは不明。吹き替えでは「旗艦」

※26: この辺り、原語では「こちらマディソン (Madison) のラドウィグ中佐 (Commander Ludwig)…」と言っています。U.S.S.マディソンのクラス、番号は不明

※27: ホーク大尉 Lt. Hawk
(ニール・マクドノー Neal McDonough 映画「マイノリティ・リポート」(2002)、ドラマ「バンド・オブ・ブラザース」などに出演) 階級は訳出されていません。声:古田信幸、DS9 ダマール、VOY ホーガンなど

※28: 模型は John Goodson 監修

※29: U.S.S. Defiant
ディファイアント級、NX-74205。DS9第47話 "The Search, Part I" 「ドミニオンの野望(前編)」で初登場。本来の設計目的である、対ボーグ戦が見られるのは今作だけです。CG と模型が併用されています。エンタープライズと比較すると、やたらに小さい (50m ぐらい?) のが変だという指摘もあります。当初は破壊される案もあったとか…。日本では DS9 第3シーズンが最初に放送された福岡FBS でさえ、映画公開後でした

※30: 非常にわかりにくいですが、このシーンに映画「スター・ウォーズ」シリーズのミレニアム・ファルコンが登場しているという噂があります。ボーグ・キューブの裏から出てきて、破壊されるアキラ級の下 (奥側) を左に飛んでいく船だそうですが…? (参考)

※31: 前年から DS9 に赴任しているため、このような登場となりました。このシーンなどでクリンゴンのテーマが使われています (映画 TMP "The Motion Picture" 「スター・トレック」)

※32: ディファイアント操舵士官 Defiant Conn Officer
(アダム・スコット Adam Scott)

※33: なぜか「防御スクリーン」という訳語と併用されています

※34: ヘイズ提督は後に VOY第94話 "Hope and Fear" 「裏切られたメッセージ」などに再登場しているので、脱出ポッドを使ったか他の船に収容されたかして生き延びたものと思われます

※35: 普段はただの壁で、以前とは異なります。ただし通常時に星が見えないのは不評だったせいか、第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」では旧来型のスクリーンに戻ります

※36: 左側から船が攻撃するシーンで、左下に大きく映るのは U.S.S.サンダーチャイルド (U.S.S. Thunderbird)。アキラ級 (Akira-class)、NCC-63549 (65549 は誤り)。H・G・ウェルズ作「宇宙戦争」に登場する架空の英国軍艦、H.M.S.サンダーチャイルドにちなんで。アキラ級は第二船体がなくワープナセルが下向きについているのが特徴。今作で最も多く、大きく登場します。日本のアニメ映画「AKIRA」にちなんで。特に上面図は、ENT のエンタープライズ NX-01 に酷似しています

サンダーチャイルドの左上に見えるのは、ノルウェー級 (Norway-class) 宇宙艦。円盤部の先が尖っているのが特徴。今作でしか登場しません (コンピューターの不調でデータが消えてしまったから、という話も)。参戦している同クラスの船には、U.S.S.ブダペスト (U.S.S. Budapest、NCC-64923) がいます (どの船かは不明)。ハンガリーの首都にちなんで

さらに右上に見えるのは、サーベル級 (Saber-class、Sabre という綴りもあり) 宇宙艦。円盤部の後ろが細くなっており、直接ワープナセルがついているのが特徴。ディファイアントをコンパクトに、というアイデアに基づいています。参戦している同クラスの船には、U.S.S.イェーガー (U.S.S. Yeager、NCC-61947。エンサイクロペディアの図では 81947 になっていますが、CGI では 61947 だそうです) がいます (どの船かは不明)。1947年 (番号下4桁の由来) に初めて音速を超えたテストパイロット、チャック・イェーガーにちなんで。直後に DS9 で U.S.S.イェーガー (型) が登場しているので、サーベル級イェーガーはこの戦いで破壊されたのかもしれません

その後のエンタープライズが量子魚雷を発射するシーンで、左上に見えるのはスチームランナー級 (Steamrunner-class) 宇宙艦。ワープナセルが船体と直結しているのが特徴。当初は 4本ナセルになる予定でした。参戦している同クラスの船には、U.S.S.アパラチア (U.S.S. Appalachia、NCC-52136) がいます (どの船かは不明)。以上の初登場 4クラスは全て CGI で、ILM の Alex Jaegar デザイン。一度にこれだけのクラスが導入されるのは初めてで、エンタープライズと混同しないようにあえて変わった形になっています。16種類の候補から絞り込まれました。そのほかネビュラ級、ミランダ級、オーベルト級も参加しています

※37: quantum torpedo
DS9第55話 "Defiant" 「奪われたディファイアント」など

※38: ボーグ・スフィア Borg sphere
初登場。模型は John Goodson 監修

※39: ここからチャプター5

※40: chronometric particles

※41: temporal vortex
テレビシリーズとは異なり、あえて単純な設定にしたそうです

・6. 地球 2063年
夜の集落※42。犬の鳴き声が聞こえる。
焚き火の前にいる者もいる。粗末な建物が並ぶ。
女性:「行きましょう。」
酒を飲んでいた男。「おやすみ、エディ※43。」 他の客を小突く。「早く帰れよ。」
女性:「そんなに飲んで後悔するわよ。」
「私のことはもうわかってるはずだろう。私は後悔しないタチでね? …さあリリー※44、もう一杯行こう…」
リリー:「※45もう十分飲んだでしょ、酔っぱらったパイロットと飛ぶなんてお断り。」
「…しかし素面じゃとてもじゃないが飛べないよ。」
空を見上げるリリー。「あれなあに?」
男:「…あれか? あれは確か獅子座だろう。」
「違うわ、あれ。」
移動している光点が見える。すると、そこから武器が発射されてきた。
こちらに向かってきている。
男と顔を見合わせるリリー。後ろの建物が吹き飛んだ。
隠れるリリー。「ECON※46 の奇襲よ!」
男:「こんな何年も経って?」
攻撃はやまない。逃げ出す人々。
リリー:「フェニックス※47へ行かなくちゃ!」
男:「…フェニックスなんかほっとけ。」
自転車で走っていた人が、吹き飛ばされる。
高い建物の上から指示する者。「急げ、みんな避難しろー!」
そこも狙われ、落とされてしまう。

エンタープライズが時空のゆがみを抜けて現れた。前に見えるのは、青いままの地球。
ピカード:「報告せよ。」
ライカー:「防御スクリーン、長距離センサーダウン。メインパワーは無事です。」
データ:「天文測定数値を見ると、今は 21世紀の中頃です。大気圏内の放射性同位元素から見て、第3次世界大戦※48の約10年後だろうと推測されます。」
「なら話が合う。都市の多くが破壊された無政府状態。死者は 6億人に上り、レジスタンスもなし※49。」
ウォーフ:「艦長。」
ボーグ・スフィアが軌道上に留まり、回転しながら武器を発射しているのが見える。
ピカード:「ウォーフ少佐、量子魚雷準備。」
ウォーフ:「準備完了。」
「発射せよ!」
量子魚雷を連続発射するエンタープライズ。それは全てボーグ艦に命中し、爆発させた。
衝撃で軽く揺れるブリッジ。
ピカード:「ボーグの攻撃目標の位置は。」
ライカー:「…西半球ですね、北アメリカ大陸。…モンタナ州※50にある、ミサイル工場のようです。」
「…ミサイル工場。…日付は。データ、今の正確な日付を。」
データ:「4月4日です、2063年の。」
ライカー:「4月4日。ファースト・コンタクトの前日※51だ。」
「その通りです。」
クラッシャー:「そのミサイル工場って、コクレイン博士※52がワープ船を造ってる工場じゃないですか。」
ピカード:「ああ、ボーグはファースト・コンタクトを阻止するために来たんだ。」
ライカー:「こっちの※53損傷程度は。」
ホーク:「わかりません。長距離センサーは依然作動せず。」
ピカード:「地表に降りて様子を見てくる。データ、ビヴァリー、一緒に来い。保安チームを第3転送室へ、集めてくれ。コンピューター、21世紀中頃の市民が着る服を。ではライカー、後を頼むぞ。」 閉まるターボリフト。


※42: カリフォルニア州ロサンゼルス北のサンガブリエル山脈にある、エンジェルズ国立森林公園 (エンジェルス・フォレスト) のチャールトン・フラッツで 2週間のロケ撮影。小屋は 14個所建てられました

※43: Eddy (Eddie)
(マイケル・ザスロー Michael Zaslow TOS第6話 "The Man Trap" 「惑星M113の吸血獣」のダーネル (Darnell、ST=TOS (本国放送順) で初めて死んだ人物)、第41話 "I, Mudd" 「不思議の宇宙のアリス」のジョルダン少尉 (Ensign Jordan) 役。1998年12月に死去) 酒場のバーテンダー。ノンクレジットでセリフなし

※44: リリー・スローン Lily Sloane
(アルフレ・ウッダード Alfre Woodard 映画「クロスクリーク」(83) でアカデミー助演女優賞にノミネート。ドラマ「ヒルストリートブルース」、「LA・ロー」、「ザ・プラクティス」などでエミー賞を 4回受賞。その他 "Race to Freedom: The Underground Railroad" (94)、「ダイナソー」(声、00)、"A Wrinkle in Time" (03) などに出演。フレイクス監督の友人) 姓は脚本より。声:安達忍、旧ST4 テイラー/サーヴィック

※45: 原語ではゼフレムの愛称「Z (ズィー)」と呼んでいます

※46: ECON
「イーコン」と発音。Eastern Coalition の略 (脚注※2-11)。当初は中国という設定で、初期稿には ECON にも中国が所属しているという付記がありましたが、後に消えました

※47: Phoenix

※48: World War III
TOS第43話 "Bread and Circuses" 「もう一つの地球」など。そのエピソードでは、死者は 3,700万人とされました

※49: レジスタンスというより、「抵抗 (力)」でしょうね

※50: Montana
共同脚本ブラノン・ブラガの故郷でもあります。ENT第24話 "Desert Crossing" 「幻影の戦士」で、この場所がブラガの故郷の町であるボズマンと細かく設定されます (脚注※22 も参照)

※51: クロノロジー初版では 2061年と仮定されていましたが、特に以前のエピソードと矛盾はしません。4月5日は、ロナルド・ムーアの長男の誕生日

※52: Dr. Cochrane
ゼフレム・コクレーン (Zefram Cochrane)。TOS第31話 "Metamorphosis" 「華麗なる変身」より

※53: この訳だとエンタープライズの被害について聞いているようにも取れますが、原語では単に「損傷程度は」だけ。つまり地表の被害についてです (だからホークは長距離センサーが使えないと応えている)

・7. フェニックス号
地表に転送される一同。みな民間人の服装だ。
ピカード:「…あっちだ。」 ハッチを開ける。
中に入っていく。

ミサイルサイロ※54の中には死者がおり、炎が上がっている。
トリコーダーを使うクラッシャー。「全員死んでます。」
ピカード:「コクレインがいないか調べろ。データ、ワープ船を調べに行こう。」

通路を進む 2人。

ドアを開けると、そこに先が尖った巨大な構造物※55があった。
データ:「ミサイルの構造自体は損傷を受けていませんが、胴体の各所と内部冷却のメインシステムにかなりのダメージがあるようです。」
リリーが隠れて銃を持っている。2人の様子をうかがう。
ピカード:「元の設計図をエンタープライズのコンピューターに掛けてみよう。ラフォージの修理チームをここへ…」
リリーが下からマシンガンを撃ってきた。
ピカード:「やめるんだ、撃つな! 我々は味方だ!」
リリー:「なーに言ってんのさ!」 攻撃を続ける。
データ:「艦長。私に任せてください。」 トリコーダーを渡す。
データはそのまま、下に向かって飛び降りた※56。銃を浴びせるリリー。
何メートルも下に着地し、歩いていくデータ。
リリーの前に降りた。すぐにその背中に向かって、銃を撃っていく。
それは全く効かず、振り向くデータ。しばらくすると弾が切れた。
データ:「こんにちは。」 近づく。
逃げようとするリリーだが、突然気を失った。
支えるデータ。「…艦長、この女性は医師の治療が必要です。」

診察するクラッシャー。「…これはシータ放射線※57中毒ね。」
データ:「壊れたスロットルの部品から放射線が出ているんです。」
「我々も、ワクチンを接種しなければ。この人はすぐ治療室に。」 リリーだけでなく、ピカードにもハイポスプレーを打つクラッシャー。
ピカード:「…しかし…」
「艦隊の誓いはわかってます。意識不明のまま治療しますから。」
「ならいいだろう。ライカーに捜索隊を送るよう伝えてくれ。コクレインを見つけなければ。」
「クラッシャーより、エンタープライズ。直接、治療室に 2人を転送して。」 転送されるクラッシャーとリリー。
「…14時間後にこの船を打ち上げなければならん。ピカードより機関室※58。」

はしごを降りているラフォージ。「こちらラフォージ。」
ピカード:『コクレイン博士の船が攻撃を受けてやられた。修理チームをよこしてくれ、船を直さんと。』
「了解、すぐそちらに向かいます※59。アルファチーム、第3転送室に集合せよ。これから地表に降りる。ポーター※60、その間指揮は君が執れ。」
ポーター:「了解。」
「そうだポーター、環境制御システムを調べておいてくれ。温度が少し上がってる。よーし、行くぞ。」
機関部員:「はい。」

ミサイルが調査されている。
ピカード:「…しかし驚きだな。…この船はかつて核ミサイルだったんだ。」
データ:「フン。…皮肉ですねえ。平和な新時代を開く船を造るのに、コクレインが選んだのが集団殺戮の兵器だなんて。」
「フフン。」 外壁に触れるピカード。「…フン。少年の、憧れってやつだよ。スミソニアン博物館※61で、この船は何百回も見たが触ったことは一度もなかったんだ。」
「…艦長、では手で触れることでフェニックス※62への認識が変わるのですか?」
「ああそうだ。人間にとって手でものに触れるという行為は、現実感を強めるんだ。より深くな。」
真似するデータ。「…チタニウム※63の船体に欠陥があるのを認めました。…燃料マニフォルドの温度も一定していない。」
2人を見つけるトロイ。
データ:「私には、現実感は触る前と変わりませんが?」
トロイ:「お取り込み中失礼ですけど。」
ピカード:「…何かわかったか。」
「コクレイン博士はこのミサイル工場にはいないようです。」
「必ずいるはずだ。この船は彼の一番大事なものだ。宇宙旅行は彼の夢なんだ。」
「艦長? ボーグの攻撃でコクレイン博士が死亡した可能性も考えなくては。」
「…そうだとしたら、人類の未来はないかもしれん。」


※54: セットではなく、アリゾナ州トゥーソンの南、グリーンヴァレーにあるタイタンミサイル・サイロ博物館でロケ撮影。制御室もサイロの一部です

※55: タイタン2型ロケットの実物で、サイロに現存する唯一の残り。先端にはフェニックスのコックピット部として、ファイバーグラス製のカプセルがつけられました。取り外されていたエンジン部分にも新たに美術部門が部品をつけているため、設定上はタイタン5型ロケット (Titan V rocket) とされています。また、2型では軌道まで行けないせいでもあります。ラベルも 5型になっているそうですが、確認できていません。当初はスペースシャトルを使って、外での打ち上げにする案もありました

※56: 機械をつけてスパイナー本人が降りています。当初はスタントの予定

※57: theta radiation

※58: 3階建てで、過去最高の広さ。セットが映画のために新規に造られるのは 映画 TMP "The Motion Picture" 「スター・トレック」以来

※59: このシーンで、ボリアンの機関部員が座っています

※60: ポール・ポーター Paul Porter
(エリック・スタインバーグ Eric Steinberg) 名のポールは訳出されていません。声はヴァルカン人役の中田さんが兼任

※61: Smithsonian
パラマウントは TOS で使われた初代エンタープライズの 3.4メートル撮影用モデルを寄付、そのほかもスミソニアン航空宇宙博物館に展示されています

※62: Phoenix
エジプト神話の不死鳥にちなんで。ハーマン・ジマーマンの指揮下、John Eaves デザイン、クロノロジー初版用に Greg Jein がデザインした、推定モデルに基づいています。TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」では、U.S.S.フェニックスが登場 (ネビュラ級、NCC-65420)

※63: チタン titanium

・8. 難しい環境
エンタープライズ。
機関部員のアイガー※64。「どんな具合?」
ポーター:「環境制御システム全体が駄目になったみたいだ。機関室だけじゃない、デッキ全体だ。EPS コンジットがおかしいのかも。」 はしごを上っていく。

ジェフリーズ・チューブを進むポーター。何かの気配がある。
影が見えた。
ポーター:「誰だ。おい!」
下のアイガー。「私のこと呼んだ?」
汗をかいているポーター。「いま誰かこのエリアで修理でもしてるのか?」
アイガー:「いいえ、してないはずよ。」
先に進む。機械音が響き、ポーターは叫んだ。

アイガーも上ってくる。「ポーター。…ポーター。どうしたの、大丈夫。」

ジェフリーズ・チューブに出てくる。
何かが向かってくる。アイガーは絶叫した。

ピカードはボーグの声を聞いた。
トロイ:「艦長? どうしました?」
歩き出すピカード。「…ピカードよりエンタープライズ。ウォーフ、変わったことはないか。」 他のクルーも続く。
ウォーフ:『大丈夫です。第16デッキで環境制御システムが異常作動してるようですが。』
「どういう異常だ。」
『ここ一時間で湿度のレベルが 73%上がり、温度も 10度上昇しました。』
「…すぐデータと私を艦に戻せ。」
『わかりました。』
「ライカー、後を頼むぞ。」
ライカー:「了解。」

リリーのバイオベッドが開く。診ているアリサ・オガワ看護婦※65
クラッシャー:「細胞膜の傷は治ったから、もう心配ないわ。後は念のため、脊髄組織の検査をしましょう。それにしてもなぜこんなに暑いの。」
ライトが明滅する。
オガワ:「今度は何?」
クラッシャー:「クラッシャーより機関室。」 トリコーダーを使う。応答がない。「クラッシャーよりブリッジ。」
突然、医療室※66のドアが叩かれた。へこみが見える。


※64: Eiger
(マーニー・マクフェイル Marnie McPhail VOY第38話 "Innocence" 「怯える子供達」のアルシア (Alcia)、ゲーム「ボーグ」のアナスタシア・ターガス役) 名前は言及されていません。一部資料では階級が中尉になっており、少なくともバッジが 2つあることは確認できます。映画「アイガー・サンクション」(1975) にちなんで。声:沢海陽子、TNG ヤー、VOY セブンなど

※65: Nurse Alyssa Ogawa
(パティ・ヤスタケ Patti Yasutake) 前作 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」に引き続き登場。声:三浦智子、TNG では栗山微笑子、岡部美和、氷上恭子、吉田美保など

※66: 新規セットではなく、ヴォイジャーの医療室が流用されています

・9. 室温 39.1度
艦長席のウォーフに尋ねるピカード※67。「ウォーフ少佐、状況を詳しく説明してくれ。」
船内構造図を指さすウォーフ。「第16デッキと連絡が途絶えました。通信システムも、内部センサーもです。いま捜査チームを派遣するところです。」
ピカード:「駄目だ! 第16デッキは閉鎖し、全連絡地点に保安チームをおけ。」
「了解。」
「ホーク。内部センサーが駄目になる前の機関室の環境状況を報告せよ。」
ホーク:「気圧は正常より 2キロパスカル上。湿度 92%。温度摂氏 39.1度。」
「温度摂氏 39.1度か。…ボーグ船のようだ。…我々は気づかなかったが、船を撃破されたボーグはエンタープライズに転送されていたんだ。ここの次に奴らが狙うのは…地球だ。」 コンソールに触れるピカード※68。「ピカードよりライカー。」 ノイズしか聞こえない。
ピカード:「エンタープライズより地上チーム。…応答せよ。」
ブリッジでもライトが不安定になった。
ホーク:「艦長、メインコントロールが機関室から操作されています。…武器もシールド※33も、推進システムも。」
ピカード:「データ、メインコントロールをロックしろ。」
高速度で入力するデータ。「暗号化完了」と表示される。
データ:「メインコントロールを、フラクタル暗号※69を使って隔離しました。まず、ボーグには破られないだろうと思います。」
ウォーフ:「ボーグが第16デッキだけを残して、メインパワーを切りました。」
ピカード:「いずれ、そこから出てくる。」


※67: ターボリフトを出た直後、右側に記念銘板が見えます。それによるとエンタープライズ-E の発進は宇宙暦 49027.5 (49827.5 と書いてある書籍もあり) で、初代エンタープライズと同じサンフランシスコ造船所で造られたことがわかります

※68: ここでデータの代わりにオプス席に座っているクルーは、エキストラのデヴィッド・アンダーソン (David Anderson) が演じています。VOY アッシュモア少尉ほか、ENT にも出演

※69: fractal encryption

・10. 緊急用医療ホログラム
目の前に、クラッシャーの顔がある。「起きて? 大丈夫だから。さあ、起きて。目を覚まして?」
うなり、起き上がるリリー。音が響く。
クラッシャー:「暴れないで。落ち着いて、よーく聞いて? 私達は味方よ。これから私の言うとおりにして欲しいの。」 音はやまない。「アリサ! 緊急医療ホログラムは使える?」
オガワ:「OK です。」
「落ち着いて、大丈夫ですからね。二度とこんな手は使わないわ。コンピューター、ホログラムを作動せよ。」
医療室の中に、EMH※70 が現れた。「現在の状態を説明してください。」 ドアはデコボコになっている。
クラッシャー:「ボーグが 20体押し入ろうとしているの。私達が逃げる時間を、何とか稼いでちょうだい!」
「私は医者ですよ、ドアのストッパーじゃないんですがね※71。」
「いいから踊りでも朗読でもやって、とにかく奴らの注意を逸らして!」 クラッシャーもオガワたちに続き、ジェフリーズ・チューブに入った。
ハッチが閉められる。ドアが破られた。
後ずさりする EMH。「宇宙艦隊の医療調査によれば、ボーグのインプラントは皮膚にかゆみをもたらすそうですね。いかがです、かゆみ止めクリームとか。」 壁にぶつかった。

※72を進むオガワ。「…どっちですか。」
クラッシャー:「このデッキから出なければ。ついてきて!」
一番最後になったリリーは、密かに違う道を進み出した。


※70: ホログラム・ドクター Holographic Doctor
(ロバート・ピカード Robert Picardo) VOY レギュラーによるカメオ出演。もちろんヴォイジャーに搭載されている EMH とは異なる本体 (マトリックス) です。クラッシャーの「(緊急医療) ホログラム」というセリフは、原語ではどちらも "EMH" と略称で言っています。声:中博史 (VOY と統一)。映画の日本公開は 1997年3月、吹き替え一般公開 (ビデオ発売) は 9月、VOY 初放送 (CS パイロット版) は 11月でした

※71: "I'm a doctor... not a doorstop."

※72: この個所のジェフリーズ・チューブは、元は DS9 のディファイアント用に造られたものでした

・11. 攻撃プラン
並んだフェイザーライフルを手にする保安部員たち。
ベスト姿のピカード。「機関室で奴らがすることは、まず中心集合体を形成することだ。そこから群れに指示を出す。…問題は、機関室を量子兵器で攻撃すればワープコアを傷つけてしまう恐れがあることだ。」 構造図を表示させる。「そこで、プラズマ冷却※73タンクの一つを貫くのがいいと思うが…データ。」 ワープコアの左右についている。
データ:「素晴らしい作戦です。プラズマ冷却剤に触れた有機物質は、液化しますから。」
ウォーフ:「しかしボーグは完全な有機体ではない。」
ピカード:「その通りだ。だが、人工生命は有機体の部分がやられれば生きてはいけないものだ。」
「武器は全て回転変調モードにするよう命令してあります。」 ウォーフはフェイザーをデータにも投げる。「ボーグの適応は早い。最高 12発は撃てると思いますが。」
「それともう一つ。」 自分もライフルを手にするピカード。「既にボーグに改造された仲間に遭遇しても、ためらわずに撃て。それが彼らのためにもなるんだ。…さあ行こう。」
武器庫※74を出る一同。


※73: plasma coolant

※74: ヴォイジャーの貨物室を改装


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