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エンタープライズ エピソードガイド
第82話「野望の果て」
The Augments

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・イントロダクション
※1警報が鳴る。
フロックス:「40秒で亀裂が入ります。」
リード:「もうすぐ着く。」

はしごを登るアーチャー。「ジャンクションに着いた。」

リード:「…補助リレーに、切り替えてください。左側のパネルです。」

アーチャー:「わかった!」 回路を操作し始める。

フロックス:「あと 20秒。」

操作を続けるアーチャー。

ルーカス:「もう大丈夫だ。病原体はここには来ない。」 喜ぶドクター。
リード:「船長は。」

警報が鳴り、見上げるアーチャー。

ルーカス:「換気装置を通じてここ以外のあらゆるところに広がってしまう。中枢コアにもだ。」

アーチャー:「到達時間は。」

ルーカス:「一分もない。」

アーチャーは上下を見た。


※1: このエピソードは、TNG ラフォージ役のレヴァー・バートンによる監督作品です。ENT で担当した 9話中、第72話 "The Forgotten" 「デグラの決断」以来 8話目となります (参考)

・本編
通信機に触れるアーチャー。「アーチャーからトゥポル。」
トゥポル:『どうぞ。』
「私を転送できるか。」

トゥポル:「…干渉波が、大きすぎます。コアから離れないと。」

アーチャー:「……フェイズ砲を用意。外部ハッチを狙え、J-9 だ。」

トゥポルを見るサトウとメイウェザー。
トゥポル:「コアが減圧されます。」
アーチャー:『だからやるんだ。転送準備開始。あと数秒しかないぞ。』
「すぐに準備を。」
うなずく戦術士官。

コンピューターの声が響く。『警告、中枢コアで病原体を感知。』
アーチャー:「…トゥポル!」
トゥポル:『準備完了。』
「…発射!」
フェイズ砲を発射するエンタープライズ。コールド・ステーション12 のハッチに命中する。
空気が漏れ始めた。
その空気の流れに乗って、上昇するアーチャー。チューブを速い速度で上がっていく。
そのまま宇宙空間に出てきた。すぐ転送される。

トゥポル:「少佐、船長は。」

転送台の上には、身体に氷がついて倒れたアーチャーがいた。
タッカー:「大丈夫、医療部員を呼んでくれ。」

ワープ中のバード・オブ・プレイ。
ブリッジにエリック・スンが入った。
艦長席のマリック。「クリンゴン領に入った。」 無言のスンに気づき、席を譲る。
スン:「エンタープライズは。」
パーシス:「停泊中です。」
「アーチャーも追うことをあきらめたか。」
マリック:「追いたくても追えない。」
「…どういうことだ。」
「死んだよ。」
怒りを抑えようとするスン。「私の命令なしに、誰一人殺すことは許さん!」
マリック:「やむをえなかった、奴は俺たちを攻撃し逃げようとしたんだ!」
「今度私に逆らったら、ターグ※2の穴に放り込んで一月日の光を拝めないようにしてやる。わかったのか、マリック!」
「わかったよ、父さん。」
操舵士の優生人類※3に尋ねるスン。「速度は。」
優生人類:「ワープ 3 ポイント 8。」
「遅いな。」
パーシスに近づき、スンを見るマリック。
スン:「左舷の誘導アッセンブリのせいだ。機関室に行って直してこい。」
マリック:「機関士じゃない。」
「…お前は利口な男だ。お前ならきっと直せる。」
出ていくマリック。スンはドアの方を一瞬見た。

トゥポル:『副長日誌、補足。ステーションから、上陸班を含む全人員を避難させた。船長は感染を免れ、順調に回復している。』
コールド・ステーション12 のそばにいるエンタープライズ。
医療室のモニターに、クリンゴン領の星図が表示されている。
リード:「奴らは約2時間前に、クリンゴン領に入りました。」
タッカー:「航跡を隠そうともしてません。」
「我々が追えば、クリンゴンに止められる。パトロール船が 6隻います。」
フロックスにスキャナーを当てられるアーチャー。「クリンゴンに感知されないよう、追う方法は?」
タッカー:「船を緑色にするとか※4。」
無言のアーチャー。タッカーは咳払いする。
リード:「クリンゴンの、ワープサインを偽装できるかもしれません。」
タッカー:「コイルアッセンブリの調整が必要だが、2、3時間あれば…可能かと。」
うなずくリード。
アーチャー:「ステーションはどうなってる。」
トゥポル:「ルーカス博士※5は、急いで戻り汚染を除去したいとお考えです。」
タッカー:「大仕事だろうな。」
「一年以上はかかるそうです。」
その言葉に反応するフロックス。

スンはパッドを使う。「クリンゴンの領域を無事通過したら、我々はここへ向かう。」
星図が拡大され、星雲のような場所が映った。
スン:「クリンゴン語で、クラック・ドゥケル・ブラクト※6。…私はブライアー・パッチ※7と。その方が呼びやすい。」
ロケシュ:「『ブライアー・パッチ』?」
「私が渡した本※8を読んでないのか。…超新星の塵から発する、放射線で覆われた領域だ。…クリンゴンの星図にはない。…だがブライアー・パッチには、居住可能な惑星が少なくとも 2つ※9ある。そこなら誰にも見つからない。」
マリック:「それが目的? また隠れるの。」
「受精卵のためには、安全な環境が必要だ。」
「艦隊があきらめるわけない。すぐ追ってくる。こんなとこ逃げ込んだって無駄だ!」
「それじゃ、お前はどこへ行きたい。」
「…わからない。…でもこれ以上逃げるのは嫌だ。」
マリックを見ていたパーシス。
マリック:「…この名前聞いたことない? ボタニー・ベイ※10。」
スンは視線を落とした。
パーシス:「オーストラリアにあった流刑地でしょ。」
マリック:「だが船の名前でもある。…優生戦争※11末期の船だ。俺たちの同胞が大勢乗ってた。カーン・ヌニエン・シン※12もね。」
スン:「ボタニー・ベイ※13は神話に過ぎん。実在していたという、証拠はない。」
「故意に、記録を全部消したからだ。追跡されるのを嫌って。」
「そうだとしても、船は消えてしまった。今や行方知れずだ。」
「だからそこなんだよ。カーンは有能だったが、一つだけミスを犯した。敵と、戦わずに逃げ出したんだ。俺たちは未だに逃げ回り隠れてる。いつになったら戦うんだ。」
「この件に話し合いの余地はない。…コースをセットしろ。184、マーク 3。ブライアー・パッチに向かう。ラボにいる。」 ブリッジを出ていくスン。
パーシスはマリックから目を逸らした。

停止しているエンタープライズ。
ブリッジにアーチャーが戻った。
船長席に座っていたトゥポル。「ドクターの許可をもらったんですか。」
アーチャー:「いや。現在位置は。」
「クリンゴン領との境界です。」
「…ブリッジから機関室。状況は?」

タッカー:「準備完了です。これで、クリンゴンの戦艦として感知される。しかし 8万キロ以上接近してしまうと、効きません。」

アーチャー:「了解。戦術警報。」
操作するリード。ライトが暗くなる。
アーチャー:「ワープ4 で進入しろ。」
エンタープライズはワープに入った。

顕微鏡を覗いているスン。ラボにマリックが入った。
スンはそのままの姿勢で言う。「ここへ来い。」
マリック:「何か用。」
「…今後二度と、ほかのクルーの前で私に楯を突くな。」
「父親に反論しちゃいけない? 俺たちは家族だ。」
「…今までのことは大目に見る。今後は私が決めることを信じて疑うな。…昔はそうだった。」
「あの頃はガキだっただけだ。」
「苦労をさせたのはわかるが…」
「受精卵はどう?」
「……あと数時間で最初の卵が孵る。」
「DNA を操作してるの。」
「見てみろ。これらの塩基対は、脳の神経伝達物質を司ってる。」 コンピューターに表示されている。「改良できれば、攻撃性や暴力行為をなくせるだろう。」
「人格を変える気か。」
「ゲノムのもつ欠陥を正しているだけだ。…お前は遺伝子工学の初期段階で生まれたため、技術的に間違いを正せなかった。」
「ほかの連中の『間違い』は、正せたの?」
「可能になったのは最近だ。」
「何の権限があって、ゲノムをいじり回すんだよ。」
「信じてくれ。必要なことなんだ。」
「そんなことわからないだろ! 決めつけるなよ。我々はわざと、こう作られたのかも。」
首を振るスン。
パーシスの通信が入る。『父さん、至急ブリッジへ。』

ブリッジに戻るスンとマリック。
パーシス:「船がワープで接近中です。」
スン:「所属は何だ。」
「クリンゴン船です。」
「…映せ。」
スクリーンに映ったのは、エンタープライズだった。
パーシス:「この船じゃ、太刀打ちできないわ※14。」
スン:「速度を上げろ。」

アーチャーは命じた。「魚雷用意。…回線をつなげ。」
うなずくサトウ。
アーチャー:「アーチャー船長だ。ワープを解除しなければ攻撃する。」

マリックを見たスン。「死人にしては元気そうだ。魚雷用意。推進システムを狙え。」

揺れるエンタープライズ。
リード:「船首プレート維持。」
アーチャー:「撃ち返せ!」

火花が飛ぶバード・オブ・プレイ。
パーシス:「シールド 50%。」
マリック:「戦うしかない!」
スン:「うん、装備が少なすぎる。」
「…父さん!」
「人質を使うしかない。すぐシャトルに乗せろ。早く! 経路に惑星があるか探せ。」

メイウェザー:「ワープフィールドに乱れが。」
アーチャー:「エンジンを集中的に狙え。」
トゥポル:「…コース変更、付近の惑星に向かっています。」

バード・オブ・プレイを光子性魚雷で攻撃するエンタープライズ。
命中する。
パーシス:「目標に到着!」
スン:「ワープ解除だ。」
衛星をもつ、ガス状惑星のそばに現れるバード・オブ・プレイ。

エンタープライズもワープを止めた。
トゥポル:「低軌道に入りました。」
サトウ:「…シャトルベイを開いています。」
アーチャー:「待機。スクリーン。」
惑星が拡大され、バード・オブ・プレイが映った。
シャトル格納庫から出された船を、トラクタービームで補足しているのが見える。
アーチャー:「生体反応は。」
トゥポル:「1名。デノビュラ人。」
バード・オブ・プレイは移動しながら、ビームを解除した。バーザイが惑星の大気の中へ消えていく。
アーチャー:「転送できるか。」
トゥポル:「大気が濃すぎます。」
サトウ:「呼びかけてます。…スンです。」
バード・オブ・プレイの映像が、スンのものに切り替わった。後ろに火花が見えている。
アーチャー:「人質殺しは、あんたの新しい趣味か。」
スン:『誰も殺してはいない。船※15は、2つの大気層の間にある。…4、5時間は安全でいられるだろう。その間に、救出すれば済む。』
トゥポルはうなずいた。
アーチャー:「…終わったと思うな。」
スンは手を振った。『さらばだ、船長。』 通信を切らせる。
惑星から離れていくバード・オブ・プレイ。
トゥポル:「ワープで脱出。」


※2: targ
TNG第6話 "Where No One Has Gone Before" 「宇宙の果てから来た男」など。この「ターグの穴 (targ pit)」というのは、もしかすると ENT第14話 "Sleeping Dogs" 「名誉に生きる者」で、ターグがたくさんいた区画のことかもしれません

※3: 優生人類その1 Augment #1
(Kristen Ariza)

※4: 原語では「船に猛禽類 (=バード・オブ・プレイ、船種名の由来) を描くとか」

※5: これまでは一貫して「ドクター・ルーカス」と訳されていました

※6: Klach D'kel Brakt
DS9第39話 "Blood Oath" 「血の誓い」より。当時の吹き替えでは「クラック・ケル・ブラクト」

※7: Briar Patch
映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」より。当時の吹き替えでは「イバラの草原」。クラック・ドゥケル・プラクトと同一のものと設定されるのは初めて

※8: ブライアー・パッチが登場する、ジョーエル・チャンドラー・ハリス作の「ウサギどん キツネどん」(リーマスじいやのした話) のこと。その本の邦訳では「イバラのしげみ」(岩波少年文庫・八波直則訳)

※9: 片方はバクー人の惑星でしょうね

※10: Botany Bay

※11: 原語では、ここだけ "Great Wars" 「大戦争」と表現しています。優生人類側の呼称かもしれません

※12: Khan Noonien Singh
ボタニー・ベイと共に TOS第24話 "Space Seed" 「宇宙の帝王」(当時の吹き替えでは「カン・ノニエン・シン」)、映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」より

※13: 吹き替えでは「ボタニー・ベイ

※14: この訳だと、バード・オブ・プレイがエンタープライズより単純に弱いことになるようで違和感を覚えますが、原語では「この船の後方武器は最小限だわ」

※15: 吹き替えでは「シャトルポッド」

修理している優生人類。「こっちを先に直してもらえない?」
スン:「リレーを動かす前にちゃんと回路を切っておけよ。」
「はい、父さん…」
マリック:「ワープサインは消したよ。もう追ってこられないはずだ。」
スン:「よくやった。」
「話がある。父さん! ……話がある。」
「何だ。」
「俺たち甘すぎたよ。艦隊からは逃げ切れやしない。」
「ではどうしろと。降伏するか?」
「ステーションを出る前、生物兵器の病原体を 24缶※16盗んだ。」
「病原体を?」
「魚雷を改造すれば、生物兵器が作れる。」
「魚雷一発じゃあエンタープライズはビクともせん。」
「狙うのはエンタープライズじゃない。」 スンの肩に触れるマリック。「クリンゴンを狙うんだ。キヴァット・コロニー※17は 4光年も離れてない。超高層大気中で魚雷を爆発させれば、惑星中に病原体をまき散らせる。あらゆる生物が、ほんの数日で死に絶えるはずだ。…原因が人間にあると聞けば、当然最高評議会は報復するだろう。艦隊はクリンゴンに目を向けざるをえなくなる。」
「私に虐殺を行えと言う…」
「ほかに道はない! …艦隊は直、クリンゴンに俺たちの捜索を願い出る。」
作業中の優生人類たち。「こっちのコンソールも頼む。」
マリック:「決心しなければ、俺たちは死ぬことになる。」
スン:「ブリッジに戻れ。」
「…刑務所で何があった。…まるで別人だ。…昔は必要なら何だってやったくせに。」
「いいから持ち場に戻れ。」
マリックは無表情でうなずき、歩いていった。

通常航行中のエンタープライズ。
『航星日誌、補足。デノビュラ船のパイロットを救出、幸いにも軽傷だった。トゥポルとトリップは、バード・オブ・プレイ捜索のためセンサーを強化している。』
トゥポル:「方向探知アレイを、グリッド 459 へ。」 タッカーに何か言おうとしたが、一旦離れる。「ご両親は?」
タッカー:「…元気だよ。ミシシッピーに、引っ越した。パナマシティ※18とは違うが…快適そうだ。なぜ?」
「近況を聞いてなかったから。…ヴァルカンから戻って以来、ほとんど口を聞いてないわ。」
「ずっと忙しかったろ。」
「船長との食事会にも出てない。地球を発ってから。」
「何が言いたい。」
「私を避けてる。」
「ああ、そうかもな。けどそうベタベタできんだろ? 人妻にさ。母親のためとは言え…俺の心にも修理がいる。」
「私の心も修理中です。」
「……変かもしれないけど、でも…君の決断を辛く思うのと同時に…誇りにも思ってる。…きっと、最善の方法だった。」
「…どういう意味。」
「そうだろ。俺たちじゃ不釣り合いすぎる。…ヴァルカンと地球人じゃ、ロミオとジュリエットより悲劇的だ。」
「亜空間※19のひずみです。」 機関室の星図に場所が表示された。「0.4光年前方。」
「ワープの痕跡は。」
「追跡をかわすために、消したんでしょう。」
「ブリッジ、応答を。」
アーチャー:『どうした。』
「恐らく奴かと。」

アーチャー:「確実じゃないのか。」
タッカー:『これが精一杯です。』
「…メイウェザーに座標を送れ。追跡しろ。ワープ最大。」

マリックの部屋にパーシスが入った。「話なら手短に。早く発射装置を直さないと、父さんに…」
マリック:「もう父さんに従う必要ない。…指揮は俺が執る。」
「…何言ってるの。」
「ブリッジのクルーには、もう伝えた。全員異論はない。最後にお前の、意思を聞きたい。…俺の味方だろ。」
「今回は違う。…相手は父さんよ?」
「…単に俺たちを育てたからといって父親になれるわけじゃない。あいつは優生種※20じゃないだろ!」
「そんなことしちゃ駄目よ。」
「悪いのはあいつだ! 艦隊やクリンゴンから身を守る、最良の方法があるのに目もくれやしない! ……受精卵に何してると思う。ゲノムを変えてるんだ。力を奪い去り、従順な普通の人間になるように。」
「そんなの嘘。」
「ラボに行って本人に聞いてみろ。……お前の心配はわかってる。彼に乱暴する気はないよ。…丁重に扱うって約束する。…いいな。」

他の優生人類と共に、ラボに入るマリック。「一緒に来て欲しい。」
スン:「…パーシス。」
スンと目を合わせないパーシス。
スン:「反乱かね? たった 4人で。」
マリック:「クルーは俺の配下にいる。」
「そこまでだ。…バカな真似はやめて、仕事に戻れ。」
「ことを、必要以上に複雑にしないでくれ。」 マリックはスンが扱っていた道具を取り上げた。
「私が背けば、殺す気か。」
「死人は出ない。」
「生物兵器を使えば、何百万人も死ぬ。」
パーシス:「…お願い、父さん。従って。」
無言でパーシスを見るスン。パーシスは直視できない。
マリック:「部屋に閉じ込めろ。」 出ていった。
ため息をつくパーシス。スンは上着を着る。

エンタープライズ。
トゥポル:「クリンゴンの戦艦です。0.3光年先で、こちらに接近中。」
アーチャー:「…アーチャーから機関室。ワープサインの偽装は?」

タッカー:「異常ありません。センサー上はクリンゴン船のはずです。」

リード:「2分弱で、目視領域に。」
アーチャー:「……クリンゴン語は、アップデートしてあるか。」
サトウ:「7種類の方言をプログラム済みです。」
「それが使えることを祈ろう。回線をつなげ。…戦艦に告ぐ。それ以上接近すれば攻撃は免れん。」
クリンゴン人※21:『貴様は?』
「…お前には関係ない!」
微笑むサトウ。
クリンゴン人:『ここは侵入禁止区域だ。ワープを解除し乗船に備えろ。』
アーチャー:「ここはまだクリンゴンの領域だと思ったが?」
『いかなる船も、許可なくこの星系を通り抜けることは許されん。クラッグ総督※22の命令だ。』
「…一介の総督ごときに、口は出させん! 我々は最高評議会の使いだ。」
『では何の任務を負っている。』
「極秘任務だ。」
『最高評議会からの信号は感知していない。トランスポンダーを起動するのを忘れてるんじゃないか?』
リードと顔を見合わせたアーチャー。「トランスポンダーなど起動できると思うか? そんなことをすればこのエリア中に、総裁の居場所が知られてしまう。」
クリンゴン人:『ムレック総裁※23が乗っておられるのか。』
「オリオンでの大切な会議の帰りだ。クロノスへお送りする。」
『オリオンか。』 クリンゴン人の笑い声が響いた。『総裁のオリオン好きは有名だ。「会議」の相手は女だろ。…教えてくれ。そんなにいい女がそろってるのか?』
微笑むリードやメイウェザー。
アーチャー:「俺があんたなら、盗聴可能な回線で総裁の噂話など間違ってもしないだろう。」
クリンゴン人:『悪気があったわけじゃない。』
「ああ、そうだろう。我々の件は、上官に言わない方が賢明だ。言えばあんたは、ゴミ運搬船※24に異動だろうな!」
『よくわかった! 総裁が立ち寄られたことを誇りに思う。カプラ!』
「カプラ!」
リード:「コースを変えました。」 一安心、という顔をする。
アーチャーはため息をついた。

スンがいる部屋に、パーシスが入った。
スン:「面会の時間か。」
パーシス:「父さんごめんなさい、従わなければ殺されてた。」
「…お前は悪くない。病原菌をばらまけば、150年指摘され続けてきた優生人類の凶暴性を…証明することになる。…マリックを止めなきゃならん。エンジンに細工するか、魚雷発射装置を…」
「それは、不可能だわ。重要なシステムには見張りをつけてある。」
「……私を脱出させてくれ。」

廊下を先に歩き、スンに合図するパーシス。「内部センサーを解除したわ。しばらくは、脱出ポッド※25がないことに気づかれない。」
ハッチを開け、中に入るスン。パーシスの手を取る。「気をつけろ、奴はお前を疑う。」 手にキスした。
うなずき、ハッチを閉めるパーシス。パネルを操作してすぐ去った。

バード・オブ・プレイから脱出ポッドが射出された。すぐに通常空間に落ち、バード・オブ・プレイはワープのまま去っていく。


※16: two dozen ですが、吹き替えでは「12缶」

※17: Qu'vat colony
TNG第139話 "Aquiel" 「謎の蒸発事件」で、ヴォルチャ級の I.K.S.キヴァット (吹き替えでは「クヴァ」) が登場しました

※18: Panama City
パナマの首都

※19: 吹き替えでは「空間」

※20: ここだけ「優生人類」という訳になっていませんが、原語でも「我々の仲間」としか言っていません

※21: クリンゴン人の通信音声 Klingon Com Voice
(J・D・ホール J.D. Hall) 声はルーカス役の方が兼任

※22: Governor Klag
TNG第34話 "A Matter of Honor" 「錯綜した美学」にクラッグというクリンゴン人が登場しており、先祖の可能性もあります

※23: Chancellor M'Rek
ENT第52話 "The Expanse" 「帰還なき旅」に登場した、クリンゴン総裁の名前かもしれません。ENT第2話 "Broken Bow, Part II" 「夢への旅立ち(後編)」の総裁も同一人物である可能性も

※24: garbage scow と言っており、TOS第42話 "The Trouble with Tribbles" 「新種クアドトリティケール」でクリンゴン人が初代エンタープライズのことをこう呼びました

※25: ENT "Sleeping Dogs" のラプター級ソムローには脱出ポッドはなく、トゥポルが「クリンゴンは脱出ポッドを使わない」と言っていました。ですが 24世紀では DS9第167話 "Penumbra" 「彷徨う心」ではバード・オブ・プレイのコラガの脱出ポッドが登場しており、さらに ENT でも第51話 "Bounty" 「狙われた首」のゴロスの船に装備されていました

エンタープライズ。
イヤーレシーバーをつけているサトウ。
アーチャー:「どうした。」
サトウ:「自動ビーコンです、微弱ですが救難信号かと。」
「位置は。」

脱出ポッド内のスン。周りで音が響いた。
揺れ、機械的な音が続く。もう一度振動した。
ハッチを開けるアーチャー。フェイズ銃を持ったリードや MACO がいる。
スン:「船長。遅いじゃないか。」

拘束室にいるスン。アーチャーがやってきた。
スン:「すぐに針路を…」
スンを制し、会話スイッチを押すアーチャー。
スン:「…すぐに針路を変えて欲しい。」
アーチャー:「理由は?」
「子供たち。…優生人類たちが、クリンゴンのコロニーを攻撃する。」
「あんたはなぜ脱出を?」
「決まってるだろ、あんたを待ってたんだ。止められるのは、あんたしかいない。」 笑うスン。「ケンカするために、わざわざ戻ってきたわけじゃない。この通り、頼むから彼らを止めてくれ!」
「そんな話簡単に信じられるか。…優生人類を我々の追跡から守るため、自らポッドに乗り込み我々を止めに来たのでは?」
「…冗談じゃない。」
「彼らのためなら何でもするはずだ。…嘘、殺し、自らを犠牲にすることさえ。」
「…クリンゴンが、地球に報復することになれば被害はズィンディ襲撃の時の比ではなくなる。」
「地球がどうなろうと構わんじゃないか。人類の未来はあんたらの子供らが担うんだろ?」 外へ向かうアーチャー。
「船長。船長! ステーションに聞いてみてくれ。300キログラムの生体毒素が、倉庫から持ち去られているはずだ。」
「盗難の件はルーカス博士から聞いている。」
「私に無断でマリックが盗んだ。…コロニーにばらまく気だ。…あんたもステーションでの暴挙を見たろ、あいつならどんなこともやりかねん。」
「……今さら何を。…すでに奴が人を殺すのを見たはずだ。」
「何を言わせたい。…何もかも私が間違っていたと? 私がついていたらこんなことにはならなかったかもしれん。艦隊に拘束などされなければ。」
「誰も彼らを変えられん。彼らは生来、そうなるように作られているんだ。…『優れた才能は、より大きな野望を抱く※26。』 そう記した彼らの創造者は…優生人類に殺された。」

ワープ航行中のエンタープライズ。
アーチャー:「スンと一緒に、ワープの痕跡を探し出せ。コロニーにつく前に必ず捕まえる。」
トゥポル:「…スンの罠かもしれません。」
「信じよう。」
タッカー:「コロニーは 3光年※27先です。エンジンをかなり酷使することになる。」
「問題でも?」
「その速度では、クリンゴンのワープサインを偽装できるかどうか。」
「…何とか強化を。」
作戦室を出ていくタッカーとトゥポル。アーチャーは壁に身体をもたせかけた。

ベッドでマリックに触れるパーシス。「どうかした?」
マリック:「スンが独りで脱出したとは思えん。内部センサーは壊れてなかったはずだ。誰かがスンのために切ったんだろ。」
「自分で切ったのかも。」
「奴はセキュリティコードを知らない。」 パーシスの髪に触れるマリック。「教えなかったからな。」
「父さんじゃないなら誰が?」
「心当たりは?」
「…ロケシュはクリンゴンを襲うっていうあなたの計画に乗り気じゃなかった。」
「奴はここ一日半魚雷の改造にかかりきりだ。」 マリックはパーシスのあごをつかんだ。「一応拷問してみるか。念のためにな。…どう思う。」
手をどかせるパーシス。
マリック:「コードを知ってるのは 4人だけだ。その中でスンが脱出したときに、ブリッジにいなかったのは俺たちだけ。」
パーシスは起き上がった。「私がやったと?」
笑うマリック。耳を近づけた。「鼓動が早いな。…身体は正直なようだ。」
パーシスは壁に掛けられていたナイフを素早く手にした。
マリック:「…それで俺を刺す気か。」
パーシス:「必要なら。」
近づくマリックに、ダクタフ・ナイフを振り下ろすパーシス。起き上がり、自分の血を見るマリック。
マリック:「バカなことを。」 血を舐めた。
襲いかかるパーシス。マリックは素手で対応する。
パーシスを投げ、ナイフを取って逆に刺した。
口を開けるパーシス。マリックは更に突き刺す。
パーシスを抱き上げるマリック。「寂しくなる。」 キスし、床に落とした。
最期の小さな声を上げるパーシス。マリックは口をぬぐい、部屋を出て行く。

エンタープライズ。
スン:「ワープ5 の維持時間は。」
タッカー:「船長が望む限り。もしくは船が吹っ飛ぶまでだ。」
「…スキャンの周波数を調節する。15メガヘルツ。」
操作するトゥポル。
スン:「オリオンでの一件は悪かった。…早く立ち直ってくれ。」
タッカー:「口じゃなく手を動かせよ。」
「ウー、ずいぶんと彼女をかばうんだなあ。」
「あんたが嫌いなだけだ。」
コンピューターに反応が出る。
スン:「彼らか?」
トゥポル:「いいえ、バード・オブ・プレイではありません。船長、ブリッジへ。」
作戦室から出てくるアーチャー。
トゥポル:「クリンゴン船です。針路を妨害しています。」
リード:「さっきより大型です。…D5クラスの戦艦※28かと。」
アーチャー:「目視領域に入るのは?」
トゥポル:「2分後です。」
「さっきと同じ手で。」
サトウ:「呼びかけてます。」
うなずくアーチャー。
クリンゴン人:『地球船に告ぐ。降伏し、乗船に備えろ。』


※26: "Superior ability breeds superior ambition."
このセリフは TOS "Space Seed" でスポックが言っており、実は引用であったことがわかります。当時の吹き替えでは「優れた才能が大きな野望を生み出す」

※27: 吹き替えでは「2光年」

※28: D5級巡洋戦艦 D5-class battle cruiser
ENT第45話 "Judgment" 「反逆の法廷」以来

揺れるブリッジ。
リード:「船尾プレートダウン。」
アーチャー:「呼びかけろ。」
エンタープライズ後方に見えるクリンゴン船の映像が切り替わり、クリンゴン人の艦長※29が映った。
アーチャー:「急いでバード・オブ・プレイを止めなければ、あんたの同胞たちが虐殺される。」
クリンゴン人:『お前らの船以外は探知していない。コロニーを攻撃しようとしてるのはお前らだろ。』
スン:「船長、いいかね。」 クリンゴン語※30を使う。「(聞いてくれ、アーチャー船長は尊敬すべき人間だ)」
スンを見るサトウ。
スン:「ああ…(だから頼む、信じてくれ)」
クリンゴン人:『ただちにワープを解除しろ。さもなければお前らの船を破壊する!』 通信を切った。
スン:「…面目ない。」 攻撃が続く。
リード:「…インパルスエンジンに切り替えれば、魚雷を使えます※31。」
「それは勧められんな。奴らのセンサーなら、すぐ感知される。」
トゥポル:「…リアクターを狙っています。」
アーチャー:「武器は使うな。グラップラーを用意しろ。ワープ解除。」
通常空間に出てくるエンタープライズ。
メイウェザー:「奴らも解除を。」
アーチャー:「マルコム。」
リード:「あと数秒です。」
「…準備しろ、トラヴィス。」
サトウ:「…接近中。ドッキングポート起動。」
「マルコム。」
リード:「完了です。」
グラップラーを発射するエンタープライズ。クリンゴン戦艦のワープナセルを捉えた。
アーチャー:「フルインパルス。」
クリンゴン船から離れるように移動するエンタープライズ。
リード:「…グラップラーを狙ってます。」
アーチャー:「速度維持。」
トゥポル:「…船体の強度が限界に近づいています。」
リード:「グラップラー外れます!」
アーチャー:「速度維持!」
グラップラーの根本から、火花が出始めた。ナセル全体が火を噴く。
切れるグラップラー。クリンゴン巡洋戦艦はエンタープライズを攻撃するが、姿勢は失ったままだ。
トゥポル:「彼らはもう、ワープできません。敵船不能。」
アーチャー:「コースを戻し、全速でコロニーへ向かえ。」

モニターに惑星の図※32が表示されている。
ロケシュ:「人口密集地は、3個所。下 2個所と、北大陸に 1個所だ。」
マリック:「南半球上空で魚雷を爆発させれば、最大の死傷者を出すことができる。魚雷の準備は。」
「弾頭を改造した。だが、誘導プロトコルを試さないと。」
優生人類:「妨害コースに船影を感知。」
コンソールを確認するマリック。「エンタープライズだ。速度を最大に上げろ、魚雷装填。ワープを解除し次第発射する。」
ロケシュ:「だが誘導プロトコルが…」
「言うことを聞け!」 マリックは艦長席に座った。

エンタープライズ。
トゥポル:「気づいて、速度を上げました。」
アーチャー:「こっちも上げろ。」
機関室からの通信が入る。『こちらタッカー。これ以上加速すれば、ナセルが火を噴きます。』
アーチャー:「攻撃可能域に入るのは?」
トゥポル:「2分後です。しかし、バード・オブ・プレイは 73秒でコロニーへ。」
「…うーん、トリップ!」
タッカー:『仕方ない。何とか耐えます。』 ワープコアに近づく。

通常空間に出るバード・オブ・プレイ。惑星が見える。
マリック:「発射準備は。」
ロケシュ:「もっと、接近しないと無理だ。」
「低軌道へ入れ。」

トゥポル:「兵器を装填。」
アーチャー:「トラヴィス。」
メイウェザー:「あと 15秒です。」
「できるだけ接近しろ。」
リード:「準備完了です。」
メイウェザー:「10秒。」
周りを見るスン。

ロケシュ:「装填完了。」
マリック:「…発射。」
魚雷を発射するバード・オブ・プレイ。魚雷は地表へ降下していく。

エンタープライズも通常空間に現れた。
トゥポル:「魚雷を発射、12秒で大気圏に突入します。」
アーチャー:「マルコム。」
光子性魚雷を発射するエンタープライズ。全て同じように大気圏へ向かう。
クリンゴンの魚雷を追う。
ため息をつくアーチャー。
エンタープライズの魚雷が追いつき、爆発した。
アーチャー:「…反転!」
揺れるブリッジ。
バード・オブ・プレイが攻撃している。
大きな火花が飛ぶ。
リード:「兵器庫に直撃、防御プレートダウン! 魚雷も使えません。」
アーチャー:「フェイズ砲はどうだ。」
「船尾は使えます、辛うじて。」
「ブリッジを狙え!」
スン:「いや、待ってくれ…」
「あんたは口を挟むな!」
「ブリッジは守りが固い。君らの武器では跳ね返されるのがオチだ。狙うならここの方がいい。」 スンはトゥポルのコンソールで、バード・オブ・プレイの船体図を指差した。「センサーアレイの後ろだ。」
「そこには何がある。」
「主要プラズマジャンクションだ。命中すれば船中のパワーをダウンさせられる。……信じてくれ!」
「準備でき次第、そこに向け発射!」

攻撃を続けるバード・オブ・プレイに向けて、エンタープライズはフェイズ砲を発射した。バード・オブ・プレイは動きを止め、爆発が起こり始める。
大きな爆発が起こるバード・オブ・プレイの船内。吹き飛ばされる優生人類のジャイヤ。
構造が崩れ落ちる。

ため息をつくアーチャー。
トゥポル:「命中です。」
スン:「…彼らは無事か?」
「…生存者は 12名。」
ショックを受けた様子のスン。

炎が巻き起こるバード・オブ・プレイのブリッジで、這って進むマリック※33。ひどい火傷を負っている。
ほかの優生人類は皆死んでいた。何とか立ち上がり、コンソールを操作するマリック。

報告する機関部員※34。「船長、リアクターからパワーサージが。」
リード:「故意にオーバーロードさせている※35。爆破する気です。」
スン:「話をさせてくれ。」
アーチャーは少し考え、うなずいた。操作するサトウ。
スン:「…マリック。父さんだ。バカはやめろ。まだ息のある兄弟たちもいるんだぞ?」

操作を続けるマリック。「あんたと刑務所に入った方がマシだと?」
スン:『受精卵はどうなる。』
「地球に居場所はない。ほかのどこにだって。ここで死んだ方がマシだ。」

スン:「頼むマリック、早まるな!」

マリック:「すぐに会えるさ。」

スン:「マリック!」
トゥポル:「…船長。」
バード・オブ・プレイは火を噴き、全体が崩壊し始める。完全にバラバラになった。
呆然とスクリーンを見つめるスン。

ワープ中のエンタープライズ。
アーチャー:「あんたが我々を救ったことは、艦隊に伝えておこう。」
再び手錠をつけられているスン。「死んでしまった。…一人残らず。ん? 拘束室へは?」
アーチャー:「今後は、乗務員室を使ってもらう。」
突然廊下の天井から何者かが飛び降りた。銃を発射する MACO。
直撃を受けても、マリックは MACO を蹴って倒した。何メートルも転がる。
MACO の銃を拾うアーチャーも、マリックに蹴られた。
スン:「…生きてたのか。」
スンをつかむマリック。「あんたは俺たち全員を裏切った。」 床に投げ倒す。
首を絞められるスンは、額から血を流している。
マリック:「さよなら、父さん。」
銃声が響き、マリックは口を開けた。
マリックの腹の中心に、穴が空いている。倒れるマリック。
アーチャーは持っていた銃を下ろした。

地球軌道上のエンタープライズ。
『航星日誌、2154年5月27日。コロニーでの我々の尽力は最高評議会に評価され、地球に対する報復計画は中止された。』
宇宙艦隊収容センター※36の独房に戻るスン。中を見渡す。「せめて研究の記録くらい、破棄せずに置いて欲しかった。」 貼られていた紙は全てなくなっている。
アーチャー:「破棄などしていない。安全な場所に保管してある。いつの日か、人類に役立つ日がくるかもしれん。」
「それはどうかな。」
ドアを閉める宇宙艦隊士官。アーチャーがスキャナーを操作すると、スンの両手の手錠は互いに外れた。
歩いていこうとするアーチャーに、スンは言った。「可能性はある。…完璧な人間を、創れるかもしれん。…アンドロイドとか、人工生命体でなら※37。」
アーチャー:「…失礼する。」 去っていった。
「私の生きているうちは無理でも、何世代か先にきっと。」 スンは笑い、デスクについた。
ペンを持ち、紙に書き始める。※38


※29: 名前は Magh 艦長 Captain Magh (マーク・ロルストン Mark Rolston TNG第170話 "Eye of the Beholder" 「謎の幻覚テレパシー」のウォルター・J・ピアース中尉 (Lieutenant Walter J. Pierce)、ENT第43話 "Canamar" 「地獄への護送船」のクロダ・ロー・エン (Kuroda Lor-ehn) 役) ですが、言及されていません

※30: "Quv lughaj Archer HoD beqDaj je." "LengtaH 'e' yIchaw'."
日本語版ではそのまま吹き替えされているため、サトウがスンを見る意味がわからなくなっています

※31: ワープ中でも光子性魚雷は使えますし、そもそもこのエピソード中でもバード・オブ・プレイを追うときに使用しています。原語では「魚雷で驚かせられるかもしれません」と言っているので、次のスンのセリフも含めて特殊な戦法を指している可能性もあります。フェイズ砲と間違えたのかもしれませんが、ENT を含めた最近のシリーズでは、ビーム兵器を魚雷同様にワープ中でも使用しているのが通例です

※32: この地図は、地球のエジプト付近を中心としたものと酷似しています。中央の海は地中海 (西側は陸地でアフリカとつながり)、その右上は黒海、右下は紅海、またアフリカ中部は海になっています

※33: このシーンは、映画 ST2 "The Wrath of Khan" のラストで、カーンがリライアントのブリッジを移動するシーンに似ています

※34: N.D.機関部員 N.D. Engineer
(Dayna Devon)

※35: 原語では「ダイリチウムマトリックスをオーバロードさせている」

※36: Starfleet Detention Center
名称は公式サイトより

※37: 原語では「サイバネティクス、人工生命体でなら」

※38: その他の声優は駒谷昌男、大久保利洋、栗山浩一、飯島肇

・感想など
優生人類&スン 3部作の完結編。優生人類が死んでしまう展開自体は予想がつくものでしたが、スピーディなので飽きることはありませんでした。全体で考えると先週の中編は除いてもよかったような気もしますが、DS9「帰ってきた英雄」以来のトリロジーという新たな形は評価したいです。少なくとも第3シーズンのどうしようもない初期エピソードと比較すると、格段の差があります。
データ役は俳優、ラフォージ役が監督だったわけですが、セリフのない部分でちょっとした演技が多かったような気がします。結局スンが悪役として徹しきれなかった感はありますが、それはマリックが受けもったということで。最後の風穴部分は蛇足でしたけどね。優生人類は若いということもあるのでしょうが、ただの格闘家みたいでカーンに比べると全く魅力はなかったです。
スタッフ脚本家の Mike Sussman による作品です。当初この 3部作の情報が出回った時、スン自身が優生戦争に関わっているということで、1990年代とされてきた設定を塗り替えるものという見解が製作陣からも出されました。ですが結局は残っていた受精卵を利用しただけで、セリフ中にも優生人類の誕生は「150年前」とありましたね。第4シーズンになってから以前のシリーズとのつながりが多いので、脚注の補足情報を網羅するのが大変です。


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