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エンタープライズ エピソードガイド
第49話「覚醒する恐怖」
Regeneration

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・イントロダクション
雪の中を飛行する、一隻の船。
地球、北極圏。

3人の人物が、スキャナーを使いながら歩いている。
そのうちの一人、ドレイク※1は言った。「多分この辺だろう。」
辺りは機械の残骸だらけだ。
見上げるほど大きなものもある。
ドレイク:「手分けして探そう。」
女性のルーニー※2。スキャナーに反応がある。「こっちです!」
ドレイクたちが集まる。氷の中に埋まっているのは、顔が白い異星人の遺体だった。


※1: Drake
(John Short) 声:伊藤和晃

※2: Rooney
(Bonita Friedericy フロックス役ジョン・ビリングズレーの妻) 名前は言及されていません。声:八十川真由野

・本編
遺体を見るマニンジャー博士※3。「ヒューマノイドには違いないが、どの種族かは見当もつかん。」
ドレイク:「保存状態は完璧だ。」
「それだけに、ここから運び出すのが一苦労だよ。」
連絡するドレイク。「ドレイクから北極1。」
『どうぞ。』
「ベースキャンプを設置しろ。アルファ・チームは作戦開始。」
『了解。』
「それからウィリアムズ中佐に、スコッチは俺が頂いたと伝えてくれ。」
笑うマニンジャー。
男性:『え、あのう…』
ドレイク:「そう言えばわかるよ。ドレイク、以上。」
ルーニー:「氷の下 2、30メートルから、EM波の痕跡を感知しました。もっとたくさん埋まってるようです。」※4
離れたルーニーは、何かに気づいた。脚だ。「また一人発見しました!」
今度の異星人は、頭が表に出ている。顔には機械がついている。

雪上車が活動し、いくつもの建物が建設されている。
複雑な機械を置くマニンジャー。
ドレイク:「さっぱりわからん。」 2人とも宇宙艦隊の制服は着ておらず、士官ではない。
マニンジャー:「腕だよ、彼のだ。」 ベッドには、異星人の遺体が置かれている。衣服も機械状だ。
「…嘘だろ?」
「いいや、事実だ。彼の循環系と神経系に結合されていた。肉体の一部であるかのように操作していたんだろう。」
「義手をつけた、ヴァルカンの科学者を見たことがある。前腕部分だ。かなり高度だったが、これに比べれば。」
「接眼レンズを見てみろ。視力の点から言うと…電磁スペクトルはほぼ判別できる。」
「遺伝子の分析は。」
「もっと興味深い。」 2つの情報を表示させるマニンジャー。「全く共通点のない、2種類の種族が合体してる。※5
「記録を艦隊に送ってくれ。データベースに照会してもらおう。」
「了解。」
ルーニー:「ドレイクさん。既存の金属の中に、この物体と合致するものはありません。」
ドレイク:「これは?」
「単なる焦げ跡かと思ったんですが、調べたら反物質反応が出ました。」
「ワープエンジンのオーバーロードか。」
「だから残骸が少ないのかも。炭素の痕跡もありました。」
「年代は。」
「驚いたことにもう 100年も前の物です。」
音が聞こえた。先ほどの腕の先端が、勝手に動いている。しばらくすると止まった。
顔を見合わせる 3人。

夜になっても活動している雪上車。
マニンジャー:「これを見てくれ。」
顕微鏡を覗くドレイク。
マニンジャー:「装置が見えるか。そいつが細胞膜を修復してる。」 装置は細胞未満の大きさだ。
ドレイク:「これは?」
「ナノテクノロジーを使った装置に違いない。どっちの体内にも何千と見られる。損傷した組織を、再生してるだけじゃない。機械の部品も修復してるんだ。この腕は今や、新品同然だよ。」 そばに置かれている。
「デノビュラ人も、ナノテクノロジーの実験をしてるが…これとは全く違う。」
「ボディを 3号棟に移したらどうだ? ほかのサンプルと一緒に冷凍させて、状況が整ってから改めて調べよう。」
「…冷凍し直して、ダメージはないのか。」
「…ないとは言えないと思う。」
「…ここに置いておこう。再生のプロセスが見られる。」
「生き返ったらどうするんだ。どの種族かわからないんだぞ? 100年前に何をしてたかも。」
「…攻撃的とは限らんよ。」
笑うマニンジャー。「友達になれるとも思えん。」
ドレイク:「ハ…艦隊からも調査を言い渡されてるんだ。しばらくここに置いて、様子を見てみよう。」

再び防寒服を着て、外で調査しているルーニー。
ドレイク:「収穫は?」
声に驚くルーニー。「山ほど。」
ドレイク:「何ビクついてる。」
「この真夜中に、氷漬けの機械の死体を掘り出してるんです。そりゃビクつきますよ。」
「ホッキョクグマの方がもっと怖いぞ?」
笑うルーニー。「船体外部の破片、22個を発見しました。全て同じように湾曲しています。船は球体だったんじゃないでしょうか。」
ドレイク:「規模は。」
「直径 600メートルくらいかと。」
「…残骸は予想以上に広がってるかもしれん。応援の掘削チームを派遣してもらおう。」
ルーニーのスキャナーに反応がある。
ドレイク:「どうした。」
ルーニー:「ワープサインだわ。…この中です!」
開ける 2人。

棟に入る調査員※6
マニンジャー:「寒いとこ悪かったなあ。ありがとう。」 水筒を受け取る。
調査員:「お友達は?」
「今んとこおとなしくしてるよ。」
「3号棟のヒーターが壊れてて、修理を頼まれたんだ。行っても、いいかな。」
「いいとも、大丈夫だ。」
「じゃ、行ってくる。」 出ていく調査員。
水筒を開けるマニンジャー。手元が狂い、コップを落としてしまった。
ふと機械音が聞こえた。異星人のモニターを見るが、両方とも変わりはない。
話しかけるマニンジャー。「ご気分は?」 ため息をつく。

調べるルーニー。「デューテリアムの残留物だわ。ワープコイルの一種でしょうか。」
ドレイク:「この船の規模にしては小さいなあ。」
「ラボに運んでいっていいですか? 調べてみます。」 道具を取り出すルーニー。

異星人のモニターに、ふいに反応が出た。
それを見るマニンジャー。
線が波打っている。
異星人は唐突に呼吸を始めた。
調べるマニンジャー。
様々な反応が次々に出てくる。
目を見開く異星人。もう片方の目の機械も起動される。

マニンジャーを見る異星人。

ワープコイルを開けようとする、ドレイクとルーニー。
叫び声が聞こえた。
急いで戻る 2人。棟の方では、武器の発砲が見える。
ラボの壁に穴が開いていた。
中に入る 2人。片方の異星人がいなくなっている。
荒らされた跡。奥にマニンジャーが倒れていた。
ドレイク:「こっちだ!」
ルーニー:「はい。」 息を呑む。
マニンジャーは死んではいなかった。しかし、首から顔にかけて奇妙に変色している。
皮膚の中は波打っている。
ドレイク:「医療キットを持ってこい。」
戻ろうとしたルーニーは、叫んだ。
もう一人の異星人が迫る。

サンフランシスコ、宇宙艦隊司令部。
部屋に入るウィリアムズ中佐※7。「提督。A-6 調査隊に異常事態発生。もう 3日間も科学評議会※8との連絡が途絶えています。」
フォレスト※9:「…シャトルを出せ!」

北極に降下するシャトルポッド※10
ラボのドアが開けられる。中にも雪が降り込んでいた。
フォレストの指示で、銃を持った士官たちが入る。
中には誰もいなかった。
ウィリアムズと顔を見合わせるフォレスト。


※3: Dr. Moninger
(Chris Wynne) 肩書き・名前は言及されていません。声:水野龍司

※4: この直後に背景に映る物は、映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」で使われた、エンタープライズ-E 円盤部模型の再利用

※5: この訳だと DNA が混じっている印象を受けますが、2人の異星人が全く別の種族だという意味に過ぎません

※6: Researcher
(Adam Harrington) 声はフォスター役の阪口さんが兼任?

※7: Commander Williams
(ジム・フィッツパトリック Jim Fitzpatrick) ENT第27話 "Shockwave, Part II" 「暗黒からの衝撃波(後編)」以来の登場。声:福田信昭。前回は仲野裕さん、前々回 (初回) は楠見尚己さんでした

※8: Science Council
この部分は訳出されていません

※9: フォレスト提督 Admiral Forrest
(ヴォーン・アームストロング Vaughn Armstrong) ENT第42話 "Future Tense" 「沈黙の漂流船」以来の登場。声:金尾哲夫

※10: エンタープライズ搭載のとは異なり、青いラインが入っています (エンタープライズのは赤)

エンタープライズ。
アーチャー:「提督の話によると、高度な技術で強化されたヒューマノイドが……調査隊を拉致したらしい。」 異星人の写真が次々と表示される。
リード:「北極は遥か彼方だ。何ができると?」
「一隻の輸送船がワープ3 ポイント 9 で、地球の軌道を離れるのが記録されている。」 司令室のモニターを、星図に切り替えるアーチャー。
タッカー:「そんなバカな。輸送船なら出せて 1 ポイント 4 です。」
「きっとその異星人が、エンジンを改造したんだろう。自分たちの技術を使ってな。」
サトウ:「その輸送船の現在位置は。」
「ここから、6光年以内の方向に向かっていることは確からしい。…船の捜索を命じられた。」
トゥポル:「ワープサインの特定は、難しくありません。」
「捜索はまず、この座標からだ。」 アーチャーは輸送船の予想位置を表示させる。「戦術警報を。すぐに向かえ。」
メイウェザー:「了解。」
異星人の写真を見るタッカー。「一世紀も氷漬けに?」
アーチャー:「生きてるなんて信じられん。」
「…化け物だ。」

兵器室。
フロックス:「私に御用ですか?」
リード:「ああ、この異星人に関する生物測定データは膨大にあるんだが…正体がさっぱりつかめないんだ。」 並べられた写真。
「何をすれば。」
「この腕は、何らかの武器を兼ねているのかもしれない。詳しく分析してもらえないか。対策を講じられるように。」
スキャンを始めるフロックス。
リード:「人体にこれだけ完璧に、サイバネティックインプラントを施せるなんて信じられんよ。」
「フーン、テクノロジーには誰もが心を開くべきです。」
「そりゃあよくわかってる。だが体内となると別だ。」
「ハ。では心臓を病んだとしたら、人工臓器と取り替えるより死を選びますかあ?」
「問題が違う。」
「フーン…ベータ・マゼラン星系でバイナー※11という種族に、遭遇しました。彼らは子供が産まれるとすぐに頭頂葉を取り除き、シナプスプロセッサーを埋め込みます。一度その手術に立ち会った。見事でしたよう?」
「ああ、そうだろうな? 結果は?」
「武器の痕跡はありません。」
「…調査隊は全員重装備だったはずだ。丸腰でどうやって彼らを連れ去れる。」

作戦室でコンソールを見ているアーチャー。
トゥポルの通信が入る。『ブリッジから、アーチャー船長。』
アーチャー:「どうした。」
『自動救難信号を受信。ターカリア※12の、貨物船からです。』

戻ってきたアーチャーに報告するサトウ。「ひどい干渉波です。…『領域内にいる全船へ。未知の種族に攻撃を受けている。…至急応援を請う。』 …以上です。」
アーチャー:「…到着時間は。」
メイウェザー:「…一時間後です。」
「コースセット!」

ターカリア貨物船は攻撃を受けていた。被害は甚大だ。
地球輸送船は、その船体のほとんどが大きく姿を変えている。
近づくエンタープライズ。
アーチャー:「回線オンに。…宇宙船エンタープライズ※13の船長、アーチャーだ。直ちに攻撃をやめなければ、発砲する!」
リード:「武器を装填!」
揺れる船。
リード:「何らかの陽子バーストです。輸送船の装備じゃありえない。」
トゥポル:「彼らが改造したのは、エンジンだけではないようですね。」
アーチャー:「人間の、生体反応は。」
「地球の輸送船に 9名。非常に不安定です。」
また攻撃を受けた。
アーチャー:「武器を不能にできるか。」
リード:「可能かと。」
フェイズ砲を発射するエンタープライズ。
リード:「…システムダウン。」
メイウェザー:「ワープします。」
アーチャー:「ターカリア船に生体反応はあるか。」
トゥポル:「…上層デッキに 2名いますが、生命維持に限りが。」
「…現在位置維持。シャトルポッドを。」 リードに合図するアーチャー。「ブリッジを頼む。」

ベッドに寝かされたターカリア人。
フロックス:「命に別状はありませんが、ナノプローブは既に自律神経系に入り込んでいます。」
2人とも皮膚の一部が変色している。
フロックス:「副腎は取り除かれ、この装置に変えられている。」 モニターを指さす。「どうやら彼らは何らかのサイバネティックハイブリッドに、変化を遂げたようです。」
アーチャー:「調査隊員の生体反応も不安定だと…」
トゥポル:「彼らも同様の変化を遂げていると考えられます。」
「……ナノプローブの除去は。」
フロックス:「いえ無理です。装置の繁殖率は尋常じゃない。とても取り除けません。せめて、繁殖振動を抑えようと手を尽くしているところですが、効果ありません。」
トゥポル:「除菌室に隔離した方がいいでしょう。」
「そんなことをしたら分析に不便だ。クルーに危険はありませんよ。」
アーチャー:「…そうとは言い切れん。…保安部員に見張らせよう。…逐次報告を。」

作戦室。
また文章を読んでいるアーチャー。ドアチャイムに応える。「入れ。」
トゥポル:「ターカリアに報告しました。クルーにはできる限りのことをしたと。」
「輸送船の痕跡は。」
「ありません。」
「…今回の件に聞き覚えがある。このゼフレム・コクレインのスピーチを見つけて確信した。89年前のものだ。子供の頃に読んだことがあった。やっとデータベースの中から見つけ出せたよ。彼はプリンストン大学の卒業式で、彼の異星人とのファースト・コンタクトについて述べている。未来からやって来た機械生命体が、初めてのワープ飛行を止めようとしたと言うんだ。だがそいつらは人間に退治された。未来から来た人間に。」
「確か彼は…空想癖があることで有名だったと聞いています。…よく酒を飲んで酔っていたと。」
「…当時も誰も信じなかった。本人もその後全てを撤回したが、酷似していることは君も認めるだろう?」
「…彼らの狙いは、人類を奴隷にすることだと、ここに。」
「もしそうなら…連中は体勢を立て直すため、故郷へ向かう。」

目を覚まさないターカリア人の女性※14
保安部員のフォスター※15が医療室にいる。
もう一人のターカリア人※16が、うなりだした。意識を取り戻す。「…あんた誰だ!」
フロックス:「私はフロックス、医者だ。…君らの救難信号を受けて助けに来た。」
腕の変化に気づくターカリア人。「…俺に何をした!」
フロックス:「君の船は攻撃を受けた。私は治療しただけだ。」
苦しむターカリア人。
フロックス:「鎮静剤を打とう。」
ハイポスプレーを近づけるフロックスだが、腕をつかまれた。
いつの間にか起きてきたターカリア人の女性は、フォスターにつかみかかる。大きく投げ飛ばされた。
ターカリア人は腕をフロックスに近づけた。2本のチューブがフロックスの首に突き刺さる。すぐにチューブは引っ込んだ。
フロックスを投げ飛ばすターカリア人。
女性と共に、はしごを登り出す。
意識を失ったフロックスの皮膚は、変色し始めた。


※11: Bynars
TNG第15話 "11001001" 「盗まれたエンタープライズ」より。星系名 (Beta Magellan) も同エピソードで言及されています

※12: Tarkalean
母星名は Tarkalea。DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」などでターカリアン・ティー (Tarkalean tea)、DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」でターカリアン・コンドル (Tarkalean condor)、DS9第110話 "The Begotten" 「幼き命」でターカリアン・タカ (Tarkalean hawk) が言及

※13: 吹き替えでは「エンタープライズ

※14: 女性ターカリア人 Female Tarkalean
(Nicole Randal) なおターカリア人が登場するのは初めて (船も)。声優なし

※15: Foster
(Paul Scott) 名前は言及されていません。声:阪口周平?

※16: 男性ターカリア人 Male Tarkalean
(Mark Chadwick 映画第10作 "Star Trek Nemesis" 「ネメシス/S.T.X」のスタント) 声はウィリアムズ役の福田さんが兼任

声が聞こえる。多数の声だ。
アーチャー:「ドクター。…フロックス。」
目を覚ますフロックス。
アーチャー:「どうした。」
フォスターを起こしたリード。「大丈夫か。」
フロックス:「襲われた!」 自分の首をスキャナーで調べる。「…ナノプローブを、入れられています。異星人の一人が細い…管で。」
リード:「船長。…ここから外へ。」
アーチャー:「メンテナンスシャフト封鎖。アクセスポイントを見張れ。見つけ次第除菌室に厳重隔離。」
「了解。」 部下に指示するリード。
フロックス:「最大の警戒を払って下さい、彼らの肉体は強化されています。近づかないように。」 フォスターを調べる。「君は大丈夫だ。」
フォスター:「…ありがとうございます。」
アーチャー:「念のためここで待機を。」
「はい、船長。」
「…何かできることは。」
フロックス:「……エドシアンの、ナメクジ※17に餌をやらないと。茹でたルートリーフが好きで食堂から取ってくるんですが、この身体では。」
「…取ってこさせよう。」

ターカリア人たちは、アクセスシャフトを登り続ける。
一心に歩いている。
パネルを開けた。操作し始める。

地球輸送船の構造図が表示されている。
タッカー:「輸送船は相当強化されてます。エンジン、防御プレート、これが武器システム。こっちは考えたくもありません。」
改造された部分を確認するアーチャー。「船尾プレートの強化はまだのようだ。ここを叩けば、EPS マニフォルドにダメージを与えられる。致命傷だ。」
タッカー:「魚雷を撃ち込めばいい。」
機関室に通信が入る。『トゥポルからアーチャー船長。』
アーチャー:「どうした。」

ブリッジのトゥポル。「長距離センサーで輸送船を探知しました。…ワープ4 ポイント 8 で航行中です。」
アーチャー:『距離は。』
「2光年未満です。」

尋ねるアーチャー。「エンジンからパワーを絞り出せるか。」
タッカー:「やってみます。」
「トラヴィス、コース変更。ワープ4 ポイント 9 だ。」
メイウェザー:『了解。』
タッカー:「奴らは 12時間で倍の速度に。」
アーチャー:「せめて武器は改造してないことを祈るよ。」

アクセスチューブを進むリードたち。
スキャナーを使う。
はしごを登っていく。

通路に出てきた。壁面のコンピューター画面は、全て異星人のものになっている。
更に進む。

作業を続けるターカリア人女性。
次のパネルを開け、腕のチューブを突き刺した。
直後に異星人のシステムが構築されていく。
リード:「その手を止めろ!」 部下と共に、フェイズ銃を向けている。
無視する女性。
リード:「止めなければ撃つぞ! …今すぐそこから離れろ!」
全く聞いていない様子のターカリア人に、リードは発砲した。多少よろめくが、気にしない様子の女性。
今度は部下と共に、一斉に撃った。フィールドが発生し、全く効かない。
リード:「最大にセット。」
何発も撃ち続けると、女性は向かってきた。
リード:「下がれ!」 アクセスチューブを引き返していく。
すると、保安部員が先にいたターカリア人に倒された。
もう一人も殴られる。首に腕を近づけるターカリア人。
だがチューブが挿入される寸前で、リードが銃で殴り倒した。逃げながらコミュニケーターを使う。「リードからブリッジ。」

ブリッジのアーチャー。「どうした。」
リード:『奴らシャフトC の、ジャンクション12 です。システムを改造しています。』
「何の改造を。」
トゥポル:「ワーププラズマ・レギュレーター。」
「止められるか。」

逃げ続けるリード。「銃は通用しません。エネルギーシールドで防御してます。」

報告するメイウェザー。「…船長、ワープフィールドが不安定に。」
トゥポル:「…奴らです。」
アーチャー:「そのジャンクションに外部ハッチは。」
「あります。」
「……マルコム。すぐにそこを出て、封鎖しろ。」

ハッチを開けるリード。「了解。」 部下に指示する。「出ろ、急げ!」

命じるアーチャー。「ワープ解除。」

はしごを下りていくリードたち。
ワープを止めた音が響く。
上部ハッチを閉じるリード。「今出ました。」

アーチャーは言った。「…副司令官。」
操作するトゥポル。

作業を続けているターカリア人たち。
音が響き、後ろに飛ばされる。
あっという間に 2人は、宇宙空間へ放り出された。
漂っていく。

報告するトゥポル。「ジャンクションは空です。」
アーチャー:「ハッチを閉じて、再び加圧。…マルコム。トリップと組んで、奴らが何したか突き止めろ。」

はしごを下り続けるリード。「了解。」

指示するアーチャー。「コースを元に戻せ。」
うなずくメイウェザー。
トゥポル:「仕方ありませんでした。」
何も言わないアーチャー。

医療室。
まだフォスターがいる。
料理を持ってくるサトウ。「ルームサービスよ?」
フロックス:「それは?」
「ナメクジにはルートリーフ。コウモリにはヴァルカンの多毛虫※18。そして、我らがドクターにはパスタです。」
「私は食事を取らない方がいい。」
「栄養をつけた方がいいわ?」
「食べれば、細胞の代謝が活発になり、ナノプローブが広がってしまう。」
「…そう。でも、一応ここへ置いておくわ?」
「なぜフェイズ銃を?」
サトウは腰につけていた。「…リード大尉のアイデアなの。そばに来たら撃つわよ?」
笑うフロックス。「麻痺にしておいて欲しいね。」
サトウ:「2、3時間後には、奴らの輸送船に追いつくわ? 船長も、ここで私が少しくらい、おしゃべりしてたって…怒らないと思う。」
「気持ちはありがたいが私のそばにいるのは危険だ。」
「武装してるのよ? 言ったでしょ? ……あなたには感謝しきれないくらいお世話になってる。だからお返ししたいの。」
「このテクノロジーは突然作動する。そうなれば何が起きるかわからん。私はナノプローブに油断した、同じ間違いはしたくない。」
「…じゃあペットに餌だけやってくわ?」
精一杯の笑みを浮かべるフロックス。サトウは動物に餌を与える。

コンピューターを調べているリード。
タッカー:「随分いじくり回したもんだ。全部戻すには何日もかかる。」
リード:「一体何をしてたんでしょう。」
「さあね。…プラズマレギュレーターが、オーバーロードするところだ。一体どういうつもりだ。自爆しないのが不思議だ。※19それ取ってくれ。」
「彼らのシールドはすごかった。まるでホログラムの弾を撃ってるようで。」
「よく調べられればな。俺たちだって造れるさ。」
「フェイズ銃で、撃ち抜くことができるはずです。パワーセルを分極できれば、粒子の出力を上げられる。兵器庫にいます。」

独りで食堂にいるトゥポル。
アーチャーが入り、カップを取り出す。「コーヒーにクリーム。」 料理棚を開けて物色する。
トゥポル:「調理室にカニンガム乗務員※20がいます。何か頼んでは?」
アーチャーは棚を閉めた。「…構わんよ。……ここいいか。」
トゥポル:「どうぞ。……リード大尉から、輸送船を発見し次第、機能を止めると聞きました。」
「ダメージを与えないよう、パワーシステムだけを破壊する。」
「まだ、調査隊を救出する気ですか。」
「当然じゃないか。」
「既に元の姿ではないかもしれません。」
「…故郷に連れて帰る。人間も、ターカリア人も。…どうなっていようと。」
「輸送船には 29名の生命体がいます。全員変化を遂げてると見るのが妥当です。…彼らを保護すれば、この船が危険に。考え直していただけませんか。」
「船を追うべきじゃないというのか?」
「いいえ。破壊すべきです。」
通信が入る。『フロックスからアーチャー船長。』
アーチャー:「…どうした。」
『医療室へ御願いします。』
「すぐ行く。」 ドアを開けるアーチャー。「救出をあきらめるのは、まだ早い。」

フロックスの手が震えている。顔の変色は、更に広がっていた。
医療室にアーチャーが入る。「…気分は。」
フロックス:「予想よりはましです。免疫システムががんばってくれているようだ…。だがナノプローブが適応するのも時間の問題です。※21
「…治療法に進展は?」
「多少は。私は今まで自分の症状を、感染症と捉えていたんですがそれが間違いだったんです。医師より、機関士として考えるべきだった。そこでいくつか、ナノプローブを抽出して放射線を照射してみました。すると分子内のプロセッサーは明らかに、オミクロン粒子※22に弱いことがわかった。…だが…一つでもナノプローブが残っていれば、再び増殖し始めます。ですから、放射線の量を増やすしか。…はっきり言って副作用は、きついですが…。これを、持っていて下さい。失敗した時のために。」 ハイポスプレーを渡すフロックス。
「これは?」
「…一種の、薬です。瞬時に私のシナプス機能を停止させることができます。」
「…早まるなよ、ドクター。」
「私は怪物になる気はありません、あの機械仕掛けの。」

フェイズ銃が台に固定され、照射されていた。
リード:「パワーを後、5メガジュールアップ。発射。」
パッドを使う部下。金属に向けて発射されている。
リード:「そのまま。7メガジュールにアップ。」 グラフを見る。「8。…9。」
グラフに変化がある。
リード:「密度維持。10 にアップ。」 金属は爆発し、穴が開いた。「よし、これでいい。一時間もしないで、輸送船に追いつく。できる限り、たくさん改造しよう。」
他の銃を取り出す 2人。

地球輸送船に追いついたエンタープライズ。
トゥポル:「…船体の重量が、3%増しています。」
リード:「…防御装置を改造しています。」
メイウェザー:「…加速しました。ワープ 4 ポイント 96。…98。」
アーチャー:「速度を上げろ!」
揺れ出す船。
メイウェザー:「接近中。」 輸送船は目の前だ。
アーチャー:「EPS マニフォルドを狙え!」
武器を発射するリード。
メイウェザー:「ワープ解除しました。」
通常空間に出てくる、輸送船とエンタープライズ。
サトウ:「…何か、こちらへ送ってます。起動シークエンス※23のようです。」
アーチャー:「ブロックしろ!」
「できません。」

コンピューターの画面が切り替わった。
連絡するタッカー。「タッカーからブリッジ。いじられた回路が光り始めました。」

ブリッジのライトが明滅する。
トゥポル:「プラズマネットワーク崩壊。メインパワー消失。」
リード:「武器もダウン。」
アーチャー:「…思う壺か!」
サトウ:「…呼びかけてます。音声のみ。」
アーチャー:「…船長だ…」
アーチャーを無視して、異質な声が響いた。『お前たちを同化する。抵抗は無意味だ。』
エンタープライズに近づく地球輸送船。


※17: Edosian slug
ENT第38話 "The Catwalk" 「嵐を告げる男達」より

※18: Vulcan sandworm
吹き替えでは「ナメクジにはルートリーフ」は正しいのに、次は「ヴァルカン多毛虫にはコウモリ」と逆になっています。コウモリというのは、恐らくピリシアン・コウモリ (Pyrithian bat) のこと。ENT第31話 "A Night in Sickbay" 「小さな生命の灯」など

※19: 原語では「何で自爆するようなことをしたんだ」という意味合い

※20: カニンガム乗組員 Crewman Cunningham
ENT第35話 "Singularity" 「三重星系の誘惑」などに登場。階級・名前が言及されるのは初めて。"galley" が「食堂」と訳されていますが、今トゥポルたちがいるところこそ食堂です

※21: 吹き替えでは「ナノプローブ適応するのも…」と訳されています。「ナノプローブに適応される」ならわかるのですが…

※22: omicron particles
DS9第36話 "Shadowplay" 「幻影の村」など

※23: "activation sequence" が「放射性の物質」と訳されています。通信でどうやって物質を送るんでしょう…

輸送船は攻撃を仕掛けてきた。
リード:「防御プレート 81%。」
アーチャー:「トリップ、応戦できないか。」

回路を扱っているタッカー。「数分下さい。」

ブリッジにも火花が散る。
リード:「プレート、12%ダウン!」
アーチャー:「転送装置は使えるか。」
「しばらくは。」
「一緒に来い!」
トゥポル:「船長。」
「この船は君が守れ!」

フロックスは動きを止めた。たくさんの声が聞こえてくる。
フォスター:「ドクター?」
フロックス:「…照射プログラムが完了した。私がチェンバーに入ったら密閉し、このボタンを押してくれ。」 何とか台に乗る。
フォスターが操作すると、イメージチェンバーの中に入っていった。
オミクロン粒子の放射が始まる。必死の形相で苦しむフロックス。

フェイズ銃を渡すリード。「粒子の量を倍に。発砲後はほんの数秒でリチャージできます。」
アーチャーは転送台に乗った。「EPS マニフォルドの近くへ頼む。」
クルー:「了解。」
銃を構える 2人。
コンソールを操作するクルー。

輸送船内に実体化するアーチャーたち。
辺りは緑の光であふれ、ライトが明滅している。

攻撃をやめない地球輸送船。
メイウェザー:「防御プレート、23%。」

輸送船の壁の一角に、立ったままの異星人がいた。近づいても動く様子はない。
他に何体もある。
だが通路から、2人が近づいてきた。
フェイズ銃で撃つアーチャーとリード。相手は倒れた。
近づき、調べるアーチャー。片方の人物は、ルーニーだった。
アーチャー:「元は調査隊員だ。」
リード:「元は?」
「…生体反応を見ろ。もう人間じゃない。」
更に何人も向かってくる。
リード:「船長!」

コンソールにつかまるサトウ。「侵入者です、Cデッキに 6名。」
トゥポル:「保安警報発令。ブリッジからタッカー少佐。」

揺れに抵抗するタッカー。「…どうぞ!」

トゥポルは尋ねる。「武器はまだなの。」
タッカー:『パワーリレーの一部を分離した。スタンバイ。』

応戦するアーチャーたち。スキャナーを使う。
リード:「彼らも?」
アーチャー:「調査隊員だ。」

ターボリフトを降りる保安部員たち。
廊下を歩いてくる異星人を攻撃する。
だが 2人倒したところで、フェイズ銃は効かなくなってしまった。
引き下がる。

リードがいきなり異星人につかまった。首を持たれ、壁に押しつけられる。
フェイズ銃で狙おうとしたアーチャーだが、直接殴った。
頭のケーブルを壊すと、リードは離された。
飛びかかるリード。異星人は立ち上がれなくなった。

先へ進むアーチャー。「ここだ。」 大きな装置がある。
近くの壁にいた異星人が次々とやってくる。倒していくアーチャー。
リード:「船長!」
アーチャーは更に撃った。
装置を取り付けていくリード。

報告するメイウェザー。「防御プレート、ダウン!」
サトウ:「船体を切っています。※24Eデッキ、右舷 4分の1。」
トゥポル:「クルーを避難させて。」

銃が無効化された。
アーチャー:「もう効かない、急げ。アーチャーからエンタープライズ、転送に備えろ。」

応えるトゥポル。「了解しました。」

アーチャーは指示した。「今だ。」
転送されるアーチャーとリード。
リードがつけた装置を外していく異星人。

エンタープライズに戻ってきたリードは、手元の装置を操作した。

輸送船内の装置が起爆する。
船の外部にも爆発が広がり、エンタープライズへの攻撃が止まった。

装置を取り外すタッカー。「タッカーからブリッジ。」 コンピューターの表示が元に戻った。
トゥポル:『どうぞ。』
「異星人の回路停止。」

トゥポルは尋ねた。「武器は使えるの?」

見守るタッカー。「今起動中です。」

廊下を大挙して歩いていた異星人たちは、立ち止まった。
すぐに全員転送されていく。

ブリッジに戻るアーチャー。「報告。」
トゥポル:「エンジンと、武器システムは復旧。輸送船は不能、異星人の回路もです。…調査隊員たちは。」
「……助けられる者は、いなかった。」
顔を見合わせるサトウとメイウェザー。
リード:「…船長。輸送船で何か起こってます。武器システムが復旧。…装填してます!」
アーチャー:「全力を挙げてワープコアを狙え!」
魚雷を次々に発射するエンタープライズ。
そして最後のフェイズ砲で、輸送船は爆発した。
サトウに命じるアーチャー。「……フォレスト提督を。」 作戦室へ向かう。

『航星日誌、2153年3月1日。船の修理を進める一方、低速ワープで元のコースを航行中。ドクター・フロックスは、完治に自信を見せている。』
まだ傷を負ったままのエンタープライズ。
医療室に入るアーチャー。「もう寝てなくていいのか?」
患者服のフロックス。「仕事が溜まっていますので。大して無理はしていません。治療中は無理をしたくても、できませんから。」
アーチャー:「医者の不養生とはよく言ったもんだな?」
フロックスの顔も元に戻っている。「…船長、一つ報告が。…ナノプローブに冒されている間奇妙な体験をしました。私は間違いなく、テレパシーか何かであの異星人たちとコミュニケーションを取っていた。」
アーチャー:「奴らが君に接触を?」
「そう思います。まるで私がある集団と、意識を共有したような。」
トゥポル:「極度の肉体的ストレスにさらされたせいで、幻聴を聞いたのでは?」
「そうは思えません。何を言っていたのかはほとんど理解できませんでしたが、亜空間メッセージを送っていたことは間違いありません。…これが、メッセージの数列です。何度も何度も聞きました。」 フロックスはパッドを渡した。

作戦室のアーチャーは、ドアチャイムに応えた。「入れ。」
トゥポルがやってくる。
アーチャー:「…フロックスが示した数値を分析した。パルサー周波数だ。光年測定法に基づいている。」 コンソールに星図が表示されている。
トゥポル:「空間座標ですね。」
「…地球の場所を母星に送ってたんだろう。」
「その送った先とは?」
「デルタ宇宙域の、更に深いところだ。」
「では、差し迫った危険ではありません。亜空間を使っても、デルタ宇宙域に届くには 200年かかります。仮に、届くとしてですが。」
「…危機を見逃すことにならないか、彼らの侵攻を先送りしただけだ。…24世紀まで。」
2人は、星図を見た。


※24: "They're cutting into the hull." が「船体に侵入」と訳されています。ボーグは防御プレートがあっても既に侵入しているわけで、ここでは文字通り船体を「カット」しているという意味。その後映像で実際に、船体に線が入っています

・感想
本国の情報でボーグ (Borg) が ENT に出ると聞いた時には、少なからず驚きました。なるほど、映画 FC の後日談というわけですね。「獲物たちの罠」のフェレンギ人もそうでしたが、ボーグという言葉は一回も出てきません (「抵抗は無意味だ」はあっても)。今回はあえて文中でもボーグとは書かずに作ってみましたが、姿はプロローグから明らかになっています。
木っ端微塵にされたはずのボーグ・スフィアが大気圏内を墜落して、しかもドローンも復活できるような形で生き残っていたことには多少無理がありますが、まあアイデアとしては面白いですね。後はそれなりに典型的な展開。エンタープライズが勝っちゃいましたけど、負けるわけにもいきませんからね…。ボーグも最初に同化した船があまりにもお粗末だったということで。
VOY では特に理由も明かされることなく、セブン・オブ・ナインの両親であるハンセン夫妻 (と宇宙艦隊) が、ボーグの存在をエンタープライズ-D の遭遇よりも先に知っていたことになってしまいました。この話で判明したように FC で歴史が変わったとして、ついでにこの謎を説明づけようとしたんでしょうかね (謎と言えば、ナノプローブに抵抗を見せたフロックスも…)。最後のくだりからもわかりますが、とりあえず ENT には二度とボーグは出ないようなので、それは何とか救われます。NX-01 にとっても、ファンにとっても。
それにしても解釈ミスの誤訳の多いこと…。邦題がネタバレにならなかっただけよかったですが。


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